今日の話題は裁判員裁判です。「いとかわ」と「はやぶさ」の話題とともに、今日のニュースでは裁判員裁判で初の死刑判決が出たという記事について、様々な話が出ています。いつも不思議に思うのは、裁判員に対する記者会見です。
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第70条第1項によると、「構成裁判官及び裁判員が行う評議並びに構成裁判官のみが行う評議であって裁判員の傍聴が許されたものの経過並びにそれぞれの裁判官及び裁判員の意見並びにその多少の数(以下「評議の秘密」という。)については、これを漏らしてはならない。」とされている。加えて、第102条第1項及び第2項は、「何人も、被告事件に関し、当該被告事件を取り扱う裁判所に選任され、又は選定された裁判員若しくは補充裁判員又は選任予定裁判員に接触してはならない。
2 何人も、裁判員又は補充裁判員が職務上知り得た秘密を知る目的で、裁判員又は補充裁判員の職にあった者に接触してはならない。」としているのである。
法律を読むと、評議の経過、意見、票の数は漏らしてはならず、しかも、裁判員に接触してはならず、職務上知りえた秘密(この秘密は第70条の秘密を含むと考えるのが当然であろう)を知る目的で接触してはいけないのである。つまり、裁判員の方に課せられた守秘義務はこのように非常に重いものなのである。マスコミもそれを尊重して裁判員の方に接触してはならないのである。
今回の裁判員の方々それぞれが非常に重い決定をなさった。「すごく悩んだ」というコメントをとるためにその方々を追い回すマスコミ。マスコミがこういう方々のプレッシャーになっているのは間違いなく、裁判員の方々もそれを漏らすことは違法になるという意識を持ってもらいたいのである。極端にいえば、「すごく悩んだ」のも評議の経過であるともいえ、漏らしてはならないのである。
裁判所は、この規定を厳格に採用して、マスコミのプレッシャーから解放する必要がある。裁判員の方々には、日本の司法の発展のために尽くしていただいている。裁判員の方々は量刑にまで踏み込んで決定を(このことについては私には別の意見があるが)しているのである。いらぬプレッシャーから解放し、裁判員の方々を守るため、また、裁判員制度をよりよくしていくためには、守秘義務が完全に担保されていなければならないのである。暴力団のかかわる事件で、記者からコメントを求められることや暴力団に狙われる恐怖から量刑が変わるようなことが起きないとも限らない。 弁護士が記者会見をするのとは全く違うのである。
裁判所は記者会見を厳格に禁止するべきである。
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