震災前に会社の資料を探しに行った三省堂で経済学のコーナーで見つけた本です。これが分かりやすい。中村真幸、石黒真吾編(2010)『比較制度分析・入門』有斐閣です。帯に「ゲーム理論と契約理論を用いると社会はどのように読み解けるのか」とあります。比較制度分析で最初に日本人としてノーベル経済学賞をとるであろう青木昌彦が巻頭を飾り、伊藤秀史が契約理論について、あとは若手中心に新進気鋭の研究者たちが執筆した豪華本です。
はしがきは学部生を念頭に書かれています。さすがに経済学の本ですから数式が出てきますが、丁寧に自分で式を書き起こしていけば、経済学に遠ざかっていた実務家でもなんとかついていける内容です。取引費用からゲーム理論、そして所有権理論に至るまでのいわゆる比較制度分析の知見を、分かりやすく、かつ学術的なレベルを落とさず説明していますし、不完備契約も非常によく理解できます。
実務家なら各論が大切と思われると思います。その点では、人事制度を構築しようとしている担当者なら、内部労働市場、選抜理論、補完性、情報の非対称性、マルチタスク問題などの知見が不可欠で、そのあたりはしっかりと網羅されています。垂直統合についても自動車産業の例でしっかり説明されていますし、いま一番ホットなコーポレートガバナンスについてもコーポレートガバナンスや取締役会の視点から書かれています。
それでは各論を理解するための理論の説明はどうか。ゲーム理論と契約理論を中心に非常にレベルの高い説明が展開されていて、実務面でも役立つと思います。
練習問題も豊富で、学部用かもしれませんが、非常に明快な本で感心しました。
目次
はしがき
執筆者紹介
第1部 比較制度分析とは何か 制度の経済学の考え方
第1章 制度とは何か
第2章 組織の経済学
第3章 制度の歴史分析
第2部 制度分析の道具を身につける 経済学的基礎
第4章 ゲーム理論の基礎
第5章 契約の経済理論(1)
第6章 契約の経済理論(2)
第3部 制度を分析する 比較制度分析の応用
第7章 垂直的な企業関係
第8章 産業集積の組織
第9章 現代の内部労働市場
第10章 多次元的な仕事と誘因の制御
第11章 コーポレートファイナンス
第12章 金融システムの歴史分析
第13章 政府間の財政制度
第14章 財政システムの歴史分析
練習問題の解答例
索引
おもにMBAプログラムや論文執筆の過程で読んできた経営学と経済学の書籍、それと経営学を理解するために必須の哲学や社会学についての書籍を読み直しています。その時に読めなくて積読になっていた本も読み進めます。MBAを修了したものの、継続的に学ぶためには、何らかの強制力が必要です。そこで、硬軟織り交ぜてご紹介できればと思います。
2011年3月21日月曜日
マネジャーの実像(ミンツバーグ)邦訳読みました
ミンツバーグは実務家にとってはバイブルかもしれない。
お久しぶりです。東北関東大震災から10日経ちました。被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。小生も会社にいて、「揺れるな」と思っていたら、下から突き上げられるような揺れに見舞われ、引き出しが飛び出す、書棚が飛び出すといった感じでした。あとでテレビを見ると、大変なことになっていました。お取引先さまが多数おられたため、八戸から銚子までの海岸線は、新入社員のころから何度となく通い、商談が決まらず打ちひしがれて帰った仙石線、八戸から仙台まで、45号線沿いをレンタカーで回って新規開拓したころなどなど、思い出が詰まった場所なのです。その場所があのような惨事にあって、社内での情報でお取引先さまの状況が出てくるにつれて、胸が痛みます。そして、東京にほど近い新浦安でとんでもない被害が出ている。阪神大震災の時も同じことが起こりましたが、大打撃を受けたところには関心も集まるし支援の手も差し伸べられます。しかし、少し離れたところは目が届かないので関心も薄くなってしまいます。阪神の時は豊中や池田・川西だったし、今回はおそらく浦安や江戸川区の臨海地域だと思います。
閑話休題、地震が起こって、仕事が忙しいのに落ち着かない。家に帰ってきても何もする気が起きないので、ミンツバーグの新刊が翻訳されて出ていたのでそれを買って読みました。英訳は出てしばらくして読んだのですが、訳が出たので、研修とかに使えるかを試す意味でも買ってみました。Mintzberg, H. (2009) Managing, San Francisco: Berrett-Koeler Publishing Inc. ヘンリー・ミンツバーグ(2011)『マネジャーの実像―「管理職」はなぜ仕事に追われているのか』池村千秋訳、日経BP社
です。英語では手が出ない人々に読んでほしいと思い続けていた待望の訳書です。専門書なんてくそくらえという人でも絶対楽しく読めますのでお薦めです。特に、最近マネジメントで迷っている人や、薄っぺらい課長本に抵抗がある人々にお薦めです。ミンツバーグと言えば名著、Mintzberg, H. (1973) The nature of managerial work, New York: Harper & Row. ヘンリー・ミンツバーグ(1993)『マネジャーの仕事』白桃書房、訳 奥村哲史、須貝栄ですが、これのパワーアップ+現代的なコンテクストでまとめあげた素晴らしい本です。27人のマネジャーが登場しますが、それぞれがビビッドに描かれていて、学術的なレベルも高い。「思わぬトラブルが持ちあがったときにマネジャーが上手に対処できる組織」とさらっと述べているが、私の経験ではマネジャーの仕事はこれに尽きると思うし、それをうまく説明しているので非常によくできていると思う。マネジャーになりたての人も、ミドルにとっても、非常に有益であるとともに、学生さんにとっては参考文献が充実している分、リファレンスとしての価値が非常に高い本でもあります。引用の中にリンダ・ヒル(HBS教授)が多く、ぜひ読んでほしい本がまだ翻訳されていないのが惜しまれます。たとえば、新任課長にはHill, L. (2003) Becoming a Manager: How New Managers Master the Challenges of Leadership (2nd expanded ed.) Boston: Harvard Business Press.あたりをぜひ読みこんでほしいと思う。英語の勉強としてもミンツバーグより平易ですから。
目次
はじめに
最初にお読みください
1. マネジメントがいちばん大事
2. マネジメントのダイナミクス
3. マネジメントのモデル
4. マネジメントの知られざる多様性
5. マネジメントのジレンマ
6. 有効なマネジメント
付録 マネジメントの8日間
参考文献
追伸: ちなみに金井先生が3月20日の日経で書評されています。私が言いたいことをこういうようにパシッと言ってくれる。それにしてもいつ本読むんやろ、先生・・・・。3月20日日経
お久しぶりです。東北関東大震災から10日経ちました。被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。小生も会社にいて、「揺れるな」と思っていたら、下から突き上げられるような揺れに見舞われ、引き出しが飛び出す、書棚が飛び出すといった感じでした。あとでテレビを見ると、大変なことになっていました。お取引先さまが多数おられたため、八戸から銚子までの海岸線は、新入社員のころから何度となく通い、商談が決まらず打ちひしがれて帰った仙石線、八戸から仙台まで、45号線沿いをレンタカーで回って新規開拓したころなどなど、思い出が詰まった場所なのです。その場所があのような惨事にあって、社内での情報でお取引先さまの状況が出てくるにつれて、胸が痛みます。そして、東京にほど近い新浦安でとんでもない被害が出ている。阪神大震災の時も同じことが起こりましたが、大打撃を受けたところには関心も集まるし支援の手も差し伸べられます。しかし、少し離れたところは目が届かないので関心も薄くなってしまいます。阪神の時は豊中や池田・川西だったし、今回はおそらく浦安や江戸川区の臨海地域だと思います。
閑話休題、地震が起こって、仕事が忙しいのに落ち着かない。家に帰ってきても何もする気が起きないので、ミンツバーグの新刊が翻訳されて出ていたのでそれを買って読みました。英訳は出てしばらくして読んだのですが、訳が出たので、研修とかに使えるかを試す意味でも買ってみました。Mintzberg, H. (2009) Managing, San Francisco: Berrett-Koeler Publishing Inc. ヘンリー・ミンツバーグ(2011)『マネジャーの実像―「管理職」はなぜ仕事に追われているのか』池村千秋訳、日経BP社
です。英語では手が出ない人々に読んでほしいと思い続けていた待望の訳書です。専門書なんてくそくらえという人でも絶対楽しく読めますのでお薦めです。特に、最近マネジメントで迷っている人や、薄っぺらい課長本に抵抗がある人々にお薦めです。ミンツバーグと言えば名著、Mintzberg, H. (1973) The nature of managerial work, New York: Harper & Row. ヘンリー・ミンツバーグ(1993)『マネジャーの仕事』白桃書房、訳 奥村哲史、須貝栄ですが、これのパワーアップ+現代的なコンテクストでまとめあげた素晴らしい本です。27人のマネジャーが登場しますが、それぞれがビビッドに描かれていて、学術的なレベルも高い。「思わぬトラブルが持ちあがったときにマネジャーが上手に対処できる組織」とさらっと述べているが、私の経験ではマネジャーの仕事はこれに尽きると思うし、それをうまく説明しているので非常によくできていると思う。マネジャーになりたての人も、ミドルにとっても、非常に有益であるとともに、学生さんにとっては参考文献が充実している分、リファレンスとしての価値が非常に高い本でもあります。引用の中にリンダ・ヒル(HBS教授)が多く、ぜひ読んでほしい本がまだ翻訳されていないのが惜しまれます。たとえば、新任課長にはHill, L. (2003) Becoming a Manager: How New Managers Master the Challenges of Leadership (2nd expanded ed.) Boston: Harvard Business Press.あたりをぜひ読みこんでほしいと思う。英語の勉強としてもミンツバーグより平易ですから。
目次
はじめに
最初にお読みください
1. マネジメントがいちばん大事
2. マネジメントのダイナミクス
3. マネジメントのモデル
4. マネジメントの知られざる多様性
5. マネジメントのジレンマ
6. 有効なマネジメント
付録 マネジメントの8日間
参考文献
追伸: ちなみに金井先生が3月20日の日経で書評されています。私が言いたいことをこういうようにパシッと言ってくれる。それにしてもいつ本読むんやろ、先生・・・・。3月20日日経
2011年2月27日日曜日
2月に読んだ本
長らく更新していませんでした。2月は仕事が忙しくなかなか本が読めませんでしたが、それでもなんとか読んだ本を紹介します。
まず、1月終わりにアメリカ出張中に購入したゲーム理論の入門書です。Dixit, A. K. and Nalebuff, B. J. (2008) The Art of Strategy: A Game Theorist's Guide to Success in Business and Life, New York: W. W. Norton & Company. 訳 アビナッシュ・ディキシット、バリー・ネイルバフ(2010)『戦略的思考をどう実践するか:エール大学式ゲーム理論の活用法』嶋津祐一、池村千秋訳、阪急コミュニケーションズです。訳本も昨年末に出ていて買おうか迷っていましたが、英語が安いので、アメリカで買ってきました。前作を上回るパワーです。ゲーム理論を数式を使わずに説明するアプローチは前作と変わるところはないのですが、囚人のジレンマ、ナッシュ均衡、オークション理論、投票、インセンティブなど、ゲーム理論の基礎を非常に楽しく教えてくれる良書です。ケースも豊富ですし、コラムも楽しく、読み飽きません。理論書のような厳密性はありませんが、変な理論書よりも絶対によくできています。
目次
Preface
Introduction: How Should People Behave in Society?
Part 1
1 Ten tales of Strategy
2 Games Solvable by Backward Reasoning
3 Prisoners' Dilemmas and How to Resolve Them
4 Beautiful Equilibrium
Epilogue to Part 1
Part 2
5 Choice and Chance
6 Strategic Moves
7 Making Strategies Credible
Epilogue to Part 2: A Nobel History
Part 3
8 Interpreting and Manipulating Information
9 Cooperation and Coordination
10 Auctions, Bidding and Contests
11 Bargaining
12 Voting
13 Incentives
14 Case Studies
Further Reading
Workouts
Notes
Index
前作Dixit, A. K. and Nalebuff, B. J. (1991) Thinking Strategically: The Competitive Edge in Business, Politics, and Everyday Life, New York: W. W. Norton & Company. 訳 アビナッシュ・ディキシット、バリー・ネイルバフ(1991)『戦略的思考とは何か―エール大学式「ゲーム理論」の発想法 』訳 菅野隆、嶋津祐一、TBSブリタニカ。
と同様、普通のビジネスマンがゲーム理論の基本を理解するための素晴らしい1冊です。両方ともお薦めですね。
次の英語の本は、Cusumano, M. A. (2010) Staying Power: Six Enduring Principles for Managing Strategy and Innovation in an Uncertain World (Lessons From Microsoft, Apple, Intel, Google, Toyota, and More), Oxford: Oxford University Press.
です。MITの看板教授であるクスマノの最新刊。トヨタやホンダに紙面が割かれており、反面、日本のコンピュータ産業が規模を追いかけたことによる失敗など、非常に読みやすく書かれている。何がインテル、マイクロソフト、グーグル、アップルを成功に導いたか、非常に明晰な英語で書かれている良書です。訳が出ればいいのにと思います。
目次
Acknowledgement
Introduction: The Principles of "Staying Power"
1 Platforms, Not Just Products
2 Services, Not Just Products (or Platforms)
3 Capabilities, Not Just Strategy
4 Pull, Don't Just Push
5 Scope, Not Just Scale
6 Flexibility, Not Just Efficiency
Conclusion: The Power of Ideas and Research
Appendix 1: The Research Challenge: In Search of "Best Practice"
Appendix 2: Additional Tables
References
Index
まだ読んだ本あります。また紹介しますね。
まず、1月終わりにアメリカ出張中に購入したゲーム理論の入門書です。Dixit, A. K. and Nalebuff, B. J. (2008) The Art of Strategy: A Game Theorist's Guide to Success in Business and Life, New York: W. W. Norton & Company. 訳 アビナッシュ・ディキシット、バリー・ネイルバフ(2010)『戦略的思考をどう実践するか:エール大学式ゲーム理論の活用法』嶋津祐一、池村千秋訳、阪急コミュニケーションズです。訳本も昨年末に出ていて買おうか迷っていましたが、英語が安いので、アメリカで買ってきました。前作を上回るパワーです。ゲーム理論を数式を使わずに説明するアプローチは前作と変わるところはないのですが、囚人のジレンマ、ナッシュ均衡、オークション理論、投票、インセンティブなど、ゲーム理論の基礎を非常に楽しく教えてくれる良書です。ケースも豊富ですし、コラムも楽しく、読み飽きません。理論書のような厳密性はありませんが、変な理論書よりも絶対によくできています。
目次
Preface
Introduction: How Should People Behave in Society?
Part 1
1 Ten tales of Strategy
2 Games Solvable by Backward Reasoning
3 Prisoners' Dilemmas and How to Resolve Them
4 Beautiful Equilibrium
Epilogue to Part 1
Part 2
5 Choice and Chance
6 Strategic Moves
7 Making Strategies Credible
Epilogue to Part 2: A Nobel History
Part 3
8 Interpreting and Manipulating Information
9 Cooperation and Coordination
10 Auctions, Bidding and Contests
11 Bargaining
12 Voting
13 Incentives
14 Case Studies
Further Reading
Workouts
Notes
Index
前作Dixit, A. K. and Nalebuff, B. J. (1991) Thinking Strategically: The Competitive Edge in Business, Politics, and Everyday Life, New York: W. W. Norton & Company. 訳 アビナッシュ・ディキシット、バリー・ネイルバフ(1991)『戦略的思考とは何か―エール大学式「ゲーム理論」の発想法 』訳 菅野隆、嶋津祐一、TBSブリタニカ。
と同様、普通のビジネスマンがゲーム理論の基本を理解するための素晴らしい1冊です。両方ともお薦めですね。
次の英語の本は、Cusumano, M. A. (2010) Staying Power: Six Enduring Principles for Managing Strategy and Innovation in an Uncertain World (Lessons From Microsoft, Apple, Intel, Google, Toyota, and More), Oxford: Oxford University Press.
です。MITの看板教授であるクスマノの最新刊。トヨタやホンダに紙面が割かれており、反面、日本のコンピュータ産業が規模を追いかけたことによる失敗など、非常に読みやすく書かれている。何がインテル、マイクロソフト、グーグル、アップルを成功に導いたか、非常に明晰な英語で書かれている良書です。訳が出ればいいのにと思います。
目次
Acknowledgement
Introduction: The Principles of "Staying Power"
1 Platforms, Not Just Products
2 Services, Not Just Products (or Platforms)
3 Capabilities, Not Just Strategy
4 Pull, Don't Just Push
5 Scope, Not Just Scale
6 Flexibility, Not Just Efficiency
Conclusion: The Power of Ideas and Research
Appendix 1: The Research Challenge: In Search of "Best Practice"
Appendix 2: Additional Tables
References
Index
まだ読んだ本あります。また紹介しますね。
2011年1月31日月曜日
企業 契約 金融構造(ハート)
久々に購入した経済学の本が、Hart, O. (1995) Firms, Contracts, and Financial Structures. Oxford: Oxford University Press. 訳 オリバー・ハート(2010) 『企業 契約 金融構造』 鳥居昭夫訳、慶應義塾大学出版会です。取引費用論を超えて、所有権(残余コントロール権)という概念を用いて組織の境界線を明らかにしようとしている。修士論文を書くときにGrossman, Hart, Mooreの所有権理論の巨人たちのジャーナルを英語で読みだしたのだが、数式の羅列であまりにも難しく挫折。そのうち英語で若干かじった本が邦訳になったので、興味を持っていたところ、正月すぎに購入し、アメリカ出張に持っていった次第である。
しかし、シアトルからミネアポリスに行く飛行機に忘れてきてしまった(泣)。ナッシュ均衡の章まで読んだが、意外と読みやすい。アメリカの経済学の優れたテキストのとおり、例をふんだんに使って、分かりやすく説明しようとしている。といっても、もう一度購入して読むしかない。くそ~。
しかし、シアトルからミネアポリスに行く飛行機に忘れてきてしまった(泣)。ナッシュ均衡の章まで読んだが、意外と読みやすい。アメリカの経済学の優れたテキストのとおり、例をふんだんに使って、分かりやすく説明しようとしている。といっても、もう一度購入して読むしかない。くそ~。
2010年9月5日日曜日
経営理論偽りの系譜:マネジメント思想の巨人たちの功罪(フープス)
阪急六甲から六甲道に降りて行く途中に宇仁菅書店という古本屋があります。先日大学に行ったときにふらっと六甲道方面に歩いていたときに見つけて、立ち寄ってみました。哲学、美術、文学などの古本が多い中、経営書も若干は置いています。そこで見つけたのがHoopes, J., (2003) False Prophets: The Gurus Who Created Modern Management and Why their Ideas are Bad for Business Today. Cambridge, MA: Basic Books. 邦訳 ジェームズ・フープス(2006)『経営理論 偽りの系譜:マネジメント思想の巨人たちの功罪』有賀裕子 訳、東洋経済新報社である。 この本で紹介される人物は、経営学上非常に重要な貢献をしていると教わる。実際に至るところでこれらの人物の理論に出会い、そしてまさに「科学的管理法」としての経営学を学ぶ。しかし著者は、それらの「偉人」たちに立ち向かい、公然と批判するのである。このスタンスが非常に気になり、買ってしまった次第である。
積読になっていたのだが、これを今週は読んでみようと思う。ある意味異端の書である。
積読になっていたのだが、これを今週は読んでみようと思う。ある意味異端の書である。
2010年9月4日土曜日
「バカな」と「なるほど」(吉原)
この本、様々なところで大反響です。1988年の本なのですが、今読み返しても示唆に富んでいます。
私が最初にこの本を知ったのは、神戸大学の小川先生のTweetです。誰もが「バカな」と思うことに実は合理性があって、後で成功したときにそのストーリーを聞くと「なるほど」と言える合理性があるという話です。次にこの本について言及されているのが一橋大学の楠木先生。楠木先生の本自体がこの本を底本にしたのではないかと思えるぐらいです。その次は神戸大学の金井先生。そして同じく神戸の三品先生。そして極めつけは、神戸の加護野先生がこの本について述べられたことで、この本のすごさが分かってもらえると思う。
この本にも紹介されているのが山代温泉のホテル百万石。田んぼのど真ん中に1200坪の土地を買い、600畳の大広間がある旅館を建設するという、当時としては考えられないだれもが「バカな」というやり方。しかし、客が続々と入りだしてなぜそういうことをしたかを聞くと、バスや自家用車の時代であることやコンベンション需要の高まりなど、みんなが「なるほど」といえる戦略が素晴らしい戦略であるということ。これが吉原先生では「バカなとなるほど」ですし、楠木先生だと「キラーパス」なのですね。
久々に読みなおすと、薄い本ですが非常に分かりやすい。ケースが古いのが難点だが、イビデン、ホテル百万石、ホソカワミクロンなどの話は今でも新しく読めます。
非常に残念なのですが、この本、アマゾンで古本を買うのは不可能です。古本屋で見かけたら即お買い上げしてください。図書館で調べてあれば読んでください。少なくとも神戸大学、大阪市中央図書館にはあります(大阪府立には残念ながらありません)。丹念に探さないとない本です(私もコピーがあるだけです)。ぜひご一読ください。ネタの料理の仕方が上手ですね。
吉原英樹(1988)『「バカな」と「なるほど」:経営成功の決め手!』同文舘
目次
はしがき
第一部 常識破りの発想
1 バカなとなるほど 成功する戦略の二大条件
2 答えを見ながら答案を書く 創造的戦略の発想法
3 べき論より予測論を 経営者の先見力強化法
4 ダブダブの洋服の戦略メッセージ 戦略を効果的に伝える方法
5 マイナス情報に情けをかけよう
6 組織慣性との戦い 企業変身の最強の敵
7 人事スペシャリスト不要論 野村証券の「非」常識な人事部
8 から元気のリーダーシップ
9 社内事情より社外事情を優先 野村證券のキープヤングの人事
10 女が分からないで経営ができるか
11 人づくりは人選びから
12 計画のグレシャムの法則
第二部 常識破りの戦略
1 多角化を成功させるキーファクター
2 非常識な戦略で活路を開く
3 中堅企業海外進出の成功の条件
4 夢と技術力と余裕 海外進出成功のキーファクター
5 安全運転は新事業の敵
初出一覧
私が最初にこの本を知ったのは、神戸大学の小川先生のTweetです。誰もが「バカな」と思うことに実は合理性があって、後で成功したときにそのストーリーを聞くと「なるほど」と言える合理性があるという話です。次にこの本について言及されているのが一橋大学の楠木先生。楠木先生の本自体がこの本を底本にしたのではないかと思えるぐらいです。その次は神戸大学の金井先生。そして同じく神戸の三品先生。そして極めつけは、神戸の加護野先生がこの本について述べられたことで、この本のすごさが分かってもらえると思う。
この本にも紹介されているのが山代温泉のホテル百万石。田んぼのど真ん中に1200坪の土地を買い、600畳の大広間がある旅館を建設するという、当時としては考えられないだれもが「バカな」というやり方。しかし、客が続々と入りだしてなぜそういうことをしたかを聞くと、バスや自家用車の時代であることやコンベンション需要の高まりなど、みんなが「なるほど」といえる戦略が素晴らしい戦略であるということ。これが吉原先生では「バカなとなるほど」ですし、楠木先生だと「キラーパス」なのですね。
久々に読みなおすと、薄い本ですが非常に分かりやすい。ケースが古いのが難点だが、イビデン、ホテル百万石、ホソカワミクロンなどの話は今でも新しく読めます。
非常に残念なのですが、この本、アマゾンで古本を買うのは不可能です。古本屋で見かけたら即お買い上げしてください。図書館で調べてあれば読んでください。少なくとも神戸大学、大阪市中央図書館にはあります(大阪府立には残念ながらありません)。丹念に探さないとない本です(私もコピーがあるだけです)。ぜひご一読ください。ネタの料理の仕方が上手ですね。
吉原英樹(1988)『「バカな」と「なるほど」:経営成功の決め手!』同文舘
目次
はしがき
第一部 常識破りの発想
1 バカなとなるほど 成功する戦略の二大条件
2 答えを見ながら答案を書く 創造的戦略の発想法
3 べき論より予測論を 経営者の先見力強化法
4 ダブダブの洋服の戦略メッセージ 戦略を効果的に伝える方法
5 マイナス情報に情けをかけよう
6 組織慣性との戦い 企業変身の最強の敵
7 人事スペシャリスト不要論 野村証券の「非」常識な人事部
8 から元気のリーダーシップ
9 社内事情より社外事情を優先 野村證券のキープヤングの人事
10 女が分からないで経営ができるか
11 人づくりは人選びから
12 計画のグレシャムの法則
第二部 常識破りの戦略
1 多角化を成功させるキーファクター
2 非常識な戦略で活路を開く
3 中堅企業海外進出の成功の条件
4 夢と技術力と余裕 海外進出成功のキーファクター
5 安全運転は新事業の敵
初出一覧
2010年9月2日木曜日
旅行で読んだ本 『戦略的思考とは何か』(ディキシット&ネイルバフ)
1か月ほど前に加護野忠男(1988)『組織認識論:企業における創造と革新の研究』千倉書房を読む決心をしたのですが、読み始めるとあまり面白くないのでいつも読むのをやめてしまう。久々に難渋する本です。
たとえば、組織認識論の前に読んでいたKuhn, T., S.(1962) The Structure of Scientific Revolutions. Chicago: The University of Chicago Press. 邦訳 トーマス・クーン(1971)『科学革命の構造』中山茂 訳、みすず書房なんか面白く読めたのに、どうしても組織認識論が読みすすめていけない。もっと難解な本でもそれほど苦労をせずに読めているのになぜ読めないのだろうか。
旅行に持っていけば読めるかと思い、重たい本を持っていったが、結局読む気が起きない。そんなに難解な文章とも思わないのだが、ダメです。もう少し落ち着いて読むことにします。
8月25日から29日まで北海道に家族旅行に行っていました。飛行機で旭川まで飛んで、旭山動物園、そして札幌、小樽、定山渓を回って、トワイライトエクスプレスに乗って大阪まで帰ってくるという旅行です。相当散在しましたが、子どもや嫁はんが楽しんでいる姿を見るとホッとします。結局、組織行動論を読まずに読み返していた本が Dixit, A. K. and Nalebuff, B. J. (1991) Thinking Strategically: the Competitive Edge in Business, Politics and Everyday Life. New York: W. W. Norton & Co. 邦訳 アビナッシュ・ディキシット、バリー・ネイルバフ(1991)『戦略的思考とは何か:エール大学式「ゲーム理論」の発想法』菅野隆、島津祐一 訳、TBSブリタニカ です。一晩で330ページを一気に読んでしまいました。この本も原書が半額以下なので、原書がお勧めですが、日本語でも十分に楽しめます。神戸MBAのビジネスエコノミクス応用研究の副読本でしたが、ゲーム理論の書籍の中では最も分かりやすい1冊と思います。数式がほとんど使われておらず、ビジネスマンでも一気に読みこなせます。囚人のジレンマやミックス理論などのゲーム理論の基本から、ケースを使った発展的内容までほぼ網羅されています。アメリカの教科書なのでケースがアメリカ人なら分かりやすいケースですが、日本人でも十分読みこなせます。1991年の本とは思えないぐらいに新鮮でビビッドです。ぜひお勧めします。ただ、分かりやすいので、一読して「分かった気になる」可能性はありますので、しっかりと読んでほしいと思います。
目次
著者まえがき
日本版への序
第1部 ゲーム理論の基本コンセプト
第1章 戦略ショートショート
第2章 交互行動ゲーム
第3章 同時進行ゲーム
第2部 基本コンセプトの発展
第4章 囚人のジレンマ
第5章 戦略活用行動
第6章 実行の確約
第7章 予測不能性
第3部 ゲーム理論の戦略的状況への活用
第8章 瀬戸際戦略
第9章 協力と協調
第10章 投票
第11書 交渉
第12章 誘因(インセンティブ)
第13章 ケーススタディ
訳者あとがき
たとえば、組織認識論の前に読んでいたKuhn, T., S.(1962) The Structure of Scientific Revolutions. Chicago: The University of Chicago Press. 邦訳 トーマス・クーン(1971)『科学革命の構造』中山茂 訳、みすず書房なんか面白く読めたのに、どうしても組織認識論が読みすすめていけない。もっと難解な本でもそれほど苦労をせずに読めているのになぜ読めないのだろうか。
旅行に持っていけば読めるかと思い、重たい本を持っていったが、結局読む気が起きない。そんなに難解な文章とも思わないのだが、ダメです。もう少し落ち着いて読むことにします。
8月25日から29日まで北海道に家族旅行に行っていました。飛行機で旭川まで飛んで、旭山動物園、そして札幌、小樽、定山渓を回って、トワイライトエクスプレスに乗って大阪まで帰ってくるという旅行です。相当散在しましたが、子どもや嫁はんが楽しんでいる姿を見るとホッとします。結局、組織行動論を読まずに読み返していた本が Dixit, A. K. and Nalebuff, B. J. (1991) Thinking Strategically: the Competitive Edge in Business, Politics and Everyday Life. New York: W. W. Norton & Co. 邦訳 アビナッシュ・ディキシット、バリー・ネイルバフ(1991)『戦略的思考とは何か:エール大学式「ゲーム理論」の発想法』菅野隆、島津祐一 訳、TBSブリタニカ です。一晩で330ページを一気に読んでしまいました。この本も原書が半額以下なので、原書がお勧めですが、日本語でも十分に楽しめます。神戸MBAのビジネスエコノミクス応用研究の副読本でしたが、ゲーム理論の書籍の中では最も分かりやすい1冊と思います。数式がほとんど使われておらず、ビジネスマンでも一気に読みこなせます。囚人のジレンマやミックス理論などのゲーム理論の基本から、ケースを使った発展的内容までほぼ網羅されています。アメリカの教科書なのでケースがアメリカ人なら分かりやすいケースですが、日本人でも十分読みこなせます。1991年の本とは思えないぐらいに新鮮でビビッドです。ぜひお勧めします。ただ、分かりやすいので、一読して「分かった気になる」可能性はありますので、しっかりと読んでほしいと思います。
目次
著者まえがき
日本版への序
第1部 ゲーム理論の基本コンセプト
第1章 戦略ショートショート
第2章 交互行動ゲーム
第3章 同時進行ゲーム
第2部 基本コンセプトの発展
第4章 囚人のジレンマ
第5章 戦略活用行動
第6章 実行の確約
第7章 予測不能性
第3部 ゲーム理論の戦略的状況への活用
第8章 瀬戸際戦略
第9章 協力と協調
第10章 投票
第11書 交渉
第12章 誘因(インセンティブ)
第13章 ケーススタディ
訳者あとがき
2010年7月17日土曜日
ビジネス・エコノミクス(伊藤) 読了しました
105円の本としては最高、1890円でも上出来です。
ビジネスエコノミクスの基本的な書籍としては、幅広い読者がミクロ経済学の基礎を学ぶのに最適な1冊と思います。MBAでビジネスエコノミクスを本格的にやった方々には少し物足りないかもしれませんが、私はこの本を通読してもう一度ビジネスエコノミクスを勉強しようと思った次第です。
カバーされている内容は、基礎的なところから高度なところまで幅広いが、読みやすいがゆえにストレスを感じない。需要曲線と価格弾力性、市場と組織の経済学、エージェンシー理論とモラルハザード、逆選択、情報の非対称性、囚人のディレンマ、ゲームの繰り返しと協調、ホールドアップ問題、ポーターの競争戦略といった、民間企業の管理職(ある程度の決定権を与えられるポジション)の基礎素養としては必要かつ十分な理論を網羅している。それらは、すべて代表的な先行研究に裏打ちされた形で提示されている。そして、ケースが日本のケースなので、親しみを持ちながら理解することが可能である。
日本のビジネスパーソンが世界で戦ううえで必要な基礎素養の一つに、こういうビジネスエコノミクスがあると思う。はっきり言うと、日本のビジネスパーソンは、自分の仕事の領域は非常によく、深く勉強しているので、たとえば、自分が売ろうとしている商品や対抗商品についての説明力は群を抜いていると思う。しかし、それ以外の話題になると甚だ怪しい。理論を「机上の空論」としてバカにしているがゆえに、説明力が足りないと思う。
たとえば、Hirschman, A. O. (1970) Exit, Voice, and Loyalty: Response to Decline in Firms, Organizations and States. Cambridge, MA: Harvard University Press. 邦訳 アルバート・O・ハーシュマン『離脱・発言・忠誠―企業・組織・国家における衰退への反応』矢野修一 訳、ミネルヴァ書房なんて本は、頭のよさを試される本だが、この骨太な理論で大方のことは説明がつく。こういう素養があれば、海外のビジネスパーソンと渡り合う時にも苦労はしない。彼らは、そういったモデルをよく知っているので、説明力が高い。我々もそういったことを理解したい。こういう本を読んで理解するのは難儀なことだが、ビジネスエコノミクスにはこういう理論への言及もしっかりとされている(pp102-106)。各章の末尾の参考文献もしっかりと厳選されていて、次のステップに進みやすくしているのはよいことだと思う。
ただ、様々な理論をケースを加えて読みやすくして、しかも350ページ程度に収めているので、どうしても表面的な紹介になってしまっている。多忙なビジネスパーソンがサクッと読めて理解できる点では特筆できるが。もう少し学びたいと感じる方は、 丸山雅祥(2005)『経営の経済学』有斐閣に進んではいかがでしょうか。『ビジネスエコノミクス』と『経営の経済学』を比較すると、どちらがよいかではなく、ターゲットとする読者層が明らかに違うと考えてよいと思う。『ビジネスエコノミクス』はより幅広く、経済学の知識があまりなく、しかも今までそういう書物に触れてこなかった層を対象としていて、『経営の経済学』は、マネジメントや経済学への興味が高く、そういう書物には触れてきたが経済学の知識がない、つまりビジネスリテラシーが高い層をターゲットとしている。どちらも非常に良い本なので、どちらも手にとって、自分の1冊を読みこんでほしい。
伊藤元重(2004)『ビジネス・エコノミクス』日本経済新聞社
目次
序章 ビジネス・エコノミクスとは
第2章 価格戦略と儲けの仕組み
第3章 価格からビジネスの構造が見える
第4章 市場メカニズムを活用する
第5章 エイジェンシーの理論―モラルハザードと逆選択
第6章 ビジネスは「ゲーム」だ
第7章 経済学で競争戦略を解剖する
第8章 デジタル革命は何を変えたか
第9章 ビジネスは世界に広がる
終章 ビジネス環境は変わり続ける
索引
ビジネスエコノミクスの基本的な書籍としては、幅広い読者がミクロ経済学の基礎を学ぶのに最適な1冊と思います。MBAでビジネスエコノミクスを本格的にやった方々には少し物足りないかもしれませんが、私はこの本を通読してもう一度ビジネスエコノミクスを勉強しようと思った次第です。
カバーされている内容は、基礎的なところから高度なところまで幅広いが、読みやすいがゆえにストレスを感じない。需要曲線と価格弾力性、市場と組織の経済学、エージェンシー理論とモラルハザード、逆選択、情報の非対称性、囚人のディレンマ、ゲームの繰り返しと協調、ホールドアップ問題、ポーターの競争戦略といった、民間企業の管理職(ある程度の決定権を与えられるポジション)の基礎素養としては必要かつ十分な理論を網羅している。それらは、すべて代表的な先行研究に裏打ちされた形で提示されている。そして、ケースが日本のケースなので、親しみを持ちながら理解することが可能である。
日本のビジネスパーソンが世界で戦ううえで必要な基礎素養の一つに、こういうビジネスエコノミクスがあると思う。はっきり言うと、日本のビジネスパーソンは、自分の仕事の領域は非常によく、深く勉強しているので、たとえば、自分が売ろうとしている商品や対抗商品についての説明力は群を抜いていると思う。しかし、それ以外の話題になると甚だ怪しい。理論を「机上の空論」としてバカにしているがゆえに、説明力が足りないと思う。
たとえば、Hirschman, A. O. (1970) Exit, Voice, and Loyalty: Response to Decline in Firms, Organizations and States. Cambridge, MA: Harvard University Press. 邦訳 アルバート・O・ハーシュマン『離脱・発言・忠誠―企業・組織・国家における衰退への反応』矢野修一 訳、ミネルヴァ書房なんて本は、頭のよさを試される本だが、この骨太な理論で大方のことは説明がつく。こういう素養があれば、海外のビジネスパーソンと渡り合う時にも苦労はしない。彼らは、そういったモデルをよく知っているので、説明力が高い。我々もそういったことを理解したい。こういう本を読んで理解するのは難儀なことだが、ビジネスエコノミクスにはこういう理論への言及もしっかりとされている(pp102-106)。各章の末尾の参考文献もしっかりと厳選されていて、次のステップに進みやすくしているのはよいことだと思う。
ただ、様々な理論をケースを加えて読みやすくして、しかも350ページ程度に収めているので、どうしても表面的な紹介になってしまっている。多忙なビジネスパーソンがサクッと読めて理解できる点では特筆できるが。もう少し学びたいと感じる方は、 丸山雅祥(2005)『経営の経済学』有斐閣に進んではいかがでしょうか。『ビジネスエコノミクス』と『経営の経済学』を比較すると、どちらがよいかではなく、ターゲットとする読者層が明らかに違うと考えてよいと思う。『ビジネスエコノミクス』はより幅広く、経済学の知識があまりなく、しかも今までそういう書物に触れてこなかった層を対象としていて、『経営の経済学』は、マネジメントや経済学への興味が高く、そういう書物には触れてきたが経済学の知識がない、つまりビジネスリテラシーが高い層をターゲットとしている。どちらも非常に良い本なので、どちらも手にとって、自分の1冊を読みこんでほしい。
伊藤元重(2004)『ビジネス・エコノミクス』日本経済新聞社
目次
序章 ビジネス・エコノミクスとは
第2章 価格戦略と儲けの仕組み
第3章 価格からビジネスの構造が見える
第4章 市場メカニズムを活用する
第5章 エイジェンシーの理論―モラルハザードと逆選択
第6章 ビジネスは「ゲーム」だ
第7章 経済学で競争戦略を解剖する
第8章 デジタル革命は何を変えたか
第9章 ビジネスは世界に広がる
終章 ビジネス環境は変わり続ける
索引
2010年7月2日金曜日
流れを経営する(野中・遠山・平田) 読了しました
いや~、なかなかのものでした。
しかし楠木建(2010)『ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』東洋経済新報社のほうが読み物としては優れている。楠木先生のタッチが軽妙で、普通のビジネスマンに一気読みさせるだけの筆力を感じる。ケースも適切で、理論を毛嫌いする人々にも受けている。弊社でもじわじわ拡大中です。
野中先生の「哲学」が好きな人(私もその一人)にとっては、野中郁次郎、竹内弘高(1996)『知的創造企業』(梅本勝博訳)東洋経済新報社を一段とブラッシュアップしてケースを最新にした書と思えば間違いはないと思う。
野中先生の世界的成果であるSECIモデルについて、つまり暗黙知(主観)と形式知(客観)の2つの次元の相互交換が継続的に行われることによって知識が生成され変化し続けることのモデル化について広く議論される。そのなかでも、ニコマコス倫理学で出てきた「エピステーメ(普遍の真理)」「テクネ(実用的な知識・スキル」、そして「フロネシス(知的美徳・実践的知恵)」のなかで、とりわけフロネシスが重要であることを説く。フロネシスは「真・善・美の主観的感覚に基づく判断基準」「共通善に関する価値判断」である。「よい車」の例をあげて、客観的(エピステーメー的)にはよい車というのは普遍的真理ではなく、技術的(テクネ的)にいくら技術的に優れた車を作り出しても、それは主観的(フロネシス的)に「よい車」であるとは限らない。だから、「よい車」の定義は主観的な価値判断であり、常に文脈や当事者に左右される。フロネシスには絶対的な解はない。フロネシスは、科学理論にある「理由を知ること」、実戦的スキルの「手段を知ること」、そして実現するために「対象を知る」ことを綜合(シンセシス)する概念であるという。コンティンジェンシー理論のような、哲学のような。いずれにしろ、長年の社会人としての「肌感覚」は、フロネシス的なものが直感的に正しいことを示している。
就職活動中の学生さんから「御社の現場主義に惹かれました。僕も現場を訪問して泥臭く営業をしてみたいです」的な発言がよく見られます。現場を訪問すればそれで終わりと思っている薄っぺらさ。一度「それだけ現場に行きたいのだったら、うちに来る必要はなくて、どこかの工場ででも働けばいい」とまで言ったことがありますが、なぜ我々が商社なのに現場を訪ね、現場で経験を共有するのか、そこに理解がいたっていない学生が多い。
そういう学生は、本書の本田宗一郎の写真をよく見てほしい。コーナーを曲がるバイクの挙動を見るために這いつくばって観察する本田宗一郎(p109)。また、床に絵を描いて技術者に説明する本田宗一郎(p111)。これが現場主義をまさに体現している。単なる経験主義ではなく、現場を見るにしても現場により近い場所で観察する。それもとおりいっぺんのやり方ではなく。そして、一つ一つの現象が何を意味するのか深く考え、その場で動作とで自分の考えを伝えて実現していくというプロセスだと言いたいのだが、この写真(特にp109)がそれを雄弁に語ってくれている。すごいことだ。
理論だけでは頭でっかちになる。経験主義からは何も生まれない。だからフロネシス的なマネジメント、つまり実践的な綜合が求められていると言える。死に直面したソクラテスが死ぬことが真かどうかが問題ではなく、死に直面するソクラテスを前に自分が何をなすべきかが問題であり、よき実践が求められること、これこそが私の考える現場主義である。現場主義というペラペラな学生の言葉を強く、重くする思考を再び与えてくれた本書に感謝。
あとは、様々なケーススタディを取り上げ、流れの中でどのようにフロネシスな経営を実践しているかを紹介している。これも、ケースが新しく、非常にビビッドなので、読みやすいと思う。普通の読者は、第2部のケースだけでも相当勉強になると思う。経営学を志す人々や経営企画などで理論を正しく理解する意気込みのある人は第1部から入念に。
野中郁次郎、遠山亮子、平田透(2010)『流れを経営する―持続的イノベーション企業の動態理論』東洋経済新報社
目次
はじめに
第1部 理論編
第1章 知識について
第2章 知識創造の理論
第3章 プロセスモデルの構成要素
第4章 知識ベース企業のリーダーシップ
第5章 知識創造理論の物語的展開
第2部 企業事例編
第6章 理念・ビジョン
第7章 場と組織
第8章 対話と実践による事業展開
第9章 リーダーシップ
終章 マネジメントの卓越性を求めて
解説 研究開発のマネジメントからナレッジ・マネジメントへ
―戦略的マネジメントに対する知識創造理論の貢献(デイビッド・J・ティース)
参考文献
索引
注:
Nonaka, I., Toyama, R. & Hirata, T (2008) Managing Flow: A Theory of the Knowledge-Based Firm, New York: Palvrave MacMillan.の訳書として取り扱っていません。
しかし楠木建(2010)『ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』東洋経済新報社のほうが読み物としては優れている。楠木先生のタッチが軽妙で、普通のビジネスマンに一気読みさせるだけの筆力を感じる。ケースも適切で、理論を毛嫌いする人々にも受けている。弊社でもじわじわ拡大中です。
野中先生の「哲学」が好きな人(私もその一人)にとっては、野中郁次郎、竹内弘高(1996)『知的創造企業』(梅本勝博訳)東洋経済新報社を一段とブラッシュアップしてケースを最新にした書と思えば間違いはないと思う。
野中先生の世界的成果であるSECIモデルについて、つまり暗黙知(主観)と形式知(客観)の2つの次元の相互交換が継続的に行われることによって知識が生成され変化し続けることのモデル化について広く議論される。そのなかでも、ニコマコス倫理学で出てきた「エピステーメ(普遍の真理)」「テクネ(実用的な知識・スキル」、そして「フロネシス(知的美徳・実践的知恵)」のなかで、とりわけフロネシスが重要であることを説く。フロネシスは「真・善・美の主観的感覚に基づく判断基準」「共通善に関する価値判断」である。「よい車」の例をあげて、客観的(エピステーメー的)にはよい車というのは普遍的真理ではなく、技術的(テクネ的)にいくら技術的に優れた車を作り出しても、それは主観的(フロネシス的)に「よい車」であるとは限らない。だから、「よい車」の定義は主観的な価値判断であり、常に文脈や当事者に左右される。フロネシスには絶対的な解はない。フロネシスは、科学理論にある「理由を知ること」、実戦的スキルの「手段を知ること」、そして実現するために「対象を知る」ことを綜合(シンセシス)する概念であるという。コンティンジェンシー理論のような、哲学のような。いずれにしろ、長年の社会人としての「肌感覚」は、フロネシス的なものが直感的に正しいことを示している。
就職活動中の学生さんから「御社の現場主義に惹かれました。僕も現場を訪問して泥臭く営業をしてみたいです」的な発言がよく見られます。現場を訪問すればそれで終わりと思っている薄っぺらさ。一度「それだけ現場に行きたいのだったら、うちに来る必要はなくて、どこかの工場ででも働けばいい」とまで言ったことがありますが、なぜ我々が商社なのに現場を訪ね、現場で経験を共有するのか、そこに理解がいたっていない学生が多い。
そういう学生は、本書の本田宗一郎の写真をよく見てほしい。コーナーを曲がるバイクの挙動を見るために這いつくばって観察する本田宗一郎(p109)。また、床に絵を描いて技術者に説明する本田宗一郎(p111)。これが現場主義をまさに体現している。単なる経験主義ではなく、現場を見るにしても現場により近い場所で観察する。それもとおりいっぺんのやり方ではなく。そして、一つ一つの現象が何を意味するのか深く考え、その場で動作とで自分の考えを伝えて実現していくというプロセスだと言いたいのだが、この写真(特にp109)がそれを雄弁に語ってくれている。すごいことだ。
理論だけでは頭でっかちになる。経験主義からは何も生まれない。だからフロネシス的なマネジメント、つまり実践的な綜合が求められていると言える。死に直面したソクラテスが死ぬことが真かどうかが問題ではなく、死に直面するソクラテスを前に自分が何をなすべきかが問題であり、よき実践が求められること、これこそが私の考える現場主義である。現場主義というペラペラな学生の言葉を強く、重くする思考を再び与えてくれた本書に感謝。
あとは、様々なケーススタディを取り上げ、流れの中でどのようにフロネシスな経営を実践しているかを紹介している。これも、ケースが新しく、非常にビビッドなので、読みやすいと思う。普通の読者は、第2部のケースだけでも相当勉強になると思う。経営学を志す人々や経営企画などで理論を正しく理解する意気込みのある人は第1部から入念に。
野中郁次郎、遠山亮子、平田透(2010)『流れを経営する―持続的イノベーション企業の動態理論』東洋経済新報社
目次
はじめに
第1部 理論編
第1章 知識について
第2章 知識創造の理論
第3章 プロセスモデルの構成要素
第4章 知識ベース企業のリーダーシップ
第5章 知識創造理論の物語的展開
第2部 企業事例編
第6章 理念・ビジョン
第7章 場と組織
第8章 対話と実践による事業展開
第9章 リーダーシップ
終章 マネジメントの卓越性を求めて
解説 研究開発のマネジメントからナレッジ・マネジメントへ
―戦略的マネジメントに対する知識創造理論の貢献(デイビッド・J・ティース)
参考文献
索引
注:
Nonaka, I., Toyama, R. & Hirata, T (2008) Managing Flow: A Theory of the Knowledge-Based Firm, New York: Palvrave MacMillan.の訳書として取り扱っていません。
2010年6月26日土曜日
流れを経営する(野中・遠山・平田)
野中郁次郎、遠山亮子、平田透(2010)『流れを経営する:持続的イノベーション企業の動態理論』東洋経済新報社が発刊されたのでさっそく衝動買い。神戸大学の小川先生と金井先生が推薦されていたこともありますが、このところ野中先生の本を立て続けに読んでいるのもあって、平積みされていたので早速購入して読んでいます。
原著は、Nonaka, I., T. Hirata, R. Toyama (2008) Managing Flow: a Process Theory of Knowledge-Based Firm, Basingstoke, UK: Palgrave-MacMillan.ですが、原著とは「かなり異なった本となった」と述べられている。
野中先生の本は、経営学でも哲学の知識の上に成り立っていることを示していて、まさに「巨人の肩に乗って」研究する必要性をいつも呼び起されます。結局仕事でも一緒で、先人の蓄積の上に成り立っていて、いいところも多いが、時代に合わないものも多い。だから創造的破壊が求められているのだが・・・・・。
そういう知見を得たい。
原著は、Nonaka, I., T. Hirata, R. Toyama (2008) Managing Flow: a Process Theory of Knowledge-Based Firm, Basingstoke, UK: Palgrave-MacMillan.ですが、原著とは「かなり異なった本となった」と述べられている。
野中先生の本は、経営学でも哲学の知識の上に成り立っていることを示していて、まさに「巨人の肩に乗って」研究する必要性をいつも呼び起されます。結局仕事でも一緒で、先人の蓄積の上に成り立っていて、いいところも多いが、時代に合わないものも多い。だから創造的破壊が求められているのだが・・・・・。
そういう知見を得たい。
2010年6月20日日曜日
文献の探し方
もともと前のエントリーに同じにしていたのを分けます。
吉原英樹(1988)『「ばかな」と「なるほど」:経営成功 のキメ手!』同文舘出版と、吉原英樹、安室憲一、金井一頼(1987)『「非」常識の経営』東 洋経済新報社の2冊を読もうと、アマゾンやブックオフなどで古本を探しましたが、全く見つかりませんでした。こういう場合に検索サイトを活用します。
和書であれば、大阪府WEB-OPAC を調べます。大阪府下の公共図書館と日本全国の大学図書館の検索サイトNACSIS WEBCATから検索してくれます。単行本でこの探し方でヒットしなかった文献はありません。学生のころは神戸大学附属図書館のOPACで調べるとほとんどは神戸大学 に所蔵されていましたが、中之島図書館が勤務先から近いので、その利用のために大阪府のOPACもよく使っていました。大阪府中央図書館からも配本可能で すので、使いやすいです。マイナーな業界紙とか雑誌は普通では探せませんから、そういうときにおせわになりっぱなしだったのが、国会図書館OPACでした。修士論文を書いているころに、国会図書館にしか所蔵が ない業界紙をコピーによく行きました。行かなくてもコピーサービスもあるので、利用するのも手です。
洋書は、神戸大学附属図書館のOPACで調べることが多いです。NACSIS WEBCATでも調べることができます。修士論文の準備で英語の参考文献を相当読んでいたので、その頃はよくお世話になりました。ちなみに、神戸大学になかった必要文献は、WEBCATで調べれば、どの大学にあるかが分かります。
結局上記2冊は、この近辺だと神戸大学社会科学系図書館(神戸の先生の著書ですから当然ですよね)と大阪市立中央図書館にありました。久しぶりに西長堀の中央図書館で借りてきました。この図書館は、雑誌が充実していて、神戸大学にない文献をここが収集していたので、たまに行っていました。大阪府立中央図書館や大阪府立中之島図書館に比べて書庫からの出庫が遅いのが難 点ですが、15分ぐらいのことです。
こういう資料の探し方もMBAに行って徹底してうまくなりました。自分の家や会 社からこうやって日本中の蔵書情報が手に入る。すごい時代であることを改めて感じます。
2010年6月19日土曜日
まだまだ続くMBA
私は2009年9月に修了しましたが、まだまだゼミが続いています。
9月に修了できたのが14名中10名、2名は翌年3月に修了したのですが、後2名が仕事の関係などで休学していたので、この8月に修論を出す予定になっています。ですから、修了してからも月に1回のペースでゼミが開かれています。このゼミが非常にいい刺激になっています。MBAのころ、特にプロジェクトやゼミでは脳みそに汗をかきまくっていましたが、修了するとそういう機会が少なくなりますし、会社の付き合いが中心になる中で、全く会社と関係ない仲間とともに考える時間が取れることは素晴らしいことと思います。
それと神戸のいいところは、ゼミだけでなく、ほかのつながりも持続できるところだと思います。先週は、本来はゼミが予定されていましたが、小川先生のゼミに一橋の楠木先生が登場するというので、小川先生にお願いして参加させてもらいました。こういう機会はなかなか普通では形成できませんね。
そして、楠木先生が火付け役で、小川先生がお勧め、そして金井先生もその輪に入ってきている本が、吉原英樹(1988)『「ばかな」と「なるほど」:経営成功のキメ手!』同文舘出版、いわゆる「ばかなる」(楠木先生命名)、それと、吉原英樹、安室憲一、金井一頼(1987)『「非」常識の経営』東洋経済新報社の2冊です。 1980年代後半、つまりプラザ合意の円高不況からバブルへの道、その時代にサラリーマン生活をはじめた私としては、この本に掲載されている事例の香りがいかにも香ばしくって、そっちのほうに気を取られてしまいます。これから読み進めていきたいと思います。こういう本は、我々では気づきません。先生たちに感謝!
9月に修了できたのが14名中10名、2名は翌年3月に修了したのですが、後2名が仕事の関係などで休学していたので、この8月に修論を出す予定になっています。ですから、修了してからも月に1回のペースでゼミが開かれています。このゼミが非常にいい刺激になっています。MBAのころ、特にプロジェクトやゼミでは脳みそに汗をかきまくっていましたが、修了するとそういう機会が少なくなりますし、会社の付き合いが中心になる中で、全く会社と関係ない仲間とともに考える時間が取れることは素晴らしいことと思います。
それと神戸のいいところは、ゼミだけでなく、ほかのつながりも持続できるところだと思います。先週は、本来はゼミが予定されていましたが、小川先生のゼミに一橋の楠木先生が登場するというので、小川先生にお願いして参加させてもらいました。こういう機会はなかなか普通では形成できませんね。
そして、楠木先生が火付け役で、小川先生がお勧め、そして金井先生もその輪に入ってきている本が、吉原英樹(1988)『「ばかな」と「なるほど」:経営成功のキメ手!』同文舘出版、いわゆる「ばかなる」(楠木先生命名)、それと、吉原英樹、安室憲一、金井一頼(1987)『「非」常識の経営』東洋経済新報社の2冊です。 1980年代後半、つまりプラザ合意の円高不況からバブルへの道、その時代にサラリーマン生活をはじめた私としては、この本に掲載されている事例の香りがいかにも香ばしくって、そっちのほうに気を取られてしまいます。これから読み進めていきたいと思います。こういう本は、我々では気づきません。先生たちに感謝!
2010年6月18日金曜日
知識創造の方法論(野中・紺野)
この前読了した野中郁次郎、竹内弘高(1996)『知的創造企業』(梅本勝博訳)東洋経済新報社の第2章に特化したような本が野中郁次郎、紺野登(2003)『知識創造の方法論:ナレッジワーカーの作法』東洋経済新報社です。 これも久々に読んでみることとします。
なお、今回から、リンクはブクログの該当ページへのリンクに改めます。アマゾンのリンクでもよいのですが、ブクログのほうが、関連商品やレビューも出ていて、アマゾンへのリンクも提供されているので、こちらのほうが有益な情報が多いと思います。
なお、今回から、リンクはブクログの該当ページへのリンクに改めます。アマゾンのリンクでもよいのですが、ブクログのほうが、関連商品やレビューも出ていて、アマゾンへのリンクも提供されているので、こちらのほうが有益な情報が多いと思います。
2010年6月15日火曜日
Book Offの105円均一本
今日は、東京出張から大阪に戻った。
先週から、息子の電動鉛筆削りに短い鉛筆が入り込み、抜けなくなってしまっていた。出張前に相当時間をかけてピンセットや錐を使って穴から抜き出そうとしたが抜けず、分解しようとして、問題が発生した。
手動の鉛筆削りのようにようにユニットが分解できればすぐに修理できる。これはガキのころから経験済み。だから、電動でも分解できれば問題なく修理できる。しかし、問題はねじ山の形状。普通はプラス、マイナス、六角、星などの形で、こういうのは家にドライバーがある。しかし、最近の子供用の玩具や教材などには「△」のねじ山が使われていて、これは家にない。
そのドライバーを探して、会社の近所の「荒物屋」に聞いたがなく、東急ハンズ心斎橋店に会社帰りに、家とは逆方向であったが行って探したところ、一つだけ置いてあった。SunFlag 三角ねじ用特殊ドライバーです。これさえあれば分解可能です。マクドのおもちゃやプラレールなどにも使えるらしく、一家に一本でしょうか?これのおかげで鉛筆削りを分解して、無事短い鉛筆を除去し、快調に動くようになりました。
さて、ドライバーを購入した帰り、心斎橋に出てくればやはりBookOff 大阪心斎橋店です。地下1階から3階まである大型店で、3階にビジネス書・経営書があり、品ぞろえはなかなか充実しています。BookOffでは、基本的には105円を中心に見ます。 凝った店だと絶版書を高くしていたり、工夫されていますが、BookOffでは掘り出し物が出てくることがあります。今日は105円から4冊。
まず、KT法の生みの親ぐらいのことは知っていたが読んだことがなかったケプナー, C. H., トリゴー, B. B.(1985)『新・管理者の判断力:ラショナルマネジャー』(上野一郎監訳)産能大学出版部。105円なら損はないでしょう?。
次に、半額の棚にもあったが105円にもあった伊藤邦雄(2000)『コーポレートブランド経営:個が生み出す競争優位』日本経済新聞社。ぱらぱらっとみると105円の価値はありそう。
その次に、グロービス・マネジメント・インスティテュート(2001)『MBAクリティカル・シンキング』ダイヤモンド社。すでに新版が出て久しい。このシリーズは、経営戦略応用研究、通称「コジケン」の課題図書だったグロービス・マネジメント・インスティテュート(1999)『MBA経営戦略』ダイヤモンド社しか読んだことありません。ほかにもいろいろ出ていますね。旧版でも105円の価値はあるでしょう。
最後に、これは105円なら十二分に価値があると思われる伊丹敬之、加護野忠男、伊藤元重(1993)『日本の企業システム:第1巻企業とは何か』有斐閣。
こうやって、105円の棚にいろんな本が入っている。ある程度は分けてあるが、とんでもないところに良い本が入っていたりするので、くまなく探す必要はあります。420円で4冊。とりあえず今読まなくても積んでおきます。
先週から、息子の電動鉛筆削りに短い鉛筆が入り込み、抜けなくなってしまっていた。出張前に相当時間をかけてピンセットや錐を使って穴から抜き出そうとしたが抜けず、分解しようとして、問題が発生した。
手動の鉛筆削りのようにようにユニットが分解できればすぐに修理できる。これはガキのころから経験済み。だから、電動でも分解できれば問題なく修理できる。しかし、問題はねじ山の形状。普通はプラス、マイナス、六角、星などの形で、こういうのは家にドライバーがある。しかし、最近の子供用の玩具や教材などには「△」のねじ山が使われていて、これは家にない。
そのドライバーを探して、会社の近所の「荒物屋」に聞いたがなく、東急ハンズ心斎橋店に会社帰りに、家とは逆方向であったが行って探したところ、一つだけ置いてあった。SunFlag 三角ねじ用特殊ドライバーです。これさえあれば分解可能です。マクドのおもちゃやプラレールなどにも使えるらしく、一家に一本でしょうか?これのおかげで鉛筆削りを分解して、無事短い鉛筆を除去し、快調に動くようになりました。
さて、ドライバーを購入した帰り、心斎橋に出てくればやはりBookOff 大阪心斎橋店です。地下1階から3階まである大型店で、3階にビジネス書・経営書があり、品ぞろえはなかなか充実しています。BookOffでは、基本的には105円を中心に見ます。 凝った店だと絶版書を高くしていたり、工夫されていますが、BookOffでは掘り出し物が出てくることがあります。今日は105円から4冊。
まず、KT法の生みの親ぐらいのことは知っていたが読んだことがなかったケプナー, C. H., トリゴー, B. B.(1985)『新・管理者の判断力:ラショナルマネジャー』(上野一郎監訳)産能大学出版部。105円なら損はないでしょう?。
次に、半額の棚にもあったが105円にもあった伊藤邦雄(2000)『コーポレートブランド経営:個が生み出す競争優位』日本経済新聞社。ぱらぱらっとみると105円の価値はありそう。
その次に、グロービス・マネジメント・インスティテュート(2001)『MBAクリティカル・シンキング』ダイヤモンド社。すでに新版が出て久しい。このシリーズは、経営戦略応用研究、通称「コジケン」の課題図書だったグロービス・マネジメント・インスティテュート(1999)『MBA経営戦略』ダイヤモンド社しか読んだことありません。ほかにもいろいろ出ていますね。旧版でも105円の価値はあるでしょう。
最後に、これは105円なら十二分に価値があると思われる伊丹敬之、加護野忠男、伊藤元重(1993)『日本の企業システム:第1巻企業とは何か』有斐閣。
こうやって、105円の棚にいろんな本が入っている。ある程度は分けてあるが、とんでもないところに良い本が入っていたりするので、くまなく探す必要はあります。420円で4冊。とりあえず今読まなくても積んでおきます。
2010年6月14日月曜日
楠木先生とお会いしました!
小川先生のゼミに押しかけ聴講をお願いして、一橋ICSの楠木建先生のお話しをお伺いしました。このブログでも紹介した楠木建(2010)『ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』東洋経済新報社の著書です。
面白かった話として、象が入るぐらいの冷蔵庫に象を入れるとき、「ドアを開ける」⇒「入れる」⇒「締める」の3段階だが、かばを入れるときには4段階になる。どうなるか、というなぞかけに、みんなが答えるが的外れでした。結局「象を外に出す」というのが落ちでしたが、戦略の2つの本質として、「違いを作って」「つなげる」という話。またフレームワーカーやテンプレーターという戦略本にある考え方にフィットさせてしまっているだけ、つまり「戦略作りの下ごしらえ」だけではだめで、手に取るようにストーリーが出てくるよう、「静止画」ではなく「動画」としてのストーリーで語れるようにというお話でした。あと、「コギャル」の話、つまり真似しようとすること自体が違いを増幅する、という話は、本にも紹介されているのですが、具体的にお話いただくとまたこれがよかったです。ちなみに、本のコギャルの話は仙台の話だそうです。そのほかにも魅力的なお話でした。小川先生とCDで聞く小林秀雄という話で盛り上がっていたのですが、楠木先生の本を読んで講義を聴くと、その効用が非常に理解できます。
やはり、小川ゼミに押しかけた身分としては、お話しようと思っても少し遠慮してしまいました。どこかでまたお話したいと思いました。小川ゼミ3回生やMBAの方々にも親切にしていただいて感謝しています。重ねて御礼申し上げます。神戸MBAで得ることができた一つの財産が、こういうつながりです。 小川先生には授業で教わっただけですが、こうやってお願いすると教えを請うことができる。またこうやって親しくお話くださる。そしてまた人と出会うことができる。知的好奇心も満たされ、すばらしい学びがあると思います。昨日、金井先生と高橋先生で「リーダーシップ祭」も神戸大学で開催されていたので、それも行きたかったのですが、仕事でいけず(小川ゼミも遅刻)、残念でした。こういうつながりでも、神戸MBAの一員でよかったと感じます。
なお、楠木先生のツイッターでも紹介されていて、小生も紹介している勢古浩爾(2010)『ビジネス書大バカ辞典』三五館、 お薦めです。表現方法は違いますが、フレームワーカー・テンプレーター的な思考とは何か、その思考の鋳型にはめ込もうとする著者、またそういう思考を無批判に受け入れる読者がいる。あほな書きぶりですが、かなり本質を突いていると思います。ぜひご一読を。
面白かった話として、象が入るぐらいの冷蔵庫に象を入れるとき、「ドアを開ける」⇒「入れる」⇒「締める」の3段階だが、かばを入れるときには4段階になる。どうなるか、というなぞかけに、みんなが答えるが的外れでした。結局「象を外に出す」というのが落ちでしたが、戦略の2つの本質として、「違いを作って」「つなげる」という話。またフレームワーカーやテンプレーターという戦略本にある考え方にフィットさせてしまっているだけ、つまり「戦略作りの下ごしらえ」だけではだめで、手に取るようにストーリーが出てくるよう、「静止画」ではなく「動画」としてのストーリーで語れるようにというお話でした。あと、「コギャル」の話、つまり真似しようとすること自体が違いを増幅する、という話は、本にも紹介されているのですが、具体的にお話いただくとまたこれがよかったです。ちなみに、本のコギャルの話は仙台の話だそうです。そのほかにも魅力的なお話でした。小川先生とCDで聞く小林秀雄という話で盛り上がっていたのですが、楠木先生の本を読んで講義を聴くと、その効用が非常に理解できます。
やはり、小川ゼミに押しかけた身分としては、お話しようと思っても少し遠慮してしまいました。どこかでまたお話したいと思いました。小川ゼミ3回生やMBAの方々にも親切にしていただいて感謝しています。重ねて御礼申し上げます。神戸MBAで得ることができた一つの財産が、こういうつながりです。 小川先生には授業で教わっただけですが、こうやってお願いすると教えを請うことができる。またこうやって親しくお話くださる。そしてまた人と出会うことができる。知的好奇心も満たされ、すばらしい学びがあると思います。昨日、金井先生と高橋先生で「リーダーシップ祭」も神戸大学で開催されていたので、それも行きたかったのですが、仕事でいけず(小川ゼミも遅刻)、残念でした。こういうつながりでも、神戸MBAの一員でよかったと感じます。
なお、楠木先生のツイッターでも紹介されていて、小生も紹介している勢古浩爾(2010)『ビジネス書大バカ辞典』三五館、 お薦めです。表現方法は違いますが、フレームワーカー・テンプレーター的な思考とは何か、その思考の鋳型にはめ込もうとする著者、またそういう思考を無批判に受け入れる読者がいる。あほな書きぶりですが、かなり本質を突いていると思います。ぜひご一読を。
2010年6月6日日曜日
久々に古本屋へ!
週末、久々に古本屋に行きました。嫁はんとけんかしたので、ちょっと頭冷やしです。
この前、神保町ですこし悔しい思いをしたので、古本屋に行くことにしました。
北大阪在住ですので、まずは、石橋の太田書店。ここは理数系の本が多く、経営系はあまりありません。まあ、ちらっとのぞいたようなものです。ここでは何も買わず。
次に梅田のかっぱ横丁にある阪急古書の街。ここには京都の梁山泊や心斎橋の中尾書店の出店があり、平日夜8時までやっているのでちょくちょく見に来ます。石橋の太田書店の出店もあります。中を見て結局買わずに、阪神百貨店地下の対面まで歩いて萬字屋書店へ。ここにはハイエク『自由の条件(ハイエク全集)』春秋社があったので買おうかと思いましたがちょっと高かったのでやめ。
これから、大江橋か船場センタービルの天牛堺書店まで足を伸ばすか、どうしようか考えていましたが、ふと、関大前に行ってみることにしました。
関大前で降りると、まず、駅前のBOOK OFF 関大前へ。大学の近所ということで、品ぞろえはなかなか。ここでは2冊買いました。占部都美(1997)『経営学入門 改訂増補版』中央経済社と金井壽宏(1993)『ニューウェーブマネジメント:思索する経営』創元社。ニューウェーブは初版帯つき程度まあまあで105円でした。経営学入門は、美本でしたから1,600円しましたが、よさそうでしたから買いました。
次に、関大前通りにある「若草」で食事をしようとしたらシャッターが下りている。通りがかりの学生らしき若者に聞くと、つぶれたらしい。1年ほど前に修論の資料が関大にしかなく、その資料をコピーに来たときに「サービス」の「一口かつ」を食べたのが最後になりました。残念でなりません!
そしてその若草から30メートルぐらい行ったところに小さい古本屋が。ここには教科書のオンパレード。マンキューの経済学が山のように置いてあります。
ここでもあまり食指が動かず、文砦へ。ちょっと分かりにくい場所にあります。ここは法律書が豊富で、社会科学もそれなりにおいてあります。労働法関係を少し見ましたが、法律関係は新しくないとあまり意味がないと思いなおして、なにも買わず。 遅い昼飯を松屋の牛飯250円味噌汁つきで取ったのち、さて、ここからどこに行くか。
最近健康のために歩いていますから、関大前から緑地公園まで歩いて、天牛書店 に行くことにしました。千里山の住宅街を1時間強歩きます。天牛といえば、私が学生のころは、御堂筋から周防町を西に入って、少し行ったところの左側にありました。アメリカ村のど真ん中にあったのですが、江坂(というか千里山というか、緑地公園というか)に移ってすでに相当の日々が経っています。しかし、おそらく大阪近辺では一番大型古書店ではないでしょうか。十数年ぶりにやってきました。
購入したのは4冊。Singh, S. (1997) Fermat's Last Theorem: New York, Fourth Estate. (青木薫訳『フェルマーの最終定理:ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで』新潮社、石井淳蔵(1993)『マーケティングの神話』日本経済新聞社、新田次郎(1974)『アラスカ物語』新潮社の初版帯つき、新田次郎(1977)『剱岳・点の記』文藝春秋の単行本初版 の4冊です。新田次郎の初版本は両方とも100円。状態はそれ相応なので100円なのですが、それでも安いので買ってしまいました。マーケティングの神話は、院生時代に図書館で借りて読んだのですが、マーケティングをやっていたわけではないので買っていませんでしたが、安く古本が出ていたので買ってしまいました。
そしてなぜフェルマーを買ったかというと、最終面接したある理系の学生が、最近読んだ本にこれを出してきたからです。「おぉぉぉ、久々に骨のある奴が!」と思って、「フェルマーの最終定理ってなに?」とお尋ねしました(私は知っている)。「ちょっと数式が難しいので・・・・」というので、「それならピタゴラスの定理は説明できますか?」といったら「ん、ピタゴラスですか・・・.。それも難しい数式ですけど・・・・・」という具合でピンとこない。5秒沈黙ののち、「ピタゴラス数は中学3年レベルやで。X^2 + Y^2 = Z^2 になる自然数のことで、たとえば、X=3, Y=4, Z=5というように、無限数ある。これは中学校の数学問題や。証明方法も何通りか教わる。しかし、自然数nが3以上 のとき、X^n + Y^n = Z^n を満たす自然数X, Y, Zの組み合わせが存在しないことがフェルマーの最終定理や」と言ってみたが・・・・。おそらく、国立大学理学部でもピタゴラスの定理を忘れているのでしょう。バリバリ文系の私でも覚えているのに・・・・・。中学校の先生が「ピタゴラスの定理はだれでもできる。しかし2乗を3乗にするだけでそんな組み合わせがないことがいまでも証明できない。これをフェルマーの最終定理と言います」と教えてくださったので、今でも覚えています。偶然にも天牛で見かけたので、衝動買いしてしまいました(笑)。
この前、神保町ですこし悔しい思いをしたので、古本屋に行くことにしました。
北大阪在住ですので、まずは、石橋の太田書店。ここは理数系の本が多く、経営系はあまりありません。まあ、ちらっとのぞいたようなものです。ここでは何も買わず。
次に梅田のかっぱ横丁にある阪急古書の街。ここには京都の梁山泊や心斎橋の中尾書店の出店があり、平日夜8時までやっているのでちょくちょく見に来ます。石橋の太田書店の出店もあります。中を見て結局買わずに、阪神百貨店地下の対面まで歩いて萬字屋書店へ。ここにはハイエク『自由の条件(ハイエク全集)』春秋社があったので買おうかと思いましたがちょっと高かったのでやめ。
これから、大江橋か船場センタービルの天牛堺書店まで足を伸ばすか、どうしようか考えていましたが、ふと、関大前に行ってみることにしました。
関大前で降りると、まず、駅前のBOOK OFF 関大前へ。大学の近所ということで、品ぞろえはなかなか。ここでは2冊買いました。占部都美(1997)『経営学入門 改訂増補版』中央経済社と金井壽宏(1993)『ニューウェーブマネジメント:思索する経営』創元社。ニューウェーブは初版帯つき程度まあまあで105円でした。経営学入門は、美本でしたから1,600円しましたが、よさそうでしたから買いました。
次に、関大前通りにある「若草」で食事をしようとしたらシャッターが下りている。通りがかりの学生らしき若者に聞くと、つぶれたらしい。1年ほど前に修論の資料が関大にしかなく、その資料をコピーに来たときに「サービス」の「一口かつ」を食べたのが最後になりました。残念でなりません!
そしてその若草から30メートルぐらい行ったところに小さい古本屋が。ここには教科書のオンパレード。マンキューの経済学が山のように置いてあります。
ここでもあまり食指が動かず、文砦へ。ちょっと分かりにくい場所にあります。ここは法律書が豊富で、社会科学もそれなりにおいてあります。労働法関係を少し見ましたが、法律関係は新しくないとあまり意味がないと思いなおして、なにも買わず。 遅い昼飯を松屋の牛飯250円味噌汁つきで取ったのち、さて、ここからどこに行くか。
最近健康のために歩いていますから、関大前から緑地公園まで歩いて、天牛書店 に行くことにしました。千里山の住宅街を1時間強歩きます。天牛といえば、私が学生のころは、御堂筋から周防町を西に入って、少し行ったところの左側にありました。アメリカ村のど真ん中にあったのですが、江坂(というか千里山というか、緑地公園というか)に移ってすでに相当の日々が経っています。しかし、おそらく大阪近辺では一番大型古書店ではないでしょうか。十数年ぶりにやってきました。
購入したのは4冊。Singh, S. (1997) Fermat's Last Theorem: New York, Fourth Estate. (青木薫訳『フェルマーの最終定理:ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで』新潮社、石井淳蔵(1993)『マーケティングの神話』日本経済新聞社、新田次郎(1974)『アラスカ物語』新潮社の初版帯つき、新田次郎(1977)『剱岳・点の記』文藝春秋の単行本初版 の4冊です。新田次郎の初版本は両方とも100円。状態はそれ相応なので100円なのですが、それでも安いので買ってしまいました。マーケティングの神話は、院生時代に図書館で借りて読んだのですが、マーケティングをやっていたわけではないので買っていませんでしたが、安く古本が出ていたので買ってしまいました。
そしてなぜフェルマーを買ったかというと、最終面接したある理系の学生が、最近読んだ本にこれを出してきたからです。「おぉぉぉ、久々に骨のある奴が!」と思って、「フェルマーの最終定理ってなに?」とお尋ねしました(私は知っている)。「ちょっと数式が難しいので・・・・」というので、「それならピタゴラスの定理は説明できますか?」といったら「ん、ピタゴラスですか・・・.。それも難しい数式ですけど・・・・・」という具合でピンとこない。5秒沈黙ののち、「ピタゴラス数は中学3年レベルやで。X^2 + Y^2 = Z^2 になる自然数のことで、たとえば、X=3, Y=4, Z=5というように、無限数ある。これは中学校の数学問題や。証明方法も何通りか教わる。しかし、自然数nが3以上 のとき、X^n + Y^n = Z^n を満たす自然数X, Y, Zの組み合わせが存在しないことがフェルマーの最終定理や」と言ってみたが・・・・。おそらく、国立大学理学部でもピタゴラスの定理を忘れているのでしょう。バリバリ文系の私でも覚えているのに・・・・・。中学校の先生が「ピタゴラスの定理はだれでもできる。しかし2乗を3乗にするだけでそんな組み合わせがないことがいまでも証明できない。これをフェルマーの最終定理と言います」と教えてくださったので、今でも覚えています。偶然にも天牛で見かけたので、衝動買いしてしまいました(笑)。
2010年6月5日土曜日
経営戦略の論理(伊丹) 読み終わりました
いろんな本が途中に入ってきて一時停滞しておりましたが伊丹敬之(2003)『経営戦略の論理 第3版』日本経済新聞社、読了いたしました。
この本を評して「後付け」「後講釈」という人もいるのですが、そういう批判を超えて生き残っていくよさがある本です。個人的には、序章、第7章~第9章、終章の中でも、とくに序章が重要なパートと感じます。戦略とは何か、なぜ論理が重要か、そして適合とは何か。普段簡単に話されている言葉をしっかりととらえることから始まっている。その後は、いろいろなケースが出てくる。第7章まででは、松下とアイワの比較が今の世の中を表しているように思う。半値にして機能も充実させる松下。機能を削って価格勝負に出たアイワ。いまの世の中、アイワ的な価格競争が繰り広げられているからうまくいかないのではないか。
ポジショニングスクールの議論にも言及しつつ、伊丹先生の本領であるリソース・ベースト・ビュー もしっかりと論じられている。「見えざる資産」、つまり情報。これの流れのフレームワークをしっかりと理解させてくれる良書です。様々なケースを比較して使って分かりやすくしているところを、後講釈というのでしょうが、一般的な読者には理解できない一般化・抽象化された理論を、数多くのケースを通じて分かりやすく説明しているととらえたほうがよいと思う。だから、終章で、現実から戦略の発想を出発させない、とはっきりとおっしゃっているのである。
これを読んで、営業のマネジャーとして悪戦苦闘していたころを思い出してしまいました。 その話は、また別の機会に。
伊丹敬之(2003)『経営戦略の論理 第3版』日本経済新聞社
目次
序章 経営戦略とはなにか
1 戦略の市場適合
第1章 顧客のニーズをとらえる―戦略の顧客適合(1)
第2章 ニーズの多様性と相互作用を利用する―戦略の顧客適合(2)
第3章 競争優位を作る―戦略の競争適合(1)
第4章 反撃を見越す、敵にしない―戦略の競争適合(2)
2 戦略のインターフェース適合
第5章 ビジネスシステムで差別化する―戦略のビジネスシステム適合
第6章 技術を活かし、技術が動かす―戦略の技術適合
3 戦略の内部適合
第7章 見えざる資産―情報の流れのフレームワーク
第8章 資産を蓄積し、利用する―戦略の資源適合
第9章 組織を動かし、刺激する―戦略の組織適合
終章 戦略の論理と発想
参考文献
この本を評して「後付け」「後講釈」という人もいるのですが、そういう批判を超えて生き残っていくよさがある本です。個人的には、序章、第7章~第9章、終章の中でも、とくに序章が重要なパートと感じます。戦略とは何か、なぜ論理が重要か、そして適合とは何か。普段簡単に話されている言葉をしっかりととらえることから始まっている。その後は、いろいろなケースが出てくる。第7章まででは、松下とアイワの比較が今の世の中を表しているように思う。半値にして機能も充実させる松下。機能を削って価格勝負に出たアイワ。いまの世の中、アイワ的な価格競争が繰り広げられているからうまくいかないのではないか。
ポジショニングスクールの議論にも言及しつつ、伊丹先生の本領であるリソース・ベースト・ビュー もしっかりと論じられている。「見えざる資産」、つまり情報。これの流れのフレームワークをしっかりと理解させてくれる良書です。様々なケースを比較して使って分かりやすくしているところを、後講釈というのでしょうが、一般的な読者には理解できない一般化・抽象化された理論を、数多くのケースを通じて分かりやすく説明しているととらえたほうがよいと思う。だから、終章で、現実から戦略の発想を出発させない、とはっきりとおっしゃっているのである。
これを読んで、営業のマネジャーとして悪戦苦闘していたころを思い出してしまいました。 その話は、また別の機会に。
伊丹敬之(2003)『経営戦略の論理 第3版』日本経済新聞社
目次
序章 経営戦略とはなにか
1 戦略の市場適合
第1章 顧客のニーズをとらえる―戦略の顧客適合(1)
第2章 ニーズの多様性と相互作用を利用する―戦略の顧客適合(2)
第3章 競争優位を作る―戦略の競争適合(1)
第4章 反撃を見越す、敵にしない―戦略の競争適合(2)
2 戦略のインターフェース適合
第5章 ビジネスシステムで差別化する―戦略のビジネスシステム適合
第6章 技術を活かし、技術が動かす―戦略の技術適合
3 戦略の内部適合
第7章 見えざる資産―情報の流れのフレームワーク
第8章 資産を蓄積し、利用する―戦略の資源適合
第9章 組織を動かし、刺激する―戦略の組織適合
終章 戦略の論理と発想
参考文献
2010年6月4日金曜日
これからの経営学(日本経済新聞社編)
出る出ると神戸大学の小川先生からは予告されていましたが、満を持して登場です。
日本経済新聞社編(2010)『これからの経営学』日本経済新聞出版社
2008年9月から約半年間連載された「経営学のフロンティア」をベースに編まれた本です。
まず、日本を代表する経営学者17名!これだけの豪華執筆陣をよく集めたものです。いま、一番力があって素晴らしい研究成果を出されていて、国際的にも認知度の高い先生方が執筆されています。
次に、中身の濃さ!戦略論、人的資源管理、組織行動、ものづくり、マーケティング、ビジネスシステム、グローバル経営、ファイナンス、成長戦略と盛りだくさんの内容。しかも、最先端の研究成果が惜しみなくつぎ込まれています。
そして、分かりやすさ!これが本当に分かりやすくておもしろい。平易な言葉で実例を交えて書かれているので、あまりこういう本を読まないビジネスマンでもすぐに読めてしまうと思います。
新聞連載でしたから、一般の読者を想定して文体は分かりやすく、また限られた連載スペースの中に先生方のご研究を濃縮したエッセンスをそこに展開されたわけで、勢古浩爾(2010)『ビジネス書大バカ辞典』三五館に掲載されているビジネス書とは対極をなす良書です。ぜひ手にとって「現代日本の経営学のフロンティア」を体感してもらいたいと思います。
研修とかやると、「そんな学者の言うようなことは、実際には役に立たない」とか、「机上の空論ばっかり話すな」とか、はたまた「学校で勉強してるんとちゃうぞ」、挙句の果てには「そんなん本に書いたぁることゆうてるだけやん」(なんで関西弁やねん!)とか、要するに理論なんか意味がないという話が出ます。私も、かつてそう思っていた一人でした。
しかし、一流を自任される実務家の方なら、この本を読めば、一流の学者の説明能力の高さに驚くと思います。私は、神戸MBAで執筆陣の4名の先生から直接教えを受ける僥倖に浴しました。先生方の研究の深さ、それを実務といかにつなぎながら説明をされていく能力の高さ。そして一幕の劇にも似た面白さ。この本を読むと、多くの方々がその経験を共有できるのではないかと思います。
ただ、読みやすいがゆえに、内容をきちんと把握せずに「分かった気になる」本かもしれません。ですから、何度も読み返すのもいいと思います。
これだけの内容で749円は安すぎます。
日本経済新聞社編(2010)『これからの経営学』日本経済新聞出版社
目次
まえがき
第1日目テーマ 「組織と戦略をとらえなおす」
第2日目テーマ 「変革型人材育成」
第3日目テーマ 「ものづくりと経営」
第4日目テーマ 「経営戦略を具体化する」
第5日目テーマ 「外部連携の戦略」
第6日目テーマ 「未来への成長戦略」
各講師のおすすめ図書ガイド
日本経済新聞社編(2010)『これからの経営学』日本経済新聞出版社
2008年9月から約半年間連載された「経営学のフロンティア」をベースに編まれた本です。
まず、日本を代表する経営学者17名!これだけの豪華執筆陣をよく集めたものです。いま、一番力があって素晴らしい研究成果を出されていて、国際的にも認知度の高い先生方が執筆されています。
次に、中身の濃さ!戦略論、人的資源管理、組織行動、ものづくり、マーケティング、ビジネスシステム、グローバル経営、ファイナンス、成長戦略と盛りだくさんの内容。しかも、最先端の研究成果が惜しみなくつぎ込まれています。
そして、分かりやすさ!これが本当に分かりやすくておもしろい。平易な言葉で実例を交えて書かれているので、あまりこういう本を読まないビジネスマンでもすぐに読めてしまうと思います。
新聞連載でしたから、一般の読者を想定して文体は分かりやすく、また限られた連載スペースの中に先生方のご研究を濃縮したエッセンスをそこに展開されたわけで、勢古浩爾(2010)『ビジネス書大バカ辞典』三五館に掲載されているビジネス書とは対極をなす良書です。ぜひ手にとって「現代日本の経営学のフロンティア」を体感してもらいたいと思います。
研修とかやると、「そんな学者の言うようなことは、実際には役に立たない」とか、「机上の空論ばっかり話すな」とか、はたまた「学校で勉強してるんとちゃうぞ」、挙句の果てには「そんなん本に書いたぁることゆうてるだけやん」(なんで関西弁やねん!)とか、要するに理論なんか意味がないという話が出ます。私も、かつてそう思っていた一人でした。
しかし、一流を自任される実務家の方なら、この本を読めば、一流の学者の説明能力の高さに驚くと思います。私は、神戸MBAで執筆陣の4名の先生から直接教えを受ける僥倖に浴しました。先生方の研究の深さ、それを実務といかにつなぎながら説明をされていく能力の高さ。そして一幕の劇にも似た面白さ。この本を読むと、多くの方々がその経験を共有できるのではないかと思います。
ただ、読みやすいがゆえに、内容をきちんと把握せずに「分かった気になる」本かもしれません。ですから、何度も読み返すのもいいと思います。
これだけの内容で749円は安すぎます。
日本経済新聞社編(2010)『これからの経営学』日本経済新聞出版社
目次
まえがき
第1日目テーマ 「組織と戦略をとらえなおす」
第2日目テーマ 「変革型人材育成」
第3日目テーマ 「ものづくりと経営」
第4日目テーマ 「経営戦略を具体化する」
第5日目テーマ 「外部連携の戦略」
第6日目テーマ 「未来への成長戦略」
各講師のおすすめ図書ガイド
2010年5月30日日曜日
戦略暴走(三品)について
三品和広(2010)『戦略暴走:ケース179編から学ぶ経営戦略の落とし穴』東洋経済新報社が5月28日に出版され、さっそく購入しました(また小遣いが・・・・)。
短いケースが179も収められています。三品先生もおっしゃっていますが、社内研修の材料として格好であると思います。以前、若手の研修(というか勉強会)にオブザーバーとして参加してくれという依頼があり、日本語のケースを使った研修をやったことがあります。
伊丹先生の『経営戦略の論理』 にも『ケースブック:経営戦略の論理』という副読本があって、16本のケースが紹介されています。そのときには、ここからとったのではありませんが、ケーススタディで深く考えさせるためには、この程度の分量は最低必要と思っていました。そうなると、ケース自体が一般的なサラリーマン受講者にとっては長く、読みこんでくる余裕がないといった不満がありました。
三品先生の本をざっと眺めたところ、ケース一つ一 つは短いので、3本ぐらい一気に取り組ませることができると感じました。しっかりと取り組ませたうえで、どんどん長いケースにも取り組ませることで、ケーススタディからの学びが深くなると感じます。
これも後ほど精読することにします。
短いケースが179も収められています。三品先生もおっしゃっていますが、社内研修の材料として格好であると思います。以前、若手の研修(というか勉強会)にオブザーバーとして参加してくれという依頼があり、日本語のケースを使った研修をやったことがあります。
伊丹先生の『経営戦略の論理』 にも『ケースブック:経営戦略の論理』という副読本があって、16本のケースが紹介されています。そのときには、ここからとったのではありませんが、ケーススタディで深く考えさせるためには、この程度の分量は最低必要と思っていました。そうなると、ケース自体が一般的なサラリーマン受講者にとっては長く、読みこんでくる余裕がないといった不満がありました。
三品先生の本をざっと眺めたところ、ケース一つ一 つは短いので、3本ぐらい一気に取り組ませることができると感じました。しっかりと取り組ませたうえで、どんどん長いケースにも取り組ませることで、ケーススタディからの学びが深くなると感じます。
これも後ほど精読することにします。
2010年5月29日土曜日
経営戦略の論理(伊丹)
どんどん時代が古くなっていきますが、次はこれまた日本の経営戦略に関する本の金字塔の1冊、伊丹敬之(2003)『経営戦略の論理 第3版』日本経済新聞社です。
なぜ、こんな本を最近多読しているかというと、経営幹部に対する研修を企画せよ、と経営企画室から難題を持ちかけられたからです。いい機会なので日本の経営学者による日本の経営理論を見つめなおす意味でも、ちょっとしっかりと読んでいます。
といっても、ほかの本を読んでいないわけではありません。もともと何冊か並行して読めるタイプなので、そういう読み方もしています。
なぜ、こんな本を最近多読しているかというと、経営幹部に対する研修を企画せよ、と経営企画室から難題を持ちかけられたからです。いい機会なので日本の経営学者による日本の経営理論を見つめなおす意味でも、ちょっとしっかりと読んでいます。
といっても、ほかの本を読んでいないわけではありません。もともと何冊か並行して読めるタイプなので、そういう読み方もしています。
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