2012年4月28日土曜日

ブログ再開します!ごめんなさい

1年ぶりにブログを再開することにしました。
1年間サボりにサボって、本当にごめんなさい。まずは言い訳から(笑)。

2010年10月に東京に転勤して、経営企画の仕事を始めました。昨年1年間は会社の経営・統治・業務執行機構の大改革があり、それを特命で受けていて没頭していた関係で、まったくブログを書くことができませんでした。組織設計からそれに伴う規程類の整備、報酬設計などすべてにかかわっていました。

それに役員と上級幹部の研修企画と講師(研修支援です)、下期は会社の全役職者(組織の長=部課長クラス)の研修企画・支援・講師の仕事も降ってきて、それに加えて、M&A案件支援などもあって、FacebookやTwitterをやるのが精一杯の状況が続いていました。

そんなこんなで読んだ本はほんのすこしでした。今年は、 特命は終わったし、ちょっと余裕が出てきそうなので、本も精一杯読んでいくつもりです。また、昨年の後半から会社のゴルフの誘いも出てきました。神戸MBAを目指した2007年12月に、自分が好きなものを断つことで決意を固めようと、ゴルフ断ちをしました。MBA時代はゴルフをする余裕(時間的にも金銭的にも)などなく、それから2011年の冬になる4年間、ゴルフをまったくすることがありませんでした。

しかし、忙中閑あり、オフシーズンだったこともあって、ゴルフの誘いを受けてやってしまうと、それまではまったくなんともなかったのに、一度やると禁煙の後のたばこのようなもので、やりたい思いが募ります。ちょっと余裕が出てきていることもあるので、これからはゴルフも少しずつやっていこうと思います。そこで、今日は読書の話題ではなく、ゴルフの話題を少しやります。

2011年にゴルフに行きだして、一番最初に感じたのがクラブの古さです。もともとアイアンはBen Hoga Apex Plusという90年代後半(息子が生まれた年に買ったので1999年)のクラブでした。ドライバーも何もかも古かったわけですが、それを4ヶ月ほどかけて一新しました。といっても、すべて中古屋で中古の型落ち品をそろえています。先週やっとパターまでそろえたので、クラブについて書いてみます。

Driver
古いドライバーは、SYB Prelity Type Rの10度。シャフトはフジクラSpeeder 661(S)、44.5inでした。これは日本に帰ってきてすぐに豊中のミリオンゴルフ(もうつぶれてしまった・・・・)で中古を購入したもので、よく飛んでくれましたが非常に難しいヘッドではありました。曲げ始めると大変なクラブで、そのせいかほとんど使わなくなっていて、後述するユーティリティをつかってティーショットしているぐらいでした。
新しいドラは、Titleist 909 D3 10.5 Deg、シャフトは三菱ディアマナKai'li 70のS、長さは44.75inの特注品です。もともとアメリカ時代はTitleist 975D (10.5 Deg, Lightweight Head, EI70 S)を愛用していたこともあって、タイトリストは好きなクラブメーカーです。東京の中古クラブ屋さんを検索して、ちょっと凝っているクラブを置いている「ゴルフエフォート新橋店」さんでクラブを見ていて、このクラブを見つけました。「クラブが短いし、傷もあるので安い」というので、買ってしまいました。できるだけ曲げずに正確に打ちたいほうで、短いドライバーが好きで、クラブの顔もいいし、ワッグルしていい感じだったので、フィーリングで買って大成功でした。昔のクラブに比べて打ちやすいし、220~230ヤードぐらいはキャリーでフェード気味(持ち玉です)に飛んでくれます。友人のクラブを借りてもこれ以上飛ばないのであきらめています。

Fairway Woods
古いのは、Callaway Big Bertha Warbirdの4+とHeavenwood(7W)、シャフトはTrue TemperのEI-70(S)でした。これはアメリカに駐在中にSeattleのPuetzというゴルフショップ(レンジ併設)で安売りしていたのを買ったのはよかったのですが、シャフトがやわらかすぎてリシャフトを進められてリシャフトしたものでした。もともとフェアウェイウッドが大好きで、Titleist PT PT 15(スルーボアなし、タイガー仕様のオリジナル)、PT24、そのほか976F(15度でDGS300が刺さっていました)、Cleveland Launcherなどなど様々なFWを使ってきました。ティーショットから転がしアプローチまでなんにでも使うぐらいFW好きです。
しかし、今見るとあまりにも古いので、これまた「ゴルフエフォート」さんで、Titleist 906F4の15.5度と18.5度、シャフトは三菱ディアマナS83のSがペアであったので、迷いに迷った末にこれを買いました。長さはそれぞれ43.5と42.75です。ハードなスペックに見えますが、これがすこぶる調子がいいです。両方とも高めの弾道で、若干フェードします。3Wのキャリーがおそらく200yd、5Wはおそらく190ydぐらいと思いますが、非常にコンスタントです。怪我せずに攻められます。

Utility
アメリカから帰ってきたときに買ったフォーティーンのHI-660は、2Iと3I(両方ともDGS300)を持っていて、2Iはティーショット専用になっていたのですが、FWの調子がいいので、両方とも必要なくなってしまいました。その代わりに、この2本を下取りに出して、同じHI-660の4I(NS950のS)を買いました。 これを使っています。180ydぐらいキャリーで飛びますが、どちらかというと若干玉が散ります。

Irons
アイアンは、ヨメハンが日本に帰国していたときにこそっと買ったBen HoganのApex Plus(シャフトはApexの4番、#3I~PW(E)とPS(F))を長らく使っていました。難しいクラブでしたが、芯を食ったときにすばらしいフィーリングだったのですが、4年ぶりに引きずり出すとまったく打てていませんでした。そこで、クラブを探し始めました。
今年の1月、ゴルフパートナーの宝町店で何気なくクラブを見ていると、MizunoのJPX800の日本仕様とJPX800Proの米国仕様、それとMP68がありました。MPのマッスルは憧れのクラブですが、ベンホーガンのハーフキャビティーで苦労しているのに無理。JP800はクラブヘッドが大きすぎ。JPX800PROの北米仕様がちょうどの大きさで、キャビティーも深くて、よさそうでした。それよりなにより、NS950が付いたクラブはちょっと軽すぎですが、JPX800Proがちょうどいい重さでした。車夫とは、KBS Tour 90というちょっと珍しいシャフトでちょうどいい重さでした。DGS300やApex4番に比べて若干柔らかい感じですが、ちょうどいいフィーリングで、NSよりも粘る感じで非常にいいです。
ライとロフトは、工房できちんとチェックしてもらおうと思って、調べていたら「ゴルフ五鉄」という両国の工房を見つけました。チョイスやゴルフダイジェストオンラインなんかにも寄稿が出てくる有名なクラフトマンです。この方に見てもらってあわせてもらっています。

Iron/Length/Loft/Lie/Balance
5I/38.0/26/60.5/D2
6I/37.5/30/61.0/D1.5
7I/37.0/34/61.5/D1.5
8I/36.5/38/62.0/D1.5
9I/36.0/42/62.5/D1.5
PW/35.5/46/63.0/D1.5
GW/35.5/50/63.0/D2.5

最初の計測で、スペックのあまりのばらつきにめまいがしました。ロフトとライをきちんとあわせてもらうと精神安定上非常によろしいです。昔のロフトの基準で言うと、1番手違いますね(たとえば今のアイアンの5Iは昔の4Iと同じです)。私は身長168cmですので、6Iがちょうど昔の5Iのスペックです。家にあるPowerbiltのScotch Bladeがこういうスペックですね。もしかするとライはもう少し寝かせてもらってもいいのかもしれませんが、今のところのボールフライト(軽いフェード)ではまったく問題なさそうです。7Iのキャリーで140ぐらい、上下10ヤード刻みぐらいで安定していますが飛びません。それでも打った感触も非常にいいですし、計算できるクラブと思います。

Wedge
10年以上使っているCleveland REG 588 56Deg RTGもありますが、アイアンをミズノにしたので、ウェッジもミズノにしようと思って探していました。
そこで、またもや「エフォート」さんで探し出しました。ミズノT-11です。
SW/35.5/56/63.0/D3.0 Bounceは13度で、これはDGです。
このウェッジに組み合わせているのはなんとチッパーです。チッパーと最初は馬鹿にされますが、ハーフが終わるころには馬鹿にした人たちは無言になります。ClevelandのNiblickを新橋のゴルフパラダイスで購入して使っています。ロフトが37度なので、30ヤードよりも内側であれば転がしでワンパット圏内についてきます。 単にウェッジが下手なだけですが、ショートゲームは重要で、転がしアプローチが基本ですので、重宝しています。

ところが、御徒町のコトブキゴルフをのぞいていると、特注のT-11の3本セットが中古で出ていました。50度、54度、58度で、シャフトはウェッジ専用のKBS Tour Hi-Rev 125で、養老特注のAssembled in Japanのレーザー刻印入りです。買うか買わないか迷いに迷って、次の日に3本全部お買い上げの気持ちで買いに行くと、50度はなくなっていました。
SW/35.5/54/63/D1(Bounce 09度)、それと35.5/58/63/D1(Bounce 10度)です。ゴルフ五鉄の高野さんに計測してもらうと、ライとロフトは数値どおりでぴったりでした。これは練習場で使い込んで、非常によい結果が出ているのですが、この2本を投入するとチッパーを抜かなければならず、非常に迷っています。

Putter
パターはゴルフを始めたときに買ったOld Ping Anser(ダブルRの068モデル)を32.5inにシャフトをカットして、キャビティー部分に鉛を40グラム詰め込んでいるスペシャル仕様です。すでに20年以上使っていて、物品税の緑のシールが貼ってあったのですが、擦り切れてしまいました。よく入るのでこれ以外に買うことはないと思っていました。
しかし、エフォートさんでクラブを眺めていると、32インチのクラブが目に入りました。腕を伸ばして振り子でしっかりと振っていくタイプなので、短いパターがすきなのです。構えてみるとソールがしっくりときて、若干重めなので振りやすい。これがPing Redwood Anserの32インチ日本組み立てモデルでした。エフォートがセールをしていて、ポイントを使うと、新品のときに42,000円のパターが11,000円ほどで手に入る。マスターズのバッバワトソンも使っているパターで、傷もそれほどなく、思いっきり迷っていたのですが、先日エフォートさんに行くとまだありました。運命と思って買いました。家のパターマットの印象ですが、非常にいい感じです。

Bag
Bagは15年ぐらいTitleistのバックパックモデルを使っていましたが、バッグを支えるグラファイトの支柱がおれてスタンドがまったく機能しなくなってしまいました。ですから昔からほしかったPingのHooferに新調しました。使いやすいですね。

Ball
ボールは、ロストボールでいろんな銘柄を試してみた結果、Titleist Pro V-1xにしました。飛ぶけど案外やわらかいところが気に入っています。Pro V-1はパターのフィーリングが抜群でしたが、表面がすぐに擦れてしまう印象で、V-1xは耐久性が少しだけでも高そうだったのも決め手です。

写真は今度アップしますね。


2011年5月21日土曜日

半藤他「昭和陸海軍の失敗」再読です

この2カ月ほど忙しすぎてゴールデンウィークも家に居ながら仕事をしているぐらいでした。
当然ブログにも手が出ず、昨日やっとひと山越えたので、ちょっとブログを更新します。

昨夜、寝ようかなと思って、久々に手にとって、引き込まれて2時間で読み終わってしまった本です。この本で展開される理論やみ方がすべてではないという前提で、日本の組織でどこでも起こりうる問題点を指摘している点で本書は評価できると思う。かつて日清・日露の両戦争の成功体験を超克できないという問題点は、どの組織も包含する大きな問題といえる。

私の勤務先の営業部隊がその典型であるという気持ちを強く持った。戦後バブルが崩壊するまでは基本的には右肩上がりの経済で、インフレ傾向にあったので、短期的な業績の変化はあったけど、1~2年のスパンで考えると、放っておいても成長したわけである。加えて、情報の非対称性に至っては、商社が持つ情報量は圧倒的で、当時のお客さんたちが得られる情報量は日本経済新聞や業界紙の範囲内で、為替や金利の情報なんて全然入らなかった。

いま会社を経営する役員各位は、そういういい時代に担当者や課長として業績をあげてきた。だから、その時代のの成功体験でいま起きている現象をを分析して語る。情報や力の圧倒的な差を背景に、時代背景もあって成功できた。しかし今は違う。経済は低成長、デフレ時代に低金利。インターネットやメディアのおかげでどんどん情報の非対称性は解消され、今までのうち手は通用しない

しかし、30年前の「成功」を一所懸命語る。はたしてそれが「成功」だったかも定かではない。なぜならば高金利・インフレ時代のマージンと今のマージンを比較できるのかすら理解できないままに成功を語る経営者。論理的に説明しても、「新規開拓が足りない」ですと。何かおかしいですよね。小職は社会人になってから大学院を出たわけだが、そういう理論は「机上の空論」として片付けられる。投資効果について普通に説明するが、「この商売で回収できればええんや」と旧態依然の回収期間法を振り回し、エマージングマーケットに投資したがる人。これも結局は今までの成功体験の延長戦で話しているにすぎない。

今の大震災対応でも垣間見られるこの思考、自分の成功体験を打ち破ることの難しさ、本当に感じますね。特に最後の「敵は米国より陸軍」。同じことが会社でも起こっています。

半藤一利、秦郁彦、平間洋一ほか(2007)『昭和陸海軍の失敗-彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか』文藝春秋

第1部 昭和の陸軍 日本型組織の失敗
1 派閥抗争が改革をつぶした -宇垣一成と荒木貞夫
2 エリート教育システムの欠陥 -東條英機と永田鉄山
3 天才戦略家の光と影 - 石原莞爾と武藤章
4 良識派は出世できない - 栗林忠道、今井均、本間雅晴
5 暴走する参謀コンビの無責任 - 服部卓四郎と辻正信
6 凡庸なリーダーと下剋上の論理 - 杉山元と瀬島龍三
7 「空気」に支配された集団 - 阿南惟幾と梅津美次郎

第2部 昭和の海軍 エリート集団の栄光と失墜
1 成功体験の驕りと呪縛 - 東郷平八郎と加藤友三郎
2 人事を牛耳る皇族総長 - 伏見宮博恭宮
3 良識派は孤立する - 米内光政と井上成美
4 必敗の日米開戦をなぜ? - 永野修身と嶋田繁太郎
5 真珠湾とミッドウェーの錯誤 - 山本五十六
6 戦艦大和とゼロ戦 - ソニー、松下への遺産
7 敵は米国より陸軍 - 貴族主義とムラの論理

隷属への道(ハイエク)再読

先月シアトルに行った時のブログが下書きのままでした。情けなし・・・・。
あっぷします。ごめんなさい。

先週シアトルに行っていました。

持っていったのはこの1冊。Hayek, F., A. (1943) The Road to Serfdom. Chicago: University of Chicago Press. 邦訳 F・A・ハイエク(2008)『隷属への道』西山千明、春秋社である。寝るための睡眠薬だったのですが、一種の覚せい剤でした。震災のこれからの復興に示唆になると思います。適正な誘因(インセンティブ)とはなにか。いま、我々に求められるのは何か。それは魔女狩りのようなファナティックなリアクションではないはずである。東電を非難することは簡単だが、あなたならどうするか。電気料金値上げなしにやっていけるのだろうか。ツイッター上で電気料金の値上げの話を大学の先生としました。私の値上げ論に対して先生は、市場経済は時間を取り扱うのがうまくないから、すぐに解決しそうなら解決方法としてはいかがか、という話をされた。しかし、この問題はおそらく10年は続く。とすると、電気料金の値上げしかおそらく対応の方法はないと思うがどうだろうか。


すこし違うところに話が行きましたが、一読をお勧めします。

目次

1994年版序文 ミルトン・フリードマン
序章
第1章 見捨てられた道
第2章 偉大なユートピア
第3章 個人主義と集産主義
第4章 計画の「不可避性」
第5章 計画化と民主主義
第6章 計画化と「法の支配」
第7章 経済統制と全体主義
第8章 誰が、誰を?
第9章 保障と自由
第10章 なぜ最悪の者が指導者となるのか
第11章 真実の終わり
第12章 ナチズムの基礎としての社会主義
第13章 我々の中の全体主義者
第14章 物質的条件と道徳的理想
第15章 国際秩序の今後の展望
結び
原注・参考文献
初版まえがき
1976年版へのまえがき
訳者あとがきにかえて

2011年3月22日火曜日

比較制度分析・入門(中村、石黒編)読みました

震災前に会社の資料を探しに行った三省堂で経済学のコーナーで見つけた本です。これが分かりやすい。中村真幸、石黒真吾編(2010)『比較制度分析・入門』有斐閣です。帯に「ゲーム理論と契約理論を用いると社会はどのように読み解けるのか」とあります。比較制度分析で最初に日本人としてノーベル経済学賞をとるであろう青木昌彦が巻頭を飾り、伊藤秀史が契約理論について、あとは若手中心に新進気鋭の研究者たちが執筆した豪華本です。

はしがきは学部生を念頭に書かれています。さすがに経済学の本ですから数式が出てきますが、丁寧に自分で式を書き起こしていけば、経済学に遠ざかっていた実務家でもなんとかついていける内容です。取引費用からゲーム理論、そして所有権理論に至るまでのいわゆる比較制度分析の知見を、分かりやすく、かつ学術的なレベルを落とさず説明していますし、不完備契約も非常によく理解できます。

実務家なら各論が大切と思われると思います。その点では、人事制度を構築しようとしている担当者なら、内部労働市場、選抜理論、補完性、情報の非対称性、マルチタスク問題などの知見が不可欠で、そのあたりはしっかりと網羅されています。垂直統合についても自動車産業の例でしっかり説明されていますし、いま一番ホットなコーポレートガバナンスについてもコーポレートガバナンスや取締役会の視点から書かれています。

それでは各論を理解するための理論の説明はどうか。ゲーム理論と契約理論を中心に非常にレベルの高い説明が展開されていて、実務面でも役立つと思います。

練習問題も豊富で、学部用かもしれませんが、非常に明快な本で感心しました。


目次
はしがき
執筆者紹介
第1部 比較制度分析とは何か 制度の経済学の考え方
第1章 制度とは何か
第2章 組織の経済学
第3章 制度の歴史分析

第2部 制度分析の道具を身につける 経済学的基礎
第4章 ゲーム理論の基礎
第5章 契約の経済理論(1)
第6章 契約の経済理論(2)

第3部 制度を分析する 比較制度分析の応用
第7章 垂直的な企業関係
第8章 産業集積の組織
第9章 現代の内部労働市場
第10章 多次元的な仕事と誘因の制御
第11章 コーポレートファイナンス
第12章 金融システムの歴史分析
第13章 政府間の財政制度
第14章 財政システムの歴史分析

練習問題の解答例
索引

2011年3月21日月曜日

マネジャーの実像(ミンツバーグ)邦訳読みました

ミンツバーグは実務家にとってはバイブルかもしれない。

お久しぶりです。東北関東大震災から10日経ちました。被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。小生も会社にいて、「揺れるな」と思っていたら、下から突き上げられるような揺れに見舞われ、引き出しが飛び出す、書棚が飛び出すといった感じでした。あとでテレビを見ると、大変なことになっていました。お取引先さまが多数おられたため、八戸から銚子までの海岸線は、新入社員のころから何度となく通い、商談が決まらず打ちひしがれて帰った仙石線、八戸から仙台まで、45号線沿いをレンタカーで回って新規開拓したころなどなど、思い出が詰まった場所なのです。その場所があのような惨事にあって、社内での情報でお取引先さまの状況が出てくるにつれて、胸が痛みます。そして、東京にほど近い新浦安でとんでもない被害が出ている。阪神大震災の時も同じことが起こりましたが、大打撃を受けたところには関心も集まるし支援の手も差し伸べられます。しかし、少し離れたところは目が届かないので関心も薄くなってしまいます。阪神の時は豊中や池田・川西だったし、今回はおそらく浦安や江戸川区の臨海地域だと思います。

閑話休題、地震が起こって、仕事が忙しいのに落ち着かない。家に帰ってきても何もする気が起きないので、ミンツバーグの新刊が翻訳されて出ていたのでそれを買って読みました。英訳は出てしばらくして読んだのですが、訳が出たので、研修とかに使えるかを試す意味でも買ってみました。Mintzberg, H. (2009) Managing, San Francisco: Berrett-Koeler Publishing Inc. ヘンリー・ミンツバーグ(2011)『マネジャーの実像―「管理職」はなぜ仕事に追われているのか』池村千秋訳、日経BP社
です。英語では手が出ない人々に読んでほしいと思い続けていた待望の訳書です。専門書なんてくそくらえという人でも絶対楽しく読めますのでお薦めです。特に、最近マネジメントで迷っている人や、薄っぺらい課長本に抵抗がある人々にお薦めです。ミンツバーグと言えば名著、Mintzberg, H. (1973) The nature of managerial work, New York: Harper & Row. ヘンリー・ミンツバーグ(1993)『マネジャーの仕事』白桃書房、訳 奥村哲史、須貝栄ですが、これのパワーアップ+現代的なコンテクストでまとめあげた素晴らしい本です。27人のマネジャーが登場しますが、それぞれがビビッドに描かれていて、学術的なレベルも高い。「思わぬトラブルが持ちあがったときにマネジャーが上手に対処できる組織」とさらっと述べているが、私の経験ではマネジャーの仕事はこれに尽きると思うし、それをうまく説明しているので非常によくできていると思う。マネジャーになりたての人も、ミドルにとっても、非常に有益であるとともに、学生さんにとっては参考文献が充実している分、リファレンスとしての価値が非常に高い本でもあります。引用の中にリンダ・ヒル(HBS教授)が多く、ぜひ読んでほしい本がまだ翻訳されていないのが惜しまれます。たとえば、新任課長にはHill, L. (2003) Becoming a Manager: How New Managers Master the Challenges of Leadership (2nd expanded ed.) Boston: Harvard Business Press.あたりをぜひ読みこんでほしいと思う。英語の勉強としてもミンツバーグより平易ですから。

目次
はじめに
最初にお読みください
1. マネジメントがいちばん大事
2. マネジメントのダイナミクス
3. マネジメントのモデル
4. マネジメントの知られざる多様性
5. マネジメントのジレンマ
6. 有効なマネジメント
付録 マネジメントの8日間
参考文献

追伸: ちなみに金井先生が3月20日の日経で書評されています。私が言いたいことをこういうようにパシッと言ってくれる。それにしてもいつ本読むんやろ、先生・・・・。3月20日日経

2011年2月27日日曜日

2月に読んだ本

長らく更新していませんでした。2月は仕事が忙しくなかなか本が読めませんでしたが、それでもなんとか読んだ本を紹介します。

まず、1月終わりにアメリカ出張中に購入したゲーム理論の入門書です。Dixit, A. K. and Nalebuff, B. J. (2008) The Art of Strategy: A Game Theorist's Guide to Success in Business and Life, New York: W. W. Norton & Company. 訳 アビナッシュ・ディキシット、バリー・ネイルバフ(2010)『戦略的思考をどう実践するか:エール大学式ゲーム理論の活用法』嶋津祐一、池村千秋訳、阪急コミュニケーションズです。訳本も昨年末に出ていて買おうか迷っていましたが、英語が安いので、アメリカで買ってきました。前作を上回るパワーです。ゲーム理論を数式を使わずに説明するアプローチは前作と変わるところはないのですが、囚人のジレンマ、ナッシュ均衡、オークション理論、投票、インセンティブなど、ゲーム理論の基礎を非常に楽しく教えてくれる良書です。ケースも豊富ですし、コラムも楽しく、読み飽きません。理論書のような厳密性はありませんが、変な理論書よりも絶対によくできています。
目次
Preface
Introduction: How Should People Behave in Society?
Part 1
1 Ten tales of Strategy
2 Games Solvable by Backward Reasoning
3 Prisoners' Dilemmas and How to Resolve Them
4 Beautiful Equilibrium

Epilogue to Part 1
Part 2
5 Choice and Chance
6 Strategic Moves
7 Making Strategies Credible
Epilogue to Part 2: A Nobel History
Part 3
8 Interpreting and Manipulating Information
9 Cooperation and Coordination
10 Auctions, Bidding and Contests
11 Bargaining
12 Voting
13 Incentives
14 Case Studies
Further Reading
Workouts
Notes
Index
前作Dixit, A. K. and Nalebuff, B. J. (1991) Thinking Strategically: The Competitive Edge in Business, Politics, and Everyday Life, New York: W. W. Norton & Company. 訳 アビナッシュ・ディキシット、バリー・ネイルバフ(1991)『戦略的思考とは何か―エール大学式「ゲーム理論」の発想法 』訳 菅野隆、嶋津祐一、TBSブリタニカ。
と同様、普通のビジネスマンがゲーム理論の基本を理解するための素晴らしい1冊です。両方ともお薦めですね。

次の英語の本は、Cusumano, M. A. (2010) Staying Power: Six Enduring Principles for Managing Strategy and Innovation in an Uncertain World (Lessons From Microsoft, Apple, Intel, Google, Toyota, and More), Oxford: Oxford University Press.
です。MITの看板教授であるクスマノの最新刊。トヨタやホンダに紙面が割かれており、反面、日本のコンピュータ産業が規模を追いかけたことによる失敗など、非常に読みやすく書かれている。何がインテル、マイクロソフト、グーグル、アップルを成功に導いたか、非常に明晰な英語で書かれている良書です。訳が出ればいいのにと思います。
目次
Acknowledgement
Introduction: The Principles of "Staying Power"
1 Platforms, Not Just Products
2 Services, Not Just Products (or Platforms)
3 Capabilities, Not Just Strategy
4 Pull, Don't Just Push
5 Scope, Not Just Scale
6 Flexibility, Not Just Efficiency
Conclusion: The Power of Ideas and Research
Appendix 1: The Research Challenge: In Search of "Best Practice"
Appendix 2: Additional Tables
References
Index

まだ読んだ本あります。また紹介しますね。

2011年2月17日木曜日

就職活動に思う

お久しぶりです。

最近仕事が忙しく、本が読めていないが、近日中に読み終わるのでお待ちください。

人事部から、採用活動の面接官の依頼が来た。私は内定者の間では「怖い人」で通っている。私の面接方法は取り組んだことを聞くことと、質問してもらうことである。志望動機とか会社研究なんてほとんど聞いていない。そんなのはみなさんしっかり準備しているので、それは最初から5~10分で話し切ってもらう。そこからが本番。どんなことでもいいから真剣になって取り組んだことを聞く。そして質問というか、逆面接とは相手には言わずに、逆面接をやってもらう。当社の何を知りたいのか、仕事のイメージなのか、それともプライベート?何でもいいから聞いてもらう。質問がないという人はその時点で面接終わり。だから10分で終わる人も出てくる。しかし、用意したことは話してもらうので、出し切った気持ちで帰ってもらっていると思う。

内定がほしい気持ちは分かります。志望動機も大切と思う。しかし、もっと大切なのは、その会社や業務内容、またその人の働き方とかに興味を持つことだと思う。自分と対峙している面接官に興味があってもいいと思うし、人生の先輩に聞きたいこともあると思う。そういう興味があれば尋ねたくなると思うのだが、質問はありませんと答える学生の方が少なからず存在する。我々の仕事は好奇心が非常に重要で、そんな興味がわかない人は、どれだけ勉強ができても、うちの会社(少なくとも私の部下)としてはいらない。