この2カ月ほど忙しすぎてゴールデンウィークも家に居ながら仕事をしているぐらいでした。
当然ブログにも手が出ず、昨日やっとひと山越えたので、ちょっとブログを更新します。
昨夜、寝ようかなと思って、久々に手にとって、引き込まれて2時間で読み終わってしまった本です。この本で展開される理論やみ方がすべてではないという前提で、日本の組織でどこでも起こりうる問題点を指摘している点で本書は評価できると思う。かつて日清・日露の両戦争の成功体験を超克できないという問題点は、どの組織も包含する大きな問題といえる。
私の勤務先の営業部隊がその典型であるという気持ちを強く持った。戦後バブルが崩壊するまでは基本的には右肩上がりの経済で、インフレ傾向にあったので、短期的な業績の変化はあったけど、1~2年のスパンで考えると、放っておいても成長したわけである。加えて、情報の非対称性に至っては、商社が持つ情報量は圧倒的で、当時のお客さんたちが得られる情報量は日本経済新聞や業界紙の範囲内で、為替や金利の情報なんて全然入らなかった。
いま会社を経営する役員各位は、そういういい時代に担当者や課長として業績をあげてきた。だから、その時代のの成功体験でいま起きている現象をを分析して語る。情報や力の圧倒的な差を背景に、時代背景もあって成功できた。しかし今は違う。経済は低成長、デフレ時代に低金利。インターネットやメディアのおかげでどんどん情報の非対称性は解消され、今までのうち手は通用しない
しかし、30年前の「成功」を一所懸命語る。はたしてそれが「成功」だったかも定かではない。なぜならば高金利・インフレ時代のマージンと今のマージンを比較できるのかすら理解できないままに成功を語る経営者。論理的に説明しても、「新規開拓が足りない」ですと。何かおかしいですよね。小職は社会人になってから大学院を出たわけだが、そういう理論は「机上の空論」として片付けられる。投資効果について普通に説明するが、「この商売で回収できればええんや」と旧態依然の回収期間法を振り回し、エマージングマーケットに投資したがる人。これも結局は今までの成功体験の延長戦で話しているにすぎない。
今の大震災対応でも垣間見られるこの思考、自分の成功体験を打ち破ることの難しさ、本当に感じますね。特に最後の「敵は米国より陸軍」。同じことが会社でも起こっています。
半藤一利、秦郁彦、平間洋一ほか(2007)『昭和陸海軍の失敗-彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか』文藝春秋
第1部 昭和の陸軍 日本型組織の失敗
1 派閥抗争が改革をつぶした -宇垣一成と荒木貞夫
2 エリート教育システムの欠陥 -東條英機と永田鉄山
3 天才戦略家の光と影 - 石原莞爾と武藤章
4 良識派は出世できない - 栗林忠道、今井均、本間雅晴
5 暴走する参謀コンビの無責任 - 服部卓四郎と辻正信
6 凡庸なリーダーと下剋上の論理 - 杉山元と瀬島龍三
7 「空気」に支配された集団 - 阿南惟幾と梅津美次郎
第2部 昭和の海軍 エリート集団の栄光と失墜
1 成功体験の驕りと呪縛 - 東郷平八郎と加藤友三郎
2 人事を牛耳る皇族総長 - 伏見宮博恭宮
3 良識派は孤立する - 米内光政と井上成美
4 必敗の日米開戦をなぜ? - 永野修身と嶋田繁太郎
5 真珠湾とミッドウェーの錯誤 - 山本五十六
6 戦艦大和とゼロ戦 - ソニー、松下への遺産
7 敵は米国より陸軍 - 貴族主義とムラの論理
おもにMBAプログラムや論文執筆の過程で読んできた経営学と経済学の書籍、それと経営学を理解するために必須の哲学や社会学についての書籍を読み直しています。その時に読めなくて積読になっていた本も読み進めます。MBAを修了したものの、継続的に学ぶためには、何らかの強制力が必要です。そこで、硬軟織り交ぜてご紹介できればと思います。
2011年3月21日月曜日
マネジャーの実像(ミンツバーグ)邦訳読みました
ミンツバーグは実務家にとってはバイブルかもしれない。
お久しぶりです。東北関東大震災から10日経ちました。被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。小生も会社にいて、「揺れるな」と思っていたら、下から突き上げられるような揺れに見舞われ、引き出しが飛び出す、書棚が飛び出すといった感じでした。あとでテレビを見ると、大変なことになっていました。お取引先さまが多数おられたため、八戸から銚子までの海岸線は、新入社員のころから何度となく通い、商談が決まらず打ちひしがれて帰った仙石線、八戸から仙台まで、45号線沿いをレンタカーで回って新規開拓したころなどなど、思い出が詰まった場所なのです。その場所があのような惨事にあって、社内での情報でお取引先さまの状況が出てくるにつれて、胸が痛みます。そして、東京にほど近い新浦安でとんでもない被害が出ている。阪神大震災の時も同じことが起こりましたが、大打撃を受けたところには関心も集まるし支援の手も差し伸べられます。しかし、少し離れたところは目が届かないので関心も薄くなってしまいます。阪神の時は豊中や池田・川西だったし、今回はおそらく浦安や江戸川区の臨海地域だと思います。
閑話休題、地震が起こって、仕事が忙しいのに落ち着かない。家に帰ってきても何もする気が起きないので、ミンツバーグの新刊が翻訳されて出ていたのでそれを買って読みました。英訳は出てしばらくして読んだのですが、訳が出たので、研修とかに使えるかを試す意味でも買ってみました。Mintzberg, H. (2009) Managing, San Francisco: Berrett-Koeler Publishing Inc. ヘンリー・ミンツバーグ(2011)『マネジャーの実像―「管理職」はなぜ仕事に追われているのか』池村千秋訳、日経BP社
です。英語では手が出ない人々に読んでほしいと思い続けていた待望の訳書です。専門書なんてくそくらえという人でも絶対楽しく読めますのでお薦めです。特に、最近マネジメントで迷っている人や、薄っぺらい課長本に抵抗がある人々にお薦めです。ミンツバーグと言えば名著、Mintzberg, H. (1973) The nature of managerial work, New York: Harper & Row. ヘンリー・ミンツバーグ(1993)『マネジャーの仕事』白桃書房、訳 奥村哲史、須貝栄ですが、これのパワーアップ+現代的なコンテクストでまとめあげた素晴らしい本です。27人のマネジャーが登場しますが、それぞれがビビッドに描かれていて、学術的なレベルも高い。「思わぬトラブルが持ちあがったときにマネジャーが上手に対処できる組織」とさらっと述べているが、私の経験ではマネジャーの仕事はこれに尽きると思うし、それをうまく説明しているので非常によくできていると思う。マネジャーになりたての人も、ミドルにとっても、非常に有益であるとともに、学生さんにとっては参考文献が充実している分、リファレンスとしての価値が非常に高い本でもあります。引用の中にリンダ・ヒル(HBS教授)が多く、ぜひ読んでほしい本がまだ翻訳されていないのが惜しまれます。たとえば、新任課長にはHill, L. (2003) Becoming a Manager: How New Managers Master the Challenges of Leadership (2nd expanded ed.) Boston: Harvard Business Press.あたりをぜひ読みこんでほしいと思う。英語の勉強としてもミンツバーグより平易ですから。
目次
はじめに
最初にお読みください
1. マネジメントがいちばん大事
2. マネジメントのダイナミクス
3. マネジメントのモデル
4. マネジメントの知られざる多様性
5. マネジメントのジレンマ
6. 有効なマネジメント
付録 マネジメントの8日間
参考文献
追伸: ちなみに金井先生が3月20日の日経で書評されています。私が言いたいことをこういうようにパシッと言ってくれる。それにしてもいつ本読むんやろ、先生・・・・。3月20日日経
お久しぶりです。東北関東大震災から10日経ちました。被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。小生も会社にいて、「揺れるな」と思っていたら、下から突き上げられるような揺れに見舞われ、引き出しが飛び出す、書棚が飛び出すといった感じでした。あとでテレビを見ると、大変なことになっていました。お取引先さまが多数おられたため、八戸から銚子までの海岸線は、新入社員のころから何度となく通い、商談が決まらず打ちひしがれて帰った仙石線、八戸から仙台まで、45号線沿いをレンタカーで回って新規開拓したころなどなど、思い出が詰まった場所なのです。その場所があのような惨事にあって、社内での情報でお取引先さまの状況が出てくるにつれて、胸が痛みます。そして、東京にほど近い新浦安でとんでもない被害が出ている。阪神大震災の時も同じことが起こりましたが、大打撃を受けたところには関心も集まるし支援の手も差し伸べられます。しかし、少し離れたところは目が届かないので関心も薄くなってしまいます。阪神の時は豊中や池田・川西だったし、今回はおそらく浦安や江戸川区の臨海地域だと思います。
閑話休題、地震が起こって、仕事が忙しいのに落ち着かない。家に帰ってきても何もする気が起きないので、ミンツバーグの新刊が翻訳されて出ていたのでそれを買って読みました。英訳は出てしばらくして読んだのですが、訳が出たので、研修とかに使えるかを試す意味でも買ってみました。Mintzberg, H. (2009) Managing, San Francisco: Berrett-Koeler Publishing Inc. ヘンリー・ミンツバーグ(2011)『マネジャーの実像―「管理職」はなぜ仕事に追われているのか』池村千秋訳、日経BP社
です。英語では手が出ない人々に読んでほしいと思い続けていた待望の訳書です。専門書なんてくそくらえという人でも絶対楽しく読めますのでお薦めです。特に、最近マネジメントで迷っている人や、薄っぺらい課長本に抵抗がある人々にお薦めです。ミンツバーグと言えば名著、Mintzberg, H. (1973) The nature of managerial work, New York: Harper & Row. ヘンリー・ミンツバーグ(1993)『マネジャーの仕事』白桃書房、訳 奥村哲史、須貝栄ですが、これのパワーアップ+現代的なコンテクストでまとめあげた素晴らしい本です。27人のマネジャーが登場しますが、それぞれがビビッドに描かれていて、学術的なレベルも高い。「思わぬトラブルが持ちあがったときにマネジャーが上手に対処できる組織」とさらっと述べているが、私の経験ではマネジャーの仕事はこれに尽きると思うし、それをうまく説明しているので非常によくできていると思う。マネジャーになりたての人も、ミドルにとっても、非常に有益であるとともに、学生さんにとっては参考文献が充実している分、リファレンスとしての価値が非常に高い本でもあります。引用の中にリンダ・ヒル(HBS教授)が多く、ぜひ読んでほしい本がまだ翻訳されていないのが惜しまれます。たとえば、新任課長にはHill, L. (2003) Becoming a Manager: How New Managers Master the Challenges of Leadership (2nd expanded ed.) Boston: Harvard Business Press.あたりをぜひ読みこんでほしいと思う。英語の勉強としてもミンツバーグより平易ですから。
目次
はじめに
最初にお読みください
1. マネジメントがいちばん大事
2. マネジメントのダイナミクス
3. マネジメントのモデル
4. マネジメントの知られざる多様性
5. マネジメントのジレンマ
6. 有効なマネジメント
付録 マネジメントの8日間
参考文献
追伸: ちなみに金井先生が3月20日の日経で書評されています。私が言いたいことをこういうようにパシッと言ってくれる。それにしてもいつ本読むんやろ、先生・・・・。3月20日日経
2011年1月4日火曜日
あけましておめでとうございます 仕事の5冊
新年明けましておめでとうございます。
旧年中、このブログを読んでくださった方々に感謝申し上げます。
さて、昨年1年を振り返ると、10月からの3ヶ月間が一番きつかったような気がします。10月1日付で大阪から東京、また仕事の内容も人事から経営企画に異動になり、今までと違う仕事でなれないうえに、何をしてよいかなかなか見えてこない中で、営業から人事に異動したとき以上の戸惑いを感じています。しかもなれない単身赴任。10月は夢中のうちにすぎ、11月にいったん古本屋に行って本を買い込んでくるところまでは行きましたが、その後なれない仕事が舞い込んだり、人事時代にほぼ一人で担当していた企画案件が再び持ち込まれたりと、バタバタするだけで本を読む暇がほとんどなかった3ヶ月でした。
その中で読んだ本は、仕事で必要だった3冊(正確には5冊)。
McKinsey & Co., Koller, T., Goedhart, M. and Wessels, D. (2005) Valuation: Measuring and Managing the Value of Companies (4th ed.), Hoboken, NJ: John Wiley & Sons. 邦訳 マッキンゼー・アンド・カンパニー、ティム・コラー、マーク・フーカート・デイビッドセッセルズ(2006)「企業価値評価:バリュエーション 価値創造の理論と実践(第4版)』本田桂子監訳、天野洋世、井上雅史、近藤将士、戸塚隆将訳、ダイヤモンド社
経営企画で企業価値評価をやることが増えていることから、神戸MBAの「コジケン」(経営戦略応用研究Ⅰ&Ⅱ)の教科書を何度か通読。 この本は、MBAに来る前に、株式取得による経営参加の投資案件の企画書をまとめるときからずっと読み続けている本で、企業価値評価の実務的参考書としては名著であると思う。英語版のCDのコピーも使っている。2冊組。
同じ文脈で、渡辺章博(2004)「M&Aのグローバル実務:プロセス重視の企業買収・売却のすすめ方』中央経済社を読む。これも神戸MBAのテキストで、著者の渡辺章博氏や佐山展生氏をはじめとするGCAのメンバーが入れ替わり立ち替わり講義(M&A戦略応用研究)。この本自体はアメリカ企業の買収が書かれているが、授業レジュメと一緒に読んで、企業価値評価からデューディリジェンスまでの手続きについて、この本はほぼ実務書のノリで読んでいる。
あとは、M&AとIRのために、Brealey, R., Myers, S. and Allen, F (2006) Principles of Corporate Finance (8th ed.). New York: The McGraw Hill Companies, Inc. 邦訳 リチャード・ブリーリー、スチュワート・マイヤーズ、フランクリンアレン(2007)『コーポレートファイナンス(第8版』藤井眞理子、国枝繁樹監訳、日経BP社 このテキストも神戸MBAのコーポレートファイナンス応用研究のテキスト。この本も結局は企業価値評価の理論的バックボーンと株価形成理論の一端をおさらいするのに読んでいる。2冊組。
要するに、マニュアル本をざっくり読んだような気持ちになっていて、ご紹介するほどではないかと思ったので書いていませんでした。どれも非常に評価の高い良書ですので企業価値評価を仕事で取り組まれている方は読んではいかがでしょうか。経営企画に異動になっても、MBAの授業でやったことが基本にあるので、なんとかついていけています。
今年は、今まで読んできた本をもう一度体系づけて取り組んでいこうと思っています。新刊も頑張って買っていこうと思います。
ことしもよろしくお願いします!
旧年中、このブログを読んでくださった方々に感謝申し上げます。
さて、昨年1年を振り返ると、10月からの3ヶ月間が一番きつかったような気がします。10月1日付で大阪から東京、また仕事の内容も人事から経営企画に異動になり、今までと違う仕事でなれないうえに、何をしてよいかなかなか見えてこない中で、営業から人事に異動したとき以上の戸惑いを感じています。しかもなれない単身赴任。10月は夢中のうちにすぎ、11月にいったん古本屋に行って本を買い込んでくるところまでは行きましたが、その後なれない仕事が舞い込んだり、人事時代にほぼ一人で担当していた企画案件が再び持ち込まれたりと、バタバタするだけで本を読む暇がほとんどなかった3ヶ月でした。
その中で読んだ本は、仕事で必要だった3冊(正確には5冊)。
McKinsey & Co., Koller, T., Goedhart, M. and Wessels, D. (2005) Valuation: Measuring and Managing the Value of Companies (4th ed.), Hoboken, NJ: John Wiley & Sons. 邦訳 マッキンゼー・アンド・カンパニー、ティム・コラー、マーク・フーカート・デイビッドセッセルズ(2006)「企業価値評価:バリュエーション 価値創造の理論と実践(第4版)』本田桂子監訳、天野洋世、井上雅史、近藤将士、戸塚隆将訳、ダイヤモンド社
経営企画で企業価値評価をやることが増えていることから、神戸MBAの「コジケン」(経営戦略応用研究Ⅰ&Ⅱ)の教科書を何度か通読。 この本は、MBAに来る前に、株式取得による経営参加の投資案件の企画書をまとめるときからずっと読み続けている本で、企業価値評価の実務的参考書としては名著であると思う。英語版のCDのコピーも使っている。2冊組。
同じ文脈で、渡辺章博(2004)「M&Aのグローバル実務:プロセス重視の企業買収・売却のすすめ方』中央経済社を読む。これも神戸MBAのテキストで、著者の渡辺章博氏や佐山展生氏をはじめとするGCAのメンバーが入れ替わり立ち替わり講義(M&A戦略応用研究)。この本自体はアメリカ企業の買収が書かれているが、授業レジュメと一緒に読んで、企業価値評価からデューディリジェンスまでの手続きについて、この本はほぼ実務書のノリで読んでいる。
あとは、M&AとIRのために、Brealey, R., Myers, S. and Allen, F (2006) Principles of Corporate Finance (8th ed.). New York: The McGraw Hill Companies, Inc. 邦訳 リチャード・ブリーリー、スチュワート・マイヤーズ、フランクリンアレン(2007)『コーポレートファイナンス(第8版』藤井眞理子、国枝繁樹監訳、日経BP社 このテキストも神戸MBAのコーポレートファイナンス応用研究のテキスト。この本も結局は企業価値評価の理論的バックボーンと株価形成理論の一端をおさらいするのに読んでいる。2冊組。
要するに、マニュアル本をざっくり読んだような気持ちになっていて、ご紹介するほどではないかと思ったので書いていませんでした。どれも非常に評価の高い良書ですので企業価値評価を仕事で取り組まれている方は読んではいかがでしょうか。経営企画に異動になっても、MBAの授業でやったことが基本にあるので、なんとかついていけています。
今年は、今まで読んできた本をもう一度体系づけて取り組んでいこうと思っています。新刊も頑張って買っていこうと思います。
ことしもよろしくお願いします!
2010年10月19日火曜日
オリバー・ウィリアムソン教授(UCバークレー)@神戸大
この10月17日(日)、オリバー・E・ウィリアムソン教授講演会に行ってまいりました。
このために大阪と名古屋で仕事を作り、晴れてノーベル賞受賞者の講演を聞く栄誉に預かりました。
今回は神戸大学社会科学系の同窓会である凌霜会のメルマガで知って、速攻で応募しました。
単純に「自分が引用している理論を作った先生を見てみたい」という純粋な好奇心に加えて、今回のテーマだった「学際的であれ(be interdisciplinary)」にも興味がありました。ウィリアムソン先生ご自身が学部はMITでEngineering、その後StanfordでMBA、そこでアロー教授と出会って経済学へとすすまれており、神戸MBAに来る人々もまさに「学際的」だからです。私自身学部は法律で、経営学とは縁がない学問をやって、20数年たって学校に戻ったわけで、そういう仲間が数多くいることで、それぞれが異なる視点を持っていること、また異なるアプローチで研究を進めることを神戸MBAで学ぶ。そういう意味では、学部よりも数段学びが深いと感じる。
ウィリアムソン先生がおっしゃっていたのが、「Teaching is Learning」でした。最初のほうにArrow教授の話で出てくるのですが、まさにその通りと感じる。取引費用論自体は、非常に骨太な理論で、ぜひ読んで研究してほしいと思いますが、その中で「摩擦(Friction)」というたとえがよく出てきます。たとえば市場の失敗と政府の失敗の間に「abrasion(擦り傷)」が出てきて、これがなぜか全く理解できなかったのですが、今回先生のバックグラウンドを知ってやっとたとえの理解ができた。
また久々に難解な先生の本を読んでみようか・・・・。
このために大阪と名古屋で仕事を作り、晴れてノーベル賞受賞者の講演を聞く栄誉に預かりました。
今回は神戸大学社会科学系の同窓会である凌霜会のメルマガで知って、速攻で応募しました。
単純に「自分が引用している理論を作った先生を見てみたい」という純粋な好奇心に加えて、今回のテーマだった「学際的であれ(be interdisciplinary)」にも興味がありました。ウィリアムソン先生ご自身が学部はMITでEngineering、その後StanfordでMBA、そこでアロー教授と出会って経済学へとすすまれており、神戸MBAに来る人々もまさに「学際的」だからです。私自身学部は法律で、経営学とは縁がない学問をやって、20数年たって学校に戻ったわけで、そういう仲間が数多くいることで、それぞれが異なる視点を持っていること、また異なるアプローチで研究を進めることを神戸MBAで学ぶ。そういう意味では、学部よりも数段学びが深いと感じる。
ウィリアムソン先生がおっしゃっていたのが、「Teaching is Learning」でした。最初のほうにArrow教授の話で出てくるのですが、まさにその通りと感じる。取引費用論自体は、非常に骨太な理論で、ぜひ読んで研究してほしいと思いますが、その中で「摩擦(Friction)」というたとえがよく出てきます。たとえば市場の失敗と政府の失敗の間に「abrasion(擦り傷)」が出てきて、これがなぜか全く理解できなかったのですが、今回先生のバックグラウンドを知ってやっとたとえの理解ができた。
また久々に難解な先生の本を読んでみようか・・・・。
2010年9月19日日曜日
経営理論偽りの系譜:マネジメント思想の巨人たちの功罪(フープス)読了しました
この本、なかなかおもしろかったです。
経営学の「大家」であるテイラーとそれに続くギルブレスとガントチャートのガント。テーラー派の経営コンサルのフォレット、ホーソン実験のメイヨー。経営者の役割のバーナード。日本でも知られたQCのデミング。そしてドラッカー。フォレット以外は、それこそ経営学の大御所中の大御所である。こういう言い方が適当かは別として、ショベルのテイラー、レンガ積みのギルブレス。そしてリレーのメイヨー。このブログでもご紹介したが、Taylor, F. W. (1911) The Principles of Scientific Management (有賀裕子訳『新訳 科学的管理法:マネジメントの原点』, ダイヤモンド社, 2009年)は、絶対に外せない古典。こういう大家に敢然と挑んでいく姿勢は評価できる。予備知識なくこの本を読むと、それこそ経営学を曲解してしまうと思うが、経営学の基礎的な知識と何事も盲目的に受け入れない批判精神がある人にとっては、違うパースペクティブで理論やその背景をとらえられる本としてお薦めできます。自分が知らない背景を歴史家が丹念に調べている(と思われる)。それぞれの登場人物の評価を厳しくつけているが、どのような「大家」でもそれを盲目的に受け入れてはいけないことを教えられる。
話は変わりますが、岩崎夏海(2009)『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』ダイヤモンド社 と言う本がはやってまだ売れているようです。私も読みました。ドラッカーのすそ野を広げる取り組みは評価しますが、いかんせん表現があまりにも幼稚で読むに堪えない。アマゾンの評価も二分されているようですが、ビジネスマンならダイジェストに満足せず、Drucker, P., F., (1973) Management: Tasks, Responsibilities, Practices. New York: Harper Collins. ピーター・ドラッカー(2008)『マネジメント:務め、責任、実践(4冊組)』訳 有賀裕子、日経BP社をぜひ読んでほしい。申し訳ないが、二流の読み物を読んで分かった気になっても仕方ない。新訳になって読みやすくなりました(これも意見が分かれるところです)。これを読んでから本書を読むと、断然本書を楽しめると思います。
ちなみに、参考文献がしっかりしています。この点では評価できます。
Hoopes, J., (2003) False Prophets: The Gurus Who Created Modern Management and Why their Ideas are Bad for Business Today. Cambridge, MA: Basic Books. 邦訳 ジェームズ・フープス(2006)『経営理論 偽りの系譜:マネジメント思想の巨人たちの功罪』有賀裕子 訳、東洋経済新報社
目次
謝辞
はじめに
Part1 科学的管理法
第1章 草創期のアメリカでの人材マネジメント
第2章 「悪魔」 フレデリック・W・テイラー
第3章 「技術者」 ギルブレス夫妻とガント
Part2 人間関係論
第4章 「楽天家」 メアリー・パーカー・フォレット
第5章 「心理療法家」 エルトン・メイヨー
第6章 ザ・リーダー チェスターバーナード
Part3 社会哲学
第7章 「統計学者」 W・エドワーズ・デミング
第8章 「道徳家」 ピーター・ドラッカー
むすび
解説 (神戸大 金井先生)
訳者あとがき
原注
索引
経営学の「大家」であるテイラーとそれに続くギルブレスとガントチャートのガント。テーラー派の経営コンサルのフォレット、ホーソン実験のメイヨー。経営者の役割のバーナード。日本でも知られたQCのデミング。そしてドラッカー。フォレット以外は、それこそ経営学の大御所中の大御所である。こういう言い方が適当かは別として、ショベルのテイラー、レンガ積みのギルブレス。そしてリレーのメイヨー。このブログでもご紹介したが、Taylor, F. W. (1911) The Principles of Scientific Management (有賀裕子訳『新訳 科学的管理法:マネジメントの原点』, ダイヤモンド社, 2009年)は、絶対に外せない古典。こういう大家に敢然と挑んでいく姿勢は評価できる。予備知識なくこの本を読むと、それこそ経営学を曲解してしまうと思うが、経営学の基礎的な知識と何事も盲目的に受け入れない批判精神がある人にとっては、違うパースペクティブで理論やその背景をとらえられる本としてお薦めできます。自分が知らない背景を歴史家が丹念に調べている(と思われる)。それぞれの登場人物の評価を厳しくつけているが、どのような「大家」でもそれを盲目的に受け入れてはいけないことを教えられる。
話は変わりますが、岩崎夏海(2009)『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』ダイヤモンド社 と言う本がはやってまだ売れているようです。私も読みました。ドラッカーのすそ野を広げる取り組みは評価しますが、いかんせん表現があまりにも幼稚で読むに堪えない。アマゾンの評価も二分されているようですが、ビジネスマンならダイジェストに満足せず、Drucker, P., F., (1973) Management: Tasks, Responsibilities, Practices. New York: Harper Collins. ピーター・ドラッカー(2008)『マネジメント:務め、責任、実践(4冊組)』訳 有賀裕子、日経BP社をぜひ読んでほしい。申し訳ないが、二流の読み物を読んで分かった気になっても仕方ない。新訳になって読みやすくなりました(これも意見が分かれるところです)。これを読んでから本書を読むと、断然本書を楽しめると思います。
ちなみに、参考文献がしっかりしています。この点では評価できます。
Hoopes, J., (2003) False Prophets: The Gurus Who Created Modern Management and Why their Ideas are Bad for Business Today. Cambridge, MA: Basic Books. 邦訳 ジェームズ・フープス(2006)『経営理論 偽りの系譜:マネジメント思想の巨人たちの功罪』有賀裕子 訳、東洋経済新報社
目次
謝辞
はじめに
Part1 科学的管理法
第1章 草創期のアメリカでの人材マネジメント
第2章 「悪魔」 フレデリック・W・テイラー
第3章 「技術者」 ギルブレス夫妻とガント
Part2 人間関係論
第4章 「楽天家」 メアリー・パーカー・フォレット
第5章 「心理療法家」 エルトン・メイヨー
第6章 ザ・リーダー チェスターバーナード
Part3 社会哲学
第7章 「統計学者」 W・エドワーズ・デミング
第8章 「道徳家」 ピーター・ドラッカー
むすび
解説 (神戸大 金井先生)
訳者あとがき
原注
索引
2010年9月4日土曜日
MBA論文審査会
今日4日と来週11日は、神戸大学大学院経営学研究科専門職学位課程現代経営学専攻、つまりMBAプログラムの専門職学位論文の審査会です。今日がマーケティング、管理会計、財務会計の方々、11日はHRM(人材マネジメント)系とOB(組織行動)系の方々のようです。審査を受ける方々皆さんにとって実りある1日であることを祈っています。
今でも、冷や汗ものだった昨年の審査会のことを思い出します。私の時の副査は、今年の3月に退官された坂下昭宣教授(現流通科学大学教授)、それと同じく退官された桑原哲也教授(現福山大学教授)でした。やり取りの重要なところはよく覚えているぐらい貴重な体験でした。
私はグローバル経営をベースに論文を書きましたので、発表後、まずは桑原先生から質問を受けました。先生からは先行研究のレビューが緻密であるという話から先行研究について質問され、最後に、グローバル経営をやると必ず出てくるHeenan & Perlmutterの「EPRG」理論について、「本当にこんな段階を経て発展すると言えるのか」という通説に対する自分の考えを答えるような凝ったキラーパスがでた。「おそらく段階を経て発展するというパールミュッターの考えよりも、取り扱う商品や外部環境、また進出国の状況などによって、コンティンジェントに選択されるのだと考えたほうが合理的であると考えています」と、なんとか答えて桑原先生の質問は終了した。
次に、坂下先生からおもむろに、「この論文は、単にに垂直統合と水平展開について書いただけではないのか」という強烈なボディーブローが飛んできた。そういう一面はあるのだが、「単にそうではなく、取引プロセスが市場で行われずに組織の中で取引が起こるメカニズムについて考察しました」といった応酬が何度かあり、極めつけが「それなら、このフレームワークはおかしくないか。矢印が明らかに逆だし、変数も問題がないか」という力石徹が矢吹丈から受けたテンプルへのパンチのような一撃が来た。因果関係がおかしい、つまり論文として疑問であるという痛烈な批判であった。フレームワークについては何度も検討して、仮説の構築でも何度も議論を重ねたが、やはり詰めが甘いところが出てしまった。「因果関係についてのご指摘ありがとうございます。フレームワークでの変数と因果の関係が整理されていません。今後の研究においては十二分に気をつけます。重ねてお礼申し上げます」というのがやっとであった。その後もフレームワークに関する指導を受けて審査会は終わった。
フラフラだった。「落ちたな」と一瞬は思った。周りに聞くと「うまく話していた」というので、ちょっと気を取り直して、自分の論文をもう一度読んでみると、確かにフレームワークがうまくフィットしていない。論文全体としての結論には問題はないと思ったが、こういう重大なところがきちんとできていないと論文にならないということを学んだ貴重な1日でした。審査会終了後、主査(指導教官)に意見をお伺いしたところ、「坂下先生の指摘はさすがですね」と言われてしまった。 いまでもこういう論文で相談を受けたり意見を求められる時は、フレームワークは単なる相関図ではなく、因果関係を説明するためのものなので、因果関係に関係のない要素を書かずに、変数間の関係に絞ってフレームワークを書くほうが説得力がある、と説明しています。それは当然のことながら数式でも表現できるはずでもある。これから論文を書かれる方は、田村正紀(2006)『リサーチ・デザイン:経営知識創造の基本技術』白桃書房を読まれて因果関係や変数といった概念をおさらいされればよいと思います。ほかにもこの手の本を読んでから取りかかられるとよいです(この辺は先生方が教えてくださいます)。
神戸MBAのよさは論文を執筆するプロセスとその集大成としての審査会です。執筆した論文を10分間でわかりやすく説明する能力は、社会人としての必須能力ではないでしょうか。社会人とはいえ、また専門職課程とはいえ、論文をきちんと書くプロセスから学ぶことが非常に多いと改めて感じています。自分で決めたテーマにそって説得力のある論文を書く過程で思考を深くしていくことが、実務では減っていますし、だからこそ、そういう機会を持って、思考能力を高めていくことに意義があると感じます。以前三品先生に尋ねられた時も「論文書かずして何もわからない。40中盤のサラリーマンなら実務を教えてもらうためではなく、もっと理論をしっかりと身につけたいと思っているはずで、そのためには論文執筆が効果的」と話した通りです。
今年のM2の皆様の論文合格をお祈りしております。
今でも、冷や汗ものだった昨年の審査会のことを思い出します。私の時の副査は、今年の3月に退官された坂下昭宣教授(現流通科学大学教授)、それと同じく退官された桑原哲也教授(現福山大学教授)でした。やり取りの重要なところはよく覚えているぐらい貴重な体験でした。
私はグローバル経営をベースに論文を書きましたので、発表後、まずは桑原先生から質問を受けました。先生からは先行研究のレビューが緻密であるという話から先行研究について質問され、最後に、グローバル経営をやると必ず出てくるHeenan & Perlmutterの「EPRG」理論について、「本当にこんな段階を経て発展すると言えるのか」という通説に対する自分の考えを答えるような凝ったキラーパスがでた。「おそらく段階を経て発展するというパールミュッターの考えよりも、取り扱う商品や外部環境、また進出国の状況などによって、コンティンジェントに選択されるのだと考えたほうが合理的であると考えています」と、なんとか答えて桑原先生の質問は終了した。
次に、坂下先生からおもむろに、「この論文は、単にに垂直統合と水平展開について書いただけではないのか」という強烈なボディーブローが飛んできた。そういう一面はあるのだが、「単にそうではなく、取引プロセスが市場で行われずに組織の中で取引が起こるメカニズムについて考察しました」といった応酬が何度かあり、極めつけが「それなら、このフレームワークはおかしくないか。矢印が明らかに逆だし、変数も問題がないか」という力石徹が矢吹丈から受けたテンプルへのパンチのような一撃が来た。因果関係がおかしい、つまり論文として疑問であるという痛烈な批判であった。フレームワークについては何度も検討して、仮説の構築でも何度も議論を重ねたが、やはり詰めが甘いところが出てしまった。「因果関係についてのご指摘ありがとうございます。フレームワークでの変数と因果の関係が整理されていません。今後の研究においては十二分に気をつけます。重ねてお礼申し上げます」というのがやっとであった。その後もフレームワークに関する指導を受けて審査会は終わった。
フラフラだった。「落ちたな」と一瞬は思った。周りに聞くと「うまく話していた」というので、ちょっと気を取り直して、自分の論文をもう一度読んでみると、確かにフレームワークがうまくフィットしていない。論文全体としての結論には問題はないと思ったが、こういう重大なところがきちんとできていないと論文にならないということを学んだ貴重な1日でした。審査会終了後、主査(指導教官)に意見をお伺いしたところ、「坂下先生の指摘はさすがですね」と言われてしまった。 いまでもこういう論文で相談を受けたり意見を求められる時は、フレームワークは単なる相関図ではなく、因果関係を説明するためのものなので、因果関係に関係のない要素を書かずに、変数間の関係に絞ってフレームワークを書くほうが説得力がある、と説明しています。それは当然のことながら数式でも表現できるはずでもある。これから論文を書かれる方は、田村正紀(2006)『リサーチ・デザイン:経営知識創造の基本技術』白桃書房を読まれて因果関係や変数といった概念をおさらいされればよいと思います。ほかにもこの手の本を読んでから取りかかられるとよいです(この辺は先生方が教えてくださいます)。
神戸MBAのよさは論文を執筆するプロセスとその集大成としての審査会です。執筆した論文を10分間でわかりやすく説明する能力は、社会人としての必須能力ではないでしょうか。社会人とはいえ、また専門職課程とはいえ、論文をきちんと書くプロセスから学ぶことが非常に多いと改めて感じています。自分で決めたテーマにそって説得力のある論文を書く過程で思考を深くしていくことが、実務では減っていますし、だからこそ、そういう機会を持って、思考能力を高めていくことに意義があると感じます。以前三品先生に尋ねられた時も「論文書かずして何もわからない。40中盤のサラリーマンなら実務を教えてもらうためではなく、もっと理論をしっかりと身につけたいと思っているはずで、そのためには論文執筆が効果的」と話した通りです。
今年のM2の皆様の論文合格をお祈りしております。
「バカな」と「なるほど」(吉原)
この本、様々なところで大反響です。1988年の本なのですが、今読み返しても示唆に富んでいます。
私が最初にこの本を知ったのは、神戸大学の小川先生のTweetです。誰もが「バカな」と思うことに実は合理性があって、後で成功したときにそのストーリーを聞くと「なるほど」と言える合理性があるという話です。次にこの本について言及されているのが一橋大学の楠木先生。楠木先生の本自体がこの本を底本にしたのではないかと思えるぐらいです。その次は神戸大学の金井先生。そして同じく神戸の三品先生。そして極めつけは、神戸の加護野先生がこの本について述べられたことで、この本のすごさが分かってもらえると思う。
この本にも紹介されているのが山代温泉のホテル百万石。田んぼのど真ん中に1200坪の土地を買い、600畳の大広間がある旅館を建設するという、当時としては考えられないだれもが「バカな」というやり方。しかし、客が続々と入りだしてなぜそういうことをしたかを聞くと、バスや自家用車の時代であることやコンベンション需要の高まりなど、みんなが「なるほど」といえる戦略が素晴らしい戦略であるということ。これが吉原先生では「バカなとなるほど」ですし、楠木先生だと「キラーパス」なのですね。
久々に読みなおすと、薄い本ですが非常に分かりやすい。ケースが古いのが難点だが、イビデン、ホテル百万石、ホソカワミクロンなどの話は今でも新しく読めます。
非常に残念なのですが、この本、アマゾンで古本を買うのは不可能です。古本屋で見かけたら即お買い上げしてください。図書館で調べてあれば読んでください。少なくとも神戸大学、大阪市中央図書館にはあります(大阪府立には残念ながらありません)。丹念に探さないとない本です(私もコピーがあるだけです)。ぜひご一読ください。ネタの料理の仕方が上手ですね。
吉原英樹(1988)『「バカな」と「なるほど」:経営成功の決め手!』同文舘
目次
はしがき
第一部 常識破りの発想
1 バカなとなるほど 成功する戦略の二大条件
2 答えを見ながら答案を書く 創造的戦略の発想法
3 べき論より予測論を 経営者の先見力強化法
4 ダブダブの洋服の戦略メッセージ 戦略を効果的に伝える方法
5 マイナス情報に情けをかけよう
6 組織慣性との戦い 企業変身の最強の敵
7 人事スペシャリスト不要論 野村証券の「非」常識な人事部
8 から元気のリーダーシップ
9 社内事情より社外事情を優先 野村證券のキープヤングの人事
10 女が分からないで経営ができるか
11 人づくりは人選びから
12 計画のグレシャムの法則
第二部 常識破りの戦略
1 多角化を成功させるキーファクター
2 非常識な戦略で活路を開く
3 中堅企業海外進出の成功の条件
4 夢と技術力と余裕 海外進出成功のキーファクター
5 安全運転は新事業の敵
初出一覧
私が最初にこの本を知ったのは、神戸大学の小川先生のTweetです。誰もが「バカな」と思うことに実は合理性があって、後で成功したときにそのストーリーを聞くと「なるほど」と言える合理性があるという話です。次にこの本について言及されているのが一橋大学の楠木先生。楠木先生の本自体がこの本を底本にしたのではないかと思えるぐらいです。その次は神戸大学の金井先生。そして同じく神戸の三品先生。そして極めつけは、神戸の加護野先生がこの本について述べられたことで、この本のすごさが分かってもらえると思う。
この本にも紹介されているのが山代温泉のホテル百万石。田んぼのど真ん中に1200坪の土地を買い、600畳の大広間がある旅館を建設するという、当時としては考えられないだれもが「バカな」というやり方。しかし、客が続々と入りだしてなぜそういうことをしたかを聞くと、バスや自家用車の時代であることやコンベンション需要の高まりなど、みんなが「なるほど」といえる戦略が素晴らしい戦略であるということ。これが吉原先生では「バカなとなるほど」ですし、楠木先生だと「キラーパス」なのですね。
久々に読みなおすと、薄い本ですが非常に分かりやすい。ケースが古いのが難点だが、イビデン、ホテル百万石、ホソカワミクロンなどの話は今でも新しく読めます。
非常に残念なのですが、この本、アマゾンで古本を買うのは不可能です。古本屋で見かけたら即お買い上げしてください。図書館で調べてあれば読んでください。少なくとも神戸大学、大阪市中央図書館にはあります(大阪府立には残念ながらありません)。丹念に探さないとない本です(私もコピーがあるだけです)。ぜひご一読ください。ネタの料理の仕方が上手ですね。
吉原英樹(1988)『「バカな」と「なるほど」:経営成功の決め手!』同文舘
目次
はしがき
第一部 常識破りの発想
1 バカなとなるほど 成功する戦略の二大条件
2 答えを見ながら答案を書く 創造的戦略の発想法
3 べき論より予測論を 経営者の先見力強化法
4 ダブダブの洋服の戦略メッセージ 戦略を効果的に伝える方法
5 マイナス情報に情けをかけよう
6 組織慣性との戦い 企業変身の最強の敵
7 人事スペシャリスト不要論 野村証券の「非」常識な人事部
8 から元気のリーダーシップ
9 社内事情より社外事情を優先 野村證券のキープヤングの人事
10 女が分からないで経営ができるか
11 人づくりは人選びから
12 計画のグレシャムの法則
第二部 常識破りの戦略
1 多角化を成功させるキーファクター
2 非常識な戦略で活路を開く
3 中堅企業海外進出の成功の条件
4 夢と技術力と余裕 海外進出成功のキーファクター
5 安全運転は新事業の敵
初出一覧
2010年9月2日木曜日
旅行で読んだ本② 『経営の精神』(加護野)
組織認識論を読む気にならないので、最近加護野先生が出された加護野忠男(2010)『経営の精神:我々が捨ててしまったものは何か』生産性出版 も持っていった。北海道に単行本を3冊持っていき、2冊読んだことになる。組織認識論とは違って、どちらかというと啓蒙書というか経営随筆のような本で、サッと読めてしまいます。しかし、最近のたとえば楠木建(2010)『ストーリーとしての競争戦略―優れた戦略の条件』東洋経済新報社といった経営書と比べると古さを感じてしまう。
加護野先生をはじめとして、野中先生や伊丹先生の本には、基本的な考え方がよく登場する。経営の精神も同様で、ヴェーバーやゾンバルトを引きながら松下幸之助や稲盛和夫の経営の精神をひも解いていくところについては非常によく理解できるし、近江商人時代にも同じ精神が息づいていたというところには共感を覚える。ここまでなら、「非常にコンパクトにまとまった良書です。ぜひ読みましょう」という感想で終了です。
しかし、韓国人の「ケンチャナヨ」、まじめで従順なドイツ人、ユニークなイタリア人といった話に代表されるステレオタイプ、極めつけは「便所掃除の経営学」の話が出てきて、申し訳ないが非常に読みづらい(というかウザい)。少なくとも私は「なんや」という感を強くした。これらの「蛇足」がこの本を台無しにしてしまっている。これらの話を取り除いてみるとおそらく非常にすっきりとした読み物に仕上がると思う。逆にいえば、この本のターゲットと思われる50代よりもお年を召された経営者の方々には分かりやすいのかもしれず、セグメンテーションが機能しているのか?
神戸MBAの大先生で、お考えを直接伺ったり、お話を聞いたりしていると非常に面白くわかりやすい。また、最近のIFRSやコーポレートガバナンスのあり方に関するお考えも日本の経営学の立場から共感できる。ですから、余計に「蛇足」が惜しまれます。
目次
はじめに -日本企業から失われたもの
第1章 企業の存在意義を考える
第2章 三つの経営精神
第3章 経営精神の実践
第4章 経営精神の劣化
第5章 経営精神の復興
加護野先生をはじめとして、野中先生や伊丹先生の本には、基本的な考え方がよく登場する。経営の精神も同様で、ヴェーバーやゾンバルトを引きながら松下幸之助や稲盛和夫の経営の精神をひも解いていくところについては非常によく理解できるし、近江商人時代にも同じ精神が息づいていたというところには共感を覚える。ここまでなら、「非常にコンパクトにまとまった良書です。ぜひ読みましょう」という感想で終了です。
しかし、韓国人の「ケンチャナヨ」、まじめで従順なドイツ人、ユニークなイタリア人といった話に代表されるステレオタイプ、極めつけは「便所掃除の経営学」の話が出てきて、申し訳ないが非常に読みづらい(というかウザい)。少なくとも私は「なんや」という感を強くした。これらの「蛇足」がこの本を台無しにしてしまっている。これらの話を取り除いてみるとおそらく非常にすっきりとした読み物に仕上がると思う。逆にいえば、この本のターゲットと思われる50代よりもお年を召された経営者の方々には分かりやすいのかもしれず、セグメンテーションが機能しているのか?
神戸MBAの大先生で、お考えを直接伺ったり、お話を聞いたりしていると非常に面白くわかりやすい。また、最近のIFRSやコーポレートガバナンスのあり方に関するお考えも日本の経営学の立場から共感できる。ですから、余計に「蛇足」が惜しまれます。
目次
はじめに -日本企業から失われたもの
第1章 企業の存在意義を考える
第2章 三つの経営精神
第3章 経営精神の実践
第4章 経営精神の劣化
第5章 経営精神の復興
旅行で読んだ本 『戦略的思考とは何か』(ディキシット&ネイルバフ)
1か月ほど前に加護野忠男(1988)『組織認識論:企業における創造と革新の研究』千倉書房を読む決心をしたのですが、読み始めるとあまり面白くないのでいつも読むのをやめてしまう。久々に難渋する本です。
たとえば、組織認識論の前に読んでいたKuhn, T., S.(1962) The Structure of Scientific Revolutions. Chicago: The University of Chicago Press. 邦訳 トーマス・クーン(1971)『科学革命の構造』中山茂 訳、みすず書房なんか面白く読めたのに、どうしても組織認識論が読みすすめていけない。もっと難解な本でもそれほど苦労をせずに読めているのになぜ読めないのだろうか。
旅行に持っていけば読めるかと思い、重たい本を持っていったが、結局読む気が起きない。そんなに難解な文章とも思わないのだが、ダメです。もう少し落ち着いて読むことにします。
8月25日から29日まで北海道に家族旅行に行っていました。飛行機で旭川まで飛んで、旭山動物園、そして札幌、小樽、定山渓を回って、トワイライトエクスプレスに乗って大阪まで帰ってくるという旅行です。相当散在しましたが、子どもや嫁はんが楽しんでいる姿を見るとホッとします。結局、組織行動論を読まずに読み返していた本が Dixit, A. K. and Nalebuff, B. J. (1991) Thinking Strategically: the Competitive Edge in Business, Politics and Everyday Life. New York: W. W. Norton & Co. 邦訳 アビナッシュ・ディキシット、バリー・ネイルバフ(1991)『戦略的思考とは何か:エール大学式「ゲーム理論」の発想法』菅野隆、島津祐一 訳、TBSブリタニカ です。一晩で330ページを一気に読んでしまいました。この本も原書が半額以下なので、原書がお勧めですが、日本語でも十分に楽しめます。神戸MBAのビジネスエコノミクス応用研究の副読本でしたが、ゲーム理論の書籍の中では最も分かりやすい1冊と思います。数式がほとんど使われておらず、ビジネスマンでも一気に読みこなせます。囚人のジレンマやミックス理論などのゲーム理論の基本から、ケースを使った発展的内容までほぼ網羅されています。アメリカの教科書なのでケースがアメリカ人なら分かりやすいケースですが、日本人でも十分読みこなせます。1991年の本とは思えないぐらいに新鮮でビビッドです。ぜひお勧めします。ただ、分かりやすいので、一読して「分かった気になる」可能性はありますので、しっかりと読んでほしいと思います。
目次
著者まえがき
日本版への序
第1部 ゲーム理論の基本コンセプト
第1章 戦略ショートショート
第2章 交互行動ゲーム
第3章 同時進行ゲーム
第2部 基本コンセプトの発展
第4章 囚人のジレンマ
第5章 戦略活用行動
第6章 実行の確約
第7章 予測不能性
第3部 ゲーム理論の戦略的状況への活用
第8章 瀬戸際戦略
第9章 協力と協調
第10章 投票
第11書 交渉
第12章 誘因(インセンティブ)
第13章 ケーススタディ
訳者あとがき
たとえば、組織認識論の前に読んでいたKuhn, T., S.(1962) The Structure of Scientific Revolutions. Chicago: The University of Chicago Press. 邦訳 トーマス・クーン(1971)『科学革命の構造』中山茂 訳、みすず書房なんか面白く読めたのに、どうしても組織認識論が読みすすめていけない。もっと難解な本でもそれほど苦労をせずに読めているのになぜ読めないのだろうか。
旅行に持っていけば読めるかと思い、重たい本を持っていったが、結局読む気が起きない。そんなに難解な文章とも思わないのだが、ダメです。もう少し落ち着いて読むことにします。
8月25日から29日まで北海道に家族旅行に行っていました。飛行機で旭川まで飛んで、旭山動物園、そして札幌、小樽、定山渓を回って、トワイライトエクスプレスに乗って大阪まで帰ってくるという旅行です。相当散在しましたが、子どもや嫁はんが楽しんでいる姿を見るとホッとします。結局、組織行動論を読まずに読み返していた本が Dixit, A. K. and Nalebuff, B. J. (1991) Thinking Strategically: the Competitive Edge in Business, Politics and Everyday Life. New York: W. W. Norton & Co. 邦訳 アビナッシュ・ディキシット、バリー・ネイルバフ(1991)『戦略的思考とは何か:エール大学式「ゲーム理論」の発想法』菅野隆、島津祐一 訳、TBSブリタニカ です。一晩で330ページを一気に読んでしまいました。この本も原書が半額以下なので、原書がお勧めですが、日本語でも十分に楽しめます。神戸MBAのビジネスエコノミクス応用研究の副読本でしたが、ゲーム理論の書籍の中では最も分かりやすい1冊と思います。数式がほとんど使われておらず、ビジネスマンでも一気に読みこなせます。囚人のジレンマやミックス理論などのゲーム理論の基本から、ケースを使った発展的内容までほぼ網羅されています。アメリカの教科書なのでケースがアメリカ人なら分かりやすいケースですが、日本人でも十分読みこなせます。1991年の本とは思えないぐらいに新鮮でビビッドです。ぜひお勧めします。ただ、分かりやすいので、一読して「分かった気になる」可能性はありますので、しっかりと読んでほしいと思います。
目次
著者まえがき
日本版への序
第1部 ゲーム理論の基本コンセプト
第1章 戦略ショートショート
第2章 交互行動ゲーム
第3章 同時進行ゲーム
第2部 基本コンセプトの発展
第4章 囚人のジレンマ
第5章 戦略活用行動
第6章 実行の確約
第7章 予測不能性
第3部 ゲーム理論の戦略的状況への活用
第8章 瀬戸際戦略
第9章 協力と協調
第10章 投票
第11書 交渉
第12章 誘因(インセンティブ)
第13章 ケーススタディ
訳者あとがき
2010年8月18日水曜日
論文の作法
8月12日の「他流試合」のエントリーに論文を書く際に気をつけるべき点をまとめました。
これから論文を書かれる方々の参考になるように、エントリーを独立させてさらに加筆しました。
私は研究者ではありません。一度学位論文を書いただけにすぎません。審査会には通りましたが、自分の学位論文の中味が学術的に優れているとは到底言えないでしょうし、実務上のインプリケーションがきちんとしている自信もありません。ただ、日本語、英語を問わず、論文を書く際に読んだ論文数は、MBAの学生としては相当多いと思います。読んでいるうちに気付いたのは、論文にはスタイルがあって、それを踏み外してはいけないということでした。
ですから、体裁にはこだわりました。おそらく論文を書く上でもっとも重要です。(私を含む)内容で勝負できない人は、少なくとも体裁は完璧に整備しておきましょう。
・ 表紙、中表紙が便覧の指示通りか。
・ 題名は論文提出届と一字一句間違えてはならない。副題をつけていないのに勝手につけてもいけない。副題をつけるときに「~」(全角チルデ)か「―」(全角ダッシュ)にするか、それとも「:」で十分か。先生の指示に従います。(ちなみに私は「~」でしたが、英語論文の副題は必ず「:」ですし、OPAC見ても副題は「:」で区切っています)。
・ ページあたりの文字数(1,000文字)は指示通りか。
・ フォントは日本語はMS明朝(P明朝は絶対ダメ。ゴチックを使いたい人もいるだろうがダメです)、英語はTimesNewRoman (Centuryという人もいますが、イタリックが決まらないのでTimesのほうがいいです)。全体的な体裁については、『赤門マネジメントレビュー』(AMR)の投稿テンプレートが役に立ちます。ちなみに本文の指定はMS明朝11ポイント、英文はTimesNewRomanです。1000文字なら12ポイントでもいいと思います。
・ 句読点は「,」と「。」にしたほうがよいと言います。先生の著書を見てその通りにします。ちなみに私は「、」派なので、「、」で統一しましたが・・・。一括で「置換」できますので、最後に置き換えてもよいです。ちなみに、AMRでは「、」です。
・ 目次と参考文献の書き方はもっとも重要なポイント。できれば図表目次も入れましょう。「見出し」機能を使って構造的に書いていれば、目次はワードが自動 でやってくれるので問題ないが、参考文献はきちんと体裁を整える。たとえば、2行にまたがる場合の2行目をぶら下がりにするとか、そういう細かいところに も気を遣う。オフィス2007の文献リスト機能は便利なようであまり使えませんので、自分で書いたほうがきちんと仕上がります。先生が見る順番は、題名、 目次、参考文献の順番です。
・ 参考文献は、英語(アルファベット順)、日本語(五十音順)で並べる。
・ 参考文献は、論文を書くために参考にした本はとりあえず全部入れる。引用文献とすればそれはできませんが・・・。参考文献に掲載している論文や書籍のレベルで当該論文のレベルが分かるという先生までいます。その研究で必須と言われる論文は絶対に押さえておきます。
・ 参考文献の表記の仕方は先生の著書を見てその方法で。もし分からない人がいれば、『赤門マネジメントレビュー』投稿マニュアル(東大)を参考にしてみてください。いずれにしろ、先生が執筆された学術書のやり方でやるのがベストです。本文中の論文引用も同様です。私の場合は、AMRをベースに、先生のやり方を踏襲しました。
・ 誤字・脱字、「てにをは」は細かく見ましょう。締め切り1日前はこれに費やしましょう。
・ 図表やページを論文内で参照している場合は、その番号が正しいか必ず確認します。たび重なる校正でばらばらになっていることが多くて焦ります。
・ 提出部数よりも1部多く「作る」。黒表紙がもったいないが、あせらないための方法。もっとも、提出する体裁にした論文は自分の記念になります。
・ 提出前には必ずページの落丁・乱丁をチェックし、必要なら差し替える(そのために1~2部多いのが役立つ)。
・ 締め切りは必ず守る。遅れると受理してくれません。
これから論文を書かれる方々の参考になるように、エントリーを独立させてさらに加筆しました。
私は研究者ではありません。一度学位論文を書いただけにすぎません。審査会には通りましたが、自分の学位論文の中味が学術的に優れているとは到底言えないでしょうし、実務上のインプリケーションがきちんとしている自信もありません。ただ、日本語、英語を問わず、論文を書く際に読んだ論文数は、MBAの学生としては相当多いと思います。読んでいるうちに気付いたのは、論文にはスタイルがあって、それを踏み外してはいけないということでした。
ですから、体裁にはこだわりました。おそらく論文を書く上でもっとも重要です。(私を含む)内容で勝負できない人は、少なくとも体裁は完璧に整備しておきましょう。
・ 表紙、中表紙が便覧の指示通りか。
・ 題名は論文提出届と一字一句間違えてはならない。副題をつけていないのに勝手につけてもいけない。副題をつけるときに「~」(全角チルデ)か「―」(全角ダッシュ)にするか、それとも「:」で十分か。先生の指示に従います。(ちなみに私は「~」でしたが、英語論文の副題は必ず「:」ですし、OPAC見ても副題は「:」で区切っています)。
・ ページあたりの文字数(1,000文字)は指示通りか。
・ フォントは日本語はMS明朝(P明朝は絶対ダメ。ゴチックを使いたい人もいるだろうがダメです)、英語はTimesNewRoman (Centuryという人もいますが、イタリックが決まらないのでTimesのほうがいいです)。全体的な体裁については、『赤門マネジメントレビュー』(AMR)の投稿テンプレートが役に立ちます。ちなみに本文の指定はMS明朝11ポイント、英文はTimesNewRomanです。1000文字なら12ポイントでもいいと思います。
・ 句読点は「,」と「。」にしたほうがよいと言います。先生の著書を見てその通りにします。ちなみに私は「、」派なので、「、」で統一しましたが・・・。一括で「置換」できますので、最後に置き換えてもよいです。ちなみに、AMRでは「、」です。
・ 目次と参考文献の書き方はもっとも重要なポイント。できれば図表目次も入れましょう。「見出し」機能を使って構造的に書いていれば、目次はワードが自動 でやってくれるので問題ないが、参考文献はきちんと体裁を整える。たとえば、2行にまたがる場合の2行目をぶら下がりにするとか、そういう細かいところに も気を遣う。オフィス2007の文献リスト機能は便利なようであまり使えませんので、自分で書いたほうがきちんと仕上がります。先生が見る順番は、題名、 目次、参考文献の順番です。
・ 参考文献は、英語(アルファベット順)、日本語(五十音順)で並べる。
・ 参考文献は、論文を書くために参考にした本はとりあえず全部入れる。引用文献とすればそれはできませんが・・・。参考文献に掲載している論文や書籍のレベルで当該論文のレベルが分かるという先生までいます。その研究で必須と言われる論文は絶対に押さえておきます。
・ 参考文献の表記の仕方は先生の著書を見てその方法で。もし分からない人がいれば、『赤門マネジメントレビュー』投稿マニュアル(東大)を参考にしてみてください。いずれにしろ、先生が執筆された学術書のやり方でやるのがベストです。本文中の論文引用も同様です。私の場合は、AMRをベースに、先生のやり方を踏襲しました。
・ 誤字・脱字、「てにをは」は細かく見ましょう。締め切り1日前はこれに費やしましょう。
・ 図表やページを論文内で参照している場合は、その番号が正しいか必ず確認します。たび重なる校正でばらばらになっていることが多くて焦ります。
・ 提出部数よりも1部多く「作る」。黒表紙がもったいないが、あせらないための方法。もっとも、提出する体裁にした論文は自分の記念になります。
・ 提出前には必ずページの落丁・乱丁をチェックし、必要なら差し替える(そのために1~2部多いのが役立つ)。
・ 締め切りは必ず守る。遅れると受理してくれません。
2010年8月12日木曜日
他流試合覗いてきました
7日の土曜日は、同じゼミの同僚だったWさんから「K先生のMBAゼミに行きませんか?」とお誘いを受けて、久々に他流試合を覗いてきました。
内容は、「修論審査会仕立てで10分で論文の内容を発表する」というもの。自己紹介で「論文は3週間で書きました」などと言いましたが、本当は、4月ぐらいから問題意識、先行研究レビュー、フレームワークというように、リサーチプロポーザルを論文仕立てにして作っていました。8月はアーカイバルデータをSPSSで重回帰分析するのに、なかなかいい方法が思いつかず、四苦八苦していました。午前中にデータ以外のところを書いて、午後からSPSSと格闘していたのを思い出しました。ですから、3週間で書けるはずもなく、やはり1年間かけて山を登ったのだと思います。
さて、内容でしたが、10分きっちりで終わるのは難しいのですが、12~3分では終わっていましたし、内容もしっかりと練られていて、ほぼ完成だと感じました。昨年の修了者として意見を求められましたので、自分の修論審査会の反省を皆様にお伝えできればと思い、フレームワークの部分について意見を述べました。サーベイで論文を書かれている方は特に、変数間の関係がフレームワーク(または数式)できちんと表現されていなければならないということを申し上げました。つまり、従属変数と独立変数(と必要ならばその間に入る媒介変数やコントロール変数)の関係が書かれていないといけない点です。これを書くためには「仮説」が必要という点も指摘しました。論文では、単なる「思考の概念図」ではなく、因果律が表現されていることが重要です。「えらそうに、なにゆうてんねん」と思われたかもしれませんが、この辺がしっかりと書けていると非常に分かりやすくなると思います。
あと、「体裁」めちゃくちゃ重要です。たとえばPPTの頁の抜け、論文の題名とPPTの題名などがあっているか、ぷ見やすいフォントと背景を使っているかなどなどです。Wさんはアニメーションを多用したほうがよいなどと言いますが、私は使いません。使うときは、プリント用のPPTと発表用のPPTははっきりと分けています。アニメ入りのPPTをレポート用にすると、ごちゃごちゃになるので、静止画バージョンをつくって、それをプリント用として作るぐらいはやらないといけませんね。
それと、論文の体裁。これはもっとも重要です。(私を含む)内容で勝負できない人は、少なくとも体裁は完璧に整備しておきましょう。
・ 表紙、中表紙が便覧の指示通りか。
・ 題名は論文提出届と一字一句間違えてはならない。副題をつけていないのに勝手につけてもいけない。
・ ページあたりの文字数(1,000文字)は指示通りか。
・ 1,000文字なら、12ポイントぐらいの大きなフォントで(お年を召した先生への配慮)。
・ フォントは日本語はMS明朝(P明朝は絶対ダメ。ゴチックを使いたい人もいるだろうがダメです)、英語はTimesNewRoman (Centuryという人もいますが、イタリックが決まらないのでTimesのほうがいいです)。
・ 句読点は「,」と「。」にしたほうがよいと言います。先生の著書を見てその通りにします。ちなみに私は「、」派ですが・・・。一括で「置換」できますので、最後に置き換えてもよいです。
・ 目次と参考文献の書き方はもっとも重要なポイント。できれば図表目次も入れましょう。「見出し」機能を使って構造的に書いていれば、目次はワードが自動でやってくれるので問題ないが、参考文献はきちんと体裁を整える。たとえば、2行にまたがる場合の2行目をぶら下がりにするとか、そういう細かいところにも気を遣う。オフィス2007の文献リスト機能は便利なようであまり使えませんので、自分で書いたほうがきちんと仕上がります。先生が見る順番は、題名、目次、参考文献の順番です。
・ 参考文献は、英語(アルファベット順)、日本語(五十音順)で並べる。
・ 参考文献は、論文を書くために参考にした本はとりあえず全部入れる。引用文献とすればそれはできませんが・・・。
・ 表記の仕方は先生の著書を見てその方法で。もし分からない人がいれば、『赤門マネジメントレビュー』投稿マニュアル(東大)を参考にしてみてください。いずれにしろ、先生が執筆された学術書のやり方でやるのがベストです。本文中の論文引用も同様です。
・ 誤字・脱字、「てにをは」は細かく見ましょう。締め切り1日前はこれに費やしましょう。
・ 図表やページを論文内で参照している場合は、その番号が正しいか必ず確認します。たび重なる校正でばらばらになっていることが多くて焦ります。
・ 提出部数よりも1部多く「作る」。黒表紙がもったいないが、あせらないための方法。もっとも、提出する体裁にした論文は自分の記念になります。
・ 提出前には必ずページの落丁・乱丁をチェックし、必要なら差し替える(そのために1~2部多いのが役立つ)。
・ 締め切りは必ず守る。遅れると受理してくれません。
内容は、「修論審査会仕立てで10分で論文の内容を発表する」というもの。自己紹介で「論文は3週間で書きました」などと言いましたが、本当は、4月ぐらいから問題意識、先行研究レビュー、フレームワークというように、リサーチプロポーザルを論文仕立てにして作っていました。8月はアーカイバルデータをSPSSで重回帰分析するのに、なかなかいい方法が思いつかず、四苦八苦していました。午前中にデータ以外のところを書いて、午後からSPSSと格闘していたのを思い出しました。ですから、3週間で書けるはずもなく、やはり1年間かけて山を登ったのだと思います。
さて、内容でしたが、10分きっちりで終わるのは難しいのですが、12~3分では終わっていましたし、内容もしっかりと練られていて、ほぼ完成だと感じました。昨年の修了者として意見を求められましたので、自分の修論審査会の反省を皆様にお伝えできればと思い、フレームワークの部分について意見を述べました。サーベイで論文を書かれている方は特に、変数間の関係がフレームワーク(または数式)できちんと表現されていなければならないということを申し上げました。つまり、従属変数と独立変数(と必要ならばその間に入る媒介変数やコントロール変数)の関係が書かれていないといけない点です。これを書くためには「仮説」が必要という点も指摘しました。論文では、単なる「思考の概念図」ではなく、因果律が表現されていることが重要です。「えらそうに、なにゆうてんねん」と思われたかもしれませんが、この辺がしっかりと書けていると非常に分かりやすくなると思います。
あと、「体裁」めちゃくちゃ重要です。たとえばPPTの頁の抜け、論文の題名とPPTの題名などがあっているか、ぷ見やすいフォントと背景を使っているかなどなどです。Wさんはアニメーションを多用したほうがよいなどと言いますが、私は使いません。使うときは、プリント用のPPTと発表用のPPTははっきりと分けています。アニメ入りのPPTをレポート用にすると、ごちゃごちゃになるので、静止画バージョンをつくって、それをプリント用として作るぐらいはやらないといけませんね。
それと、論文の体裁。これはもっとも重要です。(私を含む)内容で勝負できない人は、少なくとも体裁は完璧に整備しておきましょう。
・ 表紙、中表紙が便覧の指示通りか。
・ 題名は論文提出届と一字一句間違えてはならない。副題をつけていないのに勝手につけてもいけない。
・ ページあたりの文字数(1,000文字)は指示通りか。
・ 1,000文字なら、12ポイントぐらいの大きなフォントで(お年を召した先生への配慮)。
・ フォントは日本語はMS明朝(P明朝は絶対ダメ。ゴチックを使いたい人もいるだろうがダメです)、英語はTimesNewRoman (Centuryという人もいますが、イタリックが決まらないのでTimesのほうがいいです)。
・ 句読点は「,」と「。」にしたほうがよいと言います。先生の著書を見てその通りにします。ちなみに私は「、」派ですが・・・。一括で「置換」できますので、最後に置き換えてもよいです。
・ 目次と参考文献の書き方はもっとも重要なポイント。できれば図表目次も入れましょう。「見出し」機能を使って構造的に書いていれば、目次はワードが自動でやってくれるので問題ないが、参考文献はきちんと体裁を整える。たとえば、2行にまたがる場合の2行目をぶら下がりにするとか、そういう細かいところにも気を遣う。オフィス2007の文献リスト機能は便利なようであまり使えませんので、自分で書いたほうがきちんと仕上がります。先生が見る順番は、題名、目次、参考文献の順番です。
・ 参考文献は、英語(アルファベット順)、日本語(五十音順)で並べる。
・ 参考文献は、論文を書くために参考にした本はとりあえず全部入れる。引用文献とすればそれはできませんが・・・。
・ 表記の仕方は先生の著書を見てその方法で。もし分からない人がいれば、『赤門マネジメントレビュー』投稿マニュアル(東大)を参考にしてみてください。いずれにしろ、先生が執筆された学術書のやり方でやるのがベストです。本文中の論文引用も同様です。
・ 誤字・脱字、「てにをは」は細かく見ましょう。締め切り1日前はこれに費やしましょう。
・ 図表やページを論文内で参照している場合は、その番号が正しいか必ず確認します。たび重なる校正でばらばらになっていることが多くて焦ります。
・ 提出部数よりも1部多く「作る」。黒表紙がもったいないが、あせらないための方法。もっとも、提出する体裁にした論文は自分の記念になります。
・ 提出前には必ずページの落丁・乱丁をチェックし、必要なら差し替える(そのために1~2部多いのが役立つ)。
・ 締め切りは必ず守る。遅れると受理してくれません。
2010年8月1日日曜日
組織認識論(加護野)
パラダイムといえばクーンですが、日本で組織の研究に応用した第一人者と言えば神戸大学の加護野先生です。そこで、MBA時代に修士論文を書くのに使った本を再読です:
加護野忠男(1988)『組織認識論:企業における創造と革新の研究』千倉書房
加護野忠男(1988)『組織認識論:企業における創造と革新の研究』千倉書房
2010年7月11日日曜日
ビジネス・エコノミクス(伊藤)
ブックオフで105円だった伊藤元重(2004)『ビジネス・エコノミクス』日本経済新聞社を読んでみます。
ビジネスエコノミクスでは、この本が分かりやすいとMBA時代の友人が推薦していました。
ビジネスエコノミクスは、MBA時代に履修しました。その時は丸山先生の丸山雅祥(2005)『経営の経済学』有斐閣がテキストでした。これと比較してどちらがよいか、考えながら読んでみます。
ビジネスエコノミクスでは、この本が分かりやすいとMBA時代の友人が推薦していました。
ビジネスエコノミクスは、MBA時代に履修しました。その時は丸山先生の丸山雅祥(2005)『経営の経済学』有斐閣がテキストでした。これと比較してどちらがよいか、考えながら読んでみます。
2010年6月25日金曜日
知識創造の方法論(野中・紺野) 読了しました
野中郁次郎、紺野登(2003)『知識創 造の方法論:ナレッジワーカーの作法』東洋経済新報社を久々に読みました。この本は、通読すると非常に勉強になる。
第一部の「知の方法論の原点」では、プラトンに始まる哲学、つまり著者のいう「知の型」=枠組みや方法論としてとらえるための哲学について概論していく。プラトン、デカルト、デューイ、ロック、カント、西田、といった知の巨人たちの理論が解かれていく。もう少し高いレベルで概観したければ、やはりRussel, B., (1946) History of Western Philosophy, London: Routridge.(市井三郎訳『西洋哲学史:古代より現代にいたる政治的・社会的諸条件との関連における哲学史(3冊組)』みすず書房)がやはり金字塔と思えます。ちなみに、1950年ノーベル文学賞受賞作!なんでやねん、って思いますが、もし余裕があれば、西洋哲学史も買って、野中先生が引いている哲学者のところをじっくり読むと、本当によくわかると思います。 経営学をやるにしても、物事の考え方を学ばないとなかなか入ってこないことが修論やっているころに分かりました。
第二部「社会科学にみる知識創造の知」では、いわゆる社会学の命題、「行為」か「構造」か、を見ていきます。構造の代表はデュルケーム。行為の代表はヴェーバー(ウェーバーと野中先生は書いておられるが、雰囲気があるのはこちらか?)。そして出てくるのは当然「プロ倫」。そして「意味」。レヴィ・ストロース代表のフィールドワークと構造主義。そして出てくるのが有名なホワイトのストリートコーナーソサエティ。そして現象学のフッサールに至る。最後にはやはり、データによる実証主義の限界と個別事例によるメカニズム解明にいたる沼上幹(2000)『行為の経営学:経営学における意図せざる結果の探究』白桃書房への言及がある。推論の方法について、社会学的な見地から推し進めている。論文を書くときに必要な作法がしっかりと書かれていることもプラスポイント。こんなもんいるんかいな、って思いますが、読んで咀嚼して損はない。
ここまでは、いわゆる修論の組立て構造についてと考えればよいが、実務家にはいささか退屈と思う。しかし、第三部「コンセプトの方法論」からは理論嫌いな実務家でも十二分に楽しめると思います。コンセプト、つまり概念の問題で、現場をよく観察し、その意味を見出して概念化し、モデル(理論)化するというプロセスについて解かれている。そして、それらがビジネスのケースとしてどのようにApplyされているかを提示している。
第一部と第二部はMBA学生必読。社会人のダルな頭に喝を入れる。といっても、野中郁次郎、竹内弘高(1996)『知的創造企業』(梅本勝博訳)東洋経済新報社をしっかりと読めばこの本までいるか、とも思えます。まず、知的創造企業を熟読して、物足りなければこれをよむスタンス。全然物足りなければ西洋哲学史に行けばどうでしょうか。いい本です。
野中郁次郎、紺野登(2003)『知識創 造の方法論:ナレッジワーカーの作法』東洋経済新報社
目次
まえがき
序 知の方法を身にまとう
1 新たな経営の知
2 ナレッジワーカーの時代
第1部 知の方法論の原点
1 哲学に見る知識創造の知
2 知識創造理論で見た哲学の知の壁
3 知識創造プロセスと弁証法のダイナミズム
第2部 社会科学に見る知識創造の知
1 科学の知の方法論の意味合いとその変遷
2 社会学の知のアプローチ―構造・行為・意味・統合
3 潜在的メカニズムの発見へ
4 新たな経営の知に向けて―綜合の知
第3部 「コンセプト」の方法論
1 コンセプトとは何か
2 「観察」の方法論―アイデアの源泉としての経験
3 「概念化」の方法論―意味の発見と形成
4 「モデル化(理論化)」の方法論
5 「実践化」の方法論
6 日常的行為へ
第4部 経営と知の方法
1 企業の知の型(組織的知識創造)
2 ナレッジ・リーダーシップ
注
参考文献
索引
第一部の「知の方法論の原点」では、プラトンに始まる哲学、つまり著者のいう「知の型」=枠組みや方法論としてとらえるための哲学について概論していく。プラトン、デカルト、デューイ、ロック、カント、西田、といった知の巨人たちの理論が解かれていく。もう少し高いレベルで概観したければ、やはりRussel, B., (1946) History of Western Philosophy, London: Routridge.(市井三郎訳『西洋哲学史:古代より現代にいたる政治的・社会的諸条件との関連における哲学史(3冊組)』みすず書房)がやはり金字塔と思えます。ちなみに、1950年ノーベル文学賞受賞作!なんでやねん、って思いますが、もし余裕があれば、西洋哲学史も買って、野中先生が引いている哲学者のところをじっくり読むと、本当によくわかると思います。 経営学をやるにしても、物事の考え方を学ばないとなかなか入ってこないことが修論やっているころに分かりました。
第二部「社会科学にみる知識創造の知」では、いわゆる社会学の命題、「行為」か「構造」か、を見ていきます。構造の代表はデュルケーム。行為の代表はヴェーバー(ウェーバーと野中先生は書いておられるが、雰囲気があるのはこちらか?)。そして出てくるのは当然「プロ倫」。そして「意味」。レヴィ・ストロース代表のフィールドワークと構造主義。そして出てくるのが有名なホワイトのストリートコーナーソサエティ。そして現象学のフッサールに至る。最後にはやはり、データによる実証主義の限界と個別事例によるメカニズム解明にいたる沼上幹(2000)『行為の経営学:経営学における意図せざる結果の探究』白桃書房への言及がある。推論の方法について、社会学的な見地から推し進めている。論文を書くときに必要な作法がしっかりと書かれていることもプラスポイント。こんなもんいるんかいな、って思いますが、読んで咀嚼して損はない。
ここまでは、いわゆる修論の組立て構造についてと考えればよいが、実務家にはいささか退屈と思う。しかし、第三部「コンセプトの方法論」からは理論嫌いな実務家でも十二分に楽しめると思います。コンセプト、つまり概念の問題で、現場をよく観察し、その意味を見出して概念化し、モデル(理論)化するというプロセスについて解かれている。そして、それらがビジネスのケースとしてどのようにApplyされているかを提示している。
第一部と第二部はMBA学生必読。社会人のダルな頭に喝を入れる。といっても、野中郁次郎、竹内弘高(1996)『知的創造企業』(梅本勝博訳)東洋経済新報社をしっかりと読めばこの本までいるか、とも思えます。まず、知的創造企業を熟読して、物足りなければこれをよむスタンス。全然物足りなければ西洋哲学史に行けばどうでしょうか。いい本です。
野中郁次郎、紺野登(2003)『知識創 造の方法論:ナレッジワーカーの作法』東洋経済新報社
目次
まえがき
序 知の方法を身にまとう
1 新たな経営の知
2 ナレッジワーカーの時代
第1部 知の方法論の原点
1 哲学に見る知識創造の知
2 知識創造理論で見た哲学の知の壁
3 知識創造プロセスと弁証法のダイナミズム
第2部 社会科学に見る知識創造の知
1 科学の知の方法論の意味合いとその変遷
2 社会学の知のアプローチ―構造・行為・意味・統合
3 潜在的メカニズムの発見へ
4 新たな経営の知に向けて―綜合の知
第3部 「コンセプト」の方法論
1 コンセプトとは何か
2 「観察」の方法論―アイデアの源泉としての経験
3 「概念化」の方法論―意味の発見と形成
4 「モデル化(理論化)」の方法論
5 「実践化」の方法論
6 日常的行為へ
第4部 経営と知の方法
1 企業の知の型(組織的知識創造)
2 ナレッジ・リーダーシップ
注
参考文献
索引
2010年6月20日日曜日
文献の探し方
もともと前のエントリーに同じにしていたのを分けます。
吉原英樹(1988)『「ばかな」と「なるほど」:経営成功 のキメ手!』同文舘出版と、吉原英樹、安室憲一、金井一頼(1987)『「非」常識の経営』東 洋経済新報社の2冊を読もうと、アマゾンやブックオフなどで古本を探しましたが、全く見つかりませんでした。こういう場合に検索サイトを活用します。
和書であれば、大阪府WEB-OPAC を調べます。大阪府下の公共図書館と日本全国の大学図書館の検索サイトNACSIS WEBCATから検索してくれます。単行本でこの探し方でヒットしなかった文献はありません。学生のころは神戸大学附属図書館のOPACで調べるとほとんどは神戸大学 に所蔵されていましたが、中之島図書館が勤務先から近いので、その利用のために大阪府のOPACもよく使っていました。大阪府中央図書館からも配本可能で すので、使いやすいです。マイナーな業界紙とか雑誌は普通では探せませんから、そういうときにおせわになりっぱなしだったのが、国会図書館OPACでした。修士論文を書いているころに、国会図書館にしか所蔵が ない業界紙をコピーによく行きました。行かなくてもコピーサービスもあるので、利用するのも手です。
洋書は、神戸大学附属図書館のOPACで調べることが多いです。NACSIS WEBCATでも調べることができます。修士論文の準備で英語の参考文献を相当読んでいたので、その頃はよくお世話になりました。ちなみに、神戸大学になかった必要文献は、WEBCATで調べれば、どの大学にあるかが分かります。
結局上記2冊は、この近辺だと神戸大学社会科学系図書館(神戸の先生の著書ですから当然ですよね)と大阪市立中央図書館にありました。久しぶりに西長堀の中央図書館で借りてきました。この図書館は、雑誌が充実していて、神戸大学にない文献をここが収集していたので、たまに行っていました。大阪府立中央図書館や大阪府立中之島図書館に比べて書庫からの出庫が遅いのが難 点ですが、15分ぐらいのことです。
こういう資料の探し方もMBAに行って徹底してうまくなりました。自分の家や会 社からこうやって日本中の蔵書情報が手に入る。すごい時代であることを改めて感じます。
2010年6月19日土曜日
まだまだ続くMBA
私は2009年9月に修了しましたが、まだまだゼミが続いています。
9月に修了できたのが14名中10名、2名は翌年3月に修了したのですが、後2名が仕事の関係などで休学していたので、この8月に修論を出す予定になっています。ですから、修了してからも月に1回のペースでゼミが開かれています。このゼミが非常にいい刺激になっています。MBAのころ、特にプロジェクトやゼミでは脳みそに汗をかきまくっていましたが、修了するとそういう機会が少なくなりますし、会社の付き合いが中心になる中で、全く会社と関係ない仲間とともに考える時間が取れることは素晴らしいことと思います。
それと神戸のいいところは、ゼミだけでなく、ほかのつながりも持続できるところだと思います。先週は、本来はゼミが予定されていましたが、小川先生のゼミに一橋の楠木先生が登場するというので、小川先生にお願いして参加させてもらいました。こういう機会はなかなか普通では形成できませんね。
そして、楠木先生が火付け役で、小川先生がお勧め、そして金井先生もその輪に入ってきている本が、吉原英樹(1988)『「ばかな」と「なるほど」:経営成功のキメ手!』同文舘出版、いわゆる「ばかなる」(楠木先生命名)、それと、吉原英樹、安室憲一、金井一頼(1987)『「非」常識の経営』東洋経済新報社の2冊です。 1980年代後半、つまりプラザ合意の円高不況からバブルへの道、その時代にサラリーマン生活をはじめた私としては、この本に掲載されている事例の香りがいかにも香ばしくって、そっちのほうに気を取られてしまいます。これから読み進めていきたいと思います。こういう本は、我々では気づきません。先生たちに感謝!
9月に修了できたのが14名中10名、2名は翌年3月に修了したのですが、後2名が仕事の関係などで休学していたので、この8月に修論を出す予定になっています。ですから、修了してからも月に1回のペースでゼミが開かれています。このゼミが非常にいい刺激になっています。MBAのころ、特にプロジェクトやゼミでは脳みそに汗をかきまくっていましたが、修了するとそういう機会が少なくなりますし、会社の付き合いが中心になる中で、全く会社と関係ない仲間とともに考える時間が取れることは素晴らしいことと思います。
それと神戸のいいところは、ゼミだけでなく、ほかのつながりも持続できるところだと思います。先週は、本来はゼミが予定されていましたが、小川先生のゼミに一橋の楠木先生が登場するというので、小川先生にお願いして参加させてもらいました。こういう機会はなかなか普通では形成できませんね。
そして、楠木先生が火付け役で、小川先生がお勧め、そして金井先生もその輪に入ってきている本が、吉原英樹(1988)『「ばかな」と「なるほど」:経営成功のキメ手!』同文舘出版、いわゆる「ばかなる」(楠木先生命名)、それと、吉原英樹、安室憲一、金井一頼(1987)『「非」常識の経営』東洋経済新報社の2冊です。 1980年代後半、つまりプラザ合意の円高不況からバブルへの道、その時代にサラリーマン生活をはじめた私としては、この本に掲載されている事例の香りがいかにも香ばしくって、そっちのほうに気を取られてしまいます。これから読み進めていきたいと思います。こういう本は、我々では気づきません。先生たちに感謝!
2010年6月18日金曜日
知識創造の方法論(野中・紺野)
この前読了した野中郁次郎、竹内弘高(1996)『知的創造企業』(梅本勝博訳)東洋経済新報社の第2章に特化したような本が野中郁次郎、紺野登(2003)『知識創造の方法論:ナレッジワーカーの作法』東洋経済新報社です。 これも久々に読んでみることとします。
なお、今回から、リンクはブクログの該当ページへのリンクに改めます。アマゾンのリンクでもよいのですが、ブクログのほうが、関連商品やレビューも出ていて、アマゾンへのリンクも提供されているので、こちらのほうが有益な情報が多いと思います。
なお、今回から、リンクはブクログの該当ページへのリンクに改めます。アマゾンのリンクでもよいのですが、ブクログのほうが、関連商品やレビューも出ていて、アマゾンへのリンクも提供されているので、こちらのほうが有益な情報が多いと思います。
2010年6月17日木曜日
知的創造企業(野中・竹内) 読了しました
久々に、野中郁次郎、竹内弘高(1996)『知的創造企業』(梅本勝博訳)東洋経済新報社を読みました。事例が古いのは否めませんが、ぜひ読んでみてほしい。西洋哲学における知とは、形式的でかつ体系的。我々がいままで学んできた知は、この系統に属するだろう。一方で、日本的な知の系譜も存在するという。「人間と自然を一体化」する基本的志向は、西洋的な知とは対極であろう。たとえば、習慣に基づく「勘」、体で覚えこんだ技術、頭の中にだけあるノウハウなど、形式知になっていない暗黙知に注目されておらず、暗黙知から形式知を作り出すということまでに及んでいないと説く。
そして、知識創造のプロセスは、有名なSECIモデルにより、スパイラルアップして進行していく
共同化(Socialization) 暗黙知から暗黙知へ 各人の経験の共有化
形式化(Externalization) 暗黙知から形式知へ 共有した暗黙知を言語で表現する
連結化(Combination) 形式知から形式知へ 各人の形式知をマニュアルなどで一緒にする
内面化(Internalization)形式知から暗黙知へ 形式知を各人の内面で暗黙知化する
といった感じで、ホンダシティ、松下のホームベーカリー、キャノンのミニコピア、シャープの緊プロなどの事例を通じてそれを示していく。
この本のいいところは、単なる成功事例の羅列ではなく、序文にあるように組織的知識創造の一般理論を構築しようとする試みであること。理論志向の強さは、第2章の知識と経営で展開される西洋哲学の地に関する系譜、そして日本文化への言及で表されている。RBVの基本テキストであるだけに、内部資源にほぼ限定された議論であるが外部環境の影響の議論を排していることから、より理解しやすく仕上がっている。
筆者は、第4章から読めばよいというが、私としては、すべてのビジネスパーソンは、第2章と第3章を熟読してほしいと思う。
Nonaka, I. & Takeuchi, H. (1995) The Knowledge-Creating Company: How Japanese Companies Create the Dynamics of Innovation. Oxford, UK: Oxford University Press. 邦訳 野中郁次郎、竹内弘高(1996)『知的創造企業』梅本勝博訳、東洋経済新報社
目次
序文
謝辞
第1章 組織における知識―序論
第2章 知識と経営
第3章 組織的知識創造の理論
第4章 知識創造の実例
第5章 知識創造のためのマネジメント・プロセス
第6章 新しい組織構造
第7章 グローバルな組織的知識創造
第8章 実践的提言と理論的発見
日本語版へのあとがき
参考文献
索引
そして、知識創造のプロセスは、有名なSECIモデルにより、スパイラルアップして進行していく
共同化(Socialization) 暗黙知から暗黙知へ 各人の経験の共有化
形式化(Externalization) 暗黙知から形式知へ 共有した暗黙知を言語で表現する
連結化(Combination) 形式知から形式知へ 各人の形式知をマニュアルなどで一緒にする
内面化(Internalization)形式知から暗黙知へ 形式知を各人の内面で暗黙知化する
といった感じで、ホンダシティ、松下のホームベーカリー、キャノンのミニコピア、シャープの緊プロなどの事例を通じてそれを示していく。
この本のいいところは、単なる成功事例の羅列ではなく、序文にあるように組織的知識創造の一般理論を構築しようとする試みであること。理論志向の強さは、第2章の知識と経営で展開される西洋哲学の地に関する系譜、そして日本文化への言及で表されている。RBVの基本テキストであるだけに、内部資源にほぼ限定された議論であるが外部環境の影響の議論を排していることから、より理解しやすく仕上がっている。
筆者は、第4章から読めばよいというが、私としては、すべてのビジネスパーソンは、第2章と第3章を熟読してほしいと思う。
Nonaka, I. & Takeuchi, H. (1995) The Knowledge-Creating Company: How Japanese Companies Create the Dynamics of Innovation. Oxford, UK: Oxford University Press. 邦訳 野中郁次郎、竹内弘高(1996)『知的創造企業』梅本勝博訳、東洋経済新報社
目次
序文
謝辞
第1章 組織における知識―序論
第2章 知識と経営
第3章 組織的知識創造の理論
第4章 知識創造の実例
第5章 知識創造のためのマネジメント・プロセス
第6章 新しい組織構造
第7章 グローバルな組織的知識創造
第8章 実践的提言と理論的発見
日本語版へのあとがき
参考文献
索引
2010年6月14日月曜日
楠木先生とお会いしました!
小川先生のゼミに押しかけ聴講をお願いして、一橋ICSの楠木建先生のお話しをお伺いしました。このブログでも紹介した楠木建(2010)『ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』東洋経済新報社の著書です。
面白かった話として、象が入るぐらいの冷蔵庫に象を入れるとき、「ドアを開ける」⇒「入れる」⇒「締める」の3段階だが、かばを入れるときには4段階になる。どうなるか、というなぞかけに、みんなが答えるが的外れでした。結局「象を外に出す」というのが落ちでしたが、戦略の2つの本質として、「違いを作って」「つなげる」という話。またフレームワーカーやテンプレーターという戦略本にある考え方にフィットさせてしまっているだけ、つまり「戦略作りの下ごしらえ」だけではだめで、手に取るようにストーリーが出てくるよう、「静止画」ではなく「動画」としてのストーリーで語れるようにというお話でした。あと、「コギャル」の話、つまり真似しようとすること自体が違いを増幅する、という話は、本にも紹介されているのですが、具体的にお話いただくとまたこれがよかったです。ちなみに、本のコギャルの話は仙台の話だそうです。そのほかにも魅力的なお話でした。小川先生とCDで聞く小林秀雄という話で盛り上がっていたのですが、楠木先生の本を読んで講義を聴くと、その効用が非常に理解できます。
やはり、小川ゼミに押しかけた身分としては、お話しようと思っても少し遠慮してしまいました。どこかでまたお話したいと思いました。小川ゼミ3回生やMBAの方々にも親切にしていただいて感謝しています。重ねて御礼申し上げます。神戸MBAで得ることができた一つの財産が、こういうつながりです。 小川先生には授業で教わっただけですが、こうやってお願いすると教えを請うことができる。またこうやって親しくお話くださる。そしてまた人と出会うことができる。知的好奇心も満たされ、すばらしい学びがあると思います。昨日、金井先生と高橋先生で「リーダーシップ祭」も神戸大学で開催されていたので、それも行きたかったのですが、仕事でいけず(小川ゼミも遅刻)、残念でした。こういうつながりでも、神戸MBAの一員でよかったと感じます。
なお、楠木先生のツイッターでも紹介されていて、小生も紹介している勢古浩爾(2010)『ビジネス書大バカ辞典』三五館、 お薦めです。表現方法は違いますが、フレームワーカー・テンプレーター的な思考とは何か、その思考の鋳型にはめ込もうとする著者、またそういう思考を無批判に受け入れる読者がいる。あほな書きぶりですが、かなり本質を突いていると思います。ぜひご一読を。
面白かった話として、象が入るぐらいの冷蔵庫に象を入れるとき、「ドアを開ける」⇒「入れる」⇒「締める」の3段階だが、かばを入れるときには4段階になる。どうなるか、というなぞかけに、みんなが答えるが的外れでした。結局「象を外に出す」というのが落ちでしたが、戦略の2つの本質として、「違いを作って」「つなげる」という話。またフレームワーカーやテンプレーターという戦略本にある考え方にフィットさせてしまっているだけ、つまり「戦略作りの下ごしらえ」だけではだめで、手に取るようにストーリーが出てくるよう、「静止画」ではなく「動画」としてのストーリーで語れるようにというお話でした。あと、「コギャル」の話、つまり真似しようとすること自体が違いを増幅する、という話は、本にも紹介されているのですが、具体的にお話いただくとまたこれがよかったです。ちなみに、本のコギャルの話は仙台の話だそうです。そのほかにも魅力的なお話でした。小川先生とCDで聞く小林秀雄という話で盛り上がっていたのですが、楠木先生の本を読んで講義を聴くと、その効用が非常に理解できます。
やはり、小川ゼミに押しかけた身分としては、お話しようと思っても少し遠慮してしまいました。どこかでまたお話したいと思いました。小川ゼミ3回生やMBAの方々にも親切にしていただいて感謝しています。重ねて御礼申し上げます。神戸MBAで得ることができた一つの財産が、こういうつながりです。 小川先生には授業で教わっただけですが、こうやってお願いすると教えを請うことができる。またこうやって親しくお話くださる。そしてまた人と出会うことができる。知的好奇心も満たされ、すばらしい学びがあると思います。昨日、金井先生と高橋先生で「リーダーシップ祭」も神戸大学で開催されていたので、それも行きたかったのですが、仕事でいけず(小川ゼミも遅刻)、残念でした。こういうつながりでも、神戸MBAの一員でよかったと感じます。
なお、楠木先生のツイッターでも紹介されていて、小生も紹介している勢古浩爾(2010)『ビジネス書大バカ辞典』三五館、 お薦めです。表現方法は違いますが、フレームワーカー・テンプレーター的な思考とは何か、その思考の鋳型にはめ込もうとする著者、またそういう思考を無批判に受け入れる読者がいる。あほな書きぶりですが、かなり本質を突いていると思います。ぜひご一読を。
2010年6月10日木曜日
知的創造企業(野中・竹内)
やっぱり日本発でロバストな経営理論といえば、野中郁次郎、竹内弘高(1996)『知的創造企業』(梅本勝博訳)東洋経済新報社に尽きるかもしれない。何度も読みました。安い本なんで、経営学をやる人は絶対に押さえておくべき名著です。閉塞感漂う現代にこそ、この本をしっかり読む意義があると思う。来週の出張に持っていきます。
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