2012年4月28日土曜日

ブログ再開します!ごめんなさい

1年ぶりにブログを再開することにしました。
1年間サボりにサボって、本当にごめんなさい。まずは言い訳から(笑)。

2010年10月に東京に転勤して、経営企画の仕事を始めました。昨年1年間は会社の経営・統治・業務執行機構の大改革があり、それを特命で受けていて没頭していた関係で、まったくブログを書くことができませんでした。組織設計からそれに伴う規程類の整備、報酬設計などすべてにかかわっていました。

それに役員と上級幹部の研修企画と講師(研修支援です)、下期は会社の全役職者(組織の長=部課長クラス)の研修企画・支援・講師の仕事も降ってきて、それに加えて、M&A案件支援などもあって、FacebookやTwitterをやるのが精一杯の状況が続いていました。

そんなこんなで読んだ本はほんのすこしでした。今年は、 特命は終わったし、ちょっと余裕が出てきそうなので、本も精一杯読んでいくつもりです。また、昨年の後半から会社のゴルフの誘いも出てきました。神戸MBAを目指した2007年12月に、自分が好きなものを断つことで決意を固めようと、ゴルフ断ちをしました。MBA時代はゴルフをする余裕(時間的にも金銭的にも)などなく、それから2011年の冬になる4年間、ゴルフをまったくすることがありませんでした。

しかし、忙中閑あり、オフシーズンだったこともあって、ゴルフの誘いを受けてやってしまうと、それまではまったくなんともなかったのに、一度やると禁煙の後のたばこのようなもので、やりたい思いが募ります。ちょっと余裕が出てきていることもあるので、これからはゴルフも少しずつやっていこうと思います。そこで、今日は読書の話題ではなく、ゴルフの話題を少しやります。

2011年にゴルフに行きだして、一番最初に感じたのがクラブの古さです。もともとアイアンはBen Hoga Apex Plusという90年代後半(息子が生まれた年に買ったので1999年)のクラブでした。ドライバーも何もかも古かったわけですが、それを4ヶ月ほどかけて一新しました。といっても、すべて中古屋で中古の型落ち品をそろえています。先週やっとパターまでそろえたので、クラブについて書いてみます。

Driver
古いドライバーは、SYB Prelity Type Rの10度。シャフトはフジクラSpeeder 661(S)、44.5inでした。これは日本に帰ってきてすぐに豊中のミリオンゴルフ(もうつぶれてしまった・・・・)で中古を購入したもので、よく飛んでくれましたが非常に難しいヘッドではありました。曲げ始めると大変なクラブで、そのせいかほとんど使わなくなっていて、後述するユーティリティをつかってティーショットしているぐらいでした。
新しいドラは、Titleist 909 D3 10.5 Deg、シャフトは三菱ディアマナKai'li 70のS、長さは44.75inの特注品です。もともとアメリカ時代はTitleist 975D (10.5 Deg, Lightweight Head, EI70 S)を愛用していたこともあって、タイトリストは好きなクラブメーカーです。東京の中古クラブ屋さんを検索して、ちょっと凝っているクラブを置いている「ゴルフエフォート新橋店」さんでクラブを見ていて、このクラブを見つけました。「クラブが短いし、傷もあるので安い」というので、買ってしまいました。できるだけ曲げずに正確に打ちたいほうで、短いドライバーが好きで、クラブの顔もいいし、ワッグルしていい感じだったので、フィーリングで買って大成功でした。昔のクラブに比べて打ちやすいし、220~230ヤードぐらいはキャリーでフェード気味(持ち玉です)に飛んでくれます。友人のクラブを借りてもこれ以上飛ばないのであきらめています。

Fairway Woods
古いのは、Callaway Big Bertha Warbirdの4+とHeavenwood(7W)、シャフトはTrue TemperのEI-70(S)でした。これはアメリカに駐在中にSeattleのPuetzというゴルフショップ(レンジ併設)で安売りしていたのを買ったのはよかったのですが、シャフトがやわらかすぎてリシャフトを進められてリシャフトしたものでした。もともとフェアウェイウッドが大好きで、Titleist PT PT 15(スルーボアなし、タイガー仕様のオリジナル)、PT24、そのほか976F(15度でDGS300が刺さっていました)、Cleveland Launcherなどなど様々なFWを使ってきました。ティーショットから転がしアプローチまでなんにでも使うぐらいFW好きです。
しかし、今見るとあまりにも古いので、これまた「ゴルフエフォート」さんで、Titleist 906F4の15.5度と18.5度、シャフトは三菱ディアマナS83のSがペアであったので、迷いに迷った末にこれを買いました。長さはそれぞれ43.5と42.75です。ハードなスペックに見えますが、これがすこぶる調子がいいです。両方とも高めの弾道で、若干フェードします。3Wのキャリーがおそらく200yd、5Wはおそらく190ydぐらいと思いますが、非常にコンスタントです。怪我せずに攻められます。

Utility
アメリカから帰ってきたときに買ったフォーティーンのHI-660は、2Iと3I(両方ともDGS300)を持っていて、2Iはティーショット専用になっていたのですが、FWの調子がいいので、両方とも必要なくなってしまいました。その代わりに、この2本を下取りに出して、同じHI-660の4I(NS950のS)を買いました。 これを使っています。180ydぐらいキャリーで飛びますが、どちらかというと若干玉が散ります。

Irons
アイアンは、ヨメハンが日本に帰国していたときにこそっと買ったBen HoganのApex Plus(シャフトはApexの4番、#3I~PW(E)とPS(F))を長らく使っていました。難しいクラブでしたが、芯を食ったときにすばらしいフィーリングだったのですが、4年ぶりに引きずり出すとまったく打てていませんでした。そこで、クラブを探し始めました。
今年の1月、ゴルフパートナーの宝町店で何気なくクラブを見ていると、MizunoのJPX800の日本仕様とJPX800Proの米国仕様、それとMP68がありました。MPのマッスルは憧れのクラブですが、ベンホーガンのハーフキャビティーで苦労しているのに無理。JP800はクラブヘッドが大きすぎ。JPX800PROの北米仕様がちょうどの大きさで、キャビティーも深くて、よさそうでした。それよりなにより、NS950が付いたクラブはちょっと軽すぎですが、JPX800Proがちょうどいい重さでした。車夫とは、KBS Tour 90というちょっと珍しいシャフトでちょうどいい重さでした。DGS300やApex4番に比べて若干柔らかい感じですが、ちょうどいいフィーリングで、NSよりも粘る感じで非常にいいです。
ライとロフトは、工房できちんとチェックしてもらおうと思って、調べていたら「ゴルフ五鉄」という両国の工房を見つけました。チョイスやゴルフダイジェストオンラインなんかにも寄稿が出てくる有名なクラフトマンです。この方に見てもらってあわせてもらっています。

Iron/Length/Loft/Lie/Balance
5I/38.0/26/60.5/D2
6I/37.5/30/61.0/D1.5
7I/37.0/34/61.5/D1.5
8I/36.5/38/62.0/D1.5
9I/36.0/42/62.5/D1.5
PW/35.5/46/63.0/D1.5
GW/35.5/50/63.0/D2.5

最初の計測で、スペックのあまりのばらつきにめまいがしました。ロフトとライをきちんとあわせてもらうと精神安定上非常によろしいです。昔のロフトの基準で言うと、1番手違いますね(たとえば今のアイアンの5Iは昔の4Iと同じです)。私は身長168cmですので、6Iがちょうど昔の5Iのスペックです。家にあるPowerbiltのScotch Bladeがこういうスペックですね。もしかするとライはもう少し寝かせてもらってもいいのかもしれませんが、今のところのボールフライト(軽いフェード)ではまったく問題なさそうです。7Iのキャリーで140ぐらい、上下10ヤード刻みぐらいで安定していますが飛びません。それでも打った感触も非常にいいですし、計算できるクラブと思います。

Wedge
10年以上使っているCleveland REG 588 56Deg RTGもありますが、アイアンをミズノにしたので、ウェッジもミズノにしようと思って探していました。
そこで、またもや「エフォート」さんで探し出しました。ミズノT-11です。
SW/35.5/56/63.0/D3.0 Bounceは13度で、これはDGです。
このウェッジに組み合わせているのはなんとチッパーです。チッパーと最初は馬鹿にされますが、ハーフが終わるころには馬鹿にした人たちは無言になります。ClevelandのNiblickを新橋のゴルフパラダイスで購入して使っています。ロフトが37度なので、30ヤードよりも内側であれば転がしでワンパット圏内についてきます。 単にウェッジが下手なだけですが、ショートゲームは重要で、転がしアプローチが基本ですので、重宝しています。

ところが、御徒町のコトブキゴルフをのぞいていると、特注のT-11の3本セットが中古で出ていました。50度、54度、58度で、シャフトはウェッジ専用のKBS Tour Hi-Rev 125で、養老特注のAssembled in Japanのレーザー刻印入りです。買うか買わないか迷いに迷って、次の日に3本全部お買い上げの気持ちで買いに行くと、50度はなくなっていました。
SW/35.5/54/63/D1(Bounce 09度)、それと35.5/58/63/D1(Bounce 10度)です。ゴルフ五鉄の高野さんに計測してもらうと、ライとロフトは数値どおりでぴったりでした。これは練習場で使い込んで、非常によい結果が出ているのですが、この2本を投入するとチッパーを抜かなければならず、非常に迷っています。

Putter
パターはゴルフを始めたときに買ったOld Ping Anser(ダブルRの068モデル)を32.5inにシャフトをカットして、キャビティー部分に鉛を40グラム詰め込んでいるスペシャル仕様です。すでに20年以上使っていて、物品税の緑のシールが貼ってあったのですが、擦り切れてしまいました。よく入るのでこれ以外に買うことはないと思っていました。
しかし、エフォートさんでクラブを眺めていると、32インチのクラブが目に入りました。腕を伸ばして振り子でしっかりと振っていくタイプなので、短いパターがすきなのです。構えてみるとソールがしっくりときて、若干重めなので振りやすい。これがPing Redwood Anserの32インチ日本組み立てモデルでした。エフォートがセールをしていて、ポイントを使うと、新品のときに42,000円のパターが11,000円ほどで手に入る。マスターズのバッバワトソンも使っているパターで、傷もそれほどなく、思いっきり迷っていたのですが、先日エフォートさんに行くとまだありました。運命と思って買いました。家のパターマットの印象ですが、非常にいい感じです。

Bag
Bagは15年ぐらいTitleistのバックパックモデルを使っていましたが、バッグを支えるグラファイトの支柱がおれてスタンドがまったく機能しなくなってしまいました。ですから昔からほしかったPingのHooferに新調しました。使いやすいですね。

Ball
ボールは、ロストボールでいろんな銘柄を試してみた結果、Titleist Pro V-1xにしました。飛ぶけど案外やわらかいところが気に入っています。Pro V-1はパターのフィーリングが抜群でしたが、表面がすぐに擦れてしまう印象で、V-1xは耐久性が少しだけでも高そうだったのも決め手です。

写真は今度アップしますね。


2011年5月21日土曜日

半藤他「昭和陸海軍の失敗」再読です

この2カ月ほど忙しすぎてゴールデンウィークも家に居ながら仕事をしているぐらいでした。
当然ブログにも手が出ず、昨日やっとひと山越えたので、ちょっとブログを更新します。

昨夜、寝ようかなと思って、久々に手にとって、引き込まれて2時間で読み終わってしまった本です。この本で展開される理論やみ方がすべてではないという前提で、日本の組織でどこでも起こりうる問題点を指摘している点で本書は評価できると思う。かつて日清・日露の両戦争の成功体験を超克できないという問題点は、どの組織も包含する大きな問題といえる。

私の勤務先の営業部隊がその典型であるという気持ちを強く持った。戦後バブルが崩壊するまでは基本的には右肩上がりの経済で、インフレ傾向にあったので、短期的な業績の変化はあったけど、1~2年のスパンで考えると、放っておいても成長したわけである。加えて、情報の非対称性に至っては、商社が持つ情報量は圧倒的で、当時のお客さんたちが得られる情報量は日本経済新聞や業界紙の範囲内で、為替や金利の情報なんて全然入らなかった。

いま会社を経営する役員各位は、そういういい時代に担当者や課長として業績をあげてきた。だから、その時代のの成功体験でいま起きている現象をを分析して語る。情報や力の圧倒的な差を背景に、時代背景もあって成功できた。しかし今は違う。経済は低成長、デフレ時代に低金利。インターネットやメディアのおかげでどんどん情報の非対称性は解消され、今までのうち手は通用しない

しかし、30年前の「成功」を一所懸命語る。はたしてそれが「成功」だったかも定かではない。なぜならば高金利・インフレ時代のマージンと今のマージンを比較できるのかすら理解できないままに成功を語る経営者。論理的に説明しても、「新規開拓が足りない」ですと。何かおかしいですよね。小職は社会人になってから大学院を出たわけだが、そういう理論は「机上の空論」として片付けられる。投資効果について普通に説明するが、「この商売で回収できればええんや」と旧態依然の回収期間法を振り回し、エマージングマーケットに投資したがる人。これも結局は今までの成功体験の延長戦で話しているにすぎない。

今の大震災対応でも垣間見られるこの思考、自分の成功体験を打ち破ることの難しさ、本当に感じますね。特に最後の「敵は米国より陸軍」。同じことが会社でも起こっています。

半藤一利、秦郁彦、平間洋一ほか(2007)『昭和陸海軍の失敗-彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか』文藝春秋

第1部 昭和の陸軍 日本型組織の失敗
1 派閥抗争が改革をつぶした -宇垣一成と荒木貞夫
2 エリート教育システムの欠陥 -東條英機と永田鉄山
3 天才戦略家の光と影 - 石原莞爾と武藤章
4 良識派は出世できない - 栗林忠道、今井均、本間雅晴
5 暴走する参謀コンビの無責任 - 服部卓四郎と辻正信
6 凡庸なリーダーと下剋上の論理 - 杉山元と瀬島龍三
7 「空気」に支配された集団 - 阿南惟幾と梅津美次郎

第2部 昭和の海軍 エリート集団の栄光と失墜
1 成功体験の驕りと呪縛 - 東郷平八郎と加藤友三郎
2 人事を牛耳る皇族総長 - 伏見宮博恭宮
3 良識派は孤立する - 米内光政と井上成美
4 必敗の日米開戦をなぜ? - 永野修身と嶋田繁太郎
5 真珠湾とミッドウェーの錯誤 - 山本五十六
6 戦艦大和とゼロ戦 - ソニー、松下への遺産
7 敵は米国より陸軍 - 貴族主義とムラの論理

隷属への道(ハイエク)再読

先月シアトルに行った時のブログが下書きのままでした。情けなし・・・・。
あっぷします。ごめんなさい。

先週シアトルに行っていました。

持っていったのはこの1冊。Hayek, F., A. (1943) The Road to Serfdom. Chicago: University of Chicago Press. 邦訳 F・A・ハイエク(2008)『隷属への道』西山千明、春秋社である。寝るための睡眠薬だったのですが、一種の覚せい剤でした。震災のこれからの復興に示唆になると思います。適正な誘因(インセンティブ)とはなにか。いま、我々に求められるのは何か。それは魔女狩りのようなファナティックなリアクションではないはずである。東電を非難することは簡単だが、あなたならどうするか。電気料金値上げなしにやっていけるのだろうか。ツイッター上で電気料金の値上げの話を大学の先生としました。私の値上げ論に対して先生は、市場経済は時間を取り扱うのがうまくないから、すぐに解決しそうなら解決方法としてはいかがか、という話をされた。しかし、この問題はおそらく10年は続く。とすると、電気料金の値上げしかおそらく対応の方法はないと思うがどうだろうか。


すこし違うところに話が行きましたが、一読をお勧めします。

目次

1994年版序文 ミルトン・フリードマン
序章
第1章 見捨てられた道
第2章 偉大なユートピア
第3章 個人主義と集産主義
第4章 計画の「不可避性」
第5章 計画化と民主主義
第6章 計画化と「法の支配」
第7章 経済統制と全体主義
第8章 誰が、誰を?
第9章 保障と自由
第10章 なぜ最悪の者が指導者となるのか
第11章 真実の終わり
第12章 ナチズムの基礎としての社会主義
第13章 我々の中の全体主義者
第14章 物質的条件と道徳的理想
第15章 国際秩序の今後の展望
結び
原注・参考文献
初版まえがき
1976年版へのまえがき
訳者あとがきにかえて

2011年3月22日火曜日

比較制度分析・入門(中村、石黒編)読みました

震災前に会社の資料を探しに行った三省堂で経済学のコーナーで見つけた本です。これが分かりやすい。中村真幸、石黒真吾編(2010)『比較制度分析・入門』有斐閣です。帯に「ゲーム理論と契約理論を用いると社会はどのように読み解けるのか」とあります。比較制度分析で最初に日本人としてノーベル経済学賞をとるであろう青木昌彦が巻頭を飾り、伊藤秀史が契約理論について、あとは若手中心に新進気鋭の研究者たちが執筆した豪華本です。

はしがきは学部生を念頭に書かれています。さすがに経済学の本ですから数式が出てきますが、丁寧に自分で式を書き起こしていけば、経済学に遠ざかっていた実務家でもなんとかついていける内容です。取引費用からゲーム理論、そして所有権理論に至るまでのいわゆる比較制度分析の知見を、分かりやすく、かつ学術的なレベルを落とさず説明していますし、不完備契約も非常によく理解できます。

実務家なら各論が大切と思われると思います。その点では、人事制度を構築しようとしている担当者なら、内部労働市場、選抜理論、補完性、情報の非対称性、マルチタスク問題などの知見が不可欠で、そのあたりはしっかりと網羅されています。垂直統合についても自動車産業の例でしっかり説明されていますし、いま一番ホットなコーポレートガバナンスについてもコーポレートガバナンスや取締役会の視点から書かれています。

それでは各論を理解するための理論の説明はどうか。ゲーム理論と契約理論を中心に非常にレベルの高い説明が展開されていて、実務面でも役立つと思います。

練習問題も豊富で、学部用かもしれませんが、非常に明快な本で感心しました。


目次
はしがき
執筆者紹介
第1部 比較制度分析とは何か 制度の経済学の考え方
第1章 制度とは何か
第2章 組織の経済学
第3章 制度の歴史分析

第2部 制度分析の道具を身につける 経済学的基礎
第4章 ゲーム理論の基礎
第5章 契約の経済理論(1)
第6章 契約の経済理論(2)

第3部 制度を分析する 比較制度分析の応用
第7章 垂直的な企業関係
第8章 産業集積の組織
第9章 現代の内部労働市場
第10章 多次元的な仕事と誘因の制御
第11章 コーポレートファイナンス
第12章 金融システムの歴史分析
第13章 政府間の財政制度
第14章 財政システムの歴史分析

練習問題の解答例
索引

2011年3月21日月曜日

マネジャーの実像(ミンツバーグ)邦訳読みました

ミンツバーグは実務家にとってはバイブルかもしれない。

お久しぶりです。東北関東大震災から10日経ちました。被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。小生も会社にいて、「揺れるな」と思っていたら、下から突き上げられるような揺れに見舞われ、引き出しが飛び出す、書棚が飛び出すといった感じでした。あとでテレビを見ると、大変なことになっていました。お取引先さまが多数おられたため、八戸から銚子までの海岸線は、新入社員のころから何度となく通い、商談が決まらず打ちひしがれて帰った仙石線、八戸から仙台まで、45号線沿いをレンタカーで回って新規開拓したころなどなど、思い出が詰まった場所なのです。その場所があのような惨事にあって、社内での情報でお取引先さまの状況が出てくるにつれて、胸が痛みます。そして、東京にほど近い新浦安でとんでもない被害が出ている。阪神大震災の時も同じことが起こりましたが、大打撃を受けたところには関心も集まるし支援の手も差し伸べられます。しかし、少し離れたところは目が届かないので関心も薄くなってしまいます。阪神の時は豊中や池田・川西だったし、今回はおそらく浦安や江戸川区の臨海地域だと思います。

閑話休題、地震が起こって、仕事が忙しいのに落ち着かない。家に帰ってきても何もする気が起きないので、ミンツバーグの新刊が翻訳されて出ていたのでそれを買って読みました。英訳は出てしばらくして読んだのですが、訳が出たので、研修とかに使えるかを試す意味でも買ってみました。Mintzberg, H. (2009) Managing, San Francisco: Berrett-Koeler Publishing Inc. ヘンリー・ミンツバーグ(2011)『マネジャーの実像―「管理職」はなぜ仕事に追われているのか』池村千秋訳、日経BP社
です。英語では手が出ない人々に読んでほしいと思い続けていた待望の訳書です。専門書なんてくそくらえという人でも絶対楽しく読めますのでお薦めです。特に、最近マネジメントで迷っている人や、薄っぺらい課長本に抵抗がある人々にお薦めです。ミンツバーグと言えば名著、Mintzberg, H. (1973) The nature of managerial work, New York: Harper & Row. ヘンリー・ミンツバーグ(1993)『マネジャーの仕事』白桃書房、訳 奥村哲史、須貝栄ですが、これのパワーアップ+現代的なコンテクストでまとめあげた素晴らしい本です。27人のマネジャーが登場しますが、それぞれがビビッドに描かれていて、学術的なレベルも高い。「思わぬトラブルが持ちあがったときにマネジャーが上手に対処できる組織」とさらっと述べているが、私の経験ではマネジャーの仕事はこれに尽きると思うし、それをうまく説明しているので非常によくできていると思う。マネジャーになりたての人も、ミドルにとっても、非常に有益であるとともに、学生さんにとっては参考文献が充実している分、リファレンスとしての価値が非常に高い本でもあります。引用の中にリンダ・ヒル(HBS教授)が多く、ぜひ読んでほしい本がまだ翻訳されていないのが惜しまれます。たとえば、新任課長にはHill, L. (2003) Becoming a Manager: How New Managers Master the Challenges of Leadership (2nd expanded ed.) Boston: Harvard Business Press.あたりをぜひ読みこんでほしいと思う。英語の勉強としてもミンツバーグより平易ですから。

目次
はじめに
最初にお読みください
1. マネジメントがいちばん大事
2. マネジメントのダイナミクス
3. マネジメントのモデル
4. マネジメントの知られざる多様性
5. マネジメントのジレンマ
6. 有効なマネジメント
付録 マネジメントの8日間
参考文献

追伸: ちなみに金井先生が3月20日の日経で書評されています。私が言いたいことをこういうようにパシッと言ってくれる。それにしてもいつ本読むんやろ、先生・・・・。3月20日日経

2011年2月27日日曜日

2月に読んだ本

長らく更新していませんでした。2月は仕事が忙しくなかなか本が読めませんでしたが、それでもなんとか読んだ本を紹介します。

まず、1月終わりにアメリカ出張中に購入したゲーム理論の入門書です。Dixit, A. K. and Nalebuff, B. J. (2008) The Art of Strategy: A Game Theorist's Guide to Success in Business and Life, New York: W. W. Norton & Company. 訳 アビナッシュ・ディキシット、バリー・ネイルバフ(2010)『戦略的思考をどう実践するか:エール大学式ゲーム理論の活用法』嶋津祐一、池村千秋訳、阪急コミュニケーションズです。訳本も昨年末に出ていて買おうか迷っていましたが、英語が安いので、アメリカで買ってきました。前作を上回るパワーです。ゲーム理論を数式を使わずに説明するアプローチは前作と変わるところはないのですが、囚人のジレンマ、ナッシュ均衡、オークション理論、投票、インセンティブなど、ゲーム理論の基礎を非常に楽しく教えてくれる良書です。ケースも豊富ですし、コラムも楽しく、読み飽きません。理論書のような厳密性はありませんが、変な理論書よりも絶対によくできています。
目次
Preface
Introduction: How Should People Behave in Society?
Part 1
1 Ten tales of Strategy
2 Games Solvable by Backward Reasoning
3 Prisoners' Dilemmas and How to Resolve Them
4 Beautiful Equilibrium

Epilogue to Part 1
Part 2
5 Choice and Chance
6 Strategic Moves
7 Making Strategies Credible
Epilogue to Part 2: A Nobel History
Part 3
8 Interpreting and Manipulating Information
9 Cooperation and Coordination
10 Auctions, Bidding and Contests
11 Bargaining
12 Voting
13 Incentives
14 Case Studies
Further Reading
Workouts
Notes
Index
前作Dixit, A. K. and Nalebuff, B. J. (1991) Thinking Strategically: The Competitive Edge in Business, Politics, and Everyday Life, New York: W. W. Norton & Company. 訳 アビナッシュ・ディキシット、バリー・ネイルバフ(1991)『戦略的思考とは何か―エール大学式「ゲーム理論」の発想法 』訳 菅野隆、嶋津祐一、TBSブリタニカ。
と同様、普通のビジネスマンがゲーム理論の基本を理解するための素晴らしい1冊です。両方ともお薦めですね。

次の英語の本は、Cusumano, M. A. (2010) Staying Power: Six Enduring Principles for Managing Strategy and Innovation in an Uncertain World (Lessons From Microsoft, Apple, Intel, Google, Toyota, and More), Oxford: Oxford University Press.
です。MITの看板教授であるクスマノの最新刊。トヨタやホンダに紙面が割かれており、反面、日本のコンピュータ産業が規模を追いかけたことによる失敗など、非常に読みやすく書かれている。何がインテル、マイクロソフト、グーグル、アップルを成功に導いたか、非常に明晰な英語で書かれている良書です。訳が出ればいいのにと思います。
目次
Acknowledgement
Introduction: The Principles of "Staying Power"
1 Platforms, Not Just Products
2 Services, Not Just Products (or Platforms)
3 Capabilities, Not Just Strategy
4 Pull, Don't Just Push
5 Scope, Not Just Scale
6 Flexibility, Not Just Efficiency
Conclusion: The Power of Ideas and Research
Appendix 1: The Research Challenge: In Search of "Best Practice"
Appendix 2: Additional Tables
References
Index

まだ読んだ本あります。また紹介しますね。

2011年2月17日木曜日

就職活動に思う

お久しぶりです。

最近仕事が忙しく、本が読めていないが、近日中に読み終わるのでお待ちください。

人事部から、採用活動の面接官の依頼が来た。私は内定者の間では「怖い人」で通っている。私の面接方法は取り組んだことを聞くことと、質問してもらうことである。志望動機とか会社研究なんてほとんど聞いていない。そんなのはみなさんしっかり準備しているので、それは最初から5~10分で話し切ってもらう。そこからが本番。どんなことでもいいから真剣になって取り組んだことを聞く。そして質問というか、逆面接とは相手には言わずに、逆面接をやってもらう。当社の何を知りたいのか、仕事のイメージなのか、それともプライベート?何でもいいから聞いてもらう。質問がないという人はその時点で面接終わり。だから10分で終わる人も出てくる。しかし、用意したことは話してもらうので、出し切った気持ちで帰ってもらっていると思う。

内定がほしい気持ちは分かります。志望動機も大切と思う。しかし、もっと大切なのは、その会社や業務内容、またその人の働き方とかに興味を持つことだと思う。自分と対峙している面接官に興味があってもいいと思うし、人生の先輩に聞きたいこともあると思う。そういう興味があれば尋ねたくなると思うのだが、質問はありませんと答える学生の方が少なからず存在する。我々の仕事は好奇心が非常に重要で、そんな興味がわかない人は、どれだけ勉強ができても、うちの会社(少なくとも私の部下)としてはいらない。

2011年1月31日月曜日

企業 契約 金融構造(ハート)

久々に購入した経済学の本が、Hart, O. (1995) Firms, Contracts, and Financial Structures. Oxford: Oxford University Press. 訳 オリバー・ハート(2010) 『企業 契約 金融構造』 鳥居昭夫訳、慶應義塾大学出版会です。取引費用論を超えて、所有権(残余コントロール権)という概念を用いて組織の境界線を明らかにしようとしている。修士論文を書くときにGrossman, Hart, Mooreの所有権理論の巨人たちのジャーナルを英語で読みだしたのだが、数式の羅列であまりにも難しく挫折。そのうち英語で若干かじった本が邦訳になったので、興味を持っていたところ、正月すぎに購入し、アメリカ出張に持っていった次第である。

しかし、シアトルからミネアポリスに行く飛行機に忘れてきてしまった(泣)。ナッシュ均衡の章まで読んだが、意外と読みやすい。アメリカの経済学の優れたテキストのとおり、例をふんだんに使って、分かりやすく説明しようとしている。といっても、もう一度購入して読むしかない。くそ~。

2011年1月30日日曜日

久々のアメリカ出張

仕事で1週間ほどアメリカに行っていました。
ご承知とは思いますが、もともとアメリカに6年ほど駐在していたので、アメリカは好きなところの一つです。詳細は言えませんが、シアトルで打ち合わせののち、ミネアポリスで弊社の財務状況をご説明するという仕事を今回はしてまいりました。

思い返すと、学生時代初めて行った外国がアメリカでした。大学2回生19歳のころ、ニューヨークに3カ月滞在したのち、バスで大陸を横断してシアトルに到着後、ポートランド、SF、LA、そしてサンディエゴを回ってLAまでヒッチハイクして韓国経由で日本に戻った思い出があります。アメリカといえばペンキのにおい。降り立った瞬間からにおいが違う。初めて行ったNYで初めて住んだのがブルックリンの5番街(5th Avenue)。SubwayのRRで4th Aveで降りて、5分ぐらい歩いたところに3カ月ほど住んでいました。その時初めて、世界を相手に仕事をしたい、と思ったのが今の会社に入ったきっかけかもしれない。その部屋のにおいもペンキ。ルームシェアして4人で住んで・・・・。そのころは、マイクタイソンがすい星のごとく現れて、「あしたのジョーとおんなじやんけ」、なんていいながら、マジソンスクエアガーデンに8回戦を見に行ったのも思い出です。

閑話休題、今回感じたのは、やっぱりアメリカの豊かさ。食事は豊かだし、消費環境も整っている。スーパーも行ったがやっぱり食べ物は豊富だしやすい。ということで、最後の食事について書いておきたい。今回は、ミネアポリスに行くのがメインでした。ミネアポリスというと、いまやなきNorthwestのハブ空港で、何度もなく空港には降りていますが、実際に街に行くの初めてです。

今回は、ミネアポリスでも有名なステーキハウスManny'sで食事をいたしました。アメリカの良心と思いますが、アメリカの肉は本当にうまい!安いステーキハウス(たとえばNYのTad's)を思い浮かべてもらっては困りますが、アメリカはやっぱり肉の国。メニューをちょっとご紹介します。

今回は5名で行きましたが、Seafood Towerというとんでもない一品が登場します。 これは生ガキ、エビ、ロブスター(ボイルオマール)、タラバ(アブラ)が山のようになって登場。昔はこういう高級レストランでは、エビは必ずメキシコのホワイトの大型が出てきましたが、エビが高いので、ブラックタイガーの保水剤(Phosphate)たっぷりのエビでがっくりしました。タラバもある意味喰い飽きているのでどういうこともなく、義務的に喰っていました。アメリカのステーキハウスでは、どの部位を注文するかがポイントで、今回もT-Bone、そして日本ではなかなかお目にかからないBone-In Filletとか、素晴らしいラインアップでした。小生の大好きなのはNY Cutです。今回もNY Cutを頼みましたが、24OZ、つまり600グラムです。肉の国アメリカでも大きな部類と思います。これをミディアムレアで、塩コショウ・炭火焼でお願いする。やっぱりうまい。日本の肉は脂がのっていますが、アメリカの肉は脂が少ないので全部食べられる。それと日本で食べられないのがマッシュドポテト。これにチャイブ、ランバージャックチーズ、それとサワークリームがてんこ盛りにかかっています。これが本当にうまい!

食べた後は、アメリカの方はデザートです。小生はいらないのですがやむをえない。注文を聞くとなんとBrownieです。私とうちの嫁はんは、これを「鉛のケーキ」と呼んで、とにかくこれを食べないためにアイスクリームに逃げていた代物です。これにホットチョコレートソースとファッジを上からとろ~りtぶっかけた逸品(?)。ありえないたべものですが、これを切り分けてアイスクリームを載せる。ありえない食べ物で終了です。

2011年1月4日火曜日

社会科学と信仰と(大塚)読みました

正月に酔った頭で読んだ本です。

ヴェーバーの権威である大塚久雄の講演録のような本です。この本を読んで、ヴェーバーの読み方が少しながら分かった気がします。経営管理を勉強する者としてヴェーバーは絶対に外せない。はっきり言って、総合学力試験は「ヴェーバーの意味」というのがどうしても書けなかったからだと思っている。だからヴェーバーについては読んできたつもりです。大塚先生がいろいろこの本の中で語りかけてくれるが、やはり白眉は「ヴェーバーのプロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」ですね。ヴェーバーをどのように読むべきかを教えてくれる小文です。それと、ヴェーバー研究者としてどのように対峙してきたか、背筋が伸びる本です。ただ、酔ったくれて読む本ではないことだけは確かです。もう一度読んでレポートします。

大塚久雄(1994)『社会科学と信仰と』みすず書房

目次
はしがき
Ⅰ 信仰と社会
Ⅱ 社会科学の基底
Ⅲ 本と人と

あけましておめでとうございます 仕事の5冊

新年明けましておめでとうございます。
旧年中、このブログを読んでくださった方々に感謝申し上げます。

さて、昨年1年を振り返ると、10月からの3ヶ月間が一番きつかったような気がします。10月1日付で大阪から東京、また仕事の内容も人事から経営企画に異動になり、今までと違う仕事でなれないうえに、何をしてよいかなかなか見えてこない中で、営業から人事に異動したとき以上の戸惑いを感じています。しかもなれない単身赴任。10月は夢中のうちにすぎ、11月にいったん古本屋に行って本を買い込んでくるところまでは行きましたが、その後なれない仕事が舞い込んだり、人事時代にほぼ一人で担当していた企画案件が再び持ち込まれたりと、バタバタするだけで本を読む暇がほとんどなかった3ヶ月でした。

その中で読んだ本は、仕事で必要だった3冊(正確には5冊)。

McKinsey & Co., Koller, T., Goedhart, M. and Wessels, D. (2005) Valuation: Measuring and Managing the Value of Companies (4th ed.), Hoboken, NJ: John Wiley & Sons. 邦訳 マッキンゼー・アンド・カンパニー、ティム・コラー、マーク・フーカート・デイビッドセッセルズ(2006)「企業価値評価:バリュエーション 価値創造の理論と実践(第4版)』本田桂子監訳、天野洋世、井上雅史、近藤将士、戸塚隆将訳、ダイヤモンド社
経営企画で企業価値評価をやることが増えていることから、神戸MBAの「コジケン」(経営戦略応用研究Ⅰ&Ⅱ)の教科書を何度か通読。 この本は、MBAに来る前に、株式取得による経営参加の投資案件の企画書をまとめるときからずっと読み続けている本で、企業価値評価の実務的参考書としては名著であると思う。英語版のCDのコピーも使っている。2冊組。

同じ文脈で、渡辺章博(2004)「M&Aのグローバル実務:プロセス重視の企業買収・売却のすすめ方』中央経済社を読む。これも神戸MBAのテキストで、著者の渡辺章博氏や佐山展生氏をはじめとするGCAのメンバーが入れ替わり立ち替わり講義(M&A戦略応用研究)。この本自体はアメリカ企業の買収が書かれているが、授業レジュメと一緒に読んで、企業価値評価からデューディリジェンスまでの手続きについて、この本はほぼ実務書のノリで読んでいる。

あとは、M&AとIRのために、Brealey, R., Myers, S. and Allen, F (2006) Principles of Corporate Finance (8th ed.). New York: The McGraw Hill Companies, Inc. 邦訳 リチャード・ブリーリー、スチュワート・マイヤーズ、フランクリンアレン(2007)『コーポレートファイナンス(第8版』藤井眞理子、国枝繁樹監訳、日経BP社 このテキストも神戸MBAのコーポレートファイナンス応用研究のテキスト。この本も結局は企業価値評価の理論的バックボーンと株価形成理論の一端をおさらいするのに読んでいる。2冊組。

要するに、マニュアル本をざっくり読んだような気持ちになっていて、ご紹介するほどではないかと思ったので書いていませんでした。どれも非常に評価の高い良書ですので企業価値評価を仕事で取り組まれている方は読んではいかがでしょうか。経営企画に異動になっても、MBAの授業でやったことが基本にあるので、なんとかついていけています。

今年は、今まで読んできた本をもう一度体系づけて取り組んでいこうと思っています。新刊も頑張って買っていこうと思います。

ことしもよろしくお願いします!

2010年12月17日金曜日

宴会の日々

忘年会という名の宴会が今週はほぼ毎日続いています。本を読む暇がほとんどなく、早朝に会社に出て仕事して、夜は宴会です。会議があると地獄です。

仕事が経営企画なのでお客さんの接待ではないのですが、社内の様々な宴会に参加しています。呼ばれることが多く、接待ではないので自腹、傾斜配分がきつい時(つまり若手と飲むとき)は財布が泣いています。お酒を飲むのは嫌いではありませんが、忘年会・新年会で立て続けに飲むのは疲れてしまいます。今日は早めに終わりましたが、食事してから歌を歌うみたいなのは疲れます。

学校に行ってよかったのは、会社のことを全く話さなくて済む仲間ができることです。そういう飲み会は全然疲れませんが、会社の忘年会で会社のことになるのは当然。酔ってくると説教する人や、ちょっと何か言うと突っかかってくる人などなど・・・・。こういう宴会に限って2次会に行きたがる人もいますし。できるだけ飲まないようにして様子を窺うようにするしかありません。若手やよく知った人たちで飲むのはいいのですが・・・・。

来週も宴会の日々が続きます。皆様もお身体ご自愛くださいね。

2010年11月21日日曜日

今日の日経社説

本日の日経社説「商社の提言を機に採用活動を見直せ」について、私の思うところを書いてみたい。

私は、就職活動の時期の規制に大賛成の一人である。しかし、日本貿易会が何を言おうが、経団連が何を言おうが全く実効性はない。私が就職活動をした20数年前にも就職協定はあった。しかし、4年生の春ごろから就職活動はスタートしていた。ゼミの仲間で就職する連中はみな活動していて、解禁日には内々定が出ていたのである。私は極めてふまじめな学生で、就職する気はあまりなく、解禁日に有名企業に並んで面接を受けたが結局その企業には通らず、後で受けた今の会社に就職したわけです。曲がりなりにも協定が生きていた時代でさえ、4年生の春には電話帳のようなガイドブックが何冊も送られてきて、興味のある会社にはがきを出し、説明会に参加していたのである。先輩から電話がきて、「うちに来ないか」的なリクルーター制度もあったし。

就職協定に罰則がない限り、就職協定には意味がない。企業はできるだけ優秀な学生を採用しようと必死である。一部有名企業は就職協定を守っていても採用には困らない。しかし、世の中にある大部分の会社は、優秀な学生の確保のために就職協定など関係なく活動している。日本貿易会加盟商社でも4月1日と同時に選考に入る。ほかの会社はそれよりもずっと前に選考活動をやっている。説明会は10月からやっているし、学校回りもやっている。

企業側の活動が早くなるのは、できるだけ早くいい学生を確保したいからであり、求職活動を法律で規制し、学生は労働局に違反企業を密告すればよいのである。密告する学生はおそらくその企業の選考に落ちた学生であろうが、それでもよいのである。違反事実があれば、企業名の公表、学校への告知など、様々な罰則を設けるべきであろう。少なくとも、求人活動(面接、筆記を問わず選考活動を含む)の開始可能時期を法律で規制するべきなのである。それにはインターンシップも含まれる。インターンシップを選考のためにするのであれば、それも含めて規制するべきである。そもそも、インターンシップについては、もっと高い理想があったはずであるが、採用活動の一環と堕したインターンシップには全く興味を失ってしまった。だから、インターンシップなんて止めてしまえばいい。意味がない。

一番実効性がある方法は、新卒見込み者だけを採用できる仕組みを法規制することである。大学卒業程度の学歴を求めるのであれば、年齢制限を設けてはならないのである。現行の雇用機会均等法の枠組みでもこれは可能である。年齢制限の禁止を厳格に運用し、「卒業見込み者に限る」という応募要項を禁止すればよいのである。卒業見込み者を採用したい場合は、就職活動を規制する法律を整備することにより、「学生に関しては、何月何日から選考」とすれば、既卒者であればそれ以前から採用可能であるし、見込み者は学生選考日以前の選考ができないようにしてしまえば解決すると考えられる。抜け駆けを防ぐためには公務員も含めた法規制が重要になるであろう。

大学生の就職難については、実業界全体が求める人材ポートフォリオは30年前から大きく変化しているわけではないのに、進学率の向上によって学生が求める職業と実業界が求めるポートフォリオに大きなずれが生じていることが原因である。30年前は高校卒業後就職する比率は70%前後であったが、今は5割を切っている。元々大卒程度の職種はそれほど多くはない。今の世の中では減りこそすれ増えない。要するにアンマッチが起こっているのである。大学に入れば就職が保証されていた時代は過ぎたのである。4年制大学と名がつく「機関」がなんと758(2009年4月1日現在、国立86、公立77、私立595)あるのである。国立は統廃合で若干減っているが、雨後のタケノコのように公立と私立は増え続けている。18歳人口は減り続けている。経営を考えれば、当然のことながら入学基準は甘くなり、大学生とは名ばかりの学生が量産される。企業側は大卒者には「大学生として当然の知識と教育を身に付けた学生」であることを要求する。そのスタンダードが20数年前にあるとは思わないが、「入試が機能していて、大学生が勉強していたころ」を基準に置くであろう。なぜなら、その時代の大学教育を受けた世代以上が採用の決定権を握っているからである。

多くの大学において、大学名にスクリーニング効果は期待できない。以前は、「この大学ならこのぐらいの入試難易度で、これぐらいのレベルの学生がいる」と予想できたが、入試方法の多様化により、それはほとんど期待できなくなった。むしろ高校名を聞いたほうが確実にレベルが分かる。

2010年11月16日火曜日

裁判員裁判

久々のブログです。本題の本は今読んでいるところです。近日中にアップします。

今日の話題は裁判員裁判です。「いとかわ」と「はやぶさ」の話題とともに、今日のニュースでは裁判員裁判で初の死刑判決が出たという記事について、様々な話が出ています。いつも不思議に思うのは、裁判員に対する記者会見です。

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第70条第1項によると、「構成裁判官及び裁判員が行う評議並びに構成裁判官のみが行う評議であって裁判員の傍聴が許されたものの経過並びにそれぞれの裁判官及び裁判員の意見並びにその多少の数(以下「評議の秘密」という。)については、これを漏らしてはならない。」とされている。加えて、第102条第1項及び第2項は、「何人も、被告事件に関し、当該被告事件を取り扱う裁判所に選任され、又は選定された裁判員若しくは補充裁判員又は選任予定裁判員に接触してはならない。
 何人も、裁判員又は補充裁判員が職務上知り得た秘密を知る目的で、裁判員又は補充裁判員の職にあった者に接触してはならない。」としているのである。
法律を読むと、評議の経過、意見、票の数は漏らしてはならず、しかも、裁判員に接触してはならず、職務上知りえた秘密(この秘密は第70条の秘密を含むと考えるのが当然であろう)を知る目的で接触してはいけないのである。つまり、裁判員の方に課せられた守秘義務はこのように非常に重いものなのである。マスコミもそれを尊重して裁判員の方に接触してはならないのである。
今回の裁判員の方々それぞれが非常に重い決定をなさった。「すごく悩んだ」というコメントをとるためにその方々を追い回すマスコミ。マスコミがこういう方々のプレッシャーになっているのは間違いなく、裁判員の方々もそれを漏らすことは違法になるという意識を持ってもらいたいのである。極端にいえば、「すごく悩んだ」のも評議の経過であるともいえ、漏らしてはならないのである。

裁判所は、この規定を厳格に採用して、マスコミのプレッシャーから解放する必要がある。裁判員の方々には、日本の司法の発展のために尽くしていただいている。裁判員の方々は量刑にまで踏み込んで決定を(このことについては私には別の意見があるが)しているのである。いらぬプレッシャーから解放し、裁判員の方々を守るため、また、裁判員制度をよりよくしていくためには、守秘義務が完全に担保されていなければならないのである。暴力団のかかわる事件で、記者からコメントを求められることや暴力団に狙われる恐怖から量刑が変わるようなことが起きないとも限らない。 弁護士が記者会見をするのとは全く違うのである。
裁判所は記者会見を厳格に禁止するべきである。

2010年11月7日日曜日

自転車

東京に来て1カ月ほど経過し、仕事を会社で済ませたのち自転車で、日比谷⇒(内堀通り)⇒桜田門⇒赤坂⇒(六本木通り)⇒六本木⇒渋谷⇒新宿⇒(明治通り)⇒池袋⇒王子⇒三ノ輪⇒(国際通り)⇒浅草⇒(浅草通り)⇒(清洲橋通り)⇒東神田⇒浜町⇒人形町というルートで3時間ほどで「観光」してきました。東京は坂が少なく平坦なので走りやすい。比べて関西は、坂が多いので自転車だとくたびれてしまいますね。

大きな町には自転車で行けることが分かったので、これから自転車の活動範囲が増えると思います。普段から歩いているとはいえ、週末の暇なときのお金のかからない娯楽が見つかりました。

2010年11月4日木曜日

国鉄改革の真実(葛西)読みました

昨日、息子から電話がかかってきてうれしくてたまりませんでした。

そのあとおもむろに読みだしたのがこれ。何度も読んでいますが面白い。葛西氏がこのプロジェクトに参画したのが40代前半から後半。国鉄分割民営化を「不退転の決意」で遂行した政治家は中曽根康弘氏である。その下で活躍したのが後藤田正晴であり瀬島龍三であった。そしてそのプロジェクトのボトムに葛西氏のような侍がいたということ。

座して死を待つ状態にあった国鉄。しかし、それこそ親方日の丸の国労。その中で葛西氏は労務担当としてそれこそ死に物狂いで働いたと思う。私の勤務先ではいわゆる「要員計画」を実施したことはないのだが、その難しさは容易に理解できる。しかも複雑な労使関係が物事をさらに複雑にしている。そして、葛西氏に「迷いを生じたとき、物事が複雑に絡んだときは、単純明快な事実、単純明快な論理、単純明快な結論に如くはない。うまく泳いで、両方に満足してもらおうと思えば、すべてが混乱に陥る。利害の異なる者の調整をしようとすれば、すべての問題を自分が背負うことになる。そんな暇はない」と言わしめている。まさに至言である。

私は自分の会社の改革にここまで熱くなれるか。座して死を待つだけという会社の状況ではないが、それでも不採算部門は存在するし、不採算でかつ組織に問題のある部門もある。そういう部門で、その部門が存続するのが与件であるとして議論している姿も見る。はたしてそれでいいのか。もっと根本的な問題があるのではないのか。改めてそのようなことを考えるきっかけになった。そういうのを抜きにしても面白い。

今の政治家が、中曽根元首相が燃やした執念で何かをやろうとしているだろうか。これは自民、民主とも共通している。中曽根が好きなわけではないし、中曽根が機を見て敏(悪く言えば風見鶏)であるのも承知しているが、自民党政治の中で中共との国交樹立、それと国鉄解体は、本当に政治主導であったわけで、こういう仕事をするのが政治家であろう。どこにでも反対勢力はいる。国鉄なんて政治家にとっては使い勝手の良い打ち出の小づちだったわけで、また職員は、親方日の丸で仕事をしたかったのが大部分だろう。国民も「国民負担の増大」で反対するわけで、これだけの悪条件でトップダウンで決断する。

結局、JALは、こういうお手本があったのに全く何もできていない。「座して死を待つのみ」というか、すでに死んでしまったのである。死ぬ気になってやってやるという気は、JALの社員からは全く感じられない。すべてが中途半端、労組はそれこそ親方日の丸。政治家は路線の維持を叫び、好き勝手なことを言う。稲盛氏でもおそらく再建は不可能と思う。なぜなら、社員にその気がないから。別にサービスは何も変わらない。昔はJALを応援していたが、JALの社員から本気度が感じられない今となっては、乗る気にもならない。

今の政治になにができるだろうか???

自慢話を超えて面白い。

葛西敬之(2007)『国鉄改革の真実:「宮廷革命」と「啓蒙運動」』中央公論新社

目次

序にかえて 御厨貴
はじめに
第1章 分割民営化始動
第2章 国鉄改革の主戦場、労務・要員対策
第3章 国鉄改革関連8法案の審議開始と国労の分裂
第4章 国鉄改革関連8法案の成立とJR首脳人事
第5章 国鉄資産分割の実態
第6章 JR東海の初動 3正面作戦
終章 JR東海の完全民営化と今後の展望
あとがき

2010年11月3日水曜日

古本まつり最終日

今日は古本まつりの最終日でしたので、午後からずっと神保町に出ていました。結局買ったのは8冊(7冊プラス2冊組1組)です。

丸山真男(1976)『戦中と戦後の間:1936-1957』みすず書房 初版、程度はいまいち、400円
大塚久雄(1994)『社会科学と信仰と』みすず書房 初版、帯つき、ほぼ新品、400円
Runciman, W., G. (1972) A Critique of Max Weber's Pholosophy of Social Science. Cambridge UK: Cabridge University Press. 邦訳 W. G. ランシマン(1978)『マックス・ウェーバーの社会科学論』湯川新、法政大学出版局 2刷、程度良好、400円
Lawler III, E., E. (1981) Pay and Organization Development. Reading, MA.: Addison-Wesley Publishing. 邦訳 エドワード E. ローラーⅢ世(2004) 『検証 成果主義』田中政光、白桃書房。
3刷、ほぼ新品、400円
伊丹敬之、軽部大(2004)『見えざる資産の戦略と論理』日本経済新聞社 初版、帯付新品同様、400円
Casson, M. (2000) Economics of International Business: A New Research Agenda. Cheltenham, UK: Edward Elgar Publishing. 邦訳 M. カソン(2005)『国際ビジネス・エコノミクス:新しい研究課題とその方向性』江夏健一、桑名義晴、大東和武司、文眞堂
初版、ほぼ新品、1000円
Csikszentmihalyi, M. (1975) Beyond Boredom and Anxiety. San Francisco: Jossey-Bass Publishing. 邦訳 M. チクセントミハイ(1979)『楽しみの社会学:不安と倦怠を超えて』今井浩明、思索社
旧版初版、程度はまあまあ、600円
モンテーニュ『随想録』関根秀雄(1970)、新潮社(2冊組)
3刷、程度良好、1000円

安いか高いかと言われれば明らかに安いと思う。4600円、つまりちょっとした専門書1冊の代金でこれだけ買えたということ。
この中で、以前から欲しくて本当に買いたかったのは、チクセントミハイの『楽しみの社会学』。何かに没頭する「フロー体験」の名著です。旧版ですが安いので買ってしまいました。
伊丹先生の『見えざる資産・・』は買おうと思っていた本でしたが、それほど食指が動かなかった。しかし、400円なら問題なし。お買い上げです。同じ文脈で言うと、『検証成果主義』もそういう本です。
『随想録』は、本当は宮下志朗訳4冊組がほしいのですが、1000円だと失敗してもまた売ればいいのだし、とりあえず買った感じ。
丸山真男は、一度読まねばと思っていた本で、普通にいろんな古本屋で見かけますが、400円は見たことがなく、しかもそれなりの程度だったので購入。
カソンは、修論を書く際に読んでいて、懐かしくて買った次第。これからの仕事にも生かせればと思う。
そして、ヴェーバー関係の棚を見ていて、面白そうな2冊を買った次第です。

そのほかに買うかどうか最後まで迷ったのは:
旺文社文庫の内田百閒全38巻(初版帯付)に平山三郎の4冊をセットにした全42冊組。これが42000円だったのを3万円まで値引きしていたので、最後まで迷った。これは2度と出ないセットであることはほぼ確実。家に帰ってきてすでに後悔している・・・。この前は講談社版全集8000円で後悔しまくり。福武書店版全集なら12万円でありますが・・・。
あと安いので迷ったのがギボン『ローマ帝国衰亡史』村山勇三 岩波書店の10冊組。これ3000円で箱入りが出ていたのですが、これならいつでも買えると思って今回はパス。

もっともっと欲しい本はありますが、神保町に行けば買えると思うと幸福です。先立つものが必要ですけどね・・・。本は買い始めると買ってしまうんですよね・・・・。

2010年10月31日日曜日

古本まつり

大阪にいて、いつも東京と比べてダメだと思っていたのが古本屋。質・量とも東京は流石。150店以上の古本屋が神保町界隈にひしめき合うさまは、日本の出版文化が東京一極集中であることを示すとともに、それだけ本の需要も多いのだと思います。ロンドンならCharing Cross Road WC2(ポストコードがあいまいだがこれであっていると思う)。Open Universityに通っているころに、よく本をチェックしに行きました。当時の本も数冊まだ家に残っています。Charing Cross Roadといえば、私が駐在している当時、その北の端に当たるTottenham Court RoadのTubeの近所のスヌーカー屋(たしか、Centrepointという名前だったと思う。家に帰ればメンバーシップカードがある)のメンバーでした。メンバーシップといえばロンドンのあらゆるSporting Club(さて、何でしょう?)のHonourable Member(終生会員)でもありますが、何の自慢にもなりませんね。いずれにしろ出版文化バンザイです!

閑話休題、今日は古本まつりです。靖国通り沿いから回廊を作るように古本の露店の山です。手持ちの金も少なく、今日は偵察がてらに1冊。Bernal, J., D. (1965) Science in History 3rd ed., London: C. A. Watts & Co.. 邦訳J. D. バーナル(1966)『歴史における科学:決定版』鎮目恭夫、みすず書房を買いました。800円だったのでまあいいかと思います。これから読んでみようと思います。

実は本当の目的は、先々週小宮山書店で見かけた講談社版内田百閒全集10冊揃いの8千円を買いに行ったのですが、見事になくなっていました。福武版をコツコツ集めるか、また出てくるのを待つか。 こういうのは見かけたら有無を言わさず買うべきですね。前にも白川静で懲りているのに・・・・。

隷属への道(ハイエク)一気読み

昨日は風邪ひきで昼間寝ていたのがたたって、夜は眠れない。眠れないので眠るために読もうと思って読みだすと、面白くて一気に読んでしまったのが、Hayek, F., A. (1943) The Road to Serfdom. Chicago: University of Chicago Press. 邦訳 F・A・ハイエク(2008)『隷属への道』西山千明、春秋社である。寝るための睡眠薬だったのですが、一種の覚せい剤でした。

これを読むと、今の民主党の議論が未熟なこと、またアメリカの中間選挙でなぜTea Partyがアメリカであれだけの支持を得ることができるのか、はたまた会社での経費賦課の不毛な論争にも、この本が与えてくれるロバストな視点は非常に有用である。

集産主義として代表される共産主義やファシズムに対する徹底的な批判と同時に、「法の支配」による権力の集中の防止と分散により、個人が競争を通じて努力する。人間は自分の利益になることにしか最善の努力をしないので、「適正な誘因」が必要である。そのためには自由でなければならないのである。ハイエクはこうも言う:「経済的自由は、ほかのどんな自由にも先立つ前提条件であるが、社会主義者が約束するような「経済的心配からの自由」とは全く異なっている。後者の自由とは、個人を欠乏から遠ざけると同時に選択の権利からも遠ざけることによって初めて獲得しうるものである。そうでなく、経済自由とは、経済活動の自由でなければならない。もちろんそれは、選択の権利をもたらすとともに、それに伴う危険や損失、そしして責任を個人に課してくるのだが」と。これにしびれます。そして、経済的問題の解決には富の増大しかないことを説くのである。

ここで、たとえば派遣労働者の問題を考えてみたい。製造業への派遣労働禁止と派遣労働者の正社員化を図ろうと政府が派遣法を改正しようとしているのは承知のとおりである。さらに、契約社員まで正社員化しようとしているのである。この議論は、正社員を善、そのほかを悪とする単純な二元論から成り立っている。ところが、正社員の解雇制限をそのままにしてこれを強力に推し進めると何が起こるかは明白である。正社員の低賃金化とイノベーションの低下、ひいては国力の低下を招くと考える。本来の道は、正社員の過度な解雇制限を緩和すると同時に、個人の競争を徹底させる「機会の平等」を法によって担保すればよいのである。

たとえば、現在の労働法制や判例からは、仕事ができない人間を解雇するのはほぼ不可能であるだけでなく、賃下げさえ「不利益変更の禁止」理論でほぼ不可能である。企業は膨大なコストをかけてそういう労働者を雇用し続ける必要があるのである。派遣労働の禁止を主張する人々は、こういう正社員の優越的地位を労働者全体に及ぼしたいと主張する。しかし、この優越的地位自体が問題である。会社にとって必要のない人間を雇い続けることを強制されることによる経済的損失が問題である。有能も無能もいっしょくたなのである。経済的自由を経済活動の自由と責任であるとすると、雇用される側は競争を通じて最善の努力をしなければならない。最善の努力は適正な誘因によって動機づけられていなければならない。努力する・しないは、その当人の「自由」なのである。

厳しい言い方をするが、就職氷河期でも就職できる学生は多い。それではなぜ就職できない学生がでてくるのか。企業が求めるポテンシャルを持っていないからである。事実はシンプルである。別の角度から言うと、企業によって求めるポテンシャルの質は異なり、違うタイプの企業を回ると就職できたりする。しかし、何かに打ち込んだ経験や、それがなければひたむきな努力なしに就職できるはずもないのである。学生が学生の本分を果たさなければ就職できないのは当たり前である。大学名で差別するな、個人を見てほしい、とよく言うが、それなら一流大学に入る努力を否定してもよいのか。努力するもしないも「個人の自由」である。それをさせるもさせないも「親の自由」である。この時期でも就職できないと嘆く学生がいる。能力を見てもらえないと嘆く前に、自分の能力と直面して、何が足りないか、何をしないといけないのか見つめなおしてほしい。こういう就活生には、下手な就活本など読まずに、日本の選抜制度の研究の金字塔、竹内洋(1995)『日本のメリトクラシー:構造と心性』東京大学出版会の一読をお勧めします。これを読めば80年代からの日本の受験・就職・出世の理論的理解と構造が理解できると思います。リンクをWEBCATにしておきました。文科系の学校でまともな大学図書館には所蔵されているはずです。

高名な大学教授の方から学生を見てほしいとお願いされることがよくあります。ほぼダメです。なぜか。よく自己分析というが、そんなことはどうでもいい。うまくいかない人の共通点は、企業がどんな人間を求めているかの核心を勉強しようとしないこと。自分に何ができるか・何ができないかよりも、企業が求めている人間像をつかめない。確かに高名な大学教授の方のゼミに所属しているので勉強もよくできるし積極性も感じる。しかし何かが足りない。共通しているのは、「就職活動も競争」ということを理解せずに、自分の優位性だけで勝負しようとしている。

最後は全く違うところに議論が行ってしまった。お許しあれ。ぜひ一読をお勧めします。

目次

1994年版序文 ミルトン・フリードマン
序章
第1章 見捨てられた道
第2章 偉大なユートピア
第3章 個人主義と集産主義
第4章 計画の「不可避性」
第5章 計画化と民主主義
第6章 計画化と「法の支配」
第7章 経済統制と全体主義
第8章 誰が、誰を?
第9章 保障と自由
第10章 なぜ最悪の者が指導者となるのか
第11章 真実の終わり
第12章 ナチズムの基礎としての社会主義
第13章 我々の中の全体主義者
第14章 物質的条件と道徳的理想
第15章 国際秩序の今後の展望
結び
原注・参考文献
初版まえがき
1976年版へのまえがき
訳者あとがきにかえて

2010年10月30日土曜日

酒肴酒(吉田)久々に・・・

風邪引きもあって、今日は台風で外にも行けず、軽い本を探していたところ、吉田健一(2006)『酒肴酒』光文社がありました。吉田健一といえば吉田茂の息子。吉田茂といえば、親父の遺産をついで大金持ち。東京帝大法学部から外交官試験合格、同期はA級戦犯の廣田弘毅であるのはあまり知られていない。奥さんは牧野伸顕の娘。外交官としては中国を振り出しに当時大使としては最高峰だった駐英大使まで上り詰める。その後戦後まで要職に就かなかったのが吉田茂の幸運であったのはいうまでもなく、同期の廣田は首相を務めたことで絞首台の露と消えたのである。

さて、主役の吉田健一である。東京生まれだが、青島、パリ、ロンドン、天津と父とともに転任し、東京の戻った後ケンブリッジのキングスカレッジに留学したという、Establishmentである。戦前の日本にこういう経験をした人間はいない。たとえば、イケムで牡蠣を喰うような経験ができる日本人がいまでもいるだろうか。この組み合わせが最悪なのはよくわかるが、こんなことを書かれても普通は分からない。私はたまたまイケムを飲む体験ができた。とあるイギリスの名門企業の本社(この会社は数度のM&Aで跡形もなくなってしまった。ビルではなく、イギリス流のレンガ造りの素晴らしい建物でした)で昼食になり、そこのDiningでフルコースのランチョンになったときのデザートに出てきたイケム。ちなみにその時出た白は覚えていないが、赤は1977のCh. Margaux、ポートは1963のTaylor。D'Yquemも77だったと記憶する。私が今まで経験した最高の洋食がこれ。今後もこれ以上の食事をすることはないと思う。そして、戦前に現地でこの体験ができたのはそうそういないと思うのである。


自慢話になってしまったが、閑話休題、この本にはいまやない店のことも多く書いてあるが、たとえば、神戸のフロインドリーブドンナロイア別館牡丹園、それと私が好きなハイウエイ(トアロードにあったが移転した。移転前のほうがよかった)、あと凝ったところではハナワグリルなんかも出てきます。この本のよさは、本当にそこで食べている感じが出てくるところ。今やなき酒田の相馬屋の一夜の献立と酒の記述を読むだけで、「うまかったんやろな」と思えるのがすごいところ。文庫で安いので、一度読まれてみてはと思います。

目次
Ⅰ 舌鼓ところどころ
食べものあれこれ
舌鼓ところどころ
Ⅱ 酒肴酒
酒の話
解説 坂崎重盛