2011年3月21日月曜日

マネジャーの実像(ミンツバーグ)邦訳読みました

ミンツバーグは実務家にとってはバイブルかもしれない。

お久しぶりです。東北関東大震災から10日経ちました。被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。小生も会社にいて、「揺れるな」と思っていたら、下から突き上げられるような揺れに見舞われ、引き出しが飛び出す、書棚が飛び出すといった感じでした。あとでテレビを見ると、大変なことになっていました。お取引先さまが多数おられたため、八戸から銚子までの海岸線は、新入社員のころから何度となく通い、商談が決まらず打ちひしがれて帰った仙石線、八戸から仙台まで、45号線沿いをレンタカーで回って新規開拓したころなどなど、思い出が詰まった場所なのです。その場所があのような惨事にあって、社内での情報でお取引先さまの状況が出てくるにつれて、胸が痛みます。そして、東京にほど近い新浦安でとんでもない被害が出ている。阪神大震災の時も同じことが起こりましたが、大打撃を受けたところには関心も集まるし支援の手も差し伸べられます。しかし、少し離れたところは目が届かないので関心も薄くなってしまいます。阪神の時は豊中や池田・川西だったし、今回はおそらく浦安や江戸川区の臨海地域だと思います。

閑話休題、地震が起こって、仕事が忙しいのに落ち着かない。家に帰ってきても何もする気が起きないので、ミンツバーグの新刊が翻訳されて出ていたのでそれを買って読みました。英訳は出てしばらくして読んだのですが、訳が出たので、研修とかに使えるかを試す意味でも買ってみました。Mintzberg, H. (2009) Managing, San Francisco: Berrett-Koeler Publishing Inc. ヘンリー・ミンツバーグ(2011)『マネジャーの実像―「管理職」はなぜ仕事に追われているのか』池村千秋訳、日経BP社
です。英語では手が出ない人々に読んでほしいと思い続けていた待望の訳書です。専門書なんてくそくらえという人でも絶対楽しく読めますのでお薦めです。特に、最近マネジメントで迷っている人や、薄っぺらい課長本に抵抗がある人々にお薦めです。ミンツバーグと言えば名著、Mintzberg, H. (1973) The nature of managerial work, New York: Harper & Row. ヘンリー・ミンツバーグ(1993)『マネジャーの仕事』白桃書房、訳 奥村哲史、須貝栄ですが、これのパワーアップ+現代的なコンテクストでまとめあげた素晴らしい本です。27人のマネジャーが登場しますが、それぞれがビビッドに描かれていて、学術的なレベルも高い。「思わぬトラブルが持ちあがったときにマネジャーが上手に対処できる組織」とさらっと述べているが、私の経験ではマネジャーの仕事はこれに尽きると思うし、それをうまく説明しているので非常によくできていると思う。マネジャーになりたての人も、ミドルにとっても、非常に有益であるとともに、学生さんにとっては参考文献が充実している分、リファレンスとしての価値が非常に高い本でもあります。引用の中にリンダ・ヒル(HBS教授)が多く、ぜひ読んでほしい本がまだ翻訳されていないのが惜しまれます。たとえば、新任課長にはHill, L. (2003) Becoming a Manager: How New Managers Master the Challenges of Leadership (2nd expanded ed.) Boston: Harvard Business Press.あたりをぜひ読みこんでほしいと思う。英語の勉強としてもミンツバーグより平易ですから。

目次
はじめに
最初にお読みください
1. マネジメントがいちばん大事
2. マネジメントのダイナミクス
3. マネジメントのモデル
4. マネジメントの知られざる多様性
5. マネジメントのジレンマ
6. 有効なマネジメント
付録 マネジメントの8日間
参考文献

追伸: ちなみに金井先生が3月20日の日経で書評されています。私が言いたいことをこういうようにパシッと言ってくれる。それにしてもいつ本読むんやろ、先生・・・・。3月20日日経

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