楠木先生の「ストーリーとしての競争戦略」を読んで、経営書を読んで久々にさわやかな読了感を味わいました。そこで、昨年10月に出版されて即座に買って読んだ沼上先生の本を再読します。
沼上幹(2009)『経営戦略の思考法:時間展開・相互作用・ダイナミクス』日本経済新聞出版社。
本当にこの本も面白い本ですが、楠木先生のアプローチと違うので、再読して、違いを再度分かっておこうと思います。
おもにMBAプログラムや論文執筆の過程で読んできた経営学と経済学の書籍、それと経営学を理解するために必須の哲学や社会学についての書籍を読み直しています。その時に読めなくて積読になっていた本も読み進めます。MBAを修了したものの、継続的に学ぶためには、何らかの強制力が必要です。そこで、硬軟織り交ぜてご紹介できればと思います。
2010年5月13日木曜日
2010年5月9日日曜日
内田百閒 東海道刈谷驛
今日は、久々に百鬼園先生を読みました。
内田百閒は、私が大学に入ったころに叔父から勧められて読み始めました。漱石最後の弟子ということでも有名です。代表作は「冥途」「阿房列車」や「百鬼園随筆」などですね。イギリスとアメリカの転勤に耐えてうちに残っているのは3冊。全部旺文社文庫の旧かな遣いです。なくなった本を誰に貸したかも覚えていますし、どこかに置いてきたのもほぼ覚えていますが、もう取り返すことはできません。
今日読んだのは、内田百閒(1983)『東海道刈谷驛』旺文社。このなかに「けらまなこ」という話があります。四国に出張に行く阿麻君と二人でお酒を飲んでいる対話風の随筆ですが、これが秀逸です。最初は酔っ払っていないのに、飲むにつれて微妙に酔いが回りだす感じがよく出ている。また、すき焼きの作り方も素敵です。百閒先生の随筆で随所に登場する食べ物とお酒も素敵です。別の本に「おからとシヤムパン」という短編がありますが、シャンパンを飲みだしたのも百閒先生の影響でした。煙草も長らくショートピースを半分でやめるという贅沢な飲み方をしていたのですが、これも百閒先生の影響でした。東海道刈谷駅にも「我が酒歴」というお酒飲み天国のような話もあります。こういう随筆でもタッチが絶妙です。
なお、我が家では、百閒先生の作り方をアレンジしてすき焼きを作っています。調味料は砂糖、醤油、酒だけです。関西式で肉を先に焼いて砂糖と醤油で味付けして、野菜を投入して酒をふんだんにつぎ込む。その後豆腐と糸こんをいれて醤油をかけまわします。酒は料理酒ではだめで、毎日飲む口を用意する。これで作ると本当にうまい。とにかく酒が決め手です。
おためしあれ。
内田百閒は、私が大学に入ったころに叔父から勧められて読み始めました。漱石最後の弟子ということでも有名です。代表作は「冥途」「阿房列車」や「百鬼園随筆」などですね。イギリスとアメリカの転勤に耐えてうちに残っているのは3冊。全部旺文社文庫の旧かな遣いです。なくなった本を誰に貸したかも覚えていますし、どこかに置いてきたのもほぼ覚えていますが、もう取り返すことはできません。
今日読んだのは、内田百閒(1983)『東海道刈谷驛』旺文社。このなかに「けらまなこ」という話があります。四国に出張に行く阿麻君と二人でお酒を飲んでいる対話風の随筆ですが、これが秀逸です。最初は酔っ払っていないのに、飲むにつれて微妙に酔いが回りだす感じがよく出ている。また、すき焼きの作り方も素敵です。百閒先生の随筆で随所に登場する食べ物とお酒も素敵です。別の本に「おからとシヤムパン」という短編がありますが、シャンパンを飲みだしたのも百閒先生の影響でした。煙草も長らくショートピースを半分でやめるという贅沢な飲み方をしていたのですが、これも百閒先生の影響でした。東海道刈谷駅にも「我が酒歴」というお酒飲み天国のような話もあります。こういう随筆でもタッチが絶妙です。
なお、我が家では、百閒先生の作り方をアレンジしてすき焼きを作っています。調味料は砂糖、醤油、酒だけです。関西式で肉を先に焼いて砂糖と醤油で味付けして、野菜を投入して酒をふんだんにつぎ込む。その後豆腐と糸こんをいれて醤油をかけまわします。酒は料理酒ではだめで、毎日飲む口を用意する。これで作ると本当にうまい。とにかく酒が決め手です。
おためしあれ。
MBAのよさ
私自身は2009年9月に修了したのですが、休学していた関係でこの8月に修論を提出する人がいて、月1回ゼミが継続しています。昨日そのゼミでした。義務(というか恩返し)と思って毎回参加しています。月に1度とはいえ、脳の違う部分を刺激されるので、いつもためになります。仕事で使う頭とは、まったくちがいます。
昨年の今頃の私の修論への取り組みと言えば、先行研究のレビューばかりやっていました。周りは早々と質問紙をすでに配布していたり、インタビューを実行している人もいて、明らかに遅れていたと思います。テーマは大体のところ決まっていましたので、その方面の本や論文(英文が主体) を読み漁って、レビューに起こしていました。とにかく読んで書くの繰り返しで、本当にこんな取り組み方で大丈夫なのか不安になりました。アーカイバルデータを用いた定量分析とインタビューによる定性調査をやる予定にしていたのですが、その切り口がなかなか思い浮かばない。だからレビューすれば何か出てくるのではと思ってやっていました。結果的にはそのやり方でよかったと思っています。RQの建て方も変わったし、フレームワークもレビューのおかげで形になったようなものです。修論は、「サラリーマンのど根性を見せてやれ」という教官の温かい励ましでなんとかものにできたようなものです。納期最後の追い込みだけは負けてなかったと自負しています。
修了しましたが、ゼミ以外にも、私の指導教官以外の先生方とのお付き合いする機会もありまして、学びの機会が本当に増えた感じです。会社でセミナーや研修を受けることも以前は多かったのですが、最近はMBAで学んだことよりもすごいものにはお目にかかりません。会社で幹部候補生の研修企画の宿題が出ていますが、弊社の幹部社員をMBAの先生方に見せたら、おそらく珍獣を見るようなものと思います。一度相談するのも手かな、なんて思っています。
昨年の今頃の私の修論への取り組みと言えば、先行研究のレビューばかりやっていました。周りは早々と質問紙をすでに配布していたり、インタビューを実行している人もいて、明らかに遅れていたと思います。テーマは大体のところ決まっていましたので、その方面の本や論文(英文が主体) を読み漁って、レビューに起こしていました。とにかく読んで書くの繰り返しで、本当にこんな取り組み方で大丈夫なのか不安になりました。アーカイバルデータを用いた定量分析とインタビューによる定性調査をやる予定にしていたのですが、その切り口がなかなか思い浮かばない。だからレビューすれば何か出てくるのではと思ってやっていました。結果的にはそのやり方でよかったと思っています。RQの建て方も変わったし、フレームワークもレビューのおかげで形になったようなものです。修論は、「サラリーマンのど根性を見せてやれ」という教官の温かい励ましでなんとかものにできたようなものです。納期最後の追い込みだけは負けてなかったと自負しています。
修了しましたが、ゼミ以外にも、私の指導教官以外の先生方とのお付き合いする機会もありまして、学びの機会が本当に増えた感じです。会社でセミナーや研修を受けることも以前は多かったのですが、最近はMBAで学んだことよりもすごいものにはお目にかかりません。会社で幹部候補生の研修企画の宿題が出ていますが、弊社の幹部社員をMBAの先生方に見せたら、おそらく珍獣を見るようなものと思います。一度相談するのも手かな、なんて思っています。
2010年5月5日水曜日
ストーリーとしての競争戦略(楠木) 読み終わりました
一気に読んでさわやかな読了感でした。かなりお勧めです。
この本のいいところは、実はまえがきと第1章。ビジネスなんて理論じゃない、というフレーズ。何度も聞いて、何度も聞きあきて、それでも堂々とそれを言う連中。現実が理屈じゃないのは分かり切っているが、それを盾に勉強しない輩。そういう連中に理屈が大切であることを平易に説明している。私も理屈は20%、理屈で説明できないことが80%という楠木先生のいうことに大賛成です。
人事考課者研修などをやると、決まって「そんな理屈はいらない。どういうときにそういう点数を与えられるのかを教えてほしい」という質問が来る。たとえば、マズローやハーズバーグあたりならまだ理解してもらえる。なぜなら、安物のビジネス書にも紹介されていて、聞いたことがあるから。しかし、もう少し深く、アダムスの衡平理論やブルームの期待理論などに言及すると、たちまち「そんな理屈は分からない」で済ませる輩が登場する。つまり、理屈は「つまらんもん」とすませて勉強しない。私からはいつでも、「こういう無味乾燥な理論は、さまざまなケースの共通項なので、共通で使えるところがあるはず。だから重要と考えている」といつも説明はするのですが、なかなか理解してもらえないところがあります。
戦略論にしても、外部講師を呼んで研修をすると、外部講師は「理屈じゃありませんから」なんて迎合する。楠木先生の本のよさは、ポジショニングだRBVだ、そういういわゆる経営学用語を使わなくてもそういう概念を理解できるように解きほぐしてあること。だから、これから「これを読め」と言いやすい。沼上先生の本は、ある程度知識があるとより面白いし、より深いところまで言及がある。楠木先生の本のよさは、沼上先生の本のよさとは違うよさです。中間管理職以上にはできれば両方、経営書を読んだことのない人はまず本書を読んでほしいと思う。
確かに、筋のいいストーリーが書ければ成功というのは、商社業界で言う「絵」と同じことなのだと思う。「自分で絵が描ける営業マンを目指せ」というのが担当者レベルに求めることだし、課長レベルには、自分の課の事業の「絵」が書けるように頑張らせる。1から10まで、仕入から代金回収までのプロセスにお客の競合相手や代替を考慮にいればがら、最適解を見つけさせる仕事。事業単位でも同じことなのだと感銘を受けました。
楠木建(2010)『ストーリーとしての競争戦略―優れた戦略の条件』東洋経済新報社
目次
まえがき
第1章 戦略は「ストーリー」
第2章 競争戦略の基本論理
第3章 静止画から動画へ
第4章 始まりはコンセプト
第5章 「キラーパス」を組み込む
第6章 戦略ストーリーを読解する
第7章 戦略ストーリーの「骨法10カ条」
注記
索引
この本のいいところは、実はまえがきと第1章。ビジネスなんて理論じゃない、というフレーズ。何度も聞いて、何度も聞きあきて、それでも堂々とそれを言う連中。現実が理屈じゃないのは分かり切っているが、それを盾に勉強しない輩。そういう連中に理屈が大切であることを平易に説明している。私も理屈は20%、理屈で説明できないことが80%という楠木先生のいうことに大賛成です。
人事考課者研修などをやると、決まって「そんな理屈はいらない。どういうときにそういう点数を与えられるのかを教えてほしい」という質問が来る。たとえば、マズローやハーズバーグあたりならまだ理解してもらえる。なぜなら、安物のビジネス書にも紹介されていて、聞いたことがあるから。しかし、もう少し深く、アダムスの衡平理論やブルームの期待理論などに言及すると、たちまち「そんな理屈は分からない」で済ませる輩が登場する。つまり、理屈は「つまらんもん」とすませて勉強しない。私からはいつでも、「こういう無味乾燥な理論は、さまざまなケースの共通項なので、共通で使えるところがあるはず。だから重要と考えている」といつも説明はするのですが、なかなか理解してもらえないところがあります。
戦略論にしても、外部講師を呼んで研修をすると、外部講師は「理屈じゃありませんから」なんて迎合する。楠木先生の本のよさは、ポジショニングだRBVだ、そういういわゆる経営学用語を使わなくてもそういう概念を理解できるように解きほぐしてあること。だから、これから「これを読め」と言いやすい。沼上先生の本は、ある程度知識があるとより面白いし、より深いところまで言及がある。楠木先生の本のよさは、沼上先生の本のよさとは違うよさです。中間管理職以上にはできれば両方、経営書を読んだことのない人はまず本書を読んでほしいと思う。
確かに、筋のいいストーリーが書ければ成功というのは、商社業界で言う「絵」と同じことなのだと思う。「自分で絵が描ける営業マンを目指せ」というのが担当者レベルに求めることだし、課長レベルには、自分の課の事業の「絵」が書けるように頑張らせる。1から10まで、仕入から代金回収までのプロセスにお客の競合相手や代替を考慮にいればがら、最適解を見つけさせる仕事。事業単位でも同じことなのだと感銘を受けました。
楠木建(2010)『ストーリーとしての競争戦略―優れた戦略の条件』東洋経済新報社
目次
まえがき
第1章 戦略は「ストーリー」
第2章 競争戦略の基本論理
第3章 静止画から動画へ
第4章 始まりはコンセプト
第5章 「キラーパス」を組み込む
第6章 戦略ストーリーを読解する
第7章 戦略ストーリーの「骨法10カ条」
注記
索引
2010年4月29日木曜日
ストーリーとしての競争戦略(楠木)
たまたま、神戸大学の小川教授にご紹介いただいた本が掛け値なしに面白い。
楠木建(2010)『ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』東洋経済新報社
たまたま紀伊国屋で立ち読みしていたら、この本があって、買ってしまいました。電車で読みだしましたが、面白い。語り口も軽妙で、かといって中身も濃いのでぜひ。500ページの大著ですが、読みやすいので読み切りも早いと思います。沼上幹(2009)『経営戦略の思考法:時間展開・相互作用・ダイナミクス』日本経済新聞出版社 につぐ自分にとっての最近のヒットです。
楠木建(2010)『ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』東洋経済新報社
たまたま紀伊国屋で立ち読みしていたら、この本があって、買ってしまいました。電車で読みだしましたが、面白い。語り口も軽妙で、かといって中身も濃いのでぜひ。500ページの大著ですが、読みやすいので読み切りも早いと思います。沼上幹(2009)『経営戦略の思考法:時間展開・相互作用・ダイナミクス』日本経済新聞出版社 につぐ自分にとっての最近のヒットです。
2010年4月25日日曜日
同期会
23日に、大阪の某所で神戸MBA2008年入学組でこの3月に修士論文を提出し、晴れてMBAになった同期の慰労会をやり、10名ほど集まりました。MBAの飲み会の決定的にいいところは、何も考えずに付き合えるところです。会社だと会社のしがらみがありますし、親戚はこれまためんどくさい。MBAの仲間は、年齢が離れていても同期で会社の地位とか気にせず飲めるところ、それと会社の話題をする必要がなく、本当にリラックスして飲めるところがいいと感じています。
社会人になって20数年経過し、会社以外の付き合いがどんどん希薄化していく中で、この付き合いは非常に貴重です。こういう人脈を仕事に使おうという人もおられるとは思いますが、私としては、イギリスのカントリークラブのように、「ここでは仕事の話はしない」的なところが気に入っています。
私の所属ゼミには、まだ2名がこの夏に修士論文提出の予定なので、ゼミが続いています。先生にも感謝、同期にも感謝。本当に貴重な頭の体操の機会になっています。こういう学びの継続がもしかするとMBAで得たものかもしれません。
社会人になって20数年経過し、会社以外の付き合いがどんどん希薄化していく中で、この付き合いは非常に貴重です。こういう人脈を仕事に使おうという人もおられるとは思いますが、私としては、イギリスのカントリークラブのように、「ここでは仕事の話はしない」的なところが気に入っています。
私の所属ゼミには、まだ2名がこの夏に修士論文提出の予定なので、ゼミが続いています。先生にも感謝、同期にも感謝。本当に貴重な頭の体操の機会になっています。こういう学びの継続がもしかするとMBAで得たものかもしれません。
オーガニゼーションズ (March & Simon) 読みました
このところ、面接地獄でブログを更新できていませんでした。
なんとか読みましたが、もう一度精読が必要でしょう。手ごわい本でした。
結局、重要なのは、高い勤労意欲は高い生産能力の十分条件ではないし、高い勤労意欲が低い勤労意欲よりも高い生産性を導くとはいえない。よって、勤労意欲と満足という単純な理論では説明できないのである。
・ 満足度が低ければ低いほど代替的プログラムの探索はより多くなる、
・ 探索が多ければ多いほど報酬の期待値はより高くなる
・ 報酬の期待値が高くなればなるほど満足度はより高くなる
・ 報酬の期待値が高くなればなるほど希求水準はより高くなる
・ 希求水準が高くなればなるほど満足度は低くなる
そして、とりうる行動のオプションとして、組織を離れる(満足度が低い)か、組織にとどまって生産するか、組織にとどまるが生産しない(ほかの満足を得る機会がある)のいずれかを選択することができる。
次に、組織に参加する意思決定として:
・ 組織は、組織の参加者と呼ばれる多くの人々の相互に関連した社会的行動の体系
・ 組織から誘因を受け、その見返りとして組織に対して貢献を行う。
・ 提供される誘因が要求されている貢献と等しいかあるいはヨリ大である場合にだけ参加
・ さまざまな集団によって供与される貢献が誘因の源泉
・ 貢献が十分にあって、貢献を引き出すために十分な誘因を供与している限りにおいて組織は存在し続ける。
そして、合理性については:
「人間の知的能力には、個人と組織とが直面する問題の複雑性と比較して限界があるために、合理的行動のために必要となることは、問題の複雑性のすべてをと らえることではなくて、問題の主要な局面のみをとらえた単純化されたモデルをもつことであるとして、この単純化は:
・ 極大化ではなくて、満足化
・ 行為の代替的選択肢と行為の結果は、探索の過程を通じて逐次的に発見される、
・ 組織および個人は、行為のプログラムのレパートリーを形成し、反復的な状況での選択に、これらを代替的選択肢として役立てる、
・ 特定の行為のプログラムのそれぞれが、限定された範囲内の状況と限定された範囲内の結果とに対応している、
・ 行為のプログラムのそれぞれは、他のプログラムとは半独立的に実施されうる、という特徴を持つ
と、まあ難しい本でした。もう少し本気で読んで行きたいと思います。
March, J. G. & Simon, H. A. (1958) Organizations. Hoboken, NJ: John Wiley & Sons. 邦訳 J・G・マーチ、H・A・サイモン(1977)『オーガニゼーションズ』土屋守章訳、ダイヤモンド社.
目次
訳者まえがき
謝辞
第1章 組織内行動
第2章 「古典的」組織理論
第3章 動機的制約―組織内の意思決定
第4章 動機的制約―参加の意思決定
第5章 組織におけるコンフリクト
第6章 合理性に対する認知限界
第7章 組織におけるプランニングと革新
あとがき
参考文献
索引
なんとか読みましたが、もう一度精読が必要でしょう。手ごわい本でした。
結局、重要なのは、高い勤労意欲は高い生産能力の十分条件ではないし、高い勤労意欲が低い勤労意欲よりも高い生産性を導くとはいえない。よって、勤労意欲と満足という単純な理論では説明できないのである。
・ 満足度が低ければ低いほど代替的プログラムの探索はより多くなる、
・ 探索が多ければ多いほど報酬の期待値はより高くなる
・ 報酬の期待値が高くなればなるほど満足度はより高くなる
・ 報酬の期待値が高くなればなるほど希求水準はより高くなる
・ 希求水準が高くなればなるほど満足度は低くなる
そして、とりうる行動のオプションとして、組織を離れる(満足度が低い)か、組織にとどまって生産するか、組織にとどまるが生産しない(ほかの満足を得る機会がある)のいずれかを選択することができる。
次に、組織に参加する意思決定として:
・ 組織は、組織の参加者と呼ばれる多くの人々の相互に関連した社会的行動の体系
・ 組織から誘因を受け、その見返りとして組織に対して貢献を行う。
・ 提供される誘因が要求されている貢献と等しいかあるいはヨリ大である場合にだけ参加
・ さまざまな集団によって供与される貢献が誘因の源泉
・ 貢献が十分にあって、貢献を引き出すために十分な誘因を供与している限りにおいて組織は存在し続ける。
そして、合理性については:
「人間の知的能力には、個人と組織とが直面する問題の複雑性と比較して限界があるために、合理的行動のために必要となることは、問題の複雑性のすべてをと らえることではなくて、問題の主要な局面のみをとらえた単純化されたモデルをもつことであるとして、この単純化は:
・ 極大化ではなくて、満足化
・ 行為の代替的選択肢と行為の結果は、探索の過程を通じて逐次的に発見される、
・ 組織および個人は、行為のプログラムのレパートリーを形成し、反復的な状況での選択に、これらを代替的選択肢として役立てる、
・ 特定の行為のプログラムのそれぞれが、限定された範囲内の状況と限定された範囲内の結果とに対応している、
・ 行為のプログラムのそれぞれは、他のプログラムとは半独立的に実施されうる、という特徴を持つ
と、まあ難しい本でした。もう少し本気で読んで行きたいと思います。
March, J. G. & Simon, H. A. (1958) Organizations. Hoboken, NJ: John Wiley & Sons. 邦訳 J・G・マーチ、H・A・サイモン(1977)『オーガニゼーションズ』土屋守章訳、ダイヤモンド社.
目次
訳者まえがき
謝辞
第1章 組織内行動
第2章 「古典的」組織理論
第3章 動機的制約―組織内の意思決定
第4章 動機的制約―参加の意思決定
第5章 組織におけるコンフリクト
第6章 合理性に対する認知限界
第7章 組織におけるプランニングと革新
あとがき
参考文献
索引
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