2010年12月17日金曜日

宴会の日々

忘年会という名の宴会が今週はほぼ毎日続いています。本を読む暇がほとんどなく、早朝に会社に出て仕事して、夜は宴会です。会議があると地獄です。

仕事が経営企画なのでお客さんの接待ではないのですが、社内の様々な宴会に参加しています。呼ばれることが多く、接待ではないので自腹、傾斜配分がきつい時(つまり若手と飲むとき)は財布が泣いています。お酒を飲むのは嫌いではありませんが、忘年会・新年会で立て続けに飲むのは疲れてしまいます。今日は早めに終わりましたが、食事してから歌を歌うみたいなのは疲れます。

学校に行ってよかったのは、会社のことを全く話さなくて済む仲間ができることです。そういう飲み会は全然疲れませんが、会社の忘年会で会社のことになるのは当然。酔ってくると説教する人や、ちょっと何か言うと突っかかってくる人などなど・・・・。こういう宴会に限って2次会に行きたがる人もいますし。できるだけ飲まないようにして様子を窺うようにするしかありません。若手やよく知った人たちで飲むのはいいのですが・・・・。

来週も宴会の日々が続きます。皆様もお身体ご自愛くださいね。

2010年11月21日日曜日

今日の日経社説

本日の日経社説「商社の提言を機に採用活動を見直せ」について、私の思うところを書いてみたい。

私は、就職活動の時期の規制に大賛成の一人である。しかし、日本貿易会が何を言おうが、経団連が何を言おうが全く実効性はない。私が就職活動をした20数年前にも就職協定はあった。しかし、4年生の春ごろから就職活動はスタートしていた。ゼミの仲間で就職する連中はみな活動していて、解禁日には内々定が出ていたのである。私は極めてふまじめな学生で、就職する気はあまりなく、解禁日に有名企業に並んで面接を受けたが結局その企業には通らず、後で受けた今の会社に就職したわけです。曲がりなりにも協定が生きていた時代でさえ、4年生の春には電話帳のようなガイドブックが何冊も送られてきて、興味のある会社にはがきを出し、説明会に参加していたのである。先輩から電話がきて、「うちに来ないか」的なリクルーター制度もあったし。

就職協定に罰則がない限り、就職協定には意味がない。企業はできるだけ優秀な学生を採用しようと必死である。一部有名企業は就職協定を守っていても採用には困らない。しかし、世の中にある大部分の会社は、優秀な学生の確保のために就職協定など関係なく活動している。日本貿易会加盟商社でも4月1日と同時に選考に入る。ほかの会社はそれよりもずっと前に選考活動をやっている。説明会は10月からやっているし、学校回りもやっている。

企業側の活動が早くなるのは、できるだけ早くいい学生を確保したいからであり、求職活動を法律で規制し、学生は労働局に違反企業を密告すればよいのである。密告する学生はおそらくその企業の選考に落ちた学生であろうが、それでもよいのである。違反事実があれば、企業名の公表、学校への告知など、様々な罰則を設けるべきであろう。少なくとも、求人活動(面接、筆記を問わず選考活動を含む)の開始可能時期を法律で規制するべきなのである。それにはインターンシップも含まれる。インターンシップを選考のためにするのであれば、それも含めて規制するべきである。そもそも、インターンシップについては、もっと高い理想があったはずであるが、採用活動の一環と堕したインターンシップには全く興味を失ってしまった。だから、インターンシップなんて止めてしまえばいい。意味がない。

一番実効性がある方法は、新卒見込み者だけを採用できる仕組みを法規制することである。大学卒業程度の学歴を求めるのであれば、年齢制限を設けてはならないのである。現行の雇用機会均等法の枠組みでもこれは可能である。年齢制限の禁止を厳格に運用し、「卒業見込み者に限る」という応募要項を禁止すればよいのである。卒業見込み者を採用したい場合は、就職活動を規制する法律を整備することにより、「学生に関しては、何月何日から選考」とすれば、既卒者であればそれ以前から採用可能であるし、見込み者は学生選考日以前の選考ができないようにしてしまえば解決すると考えられる。抜け駆けを防ぐためには公務員も含めた法規制が重要になるであろう。

大学生の就職難については、実業界全体が求める人材ポートフォリオは30年前から大きく変化しているわけではないのに、進学率の向上によって学生が求める職業と実業界が求めるポートフォリオに大きなずれが生じていることが原因である。30年前は高校卒業後就職する比率は70%前後であったが、今は5割を切っている。元々大卒程度の職種はそれほど多くはない。今の世の中では減りこそすれ増えない。要するにアンマッチが起こっているのである。大学に入れば就職が保証されていた時代は過ぎたのである。4年制大学と名がつく「機関」がなんと758(2009年4月1日現在、国立86、公立77、私立595)あるのである。国立は統廃合で若干減っているが、雨後のタケノコのように公立と私立は増え続けている。18歳人口は減り続けている。経営を考えれば、当然のことながら入学基準は甘くなり、大学生とは名ばかりの学生が量産される。企業側は大卒者には「大学生として当然の知識と教育を身に付けた学生」であることを要求する。そのスタンダードが20数年前にあるとは思わないが、「入試が機能していて、大学生が勉強していたころ」を基準に置くであろう。なぜなら、その時代の大学教育を受けた世代以上が採用の決定権を握っているからである。

多くの大学において、大学名にスクリーニング効果は期待できない。以前は、「この大学ならこのぐらいの入試難易度で、これぐらいのレベルの学生がいる」と予想できたが、入試方法の多様化により、それはほとんど期待できなくなった。むしろ高校名を聞いたほうが確実にレベルが分かる。

2010年11月16日火曜日

裁判員裁判

久々のブログです。本題の本は今読んでいるところです。近日中にアップします。

今日の話題は裁判員裁判です。「いとかわ」と「はやぶさ」の話題とともに、今日のニュースでは裁判員裁判で初の死刑判決が出たという記事について、様々な話が出ています。いつも不思議に思うのは、裁判員に対する記者会見です。

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第70条第1項によると、「構成裁判官及び裁判員が行う評議並びに構成裁判官のみが行う評議であって裁判員の傍聴が許されたものの経過並びにそれぞれの裁判官及び裁判員の意見並びにその多少の数(以下「評議の秘密」という。)については、これを漏らしてはならない。」とされている。加えて、第102条第1項及び第2項は、「何人も、被告事件に関し、当該被告事件を取り扱う裁判所に選任され、又は選定された裁判員若しくは補充裁判員又は選任予定裁判員に接触してはならない。
 何人も、裁判員又は補充裁判員が職務上知り得た秘密を知る目的で、裁判員又は補充裁判員の職にあった者に接触してはならない。」としているのである。
法律を読むと、評議の経過、意見、票の数は漏らしてはならず、しかも、裁判員に接触してはならず、職務上知りえた秘密(この秘密は第70条の秘密を含むと考えるのが当然であろう)を知る目的で接触してはいけないのである。つまり、裁判員の方に課せられた守秘義務はこのように非常に重いものなのである。マスコミもそれを尊重して裁判員の方に接触してはならないのである。
今回の裁判員の方々それぞれが非常に重い決定をなさった。「すごく悩んだ」というコメントをとるためにその方々を追い回すマスコミ。マスコミがこういう方々のプレッシャーになっているのは間違いなく、裁判員の方々もそれを漏らすことは違法になるという意識を持ってもらいたいのである。極端にいえば、「すごく悩んだ」のも評議の経過であるともいえ、漏らしてはならないのである。

裁判所は、この規定を厳格に採用して、マスコミのプレッシャーから解放する必要がある。裁判員の方々には、日本の司法の発展のために尽くしていただいている。裁判員の方々は量刑にまで踏み込んで決定を(このことについては私には別の意見があるが)しているのである。いらぬプレッシャーから解放し、裁判員の方々を守るため、また、裁判員制度をよりよくしていくためには、守秘義務が完全に担保されていなければならないのである。暴力団のかかわる事件で、記者からコメントを求められることや暴力団に狙われる恐怖から量刑が変わるようなことが起きないとも限らない。 弁護士が記者会見をするのとは全く違うのである。
裁判所は記者会見を厳格に禁止するべきである。

2010年11月7日日曜日

自転車

東京に来て1カ月ほど経過し、仕事を会社で済ませたのち自転車で、日比谷⇒(内堀通り)⇒桜田門⇒赤坂⇒(六本木通り)⇒六本木⇒渋谷⇒新宿⇒(明治通り)⇒池袋⇒王子⇒三ノ輪⇒(国際通り)⇒浅草⇒(浅草通り)⇒(清洲橋通り)⇒東神田⇒浜町⇒人形町というルートで3時間ほどで「観光」してきました。東京は坂が少なく平坦なので走りやすい。比べて関西は、坂が多いので自転車だとくたびれてしまいますね。

大きな町には自転車で行けることが分かったので、これから自転車の活動範囲が増えると思います。普段から歩いているとはいえ、週末の暇なときのお金のかからない娯楽が見つかりました。

2010年11月4日木曜日

国鉄改革の真実(葛西)読みました

昨日、息子から電話がかかってきてうれしくてたまりませんでした。

そのあとおもむろに読みだしたのがこれ。何度も読んでいますが面白い。葛西氏がこのプロジェクトに参画したのが40代前半から後半。国鉄分割民営化を「不退転の決意」で遂行した政治家は中曽根康弘氏である。その下で活躍したのが後藤田正晴であり瀬島龍三であった。そしてそのプロジェクトのボトムに葛西氏のような侍がいたということ。

座して死を待つ状態にあった国鉄。しかし、それこそ親方日の丸の国労。その中で葛西氏は労務担当としてそれこそ死に物狂いで働いたと思う。私の勤務先ではいわゆる「要員計画」を実施したことはないのだが、その難しさは容易に理解できる。しかも複雑な労使関係が物事をさらに複雑にしている。そして、葛西氏に「迷いを生じたとき、物事が複雑に絡んだときは、単純明快な事実、単純明快な論理、単純明快な結論に如くはない。うまく泳いで、両方に満足してもらおうと思えば、すべてが混乱に陥る。利害の異なる者の調整をしようとすれば、すべての問題を自分が背負うことになる。そんな暇はない」と言わしめている。まさに至言である。

私は自分の会社の改革にここまで熱くなれるか。座して死を待つだけという会社の状況ではないが、それでも不採算部門は存在するし、不採算でかつ組織に問題のある部門もある。そういう部門で、その部門が存続するのが与件であるとして議論している姿も見る。はたしてそれでいいのか。もっと根本的な問題があるのではないのか。改めてそのようなことを考えるきっかけになった。そういうのを抜きにしても面白い。

今の政治家が、中曽根元首相が燃やした執念で何かをやろうとしているだろうか。これは自民、民主とも共通している。中曽根が好きなわけではないし、中曽根が機を見て敏(悪く言えば風見鶏)であるのも承知しているが、自民党政治の中で中共との国交樹立、それと国鉄解体は、本当に政治主導であったわけで、こういう仕事をするのが政治家であろう。どこにでも反対勢力はいる。国鉄なんて政治家にとっては使い勝手の良い打ち出の小づちだったわけで、また職員は、親方日の丸で仕事をしたかったのが大部分だろう。国民も「国民負担の増大」で反対するわけで、これだけの悪条件でトップダウンで決断する。

結局、JALは、こういうお手本があったのに全く何もできていない。「座して死を待つのみ」というか、すでに死んでしまったのである。死ぬ気になってやってやるという気は、JALの社員からは全く感じられない。すべてが中途半端、労組はそれこそ親方日の丸。政治家は路線の維持を叫び、好き勝手なことを言う。稲盛氏でもおそらく再建は不可能と思う。なぜなら、社員にその気がないから。別にサービスは何も変わらない。昔はJALを応援していたが、JALの社員から本気度が感じられない今となっては、乗る気にもならない。

今の政治になにができるだろうか???

自慢話を超えて面白い。

葛西敬之(2007)『国鉄改革の真実:「宮廷革命」と「啓蒙運動」』中央公論新社

目次

序にかえて 御厨貴
はじめに
第1章 分割民営化始動
第2章 国鉄改革の主戦場、労務・要員対策
第3章 国鉄改革関連8法案の審議開始と国労の分裂
第4章 国鉄改革関連8法案の成立とJR首脳人事
第5章 国鉄資産分割の実態
第6章 JR東海の初動 3正面作戦
終章 JR東海の完全民営化と今後の展望
あとがき

2010年11月3日水曜日

古本まつり最終日

今日は古本まつりの最終日でしたので、午後からずっと神保町に出ていました。結局買ったのは8冊(7冊プラス2冊組1組)です。

丸山真男(1976)『戦中と戦後の間:1936-1957』みすず書房 初版、程度はいまいち、400円
大塚久雄(1994)『社会科学と信仰と』みすず書房 初版、帯つき、ほぼ新品、400円
Runciman, W., G. (1972) A Critique of Max Weber's Pholosophy of Social Science. Cambridge UK: Cabridge University Press. 邦訳 W. G. ランシマン(1978)『マックス・ウェーバーの社会科学論』湯川新、法政大学出版局 2刷、程度良好、400円
Lawler III, E., E. (1981) Pay and Organization Development. Reading, MA.: Addison-Wesley Publishing. 邦訳 エドワード E. ローラーⅢ世(2004) 『検証 成果主義』田中政光、白桃書房。
3刷、ほぼ新品、400円
伊丹敬之、軽部大(2004)『見えざる資産の戦略と論理』日本経済新聞社 初版、帯付新品同様、400円
Casson, M. (2000) Economics of International Business: A New Research Agenda. Cheltenham, UK: Edward Elgar Publishing. 邦訳 M. カソン(2005)『国際ビジネス・エコノミクス:新しい研究課題とその方向性』江夏健一、桑名義晴、大東和武司、文眞堂
初版、ほぼ新品、1000円
Csikszentmihalyi, M. (1975) Beyond Boredom and Anxiety. San Francisco: Jossey-Bass Publishing. 邦訳 M. チクセントミハイ(1979)『楽しみの社会学:不安と倦怠を超えて』今井浩明、思索社
旧版初版、程度はまあまあ、600円
モンテーニュ『随想録』関根秀雄(1970)、新潮社(2冊組)
3刷、程度良好、1000円

安いか高いかと言われれば明らかに安いと思う。4600円、つまりちょっとした専門書1冊の代金でこれだけ買えたということ。
この中で、以前から欲しくて本当に買いたかったのは、チクセントミハイの『楽しみの社会学』。何かに没頭する「フロー体験」の名著です。旧版ですが安いので買ってしまいました。
伊丹先生の『見えざる資産・・』は買おうと思っていた本でしたが、それほど食指が動かなかった。しかし、400円なら問題なし。お買い上げです。同じ文脈で言うと、『検証成果主義』もそういう本です。
『随想録』は、本当は宮下志朗訳4冊組がほしいのですが、1000円だと失敗してもまた売ればいいのだし、とりあえず買った感じ。
丸山真男は、一度読まねばと思っていた本で、普通にいろんな古本屋で見かけますが、400円は見たことがなく、しかもそれなりの程度だったので購入。
カソンは、修論を書く際に読んでいて、懐かしくて買った次第。これからの仕事にも生かせればと思う。
そして、ヴェーバー関係の棚を見ていて、面白そうな2冊を買った次第です。

そのほかに買うかどうか最後まで迷ったのは:
旺文社文庫の内田百閒全38巻(初版帯付)に平山三郎の4冊をセットにした全42冊組。これが42000円だったのを3万円まで値引きしていたので、最後まで迷った。これは2度と出ないセットであることはほぼ確実。家に帰ってきてすでに後悔している・・・。この前は講談社版全集8000円で後悔しまくり。福武書店版全集なら12万円でありますが・・・。
あと安いので迷ったのがギボン『ローマ帝国衰亡史』村山勇三 岩波書店の10冊組。これ3000円で箱入りが出ていたのですが、これならいつでも買えると思って今回はパス。

もっともっと欲しい本はありますが、神保町に行けば買えると思うと幸福です。先立つものが必要ですけどね・・・。本は買い始めると買ってしまうんですよね・・・・。

2010年10月31日日曜日

古本まつり

大阪にいて、いつも東京と比べてダメだと思っていたのが古本屋。質・量とも東京は流石。150店以上の古本屋が神保町界隈にひしめき合うさまは、日本の出版文化が東京一極集中であることを示すとともに、それだけ本の需要も多いのだと思います。ロンドンならCharing Cross Road WC2(ポストコードがあいまいだがこれであっていると思う)。Open Universityに通っているころに、よく本をチェックしに行きました。当時の本も数冊まだ家に残っています。Charing Cross Roadといえば、私が駐在している当時、その北の端に当たるTottenham Court RoadのTubeの近所のスヌーカー屋(たしか、Centrepointという名前だったと思う。家に帰ればメンバーシップカードがある)のメンバーでした。メンバーシップといえばロンドンのあらゆるSporting Club(さて、何でしょう?)のHonourable Member(終生会員)でもありますが、何の自慢にもなりませんね。いずれにしろ出版文化バンザイです!

閑話休題、今日は古本まつりです。靖国通り沿いから回廊を作るように古本の露店の山です。手持ちの金も少なく、今日は偵察がてらに1冊。Bernal, J., D. (1965) Science in History 3rd ed., London: C. A. Watts & Co.. 邦訳J. D. バーナル(1966)『歴史における科学:決定版』鎮目恭夫、みすず書房を買いました。800円だったのでまあいいかと思います。これから読んでみようと思います。

実は本当の目的は、先々週小宮山書店で見かけた講談社版内田百閒全集10冊揃いの8千円を買いに行ったのですが、見事になくなっていました。福武版をコツコツ集めるか、また出てくるのを待つか。 こういうのは見かけたら有無を言わさず買うべきですね。前にも白川静で懲りているのに・・・・。

隷属への道(ハイエク)一気読み

昨日は風邪ひきで昼間寝ていたのがたたって、夜は眠れない。眠れないので眠るために読もうと思って読みだすと、面白くて一気に読んでしまったのが、Hayek, F., A. (1943) The Road to Serfdom. Chicago: University of Chicago Press. 邦訳 F・A・ハイエク(2008)『隷属への道』西山千明、春秋社である。寝るための睡眠薬だったのですが、一種の覚せい剤でした。

これを読むと、今の民主党の議論が未熟なこと、またアメリカの中間選挙でなぜTea Partyがアメリカであれだけの支持を得ることができるのか、はたまた会社での経費賦課の不毛な論争にも、この本が与えてくれるロバストな視点は非常に有用である。

集産主義として代表される共産主義やファシズムに対する徹底的な批判と同時に、「法の支配」による権力の集中の防止と分散により、個人が競争を通じて努力する。人間は自分の利益になることにしか最善の努力をしないので、「適正な誘因」が必要である。そのためには自由でなければならないのである。ハイエクはこうも言う:「経済的自由は、ほかのどんな自由にも先立つ前提条件であるが、社会主義者が約束するような「経済的心配からの自由」とは全く異なっている。後者の自由とは、個人を欠乏から遠ざけると同時に選択の権利からも遠ざけることによって初めて獲得しうるものである。そうでなく、経済自由とは、経済活動の自由でなければならない。もちろんそれは、選択の権利をもたらすとともに、それに伴う危険や損失、そしして責任を個人に課してくるのだが」と。これにしびれます。そして、経済的問題の解決には富の増大しかないことを説くのである。

ここで、たとえば派遣労働者の問題を考えてみたい。製造業への派遣労働禁止と派遣労働者の正社員化を図ろうと政府が派遣法を改正しようとしているのは承知のとおりである。さらに、契約社員まで正社員化しようとしているのである。この議論は、正社員を善、そのほかを悪とする単純な二元論から成り立っている。ところが、正社員の解雇制限をそのままにしてこれを強力に推し進めると何が起こるかは明白である。正社員の低賃金化とイノベーションの低下、ひいては国力の低下を招くと考える。本来の道は、正社員の過度な解雇制限を緩和すると同時に、個人の競争を徹底させる「機会の平等」を法によって担保すればよいのである。

たとえば、現在の労働法制や判例からは、仕事ができない人間を解雇するのはほぼ不可能であるだけでなく、賃下げさえ「不利益変更の禁止」理論でほぼ不可能である。企業は膨大なコストをかけてそういう労働者を雇用し続ける必要があるのである。派遣労働の禁止を主張する人々は、こういう正社員の優越的地位を労働者全体に及ぼしたいと主張する。しかし、この優越的地位自体が問題である。会社にとって必要のない人間を雇い続けることを強制されることによる経済的損失が問題である。有能も無能もいっしょくたなのである。経済的自由を経済活動の自由と責任であるとすると、雇用される側は競争を通じて最善の努力をしなければならない。最善の努力は適正な誘因によって動機づけられていなければならない。努力する・しないは、その当人の「自由」なのである。

厳しい言い方をするが、就職氷河期でも就職できる学生は多い。それではなぜ就職できない学生がでてくるのか。企業が求めるポテンシャルを持っていないからである。事実はシンプルである。別の角度から言うと、企業によって求めるポテンシャルの質は異なり、違うタイプの企業を回ると就職できたりする。しかし、何かに打ち込んだ経験や、それがなければひたむきな努力なしに就職できるはずもないのである。学生が学生の本分を果たさなければ就職できないのは当たり前である。大学名で差別するな、個人を見てほしい、とよく言うが、それなら一流大学に入る努力を否定してもよいのか。努力するもしないも「個人の自由」である。それをさせるもさせないも「親の自由」である。この時期でも就職できないと嘆く学生がいる。能力を見てもらえないと嘆く前に、自分の能力と直面して、何が足りないか、何をしないといけないのか見つめなおしてほしい。こういう就活生には、下手な就活本など読まずに、日本の選抜制度の研究の金字塔、竹内洋(1995)『日本のメリトクラシー:構造と心性』東京大学出版会の一読をお勧めします。これを読めば80年代からの日本の受験・就職・出世の理論的理解と構造が理解できると思います。リンクをWEBCATにしておきました。文科系の学校でまともな大学図書館には所蔵されているはずです。

高名な大学教授の方から学生を見てほしいとお願いされることがよくあります。ほぼダメです。なぜか。よく自己分析というが、そんなことはどうでもいい。うまくいかない人の共通点は、企業がどんな人間を求めているかの核心を勉強しようとしないこと。自分に何ができるか・何ができないかよりも、企業が求めている人間像をつかめない。確かに高名な大学教授の方のゼミに所属しているので勉強もよくできるし積極性も感じる。しかし何かが足りない。共通しているのは、「就職活動も競争」ということを理解せずに、自分の優位性だけで勝負しようとしている。

最後は全く違うところに議論が行ってしまった。お許しあれ。ぜひ一読をお勧めします。

目次

1994年版序文 ミルトン・フリードマン
序章
第1章 見捨てられた道
第2章 偉大なユートピア
第3章 個人主義と集産主義
第4章 計画の「不可避性」
第5章 計画化と民主主義
第6章 計画化と「法の支配」
第7章 経済統制と全体主義
第8章 誰が、誰を?
第9章 保障と自由
第10章 なぜ最悪の者が指導者となるのか
第11章 真実の終わり
第12章 ナチズムの基礎としての社会主義
第13章 我々の中の全体主義者
第14章 物質的条件と道徳的理想
第15章 国際秩序の今後の展望
結び
原注・参考文献
初版まえがき
1976年版へのまえがき
訳者あとがきにかえて

2010年10月30日土曜日

酒肴酒(吉田)久々に・・・

風邪引きもあって、今日は台風で外にも行けず、軽い本を探していたところ、吉田健一(2006)『酒肴酒』光文社がありました。吉田健一といえば吉田茂の息子。吉田茂といえば、親父の遺産をついで大金持ち。東京帝大法学部から外交官試験合格、同期はA級戦犯の廣田弘毅であるのはあまり知られていない。奥さんは牧野伸顕の娘。外交官としては中国を振り出しに当時大使としては最高峰だった駐英大使まで上り詰める。その後戦後まで要職に就かなかったのが吉田茂の幸運であったのはいうまでもなく、同期の廣田は首相を務めたことで絞首台の露と消えたのである。

さて、主役の吉田健一である。東京生まれだが、青島、パリ、ロンドン、天津と父とともに転任し、東京の戻った後ケンブリッジのキングスカレッジに留学したという、Establishmentである。戦前の日本にこういう経験をした人間はいない。たとえば、イケムで牡蠣を喰うような経験ができる日本人がいまでもいるだろうか。この組み合わせが最悪なのはよくわかるが、こんなことを書かれても普通は分からない。私はたまたまイケムを飲む体験ができた。とあるイギリスの名門企業の本社(この会社は数度のM&Aで跡形もなくなってしまった。ビルではなく、イギリス流のレンガ造りの素晴らしい建物でした)で昼食になり、そこのDiningでフルコースのランチョンになったときのデザートに出てきたイケム。ちなみにその時出た白は覚えていないが、赤は1977のCh. Margaux、ポートは1963のTaylor。D'Yquemも77だったと記憶する。私が今まで経験した最高の洋食がこれ。今後もこれ以上の食事をすることはないと思う。そして、戦前に現地でこの体験ができたのはそうそういないと思うのである。


自慢話になってしまったが、閑話休題、この本にはいまやない店のことも多く書いてあるが、たとえば、神戸のフロインドリーブドンナロイア別館牡丹園、それと私が好きなハイウエイ(トアロードにあったが移転した。移転前のほうがよかった)、あと凝ったところではハナワグリルなんかも出てきます。この本のよさは、本当にそこで食べている感じが出てくるところ。今やなき酒田の相馬屋の一夜の献立と酒の記述を読むだけで、「うまかったんやろな」と思えるのがすごいところ。文庫で安いので、一度読まれてみてはと思います。

目次
Ⅰ 舌鼓ところどころ
食べものあれこれ
舌鼓ところどころ
Ⅱ 酒肴酒
酒の話
解説 坂崎重盛

チャーチル(河合)久々に読みました

高校生のころに読んだ本で、数少ない生き残り本が河合秀和(1979)『チャーチル:イギリス現代史と一人の人物』中央公論社です。大阪の家に帰って本棚をあさっていたら、これが出てきてつい読みふけってしまい、東京に戻る際に持ってきて新幹線の中でも読んでいました。奥付をみたら初版本でしたので、本当に長く残っているな、と感じます。なぜこんな本を高校のころに読んでいたのか全く意味不明。しかし、今読んでみると面白い。

イギリスの下院の議場が第二次世界大戦で被災して、まったく同じように再建させたのがチャーチルと言われている。ロンドンの駐在しているころに早朝から並んでQuestion Timeの傍聴をしたことがある。一度目は何気なしに行ったら入れず、二回目は気合いを入れて早朝から並んで傍聴。これが思ったより小さい。当時はMargaret ThatcherとNeil Kinnockの戦いでしたが、これが日本の党首討論とは比べ物にならない。チャーチルがこの本で言うように、「会話のスタイル」で議論が進む。野次の応酬もすごいし、とにかく埋め尽くされた議員と傍聴人。日本とは歴史が違います。貴族院のほうが豪華ですが、雰囲気は下院のほうが断然いい。イギリスに滞在される方で機会があればぜひ一度行かれることをお勧めします。貴族院ならそれほど並ばなくても入れるはずです(私も別の機会に行きました)。

チャーチルは、イギリスを代表する貴族の生まれで、ハーロー校に進んでいます。イギリスの上流階級製造学校ですな。普通ならここを出ればOxbridgeと言われるオックスフォードかケンブリッジに進むのでしょうが、サンドハースト陸軍士官学校に進んでいます。しかも浪人して。騎兵なので馬の費用も自弁するわけですから、まあ貴族なわけです。アメリカ人ならCelebrityとでもいうのでしょうが、こういう人をEstablishmentと言います。なり上がりではなく、日本には数少なくなった身分ですな。

キューバ、インド、南アフリカと勤務して父と同じ政治家の道を歩むわけです。日本でも二世議員が多く、玉石混交ですが、チャーチルなら立派な玉でしょう。1899年に保守党候補として落選、翌年に選挙区を変えて25歳の時に政治家としてデビューする。その後89歳で辞任するまで何度かの落選を経ていますが長い長い議員活動を行っているのである。しかも保守党と自由党(当時は労働党ではない)を2度も行き来し、政治家として生き延びていく。チャーチルの歴史を見ていると、今の民主党議員があまりにも小粒である。

チャーチルは25歳で初当選し、その5年後に自由党に移籍(これはイギリスでは自民党から民主党に移る以上の意味を持つ)、翌年植民次官、そして商務長官、35歳で内務大臣(日本で言う総務大臣=昔の日本の内務大臣ですから要職)、翌年海軍大臣に就任、作戦失敗で罷免され、軍需大臣、陸軍大臣、植民大臣、そして総選挙と補欠選挙で2度落選、保守党に鞍替えして当選し、すぐに大蔵大臣就任。内閣交代で大蔵大臣を辞任してから10年は大臣から干されて、第二次世界大戦開戦直後の1939年に海軍大臣として復帰、翌年念願の首相に上り詰める。日本が降伏する前の月、1945年7月に労働党政権が誕生し首相の座を降りる。1951年の総選挙で保守が第一党となり、76歳でふたたび首相になり、80歳になるまで首相だった。85歳で最後の総選挙を戦っている。76歳で首相になったのちは「老害」だったような気はするが、この政治への執念は、中曽根元首相に似たものを感じますね。

それと、イギリスの政治プロセスが非常に微妙なバランスをうまく制御できることが理解でき、今の民主党の政治家にこの本を読んでほしいと思うのである。議会では、「会話」が重んじられ、それが金鉄の重みを持つ。ロイドジョージ、チェンバレンといった大政治家がどのように議会と付き合い、その時々の問題に議会を通じてどのように解決しようとしたのか。今でも引きずるアルスターの問題や、イギリスを特徴づける社会保障といった問題にチャーチルはどのように対峙したのか。そして政治にマスコミはどのように影響を及ぼしているのか。

この本を読んで、今日の事業仕訳のテレビ報道を見ると、政治家の発言があまりにも軽いのに失望を覚えるのである。廃止だなんだといいながら、本当に廃止する気はないのである。同じ民主党の大臣・副大臣は制度を維持させようとし、事業仕訳で「廃止」と叫ぶ議員。茶番である。パフォーマンスの何物でもない。長妻元厚生労働大臣が仕訳に参加していた。自分が進めた事業が仕訳にかかっている。ミスター年金か何か知らないが、厚生労働大臣になって何が変わったのか。何をしたのか。何もしていない。評論家でしかない彼は万死に値する。日本の政治家を信頼できないのは、この軽さである。小沢のメンタリティも結局同じである。

言ったことを確実に実行する、実行できないことは言わない。これである。分からないことは調べる。不確実な憶測で物事を語らない。これに尽きる。

目次

序章 この時、この試練
第1章 樫の大樹
第2章 剣とペン
第3章 政治家修行
第4章 人民の権利
第5章 世界の危機
第6章 再び保守党へ
第7章 荒野の十年
第8章 もっとも輝けるとき
終章 勝利と悲劇
あとがき
年表

2010年10月19日火曜日

東京の住まい

東京の仮の住まい(と言いたい!)は日本橋人形町です。元々の希望は恵比寿・中目黒から学芸大学界隈でしたが高いし狭いでギブアップ。六本木はあまりにも高いだろうから、そのあたりのエリアにして アカデミーヒルズに毎日入り浸る生活を夢見ていて、ひそかにそのあたりを狙っていましたが、あまりの現実のひどさにあきらめました。 次は品川界隈。これは空港と新幹線のアクセス重視。何軒か見ましたが、日本橋に何代もお住まいという会社の先輩から、「seatakuちゃん、人形町界隈がいいよ。うちの実家もそうだけど、あのあたりいいお店も多いし、東京だったら食事もお酒も安いほうだし。焼け残りで本当の下町ってのはあのあたりだよ」なんて言われて、東京生まれの先輩はしきりに勧めてくる。同期ぐらいの単身赴任者は、「seataku、やっぱ門仲がええで。飯屋安いしひと駅行ったら打ちっぱなしもあるし」などという。結局不動産屋に何軒も用意させてみて、決めたのが人形町でした。適度な猥雑さと適度な静けさ。確かに名店と言われるお店もあるし、かといってそれほど高くないいいお店も多い。私の実家(堂島、十三、その後服部)や嫁はんの実家(京橋=大阪の)よりも格段にレベルが高い。そこで、人形町に住むことにしました。水天宮に近いほうなので、雰囲気・風情ともに非常にいい感じです。そこで片付けです。

雨降りのある土曜日。JALのポイントでためたWAONがあったので、ジャスコ・イオンに行きたかったが、近所にない。一番近いのがジャスコ南砂店だが、自転車で40分はかかる。雨の晴れ間が1時間ぐらい続いたので、意を決して自転車でジャスコへいく。清洲橋を渡って葛西橋通りまで出てひたすら自転車を東にこぐ。すると持っていた天気が木場公園のあたりで強烈な雨。雨宿りしたけど一向に弱くならず、満を持して家まで強い雨脚のなか戻る。帰り着くと当然のことながらずぶぬれ。その後、電車でいけるイケアまで行って、必要な棚板などを購入。

イケアに行くと、poelse med broed (読み方はペルセ・メ・ブロー、直訳はsausage with bread。oeはoに縦棒です)、いわゆるホットドッグが食べられる。とにかくいつでもペルセが喰いたいぐらい大好きです。ノルウェーだとどこのガソリンスタンドとか空港でも食べられます。スカンジナビア各国にそれぞれのペルセ文化があって、ノルウェーのはもっと太くてぐるぐる回るペルセ焼き(griller poelse)で回っています。しかし日本で本式ペルセが食べられるのはイケアだけです。それでもアイスランドでよくみられるpylsur(発音はピルシュル)の「ゆで」バージョンに近いですが、これがペルセに飢えた自分としてはうまい。1本目はケチャップとマスタードだけでシンプルに。2本目はこれにレリッシュを載せて。3本目はカリカリオニオンを加えたフルコースで。4本目はシンプルに何もつけずに。1本100円ですから、行くと5つぐらい食べてしまいます。私の知る限り、一番うまいペルセは、ノルウェーの寒村、モロイ(Maaloey、 aaはaの上に○、oeはoに縦棒)の港にあるペルセ屋で、さまざまなチョイスの中から選んで食べる。こんなマイナーなことを言っても仕方ない。ここのペルセには比べることはできないが、それでもうまい。

オリバー・ウィリアムソン教授(UCバークレー)@神戸大

この10月17日(日)、オリバー・E・ウィリアムソン教授講演会に行ってまいりました。
このために大阪と名古屋で仕事を作り、晴れてノーベル賞受賞者の講演を聞く栄誉に預かりました。
今回は神戸大学社会科学系の同窓会である凌霜会のメルマガで知って、速攻で応募しました。

単純に「自分が引用している理論を作った先生を見てみたい」という純粋な好奇心に加えて、今回のテーマだった「学際的であれ(be interdisciplinary)」にも興味がありました。ウィリアムソン先生ご自身が学部はMITでEngineering、その後StanfordでMBA、そこでアロー教授と出会って経済学へとすすまれており、神戸MBAに来る人々もまさに「学際的」だからです。私自身学部は法律で、経営学とは縁がない学問をやって、20数年たって学校に戻ったわけで、そういう仲間が数多くいることで、それぞれが異なる視点を持っていること、また異なるアプローチで研究を進めることを神戸MBAで学ぶ。そういう意味では、学部よりも数段学びが深いと感じる。

ウィリアムソン先生がおっしゃっていたのが、「Teaching is Learning」でした。最初のほうにArrow教授の話で出てくるのですが、まさにその通りと感じる。取引費用論自体は、非常に骨太な理論で、ぜひ読んで研究してほしいと思いますが、その中で「摩擦(Friction)」というたとえがよく出てきます。たとえば市場の失敗と政府の失敗の間に「abrasion(擦り傷)」が出てきて、これがなぜか全く理解できなかったのですが、今回先生のバックグラウンドを知ってやっとたとえの理解ができた。

また久々に難解な先生の本を読んでみようか・・・・。

2010年10月9日土曜日

ようやく片付けが完了しつつある

10月1日に赴任して、ようやく部屋が片付きつつあります。
今週冷蔵庫が到着し、カーテンも来たので、ようやく部屋らしくなってきました。この3連休で片付けを済ませてしまおう、といっても雨。移動手段が徒歩と自転車なので、雨が降ると困り果てる。今日はスーパーに行くのに遠出の予定だったのですが・・・・・。

2010年10月5日火曜日

日経電子版

単身赴任になって面倒なのは日経新聞を買うことと気付いた。

今までは宅配にしていて、出張中でも宅配され、自宅で取ってあるので帰宅後じっくり読めたり、出張の時は普通に購入していた。しかし、単身赴任で土日を一人で過ごして、新聞が来ないことに気づく。平日に新聞を購入するのも面倒なことも分かった。また、日経は夕刊にいい記事が掲載されていることも多いので、夕刊を読むことも必要。そんな私の解決法は、電子版でした。

今日、たまたまコンビニで日経を買うのを忘れた。会社に到着して改めてコンビニに買いに行くのも面倒。そこでインターネットのニュースを見ていて気がついた。日経電子版の有料購読は果たして使えるのか。日経に8月に無料登録していたのだが、ほとんど見ることがなかった。1ヶ月分なら4,000円なので被害は少ないし、とりあえず有料購読を1カ月やるつもりで有料登録してみてみた。

これが意外と使える。紙面ビューであれば紙面感覚で見ることができる。紙面感覚でざっとブラウズすることが重要で、何が書いてあったかが話題になるので、そういう読み方ができるところはよい。詳しく必要な記事は詳しくWEBで読めばいいし、気に入ってしまった。それで、せこいかもしれないが、日経の記事は朝一番に必要なので、どうしても紙で読みたければ午後になれば大量の日経新聞がリサイクルボックスに入っている。しかも、夕刊もWEBならちゃんと読めるので非常に良い。

2010年10月4日月曜日

アーロンチェアライト

アーロンチェアライト、到着して使っています。

168cm、64kgという体格です。買う前に淀屋橋の大塚家具で試座したときにBサイズではちょっと広い感じがしたので、椅子の上に胡坐をかくわけではないので、Aサイズにしました。前傾姿勢が省略されアームが固定式ですが、それはそれで問題ない感じです。前の椅子はロンドン時代にイケアで買ったもので、今でも自宅に置いてあります。これに比べれば9万円の椅子は当然よいのは当たり前です。それではコストパフォーマンスはどうなのか。

コストパフォーマンスは何年も使わないとわからないと思うが、使い始めたいま分かっていることは:
(1) 座面が固いがフィットする
座った時にメッシュが全体で支えるので、フィット感がよい。あとほんの少し柔らかければ完璧。使い始めなので、使ってこなれてくればもう少し柔らかくなると思う。
(2) 微調整
前傾とアーム調整機能は省略されている。アームはもう少し高ければと思うが許容範囲。前傾はあればと思うが、ポスチャフィットのおかげで深く座って作業できるので、いまのところはそれほど必要性を感じていない。いままでは深く腰掛けてパソコンを打ち込むなんて考えもしなかった。どちらかというと、椅子の前半分に座って作業をしている感じだが、アーロンチェアライトでは、ポスチャフィットで調整すると深く座って作業をすることができる。今までよりも姿勢がよくなった分、疲れにくくなっていると思う。Aサイズでタイト感があることもよいのだと思う。
(3)作り
さすがに非常にしっかりしている。いままでの安物の椅子はガタガタしていたが、びくともしない。これだけでも疲れが少なくなる。椅子の作りが疲労に関してこれほど重要に作用しているということがよくわかる。
(4)フレームが固い
座面のフレーム、特にひざの裏のフレームが固く感じる。若干離れているのであまり感じないが、Bサイズだと完全にあたってしまってよくなかったと思う。絶対に試座して決めなければならないと思う(ハーマンミラーのサイズ表にこだわらず、Aサイズにして正解でした)。

2010年10月3日日曜日

ハーバード白熱教室 in Japan

またもや登場です。

今日10月3日18時からハーバード白熱教室 in Japan をやっていました。9月26日のETVでもやっていましたが、イチローとオバマ大統領の年俸の違いの話など、基本的には本編を敷衍した構成でした。NHKオンデマンドで買えますから、まだ見ていない人は、ぜひ見てください。日本人でもきちんと議論できる、日本人でもきちんと考えている。といっても応募者がこういう議論好きなのはあるだろう。

これを見ると、東大安田講堂というセッティングが抜群で、ハーバードと同じような雰囲気を出しているのに気づく。そしてサンデル教授の進行のうまさ。私が教わった神戸大の三品先生や松尾(博)先生もこういう雰囲気をお持ちだ。学生との議論とそのインタラクションを重要視しているのだと思う。研修講師をよく引き受けていたが、こうはいかない。

2010年9月29日水曜日

引っ越しの家財

この日曜日に引っ越し荷物を搬出し、27日(月)の昼から搬入しました。
あいにくの雨でしたが、20箱程度なので、1時間もたたずに終了です。持っていったものは本、PC、服、ゴルフ道具、自転車、それと次の住まいは狭いにも関わらず、家を建てたときに嫁はんに思いっきり嫌味を言われたエコーネスのストレスレスチェア を持って行きました。これは、ノルウェーに頻繁に出張に行っているころによく行っていたオールスンド(Aalesund)のショールームやで欲しいと思っていた椅子で、代理店だったシモンズから直販に交代するというタイミングで大安売りしていたときがちょうど家の新築時で、思い切って買ったのですが、嫁はんには「こんな椅子、場所とるだけ」とさんざん言われていました。替わりに嫁はんにはマッサージチェアを買ってもいいと伝えています。

月曜日の昼から家電製品の買い出し。冷蔵庫、洗濯機、炊飯器、電子レンジ、オーブントースター、テレビを買うべく秋葉原へ。とにかくカネが飛んでいく。冷蔵庫は170リットルタイプが売り切れていたほかは、型落ちで安くなっている洗濯機。東京の方は値切らないそうですが、根っからの大阪人としては、当然値切りです。もともと7リットルの洗濯乾燥機なんて買う気ゼロでしたが、欲しいと思っていたもう少し小さいタイプの製品に「お湯とり機能」がないことが判明。そこで、安い機種を探すと、これが案外安い。「これ、こっちの製品のほうが機能が多いのに安いんですか?」という疑問からスタート。「値入が安い」とか適当なことを言うので、おもむろにカタログチェック。カタログに載っていない。「これ型落ちですやん。ほんならもうちょっと安せな」という一言で下げました。あとは、どれだけネゴしても安くならず、冷蔵庫に至ってはメーカー欠品なので無理とのこと。テレビは32型なんて買う気さらさらなかったが、これもなぜか4万円台で出ている製品があって、お持ち帰りでネゴするがこれも交渉不成立。まあ、22型よりも安いんでいいか、って思って買いました。

そして、これは家族には内緒ですが、いままで大学院時代も安物のデスクチェアで我慢して、腰痛に耐えて論文を書き上げました。何度か嫁はんの許可を得て4万円ぐらいのチェアを買う機会はあったのですが、我慢していました。単身赴任が決まってから、いままでどうしても手が出なかったハーマンミラーのアーロンチェアを買おうと決意していました。しかしネットで14万円弱はするこのチェアを買うのに躊躇していたところ、これの廉価版のアーロンチェアライトなら9万円弱と5万円ぐらい安い。前傾姿勢固定機能と肘掛調整がないだけなので、思い切ってAサイズ(小さい型)をネットで注文。 チェアなんて3千円ぐらいからあるのに、なぜ9万円か?やはり、よい椅子は疲れないからです。エコーネスはいい安楽椅子ですが、一人になって勉強できる環境なので、思い切って仕事感覚で打ち込めるものを購入してしまいました。一生ものと思います。

火曜日28日は、午前中は家電製品搬入(冷蔵庫は来週)して、カーテンを買いにカーテンの問屋をネットで探して訪問。既製品を買うのもオーダーするのもさほど値段が変わらないので、オーダーすることに。幅260cmx高さ210cm、135x110がそれぞれ1枚、90 x 90が2枚必要で、レースとカーテンで35,000円ほど。新築した時は1階リビングとダイニングだけで10万を軽く超えた。既製品のサイズを探してもらったがぴったりとしたものがなく、採寸に来てもらって作ってもらうことにした。

あとは、家具探し。家具は、ロンドン時代から御世話になり続けて20年になろうとしているIKEA(イケア、我が家では英語流でアイキア=「キ」にストレス と言っております)しかない。ロンドンでスーパーマーケットも閉まっている日曜日に唯一店を開けていたのがNorth Circular Road沿い、TESCOの横、NeasdenのTube近くのIKEAでした。そりゃ日本製の素晴らしい家具がよいのはわかりきっている。しかしIKEAの家具にするのは理由がある。
(1)本棚の素晴らしさ
IKEAのロングセラー本棚であるビリー。おそらく強度と値段を考えると一番パフォーマンスが高い。ロンドン、シアトル時代から使っている本棚5機、それと日本で購入した2機がそれぞれ自宅で活躍中です。 リビングには日本製の立派なのを新築時に入れていますが、それ以外はすべて本棚はこのシリーズにしている。
(2)デザインが許容範囲
シンプルなので許容範囲です。安いのはもっと安い製品を探すこともできますが、チャチでプアな感じがする。IKEAだと、それが薄まっている感じはします。
(3)リーズナブルな価格
決して最安値ではないが、そこそこ安い。耐久性とそこそこのデザインを考えると、リーズナブルである。

実は、家を探すときに、収納スペースが多いことと廊下があることを意識して探していました。廊下があれば奥行28cmのビリーなら展開できると思ったからです。そして、そういう家に住むことになり、IKEAの家具を入れまくっています。

BILLYシリーズの幅80cm x 高さ202cmを2機、食器棚代わりに40 x 202に扉をつけて1機。
箪笥としてPAXシリーズの幅100cm x 高さ 202cm x 奥行37cmに扉をつけて、ハンガーユニットやバスケットユニットをつけたものを購入。
ベッドは、狭い部屋の有効活用を考慮してロフトベッドにする。Tromsoeというシステムがあったので、これにマットレスを組み合わせて購入。これでベッドと机が一気に解決。外国のユニットのほうが1階の天井が高い(164cm。日本製は 140cm台が中心)ので使いやすい。

IKEAでは、全部自分でピックアップ(これで2,980円の節約)。これがいつも疲れる。普段は嫁はんがいるので苦労しないが、一人でやると疲れる。宅配サービスに出すと全部で280kg。疲れるはずです。製品は全部フラットパックなので、家で組み立てが必要です。IKEAなら付属の六角レンチ、ねじまわし、金槌があればほぼすべての組み立てはできるので、心配はしていません。

一旦大阪にも戻って、30日夜には東京に赴任し、1日朝から新しい職場に着任です。2日は家具類の集中搬入日にしています。

2010年9月19日日曜日

本は引っ越し荷物へ

一部の仕事で必要な本以外は、おもな専門書は引っ越し荷物に入りました。
何冊かは出してありますので、そういう本を読んでいきます。

引っ越しや仕事で忙しくなります。

経営理論偽りの系譜:マネジメント思想の巨人たちの功罪(フープス)読了しました

この本、なかなかおもしろかったです。

経営学の「大家」であるテイラーとそれに続くギルブレスとガントチャートのガント。テーラー派の経営コンサルのフォレット、ホーソン実験のメイヨー。経営者の役割のバーナード。日本でも知られたQCのデミング。そしてドラッカー。フォレット以外は、それこそ経営学の大御所中の大御所である。こういう言い方が適当かは別として、ショベルのテイラー、レンガ積みのギルブレス。そしてリレーのメイヨー。このブログでもご紹介したが、Taylor, F. W. (1911) The Principles of Scientific Management (有賀裕子訳『新訳 科学的管理法:マネジメントの原点』, ダイヤモンド社, 2009年)は、絶対に外せない古典。こういう大家に敢然と挑んでいく姿勢は評価できる。予備知識なくこの本を読むと、それこそ経営学を曲解してしまうと思うが、経営学の基礎的な知識と何事も盲目的に受け入れない批判精神がある人にとっては、違うパースペクティブで理論やその背景をとらえられる本としてお薦めできます。自分が知らない背景を歴史家が丹念に調べている(と思われる)。それぞれの登場人物の評価を厳しくつけているが、どのような「大家」でもそれを盲目的に受け入れてはいけないことを教えられる。

話は変わりますが、岩崎夏海(2009)『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』ダイヤモンド社 と言う本がはやってまだ売れているようです。私も読みました。ドラッカーのすそ野を広げる取り組みは評価しますが、いかんせん表現があまりにも幼稚で読むに堪えない。アマゾンの評価も二分されているようですが、ビジネスマンならダイジェストに満足せず、Drucker, P., F., (1973) Management: Tasks, Responsibilities, Practices. New York: Harper Collins. ピーター・ドラッカー(2008)『マネジメント:務め、責任、実践(4冊組)』訳 有賀裕子、日経BP社をぜひ読んでほしい。申し訳ないが、二流の読み物を読んで分かった気になっても仕方ない。新訳になって読みやすくなりました(これも意見が分かれるところです)。これを読んでから本書を読むと、断然本書を楽しめると思います。

ちなみに、参考文献がしっかりしています。この点では評価できます。

Hoopes, J., (2003) False Prophets: The Gurus Who Created Modern Management and Why their Ideas are Bad for Business Today. Cambridge, MA: Basic Books. 邦訳 ジェームズ・フープス(2006)『経営理論 偽りの系譜:マネジメント思想の巨人たちの功罪』有賀裕子 訳、東洋経済新報社
目次
謝辞
はじめに
Part1 科学的管理法
第1章 草創期のアメリカでの人材マネジメント
第2章 「悪魔」 フレデリック・W・テイラー
第3章 「技術者」 ギルブレス夫妻とガント
Part2 人間関係論
第4章 「楽天家」 メアリー・パーカー・フォレット
第5章 「心理療法家」 エルトン・メイヨー
第6章 ザ・リーダー チェスターバーナード
Part3 社会哲学
第7章 「統計学者」 W・エドワーズ・デミング
第8章 「道徳家」 ピーター・ドラッカー
むすび
解説 (神戸大 金井先生)
訳者あとがき
原注
索引

2010年9月11日土曜日

異動が決まりました

異動が決まりました。社内発表は昨日午後でした。
飲み会の予約が入り始めています。昨日、本日とも飲み会、明日も飲み会です。金が続くのだろうか・・・・。

人事なので、自分で自分の異動案を載せます。

2010年7月30日(金)午後4時30分 東京にて。

仕事が一段落して、ちょっと時間ができたときに「ちょっといいか?」と担当役員に呼び出された。こういう呼び出され方をするときにはロクなことがないのは、いままでの長いサラリーマン生活の中でよくわかっている。そのときも、何かしら嫌な予感がした。

「あなたは人事異動の直接の担当者なので、不意打ちするわけにもいかないから言っておく。すまんが異動してくれんか。異動先は経営企画室。経営企画室での仕事は 決まっていないが、まずはIRとかそういう関係になってくると思う。営業経験と人事の経験、駐在、それと説得力のある英語、加えて経営学の知識と、申し分ないと思う」。どこかで同じようなことがあった。それも3回も・・・・。

そしてふと思った。重要な持ち物を変更すると、異動を告げられるケースが多い。
1回目は、ロンドンからの帰任。1995年4月末、乗っていた車の調子がずっと悪く、ようやくふんぎりをつけて買い替えの契約を決めたその週明けに日本への帰任を告げられた。
2回目は、シアトルからの帰任。2003年1月、携帯電話を防水型のPanasonicに変更したとたんに帰任の電話がかかってきた。
3回目は、営業から人事への再登板。国際ローミングができる携帯電話が出だしたころで、モトローラの携帯を会社に申請していたのがやっと到着。しかしアドレス帳の移動がうまくいかず、朝4時までかかって全部入れなおしたと思ったら、その日の午前中に異動を告げられた。
4回目は今回の異動。長らくお願いしていたブラックベリーを入手した途端に異動を告げられた。

だいたい5年サイクルぐらいで違う仕事をやるような人生で、日本に帰ってきてから7年が過ぎた。そろそろほかの土地で仕事をするタイミングと思っていたが、それが来たということであろう。人事は大学院を含めて相当勉強したし、いったん営業を離れ、また戻り、また人事になったので、人事で食っていこうと思って3年半。しかし、経営企画室はまったくよくわからない部署である。まあ、「なるようになる」だろう。

ただ、その日東京から最終の新幹線で大阪に戻り、タクシーに乗ると、Stevie WonderのIsn't she lovely? がかかっていた。次にDo I Doがかかったので、すぐにアルバムが分かった。大学に入ったころに爆発的に売れた Stevie Wonder (1982) Musiquarium I. Detroit MI: Motownです。柄にもなく、聞いてて泣けてきた。「なるようになる」と思いつつ、やっぱり自分が一所懸命やってきたことと違うことをやらされるやるせなさ。営業から人事に行けと命令されたときに近い気持ちです。

2010年9月9日木曜日

酔っ払い

恐ろしいことがありました。
いつも家の近所の駅の一つ手前で降りて歩きます。今日は前の部署の後輩と一緒に飲んだ帰りで、一つ手前の駅から歩いていました。家の近所の駅の踏切に差し掛かった時に、女性から「助けてください。あそこに人が入っています」と言われ見てみると、ホームから飛び降りて、線路をフラフラと歩いている酔っ払いが・・・・。そこで遮断機が下りました。「おい、おっさんなにしとんねん、はよよけろ」と大声で叫んで、遮断機越しに大きく手を振って運転士に知らせました。大きな警笛を鳴らして、電車が減速し、なんとか踏切の手前でストップしました。

そこからが大変です。女性2名と一緒におっさんに近づいて「大丈夫ですか」と言ったところ、完全に酔っ払っていて、「ちょっと待て」とかわけのわからないことを言い募っていました。電車の運転手の方も降りてきて、なんとかおっさんをどけようとするのですが、なかなかうまくいきません。私と二人ががりで、なんとか横におっさんを退避させようとしているときに、駅から駅員さんが2人やってきました。とにかく退避させるしかなく、横に退避させて電車を通して、そこから安全な場所に移動させようとしますが、わけのわからないことを喚いて、結局15分ぐらいかかって20メートルぐらいを動かして、なんとかなった次第です。

酔っ払って変なことをしないように気をつけねば・・・・。

2010年9月5日日曜日

経営理論偽りの系譜:マネジメント思想の巨人たちの功罪(フープス)

阪急六甲から六甲道に降りて行く途中に宇仁菅書店という古本屋があります。先日大学に行ったときにふらっと六甲道方面に歩いていたときに見つけて、立ち寄ってみました。哲学、美術、文学などの古本が多い中、経営書も若干は置いています。そこで見つけたのがHoopes, J., (2003) False Prophets: The Gurus Who Created Modern Management and Why their Ideas are Bad for Business Today. Cambridge, MA: Basic Books. 邦訳 ジェームズ・フープス(2006)『経営理論 偽りの系譜:マネジメント思想の巨人たちの功罪』有賀裕子 訳、東洋経済新報社である。 この本で紹介される人物は、経営学上非常に重要な貢献をしていると教わる。実際に至るところでこれらの人物の理論に出会い、そしてまさに「科学的管理法」としての経営学を学ぶ。しかし著者は、それらの「偉人」たちに立ち向かい、公然と批判するのである。このスタンスが非常に気になり、買ってしまった次第である。

積読になっていたのだが、これを今週は読んでみようと思う。ある意味異端の書である。

Blackberryを使う

会社から支給を受けたBlackberry、改めてすばらしいデバイスであることを再認識しています。7月に受け取ったので、現行機種のBold 9700ではなくBold 9000なのですが、それでも使いやすいと思います。9700ならもっと小型でパワフルだったのだと思うと、ちょっとさみしいですが・・・・。
iPhoneを持っていないので、比較はできませんが、自分として、Blackberryの機能で重要なのは:

1) メールがプッシュで入り、会社内のLAN経由とほとんど変わらない速度
ほとんど同時にメールが入ってくるのは素晴らしい。自分でメールを取りに行く必要がないので、放っておいてもドンドンメールが入る。私はメールの返信をできるだけ早くするのが取り柄と思っているので、とにかく早く返信できるのはうれしい。会社のメーラーはLotus Notesなのですが、プッシュするフォルダーを選択できるので、緊急度の比較的低い伝票や勤怠管理、社内情報などは取りに行かない設定にしてあるので、必要なメールだけが届く仕組みにしてあるところがいいと思う。

2) カレンダーとタスクもプッシュで同期
この20年以上のスケジュール管理は、システム手帳でやってきたが、カレンダーとタスクを同期できることを知って、システム手帳での管理はやめました。すべて会社のLotus Notesに入れてしまってあります。週に1度カレンダーを印刷してシステム手帳にファイルして一覧性を保っていますが、慣れてくればそんなことは必要なくなりそうです。今後は簡単なメモ帳代わりの手帳だけで済ませると思います。

3) 使えるキーボード
あんなに小さいキーボードですが使えます。バリバリメール打てます。ラップトップがあればあえてブラックベリーで打とうとは思いませんが、携帯でメールを打つのが苦手なので、本当に役立っている。タッチパネルでも行けるとは思うが、クリック感のおかげで打ち間違いが少なくなっています。HPの昔の電卓(たとえばHP17B=今でも使っている)のキータッチと共通するものがあって、非常に打ちやすい。PCでもキーボードにこだわるほうなので、この打ち易さは素敵です。

4)マイクロソフトオフィス、PDFが開けて編集できる
これは非常に重要な要素である。添付ファイルが相当量メールされてくる仕事で、今までの携帯メール(携帯電話から会社のメールを閲覧することができる)では、添付ファイルは見ることができません。そこで、ブラックベリーなら閲覧可能です。添付されているWord to Go, Sheet to Go, Slideshow to Goを使って見ることも可能です。 しかし、これだとパスワード保護されているファイルは閲覧できないので、20ドル弱払って、Documents to Goのプレミアムバージョンにアップグレードしました。これでも完ぺきとは言えませんが、生産性が格段と上がりました。ほとんどのファイルを開くことができ、しかも新規ドキュメントも作成できる優れものです。ちょっとした仕事ならサクサクこなせるところがすごい。通勤電車の中でワードを作成することもできるわけで、この機能が非常に重宝しています。また、今まで印刷してシステム手帳にファイルして活用していた情報も、エクセルやPDFファイルに落とし込んでおいて、必要な時に参照することが可能なので、ますますシステム手帳の必要性がなくなって来ると思います。30日のフリートライアルもあるので試してみてから購入してもよいと思います。シュガーシンクで会社のPCとファイルを同期させればもっと使いでがありそうなのですが、会社の重要ファイルをアップロードするのが不安なのでそこまでは踏み切れていません。

5) 仕事重視のルックス
iPhoneを振り回していると仕事の雰囲気は出ませんが、これなら仕事で机に置いていても全く違和感がありません。こういうストイックな雰囲気もいいです。

ただ、ガラパゴスケータイも持っています。使い道は、まず通話。海外出張もあるし、海外にも電話するので、3GとGSMが両方使える機種にしています。次に、国内線や新幹線の予約です。これらはケータイサイトのほうが数段優れています。最近のケータイなら通信速度が速いのでストレスになりません。iModeはそれ以外では使うことがほぼなくなりました。それと、ANAでもJALでも携帯電話のアプリのおかげで、そのままセキュリティを通過できるので、これはこれで大変便利です。ですから、Blackberryはメール受信器兼PIM機能の付いたちょっとしたハンドヘルドコンピュータとして割り切って、通話やiModeを必要とするところは日本の携帯電話を使っています。仕事優先でケータイを使われている方なら、ブラックベリーはかなりお勧めです。

2010年9月4日土曜日

MBA論文審査会

今日4日と来週11日は、神戸大学大学院経営学研究科専門職学位課程現代経営学専攻、つまりMBAプログラムの専門職学位論文の審査会です。今日がマーケティング、管理会計、財務会計の方々、11日はHRM(人材マネジメント)系とOB(組織行動)系の方々のようです。審査を受ける方々皆さんにとって実りある1日であることを祈っています。

今でも、冷や汗ものだった昨年の審査会のことを思い出します。私の時の副査は、今年の3月に退官された坂下昭宣教授(現流通科学大学教授)、それと同じく退官された桑原哲也教授(現福山大学教授)でした。やり取りの重要なところはよく覚えているぐらい貴重な体験でした。

私はグローバル経営をベースに論文を書きましたので、発表後、まずは桑原先生から質問を受けました。先生からは先行研究のレビューが緻密であるという話から先行研究について質問され、最後に、グローバル経営をやると必ず出てくるHeenan & Perlmutterの「EPRG」理論について、「本当にこんな段階を経て発展すると言えるのか」という通説に対する自分の考えを答えるような凝ったキラーパスがでた。「おそらく段階を経て発展するというパールミュッターの考えよりも、取り扱う商品や外部環境、また進出国の状況などによって、コンティンジェントに選択されるのだと考えたほうが合理的であると考えています」と、なんとか答えて桑原先生の質問は終了した。

次に、坂下先生からおもむろに、「この論文は、単にに垂直統合と水平展開について書いただけではないのか」という強烈なボディーブローが飛んできた。そういう一面はあるのだが、「単にそうではなく、取引プロセスが市場で行われずに組織の中で取引が起こるメカニズムについて考察しました」といった応酬が何度かあり、極めつけが「それなら、このフレームワークはおかしくないか。矢印が明らかに逆だし、変数も問題がないか」という力石徹が矢吹丈から受けたテンプルへのパンチのような一撃が来た。因果関係がおかしい、つまり論文として疑問であるという痛烈な批判であった。フレームワークについては何度も検討して、仮説の構築でも何度も議論を重ねたが、やはり詰めが甘いところが出てしまった。「因果関係についてのご指摘ありがとうございます。フレームワークでの変数と因果の関係が整理されていません。今後の研究においては十二分に気をつけます。重ねてお礼申し上げます」というのがやっとであった。その後もフレームワークに関する指導を受けて審査会は終わった。

フラフラだった。「落ちたな」と一瞬は思った。周りに聞くと「うまく話していた」というので、ちょっと気を取り直して、自分の論文をもう一度読んでみると、確かにフレームワークがうまくフィットしていない。論文全体としての結論には問題はないと思ったが、こういう重大なところがきちんとできていないと論文にならないということを学んだ貴重な1日でした。審査会終了後、主査(指導教官)に意見をお伺いしたところ、「坂下先生の指摘はさすがですね」と言われてしまった。 いまでもこういう論文で相談を受けたり意見を求められる時は、フレームワークは単なる相関図ではなく、因果関係を説明するためのものなので、因果関係に関係のない要素を書かずに、変数間の関係に絞ってフレームワークを書くほうが説得力がある、と説明しています。それは当然のことながら数式でも表現できるはずでもある。これから論文を書かれる方は、田村正紀(2006)『リサーチ・デザイン:経営知識創造の基本技術』白桃書房を読まれて因果関係や変数といった概念をおさらいされればよいと思います。ほかにもこの手の本を読んでから取りかかられるとよいです(この辺は先生方が教えてくださいます)。

神戸MBAのよさは論文を執筆するプロセスとその集大成としての審査会です。執筆した論文を10分間でわかりやすく説明する能力は、社会人としての必須能力ではないでしょうか。社会人とはいえ、また専門職課程とはいえ、論文をきちんと書くプロセスから学ぶことが非常に多いと改めて感じています。自分で決めたテーマにそって説得力のある論文を書く過程で思考を深くしていくことが、実務では減っていますし、だからこそ、そういう機会を持って、思考能力を高めていくことに意義があると感じます。以前三品先生に尋ねられた時も「論文書かずして何もわからない。40中盤のサラリーマンなら実務を教えてもらうためではなく、もっと理論をしっかりと身につけたいと思っているはずで、そのためには論文執筆が効果的」と話した通りです。

今年のM2の皆様の論文合格をお祈りしております。

「バカな」と「なるほど」(吉原)

この本、様々なところで大反響です。1988年の本なのですが、今読み返しても示唆に富んでいます。
私が最初にこの本を知ったのは、神戸大学の小川先生のTweetです。誰もが「バカな」と思うことに実は合理性があって、後で成功したときにそのストーリーを聞くと「なるほど」と言える合理性があるという話です。次にこの本について言及されているのが一橋大学の楠木先生。楠木先生の本自体がこの本を底本にしたのではないかと思えるぐらいです。その次は神戸大学の金井先生。そして同じく神戸の三品先生。そして極めつけは、神戸の加護野先生がこの本について述べられたことで、この本のすごさが分かってもらえると思う。

この本にも紹介されているのが山代温泉のホテル百万石。田んぼのど真ん中に1200坪の土地を買い、600畳の大広間がある旅館を建設するという、当時としては考えられないだれもが「バカな」というやり方。しかし、客が続々と入りだしてなぜそういうことをしたかを聞くと、バスや自家用車の時代であることやコンベンション需要の高まりなど、みんなが「なるほど」といえる戦略が素晴らしい戦略であるということ。これが吉原先生では「バカなとなるほど」ですし、楠木先生だと「キラーパス」なのですね。
久々に読みなおすと、薄い本ですが非常に分かりやすい。ケースが古いのが難点だが、イビデン、ホテル百万石、ホソカワミクロンなどの話は今でも新しく読めます。

非常に残念なのですが、この本、アマゾンで古本を買うのは不可能です。古本屋で見かけたら即お買い上げしてください。図書館で調べてあれば読んでください。少なくとも神戸大学、大阪市中央図書館にはあります(大阪府立には残念ながらありません)。丹念に探さないとない本です(私もコピーがあるだけです)。ぜひご一読ください。ネタの料理の仕方が上手ですね。

吉原英樹(1988)『「バカな」と「なるほど」:経営成功の決め手!』同文舘

目次
はしがき
第一部 常識破りの発想
1 バカなとなるほど 成功する戦略の二大条件
2 答えを見ながら答案を書く 創造的戦略の発想法
3 べき論より予測論を 経営者の先見力強化法
4 ダブダブの洋服の戦略メッセージ 戦略を効果的に伝える方法
5 マイナス情報に情けをかけよう
6 組織慣性との戦い 企業変身の最強の敵
7 人事スペシャリスト不要論 野村証券の「非」常識な人事部
8 から元気のリーダーシップ
9 社内事情より社外事情を優先 野村證券のキープヤングの人事
10 女が分からないで経営ができるか
11 人づくりは人選びから
12 計画のグレシャムの法則
第二部 常識破りの戦略
1 多角化を成功させるキーファクター
2 非常識な戦略で活路を開く
3 中堅企業海外進出の成功の条件
4 夢と技術力と余裕 海外進出成功のキーファクター
5 安全運転は新事業の敵
初出一覧

2010年9月2日木曜日

旅行で読んだ本② 『経営の精神』(加護野)

組織認識論を読む気にならないので、最近加護野先生が出された加護野忠男(2010)『経営の精神:我々が捨ててしまったものは何か』生産性出版 も持っていった。北海道に単行本を3冊持っていき、2冊読んだことになる。組織認識論とは違って、どちらかというと啓蒙書というか経営随筆のような本で、サッと読めてしまいます。しかし、最近のたとえば楠木建(2010)『ストーリーとしての競争戦略―優れた戦略の条件』東洋経済新報社といった経営書と比べると古さを感じてしまう。

加護野先生をはじめとして、野中先生や伊丹先生の本には、基本的な考え方がよく登場する。経営の精神も同様で、ヴェーバーやゾンバルトを引きながら松下幸之助や稲盛和夫の経営の精神をひも解いていくところについては非常によく理解できるし、近江商人時代にも同じ精神が息づいていたというところには共感を覚える。ここまでなら、「非常にコンパクトにまとまった良書です。ぜひ読みましょう」という感想で終了です。

しかし、韓国人の「ケンチャナヨ」、まじめで従順なドイツ人、ユニークなイタリア人といった話に代表されるステレオタイプ、極めつけは「便所掃除の経営学」の話が出てきて、申し訳ないが非常に読みづらい(というかウザい)。少なくとも私は「なんや」という感を強くした。これらの「蛇足」がこの本を台無しにしてしまっている。これらの話を取り除いてみるとおそらく非常にすっきりとした読み物に仕上がると思う。逆にいえば、この本のターゲットと思われる50代よりもお年を召された経営者の方々には分かりやすいのかもしれず、セグメンテーションが機能しているのか?

神戸MBAの大先生で、お考えを直接伺ったり、お話を聞いたりしていると非常に面白くわかりやすい。また、最近のIFRSやコーポレートガバナンスのあり方に関するお考えも日本の経営学の立場から共感できる。ですから、余計に「蛇足」が惜しまれます。

目次
はじめに -日本企業から失われたもの
第1章 企業の存在意義を考える
第2章 三つの経営精神
第3章 経営精神の実践
第4章 経営精神の劣化
第5章 経営精神の復興

旅行で読んだ本 『戦略的思考とは何か』(ディキシット&ネイルバフ)

1か月ほど前に加護野忠男(1988)『組織認識論:企業における創造と革新の研究』千倉書房を読む決心をしたのですが、読み始めるとあまり面白くないのでいつも読むのをやめてしまう。久々に難渋する本です。

たとえば、組織認識論の前に読んでいたKuhn, T., S.(1962) The Structure of Scientific Revolutions. Chicago: The University of Chicago Press. 邦訳 トーマス・クーン(1971)『科学革命の構造』中山茂 訳、みすず書房なんか面白く読めたのに、どうしても組織認識論が読みすすめていけない。もっと難解な本でもそれほど苦労をせずに読めているのになぜ読めないのだろうか。

旅行に持っていけば読めるかと思い、重たい本を持っていったが、結局読む気が起きない。そんなに難解な文章とも思わないのだが、ダメです。もう少し落ち着いて読むことにします。


8月25日から29日まで北海道に家族旅行に行っていました。飛行機で旭川まで飛んで、旭山動物園、そして札幌、小樽、定山渓を回って、トワイライトエクスプレスに乗って大阪まで帰ってくるという旅行です。相当散在しましたが、子どもや嫁はんが楽しんでいる姿を見るとホッとします。結局、組織行動論を読まずに読み返していた本が Dixit, A. K. and Nalebuff, B. J. (1991) Thinking Strategically: the Competitive Edge in Business, Politics and Everyday Life. New York: W. W. Norton & Co. 邦訳 アビナッシュ・ディキシット、バリー・ネイルバフ(1991)『戦略的思考とは何か:エール大学式「ゲーム理論」の発想法』菅野隆、島津祐一 訳、TBSブリタニカ です。一晩で330ページを一気に読んでしまいました。この本も原書が半額以下なので、原書がお勧めですが、日本語でも十分に楽しめます。神戸MBAのビジネスエコノミクス応用研究の副読本でしたが、ゲーム理論の書籍の中では最も分かりやすい1冊と思います。数式がほとんど使われておらず、ビジネスマンでも一気に読みこなせます。囚人のジレンマやミックス理論などのゲーム理論の基本から、ケースを使った発展的内容までほぼ網羅されています。アメリカの教科書なのでケースがアメリカ人なら分かりやすいケースですが、日本人でも十分読みこなせます。1991年の本とは思えないぐらいに新鮮でビビッドです。ぜひお勧めします。ただ、分かりやすいので、一読して「分かった気になる」可能性はありますので、しっかりと読んでほしいと思います。

目次
著者まえがき
日本版への序
第1部 ゲーム理論の基本コンセプト
第1章 戦略ショートショート
第2章 交互行動ゲーム
第3章 同時進行ゲーム
第2部 基本コンセプトの発展
第4章 囚人のジレンマ
第5章 戦略活用行動
第6章 実行の確約
第7章 予測不能性
第3部 ゲーム理論の戦略的状況への活用
第8章 瀬戸際戦略
第9章 協力と協調
第10章 投票
第11書 交渉
第12章 誘因(インセンティブ)
第13章 ケーススタディ
訳者あとがき

2010年8月24日火曜日

やっと休みに突入!

明日から3日休むので5連休です。

去年は論文で夏休みはほぼ自分のためだけに使いました。金曜日の朝、普通に出社しているふりをしながら六甲に直行し、コンビニかオアシスで食料を買い込み、バスに乗って自習室に直行。そして夜までひたすら書きまくる。自習室・図書館・トイレだけが行く場所で、あとは開いていれば生協ぐらいか。ふと気付くと最終バスはとっくに出てしまっていて、とぼとぼ歩いて家路に就くような生活でした。そして土日は始発で家を出て終電まで六甲籠り。会社でも仕事をしているふりをしながら内職する。最後は、仕事の都合で、締め切りの前の金曜日に提出する必要があって、木・金と会社を休んで家に籠り、金曜日の午後2時に書きあがり、午後5時に提出と綱渡りでした。とにかく論文に追われた夏でした。その割には完成度が低い・・・・。

それでも、毎年家族旅行だけはするようにしていて、去年は論文書いてから2泊3日で九州に行きました。今年は北海道にしました。北海道といっても、旭山動物園と札幌、そして嫁はんのために定山渓で温泉。子どものため(ある意味自分のためでもあるが)札幌から大阪までトワイライトエクスプレスに乗ります。嫁はんはこれが気に入らない。しかし、記念ということで押し通しました。

本もいっぱい持っていきます。ある意味チャンスですから。

2010年8月23日月曜日

組織認識論(加護野) まだ読了しません

まだ読み進めていません。夏休みを今週とるので、集中して読みます。

久々に普通の旅行(うちの旅行はキャンプか普通の旅行です)に行く計画です。場所は北海道。この冬に北海道に出張しましたが、ロクなものも食べずに帰ってきてしまいました。息子は鉄道好きで、鉄道でどこかに行くのが大好き。そこで札幌から大阪までトワイライトエクスプレスに乗ることにしました。B寝台しか空席がなく、嫁さんは嫌がっていますが、汽車の中ではすることもないので、本をたくさん読めればと思っています。これ以外に数冊持っていく予定です。

2010年8月18日水曜日

論文の作法

8月12日の「他流試合」のエントリーに論文を書く際に気をつけるべき点をまとめました。
これから論文を書かれる方々の参考になるように、エントリーを独立させてさらに加筆しました。

私は研究者ではありません。一度学位論文を書いただけにすぎません。審査会には通りましたが、自分の学位論文の中味が学術的に優れているとは到底言えないでしょうし、実務上のインプリケーションがきちんとしている自信もありません。ただ、日本語、英語を問わず、論文を書く際に読んだ論文数は、MBAの学生としては相当多いと思います。読んでいるうちに気付いたのは、論文にはスタイルがあって、それを踏み外してはいけないということでした。

ですから、体裁にはこだわりました。おそらく論文を書く上でもっとも重要です。(私を含む)内容で勝負できない人は、少なくとも体裁は完璧に整備しておきましょう。

・ 表紙、中表紙が便覧の指示通りか。

・ 題名は論文提出届と一字一句間違えてはならない。副題をつけていないのに勝手につけてもいけない。副題をつけるときに「~」(全角チルデ)か「―」(全角ダッシュ)にするか、それとも「:」で十分か。先生の指示に従います。(ちなみに私は「~」でしたが、英語論文の副題は必ず「:」ですし、OPAC見ても副題は「:」で区切っています)。

・ ページあたりの文字数(1,000文字)は指示通りか。


・ フォントは日本語はMS明朝(P明朝は絶対ダメ。ゴチックを使いたい人もいるだろうがダメです)、英語はTimesNewRoman (Centuryという人もいますが、イタリックが決まらないのでTimesのほうがいいです)。全体的な体裁については、『赤門マネジメントレビュー』(AMR)の投稿テンプレートが役に立ちます。ちなみに本文の指定はMS明朝11ポイント、英文はTimesNewRomanです。1000文字なら12ポイントでもいいと思います。

・ 句読点は「,」と「。」にしたほうがよいと言います。先生の著書を見てその通りにします。ちなみに私は「、」派なので、「、」で統一しましたが・・・。一括で「置換」できますので、最後に置き換えてもよいです。ちなみに、AMRでは「、」です。

・  目次と参考文献の書き方はもっとも重要なポイント。できれば図表目次も入れましょう。「見出し」機能を使って構造的に書いていれば、目次はワードが自動 でやってくれるので問題ないが、参考文献はきちんと体裁を整える。たとえば、2行にまたがる場合の2行目をぶら下がりにするとか、そういう細かいところに も気を遣う。オフィス2007の文献リスト機能は便利なようであまり使えませんので、自分で書いたほうがきちんと仕上がります。先生が見る順番は、題名、 目次、参考文献の順番です。

・ 参考文献は、英語(アルファベット順)、日本語(五十音順)で並べる。

・ 参考文献は、論文を書くために参考にした本はとりあえず全部入れる。引用文献とすればそれはできませんが・・・。参考文献に掲載している論文や書籍のレベルで当該論文のレベルが分かるという先生までいます。その研究で必須と言われる論文は絶対に押さえておきます。

・ 参考文献の表記の仕方は先生の著書を見てその方法で。もし分からない人がいれば、『赤門マネジメントレビュー』投稿マニュアル(東大)を参考にしてみてください。いずれにしろ、先生が執筆された学術書のやり方でやるのがベストです。本文中の論文引用も同様です。私の場合は、AMRをベースに、先生のやり方を踏襲しました。

・ 誤字・脱字、「てにをは」は細かく見ましょう。締め切り1日前はこれに費やしましょう。

・ 図表やページを論文内で参照している場合は、その番号が正しいか必ず確認します。たび重なる校正でばらばらになっていることが多くて焦ります。

・ 提出部数よりも1部多く「作る」。黒表紙がもったいないが、あせらないための方法。もっとも、提出する体裁にした論文は自分の記念になります。

・ 提出前には必ずページの落丁・乱丁をチェックし、必要なら差し替える(そのために1~2部多いのが役立つ)。

・ 締め切りは必ず守る。遅れると受理してくれません。

2010年8月15日日曜日

本が読めない!

本が読めない。

この前読むと宣言していた加護野忠男(1988)『組織認識論:企業における創造と革新の研究』千倉書房が読めない。部屋の机には置いてあるし、それ以外の仕事で必要な本は読んでいる。新しい積読の本も仕入れたりしている。しかし、手が出ていない状態。ファイティング・スピリットの低下を感じている。暑いというのが一つだが、どうも空回りしている感じがしてならない。

ちょっと見つめなおしてみます。今週はファイトで読んでみたいと思います。

2010年8月12日木曜日

他流試合覗いてきました

7日の土曜日は、同じゼミの同僚だったWさんから「K先生のMBAゼミに行きませんか?」とお誘いを受けて、久々に他流試合を覗いてきました。

内容は、「修論審査会仕立てで10分で論文の内容を発表する」というもの。自己紹介で「論文は3週間で書きました」などと言いましたが、本当は、4月ぐらいから問題意識、先行研究レビュー、フレームワークというように、リサーチプロポーザルを論文仕立てにして作っていました。8月はアーカイバルデータをSPSSで重回帰分析するのに、なかなかいい方法が思いつかず、四苦八苦していました。午前中にデータ以外のところを書いて、午後からSPSSと格闘していたのを思い出しました。ですから、3週間で書けるはずもなく、やはり1年間かけて山を登ったのだと思います。

さて、内容でしたが、10分きっちりで終わるのは難しいのですが、12~3分では終わっていましたし、内容もしっかりと練られていて、ほぼ完成だと感じました。昨年の修了者として意見を求められましたので、自分の修論審査会の反省を皆様にお伝えできればと思い、フレームワークの部分について意見を述べました。サーベイで論文を書かれている方は特に、変数間の関係がフレームワーク(または数式)できちんと表現されていなければならないということを申し上げました。つまり、従属変数と独立変数(と必要ならばその間に入る媒介変数やコントロール変数)の関係が書かれていないといけない点です。これを書くためには「仮説」が必要という点も指摘しました。論文では、単なる「思考の概念図」ではなく、因果律が表現されていることが重要です。「えらそうに、なにゆうてんねん」と思われたかもしれませんが、この辺がしっかりと書けていると非常に分かりやすくなると思います。

あと、「体裁」めちゃくちゃ重要です。たとえばPPTの頁の抜け、論文の題名とPPTの題名などがあっているか、ぷ見やすいフォントと背景を使っているかなどなどです。Wさんはアニメーションを多用したほうがよいなどと言いますが、私は使いません。使うときは、プリント用のPPTと発表用のPPTははっきりと分けています。アニメ入りのPPTをレポート用にすると、ごちゃごちゃになるので、静止画バージョンをつくって、それをプリント用として作るぐらいはやらないといけませんね。

それと、論文の体裁。これはもっとも重要です。(私を含む)内容で勝負できない人は、少なくとも体裁は完璧に整備しておきましょう。
・ 表紙、中表紙が便覧の指示通りか。
・ 題名は論文提出届と一字一句間違えてはならない。副題をつけていないのに勝手につけてもいけない。
・ ページあたりの文字数(1,000文字)は指示通りか。
・ 1,000文字なら、12ポイントぐらいの大きなフォントで(お年を召した先生への配慮)。
・ フォントは日本語はMS明朝(P明朝は絶対ダメ。ゴチックを使いたい人もいるだろうがダメです)、英語はTimesNewRoman (Centuryという人もいますが、イタリックが決まらないのでTimesのほうがいいです)。
・ 句読点は「,」と「。」にしたほうがよいと言います。先生の著書を見てその通りにします。ちなみに私は「、」派ですが・・・。一括で「置換」できますので、最後に置き換えてもよいです。
・ 目次と参考文献の書き方はもっとも重要なポイント。できれば図表目次も入れましょう。「見出し」機能を使って構造的に書いていれば、目次はワードが自動でやってくれるので問題ないが、参考文献はきちんと体裁を整える。たとえば、2行にまたがる場合の2行目をぶら下がりにするとか、そういう細かいところにも気を遣う。オフィス2007の文献リスト機能は便利なようであまり使えませんので、自分で書いたほうがきちんと仕上がります。先生が見る順番は、題名、目次、参考文献の順番です。
・ 参考文献は、英語(アルファベット順)、日本語(五十音順)で並べる。
・ 参考文献は、論文を書くために参考にした本はとりあえず全部入れる。引用文献とすればそれはできませんが・・・。
・ 表記の仕方は先生の著書を見てその方法で。もし分からない人がいれば、『赤門マネジメントレビュー』投稿マニュアル(東大)を参考にしてみてください。いずれにしろ、先生が執筆された学術書のやり方でやるのがベストです。本文中の論文引用も同様です。
・ 誤字・脱字、「てにをは」は細かく見ましょう。締め切り1日前はこれに費やしましょう。
・ 図表やページを論文内で参照している場合は、その番号が正しいか必ず確認します。たび重なる校正でばらばらになっていることが多くて焦ります。
・ 提出部数よりも1部多く「作る」。黒表紙がもったいないが、あせらないための方法。もっとも、提出する体裁にした論文は自分の記念になります。
・ 提出前には必ずページの落丁・乱丁をチェックし、必要なら差し替える(そのために1~2部多いのが役立つ)。
・ 締め切りは必ず守る。遅れると受理してくれません。

2010年8月3日火曜日

BlackberryでBlogを書く

Blackberryでどこまでブログを書けるか試しています。案外書けるものです。携帯電話ではメールを書く気持ちすら起きないが、これなら書けるものです。

短い投稿は可能と思います。

2010年8月1日日曜日

組織認識論(加護野)

パラダイムといえばクーンですが、日本で組織の研究に応用した第一人者と言えば神戸大学の加護野先生です。そこで、MBA時代に修士論文を書くのに使った本を再読です:

加護野忠男(1988)『組織認識論:企業における創造と革新の研究』千倉書房

科学革命の構造(クーン) 読了しました

「コペルニクス的転回」略して「コペ転」。

高校のころに、この言葉と出会って、うまいこと言うな~、と感じ入った経験があります。この言葉自体は、カントの純粋理性批判の「認識が対象にしたがわなければならない」、つまり対象が認識を作る(経験でしか語れない)という立場から、「対象が認識にしたがわなければならない」、つまり認識が対象を見出す(理性が見いだせる)という全く逆の見方をすることで経験から解き放たれることを指しています。いまや、コペルニクス的展開という言葉を聞くことは少なくなってしまったが、「パラダイム」はいつでもどこでも誰もが「大きな枠組み」といったような意味合いで使うようになった。もっと違う形で「パラダイムシフト」を「競争のルールが変わること」という説明を加えている場合すらあるのである。ところが、クーンはこんなことは言っていない。

クーンの「パラダイム」とは、次の2つの性格を持つ業績のことである:
・ ほかの対立競争する科学研究活動を棄てて、それを支持しようとする特に熱心なグループを集めるほど、前例のないユニークさを持っていて、
・ 業績を中心として再構成された研究グループに解決すべきあらゆる種類の問題を提示している

クーンは、プトレマイオス天文学とコペルニクス天文学の誕生の過程で「パラダイム」の転換についてうまく説明している。紀元前2世紀から紀元2世紀の間に発展したプトレマイオスの体系による恒星の位置変化の予測は、現在でも実用に耐えうる。ところが、惑星ではコペルニクスと「同じぐらい」の精度を持っていたのだが、プトレマイオス体系で行った予測は当時最良の観測値とうまく合わなかった。そのため食い違いを少なくする補正をプトレマイオスの体系に加えていくが、一方を直せば他方が食い違うというようになり、天文学は恐ろしく複雑な学問となってしまう。そして、16世紀にはプトレマイオスの体系のように込み入っていて不正確なものは自然を真に(「同じぐらい」ではなく「完全に」)表していないと考えられるようになり、プトレマイオスの「パラダイム」からうまく当てはまらないということの認識から、コペルニクスはプトレマイオスのパラダイムを捨て、新しいパラダイムを求めさせる前提になったのである。ほかにはアリストテレスからニュートン、そしてアインシュタイン、ニュートリノに至る物理学、プリーストリーからラヴォアジェに至る酸素の発見まで、様々な例を用いて、パラダイムが説明される。そして、パラダイムとは、科学共同体で生み出される具体的業績の見本例であると説く。

パラダイム転換の概念は、もともと現在使われているような形で使われたのではなく、科学の発展が累積的・漸進的・連続的に起こるのではなく、質的な変化を含む非連続的なプロセスであることを現したものである。たとえば、プトレマイオス天文学が今となっては古い学問の「パラダイム」ではあっても、それはプトレマイオス天文学が科学でなかったわけではない。プトレマイオス天文学は、紀元前2世紀から累積的・漸進的・連続的に研究され、16世紀までは天文学の正統であった。しかし、うまく説明できないことが起こり、非連続的なプロセスからコペルニクス天文学が誕生している。
そして、クーン自身が、この本の主要点がほかの分野に応用できると読者が読みとったからこそ愛読されたのではないかとい点については、もともと文学、音楽、芸術、政治などの分野で起こる「革命的断絶」、つまり様式、嗜好、体制などの変化が往々にして革命的断絶で起こることから応用したと言っているのである。

やはり古典は読んでみるものである。この本は600円の古本だったが、新刊書でも同じ中身である。訳が古臭くて今一歩とは思うが、自分の知識をしっかりと整理するうえでは非常に役立つ。コペルニクス天文学のパラダイム転換の話は、商売や組織でも十分に使える強力なメタファーである。

Kuhn, T., S.(1962) The Structure of Scientific Revolutions. Chicago: The University of Chicago Press. 邦訳 トーマス・クーン(1971)『科学革命の構造』中山茂 訳、みすず書房

目次
まえがき
第1章  序論:歴史にとっての役割
第2章  通常科学への道
第3章  通常科学の性格
第4章  パズル時としての通常科学
第5章  パラダイムの優先
第6章  変則性と科学的発見の出現
第7章  危機と科学理論の出現
第8章  危機への対応
第9章  科学革命の本質と必然性
第10章 世界観の変革としての革命
第11章 革命が目立たないこと
第12章 革命の決着
第13章 革命を通しての進歩
補章   1969年

訳者あとがき

2010年7月31日土曜日

本を読む余裕もなし

今日も仕事です。打合せが最近またもや多くなってきました。
本来なら私の師匠が大会委員長で招集号令がかかっていた日本労務学会に行きたかったのですが、東京で仕事なのでやむなし。ゼミの同期で参加する人にことづけて、今回は見送りにしました。残念。今日は、午前中は研修事務局で見ているだけなので、更新できる時間ができました。

10月の人事異動案は、今までならそんなに気合いを入れていませんでしたが、なぜか気合いの入った取り組みになってきたり、役員研修の企画、考課者研修のケーススタディと中身の検証、子会社案件での人事制度や規則面での関与など、本来暇な夏がやたら忙しい。それに面接も入っているので、余計に混乱している。昨日は特に忙しかった。激疲れでした。

本を読む暇もないというのは久々で、酒も飲んでいない。こんな余裕のない生活をしていてはいけないと思いつつ、やむを得ず仕事に走っている・・・・。やばい。

2010年7月25日日曜日

科学革命の構造(クーン)

見事な夏風邪を引いてしまいました。

先週の火曜日ぐらいから咳が出て痰が絡むので、風邪かな、と思っていたら、木曜日ぐらいから頭が痛い。鼻水も出てくるし、これは完全に夏風邪です。仕事にはちゃんと行っていますが、なかなかきつい。本を読む気力はあまりありません・・・。

とはいえ、夏らしく、重くて暑い一冊を読みます。天牛堺書店の600円均一で見つけたKuhn, T., S.(1962) The Structure of Scientific Revolutions. Chicago: The University of Chicago Press. 邦訳 トーマス・クーン(1971)『科学革命の構造』中山茂 訳、みすず書房です。これも実は原著(英語版)が1084円とかなりお安いので、英語で読める人は英語がお勧めです。「パラダイム」の概念を確立した1冊といえばお分かり頂けると思います。

2010年7月24日土曜日

Blackberry

長らく会社に懇願していたBlackberryがやっと会社から支給された。といっても、最新型のBold 9700ではなく、Bold 9000の在庫。ニューモデルを期待していたが、流石うちの会社、在庫で間に合わせてきた。それでも長らく申請していて、やっとOKになったのでうれしい。

海外や営業で必要な人たち(主に海外取引が多い部署)には、数年前からBlackberryが支給されていましたが、私は管理部門にいることから、なかなか許可が下りなかった。会社はLotus Notesなので、会社以外でメールを見る方法は、PCからだとDominoか、携帯でも見ることは可能だった。長らく携帯のシステムでメールを朝に見ながら返事を考えて通勤して、朝に全部処理していたが、この前携帯電話の管理をしている総務から「seatakuさんは携帯のパケット使い過ぎなんですが、なにか変なことをしていませんか?」という不快極まりない問い合わせを受けました。パケホーダイではないらしく、パケットの使用状況に応じてプランをこまめに変更するらしい。携帯でパケットを使うのは、メール閲覧、新幹線予約(EX)、飛行機国内線予約(JAL, ANA)ぐらいで、Twitterは原則としてケータイからはしないし、Blogの更新もケータイは関係ない。ケータイでプライベートの電話すらほとんどしない(プライベートは公衆電話からする)ぐらいにケータイを使わないように努力しているのに、会社からそんなことを言われて頭にきたので、システム担当に「総務からパケット使いすぎと言われた。Blackberryならどのぐらいかかるの?」と尋ねると、初期費用以外では総務のパケット代よりも相当に安い。「総務から使い過ぎと言われているので、支給してくれ」と談判して、支給の運びとなりました。確かにメールが人よりも多いので、申請して許可が出たのだと思いますが・・・・。

Blackberryですが、もう手放せません!
iPhoneは、確かにプライベート用にはよいと思いますが、仕事で使うならBlackberryでしょう。会社のメーラーがLotus Notesで、Blackberryにほとんどリアルタイムでメールが同期され、バイブレーションで知らせてくれます。また、同期しないフォルダーを作っておけば、Blackberryには流れてこないので、会社の伝票の確認メールなどは同期しないように設定していることで、必要なメールだけが同期される。しかも、カレンダー(予定表)やタスク(To doリスト)も同様にリアルで同期されるので、スケジュール帳が必要なくなった。こんなに便利だとは思いもしませんでした。

QWERTYキーを装備していて、キーのクリック感がよいので、小さいキーでも楽に打てる。iPhoneも試しましたが、キーでない分打ちにくかったので、この点でも気に入っています。友人のiPhoneのブラウザでDominoを表示してメールを試したが、非常に使いにくいし、そもそも入ったメールを知らせてはくれない。その点ではBlackberryは満点です。キーがよいので、Twitterも打ちやすくなっています。しかも、WiFiを実装しているので、家ではもっぱら普通にWiFi、そとでもYahooとDocomoのLANサービスに個人的に加入しているので、パケット代も会社にブウブウ言われることもないと思うと、うれしい気分です。

ITの進歩で仕事がどこでもできるのはありがたいが、逆にどこでも仕事をさせられているので困るような気にもなります。会社の支給品ですが、できるだけたくさんの機能を使い尽くしたいと思います。

2010年7月17日土曜日

ビジネス・エコノミクス(伊藤) 読了しました

105円の本としては最高、1890円でも上出来です。

ビジネスエコノミクスの基本的な書籍としては、幅広い読者がミクロ経済学の基礎を学ぶのに最適な1冊と思います。MBAでビジネスエコノミクスを本格的にやった方々には少し物足りないかもしれませんが、私はこの本を通読してもう一度ビジネスエコノミクスを勉強しようと思った次第です。

カバーされている内容は、基礎的なところから高度なところまで幅広いが、読みやすいがゆえにストレスを感じない。需要曲線と価格弾力性、市場と組織の経済学、エージェンシー理論とモラルハザード、逆選択、情報の非対称性、囚人のディレンマ、ゲームの繰り返しと協調、ホールドアップ問題、ポーターの競争戦略といった、民間企業の管理職(ある程度の決定権を与えられるポジション)の基礎素養としては必要かつ十分な理論を網羅している。それらは、すべて代表的な先行研究に裏打ちされた形で提示されている。そして、ケースが日本のケースなので、親しみを持ちながら理解することが可能である。

日本のビジネスパーソンが世界で戦ううえで必要な基礎素養の一つに、こういうビジネスエコノミクスがあると思う。はっきり言うと、日本のビジネスパーソンは、自分の仕事の領域は非常によく、深く勉強しているので、たとえば、自分が売ろうとしている商品や対抗商品についての説明力は群を抜いていると思う。しかし、それ以外の話題になると甚だ怪しい。理論を「机上の空論」としてバカにしているがゆえに、説明力が足りないと思う。

たとえば、Hirschman, A. O. (1970) Exit, Voice, and Loyalty: Response to Decline in Firms, Organizations and States. Cambridge, MA: Harvard University Press. 邦訳 アルバート・O・ハーシュマン『離脱・発言・忠誠―企業・組織・国家における衰退への反応』矢野修一 訳、ミネルヴァ書房なんて本は、頭のよさを試される本だが、この骨太な理論で大方のことは説明がつく。こういう素養があれば、海外のビジネスパーソンと渡り合う時にも苦労はしない。彼らは、そういったモデルをよく知っているので、説明力が高い。我々もそういったことを理解したい。こういう本を読んで理解するのは難儀なことだが、ビジネスエコノミクスにはこういう理論への言及もしっかりとされている(pp102-106)。各章の末尾の参考文献もしっかりと厳選されていて、次のステップに進みやすくしているのはよいことだと思う。

ただ、様々な理論をケースを加えて読みやすくして、しかも350ページ程度に収めているので、どうしても表面的な紹介になってしまっている。多忙なビジネスパーソンがサクッと読めて理解できる点では特筆できるが。もう少し学びたいと感じる方は、 丸山雅祥(2005)『経営の経済学』有斐閣に進んではいかがでしょうか。『ビジネスエコノミクス』と『経営の経済学』を比較すると、どちらがよいかではなく、ターゲットとする読者層が明らかに違うと考えてよいと思う。『ビジネスエコノミクス』はより幅広く、経済学の知識があまりなく、しかも今までそういう書物に触れてこなかった層を対象としていて、『経営の経済学』は、マネジメントや経済学への興味が高く、そういう書物には触れてきたが経済学の知識がない、つまりビジネスリテラシーが高い層をターゲットとしている。どちらも非常に良い本なので、どちらも手にとって、自分の1冊を読みこんでほしい。

伊藤元重(2004)『ビジネス・エコノミクス』日本経済新聞社

目次
序章  ビジネス・エコノミクスとは
第2章 価格戦略と儲けの仕組み
第3章 価格からビジネスの構造が見える
第4章 市場メカニズムを活用する
第5章 エイジェンシーの理論―モラルハザードと逆選択
第6章 ビジネスは「ゲーム」だ
第7章 経済学で競争戦略を解剖する
第8章 デジタル革命は何を変えたか
第9章 ビジネスは世界に広がる
終章  ビジネス環境は変わり続ける
索引

2010年7月11日日曜日

ビジネス・エコノミクス(伊藤)

ブックオフで105円だった伊藤元重(2004)『ビジネス・エコノミクス』日本経済新聞社を読んでみます。
ビジネスエコノミクスでは、この本が分かりやすいとMBA時代の友人が推薦していました。

ビジネスエコノミクスは、MBA時代に履修しました。その時は丸山先生の丸山雅祥(2005)『経営の経済学』有斐閣がテキストでした。これと比較してどちらがよいか、考えながら読んでみます。

これからの「正義」の話をしよう(サンデル) 読了しました

読み終わりました。思考を鍛えるために、大学学部生に読んでほしい1冊です。

本の内容は、NHK「ハーバード白熱教室」の講義録で、ほぼその内容を敷衍する形で進んでいます。放送をご覧になったかたはより深く理解が進むと思います。残念ながらNHKは一部しか見ることはできませんが、英語のオリジナル(Justice with Michael Sandel)であれば、すべての回を見ることができます。ただ、学生とのインタラクションによって、議論が深まって素晴らしい仕上がりの講義になっているのですが、講義録にはそのインタラクションは入っていません(当然ですね)。


ベンサムとミルの功利主義、ノージックのリバタリアニズム、市場と倫理、カントの「道徳形而上学原論」から自由な選択と動機、ロールズの「正義論」から平等と正義、アリストテレスの「ニコマコス倫理学」「政治学」から目的因(テロス)など、西洋法哲学の歴史を俯瞰しながら様々なケースを用いて、平易に説明していく。救命ボートのカニバリズム、煙草会社の出した肺がんの便益、フォードの爆発するガソリンタンクの補修費と安全性向上の便益、マイケルジョーダンのチケット、徴兵制・志願兵・傭兵、ビルとモニカ、アファーマティブアクション、妊娠中絶をめぐる議論、同性婚など、アメリカ人であればいやでも直面する身近な問題に、哲学の理論との接点をうまく見つけて説明している。

私は、イギリスとアメリカに長く駐在していたこともあって、特にビルとモニカの問題についてはアメリカでその時代の空気を吸って身近な問題として理解できるし、イラク侵攻の日にアメリカを去った人間として、イラク侵攻前の張りつめた空気のなかで徴兵制と志願兵の問題が語られていたことも十分に理解しているので、例が非常に適切であると感じられた。このように豊富なアナロジーを提示しながら教えていく手法は、非常に効果的と感じる。

最近、グローバル人材をどのようにして育成するかといった議論が盛んである。世界で活躍するためには、英語のコミュニケーション(こういう場合はOralな部分を指すことが大部分)が重要である、といった議論も盛んである。しかし、様々な欧米人と渡り合ってきた経験からいうと、英語も大事だが、それよりも重要なのは、プラトン・アリストテレスに始まる哲学や聖書への理解である。それには大学の一般教養で行われている教育が非常に有用であると改めて感じる。欧米人の思考回路は、西洋哲学とキリスト教に裏打ちされている。アメリカ人と同じ空気を吸うことはできなくても、思考回路の元は幸いにも日本語で勉強できる。英語が上手なことはいいことだが、英語が上手なだけでその思考回路に迫っていなければ、彼らとの交渉で「なぜ」こういう結論に行きつくのか、という深いところは理解できないと思う。

この本が、そういう基礎素養を身につけようとする人々のきっかけとなればよいと思う。

Sandel, M.(2009) Justice: What's the Right Thing to Do? New York: Farrar, Strauss & Giroux. 邦訳 マイケル・サンデル(2010)『これからの「正義」の話をしよう―今を生き延びるための哲学』鬼澤忍 訳、早川書房。

目次
第1章 正しいことをする
第2章 最大幸福原理―功利主義
第3章 私は私のものか?-リバタリアニズム(自由至上主義)
第4章 雇われ助っ人―市場と倫理
第5章 重要なのは動機―イマヌエル・カント
第6章 平等をめぐる議論―ジョン・ロールズ
第7章 アファーマティブ・アクションをめぐる論争
第8章 誰が何に値するか―アリストテレス
第9章 たがいに負うものは何か―忠誠のジレンマ
第10章 正義と共通善
謝辞
原注

(訳者のまえがきやあとがきが一切ないのは非常に好感が持てるやり方です!)

2010年7月4日日曜日

食事もせずに仕事

食事もしないで本を読んで仕事に没頭していました。
梅雨の間の晴れ間が少しあるような1日ですが、息子は勉強しているし、なかなか声をかけづらい。こういう日は、本を読むに限ると思って読み始めましたが、仕事が残っているのに気づいて、仕事をしていました。食事もせずに没頭していたらもうこんな時間でした。

そろそろやめて散歩にでも行かないと・・・・。

2010年7月3日土曜日

これからの「正義」の話をしよう(サンデル)

NHK「ハーバード白熱教室」が終了しました。英語のオリジナル(Justice with Michael Sandel)であれば、すべての回を見ることができますので、ぜひご覧ください。iTuneでもあったと思います。
 
ハーバードはアメリカ最高峰の一つですので、このレベルの授業がすべてのアメリカの大学で行われているとはいえないと思いますが、あれだけの教室(というかホールです)に集まったおそらく1000名を超える学生を相手に、ソクラテス問答法に近い授業が展開されているのは、驚きを超えて感動です。一人で、しかも学生との距離がある空間の中で、インタラクティブに授業を展開する力量は、素晴らしいの一言でした。私も会社で研修講師をすることがあり、この授業の進め方は非常に参考になります。

神戸MBAでも海外で教鞭をとられたり学位を取られた先生は、こういう感じの授業の進め方をされます。黙っているとどんどん指名され、それを機に議論が始まっていく。サンデル先生のようにはいかないまでも、70名の学生(しかも全員海千山千の社会人)を前に、ぐいぐいと授業を進めていく力量ある先生方が多く、神戸MBAで学ぶよさになっていると思います。

今回は、出版初日に購入して、積読状態だったSandel, M.(2009) Justice: What's the Right Thing to Do? New York: Farrar, Strauss & Giroux. 邦訳 マイケル・サンデル(2010)『これからの「正義」の話をしよう―今を生き延びるための哲学』鬼澤忍 訳、早川書房。を読みます。Penguinのペーパーバックが安いので、英語で読める方は、こちらがよいと思います。

NHKを最初からご覧になっていない方は、英語で全部の回を一度見てから読むと分かりやすいと思います。

2010年7月2日金曜日

流れを経営する(野中・遠山・平田) 読了しました

いや~、なかなかのものでした。

しかし楠木建(2010)『ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』東洋経済新報社のほうが読み物としては優れている。楠木先生のタッチが軽妙で、普通のビジネスマンに一気読みさせるだけの筆力を感じる。ケースも適切で、理論を毛嫌いする人々にも受けている。弊社でもじわじわ拡大中です。

野中先生の「哲学」が好きな人(私もその一人)にとっては、野中郁次郎、竹内弘高(1996)『知的創造企業』(梅本勝博訳)東洋経済新報社を一段とブラッシュアップしてケースを最新にした書と思えば間違いはないと思う。

野中先生の世界的成果であるSECIモデルについて、つまり暗黙知(主観)と形式知(客観)の2つの次元の相互交換が継続的に行われることによって知識が生成され変化し続けることのモデル化について広く議論される。そのなかでも、ニコマコス倫理学で出てきた「エピステーメ(普遍の真理)」「テクネ(実用的な知識・スキル」、そして「フロネシス(知的美徳・実践的知恵)」のなかで、とりわけフロネシスが重要であることを説く。フロネシスは「真・善・美の主観的感覚に基づく判断基準」「共通善に関する価値判断」である。「よい車」の例をあげて、客観的(エピステーメー的)にはよい車というのは普遍的真理ではなく、技術的(テクネ的)にいくら技術的に優れた車を作り出しても、それは主観的(フロネシス的)に「よい車」であるとは限らない。だから、「よい車」の定義は主観的な価値判断であり、常に文脈や当事者に左右される。フロネシスには絶対的な解はない。フロネシスは、科学理論にある「理由を知ること」、実戦的スキルの「手段を知ること」、そして実現するために「対象を知る」ことを綜合(シンセシス)する概念であるという。コンティンジェンシー理論のような、哲学のような。いずれにしろ、長年の社会人としての「肌感覚」は、フロネシス的なものが直感的に正しいことを示している。

就職活動中の学生さんから「御社の現場主義に惹かれました。僕も現場を訪問して泥臭く営業をしてみたいです」的な発言がよく見られます。現場を訪問すればそれで終わりと思っている薄っぺらさ。一度「それだけ現場に行きたいのだったら、うちに来る必要はなくて、どこかの工場ででも働けばいい」とまで言ったことがありますが、なぜ我々が商社なのに現場を訪ね、現場で経験を共有するのか、そこに理解がいたっていない学生が多い。

そういう学生は、本書の本田宗一郎の写真をよく見てほしい。コーナーを曲がるバイクの挙動を見るために這いつくばって観察する本田宗一郎(p109)。また、床に絵を描いて技術者に説明する本田宗一郎(p111)。これが現場主義をまさに体現している。単なる経験主義ではなく、現場を見るにしても現場により近い場所で観察する。それもとおりいっぺんのやり方ではなく。そして、一つ一つの現象が何を意味するのか深く考え、その場で動作とで自分の考えを伝えて実現していくというプロセスだと言いたいのだが、この写真(特にp109)がそれを雄弁に語ってくれている。すごいことだ。

理論だけでは頭でっかちになる。経験主義からは何も生まれない。だからフロネシス的なマネジメント、つまり実践的な綜合が求められていると言える。死に直面したソクラテスが死ぬことが真かどうかが問題ではなく、死に直面するソクラテスを前に自分が何をなすべきかが問題であり、よき実践が求められること、これこそが私の考える現場主義である。現場主義というペラペラな学生の言葉を強く、重くする思考を再び与えてくれた本書に感謝。

あとは、様々なケーススタディを取り上げ、流れの中でどのようにフロネシスな経営を実践しているかを紹介している。これも、ケースが新しく、非常にビビッドなので、読みやすいと思う。普通の読者は、第2部のケースだけでも相当勉強になると思う。経営学を志す人々や経営企画などで理論を正しく理解する意気込みのある人は第1部から入念に。

野中郁次郎、遠山亮子、平田透(2010)『流れを経営する―持続的イノベーション企業の動態理論』東洋経済新報社
目次
はじめに
第1部 理論編
第1章 知識について
第2章 知識創造の理論
第3章 プロセスモデルの構成要素
第4章 知識ベース企業のリーダーシップ
第5章 知識創造理論の物語的展開

第2部 企業事例編
第6章 理念・ビジョン
第7章 場と組織
第8章 対話と実践による事業展開
第9章 リーダーシップ

終章 マネジメントの卓越性を求めて

解説 研究開発のマネジメントからナレッジ・マネジメントへ
―戦略的マネジメントに対する知識創造理論の貢献(デイビッド・J・ティース)

参考文献
索引

注:
Nonaka, I., Toyama, R. & Hirata, T (2008) Managing Flow: A Theory of the Knowledge-Based Firm, New York: Palvrave MacMillan.の訳書として取り扱っていません。

2010年6月29日火曜日

もっと分かりやすいブログを目指して

自分の読んだ本をつれづれにこのブログで記録してきました。

このブログをもし誰かが見て参考にしようとするとき、統一されて分かりやすいフォーマットになっていたら分かりやすいですよね。

ですから、いままでのエントリーで読了した分については、目次を入れていく作業を開始します。章建てだけでも分かれば、参考になると思います。

ラベルを様々に入れていますので、これも整理する予定です。

あと、書籍名の表記法について、いままでは私の師匠に教わった参考文献の書き方に倣っていましたが、これを赤門マネジメントレビュー AMR執筆マニュアルの方式に統一します。基本的には私の師匠とほぼ同じ方法ですが、こちらのほうが統一性があるので、そのように変更します。特に邦訳文献の書き方が分かりやすいと思います。これも少しずつ進めていきます。
英語文献もこの方式ですが、この方式自体がAPA(アメリカ心理学会)と同じです。

また古本屋へ!

きょうは、嫁はんとけんか(なぜか最近多い)して、頭を冷やしに昼前に外に出ました。
まず朝っぱらからビールを飲んで、かっぱ横丁の阪急古書のまち からスタートです。一通り回って、「ばかなる]と「非常識の経営」を探しますがなく、それといった本もなく、阪急東通から天神橋筋商店街へ向かう。阪急東通では、末広書店に入る。4階建てだが、1階と4階の一部にしかまともな本はない。石井淳蔵、奥村昭博、加護野忠男、野中郁次郎(1996)『経営戦略論 新版』有斐閣 を100円でサルベージした。100円ならまあいいでしょう。そして、ゆうぶんは定休日。ここにもそれなりに本はあります。

最近古本屋が多いので知られているのが天神橋筋商店街です。日曜日だったのもあって、天牛書店 天神橋店と矢野書店を冷やかしたぐらい。ここにもお目当ての本はなかった。あと、天四文庫を覗いてみた。ギアツ、C.,(2002)『解釈人類学と反=反相対主義』(小泉潤二訳)みすず書房の2010年4月に「書物復権」で復刻された新品同然が2,500円で売られていたり、あと、ヌガラもあったりと、なかなかでした。それでも何も買わずに、遅い昼食を。

昼食は、久々に天五の春駒へ行ってまいりました。まぁ、この値段なら回転寿司よりもずっとよろしい。一人で昼下がりに冷えたビールとすし。家族と行くのはそれでいいのですが、一人もなかなかですね。

2010年6月26日土曜日

またまた古本屋

吉原英樹(1988)『「ばかな」と「なるほど」:経営成功 のキメ手!』同文舘出版と、吉原英樹、安室憲一、金井一頼(1987)『「非」常識の経営』東洋経済新報社の2冊を探して、こまめに古本屋を回っています。しかし、なかなかめぐりあうことがありません。こういう本なら意外と100円均一なんかに入っていることが多いので、とにかくいろいろ回るようにはしています。最近では、会社帰りに天牛堺書店 大江橋店を冷やかすことが多くなっています。入れ替えでいろんな本が入ってくるので、ぶらぶらしてみています。そんな中で、いわゆる「積読」の本を買いました。

Marx, K. (1867) Das Kapital: Kritik der Politischen Oekonimie, Hamburg: Verlag (マルクス=エンゲルス全集刊行委員会訳(1968)『資本論』大月書店 全五巻) です。箱はなかったのですが、ほとんど読まれた形跡がなく、1冊250円で1,250円。5冊買っても現行の国民文庫版 大月書店の1冊分にもならない。学生時代に資本論は「ええかっこして」よみましたが、もう一度どこかで読む機会がほしいと思っていたところ、たまたまこんな値段で出ていたので買ってしまいました。いずれは読みます。

次は、Russel, B., (1946) History of Western Philosophy, London: Routridge.(市井三郎訳(1968)『西洋哲学史:古代より現代にいたる政治的・社会的諸条件との関連における哲学史』みすず書房)です。 Routridgeのペーパーバック版は2度ほど読んでいまでもありますが、1,400円でしたので買いました。3冊組の71年版ですと1冊5,000円ほどしますので、これも10分の1程度のお値段です。これもいずれは読むつもりで買いました。

流れを経営する(野中・遠山・平田)

野中郁次郎、遠山亮子、平田透(2010)『流れを経営する:持続的イノベーション企業の動態理論』東洋経済新報社が発刊されたのでさっそく衝動買い。神戸大学の小川先生と金井先生が推薦されていたこともありますが、このところ野中先生の本を立て続けに読んでいるのもあって、平積みされていたので早速購入して読んでいます。

原著は、Nonaka, I., T. Hirata, R. Toyama (2008) Managing Flow: a Process Theory of Knowledge-Based Firm, Basingstoke, UK: Palgrave-MacMillan.ですが、原著とは「かなり異なった本となった」と述べられている。

野中先生の本は、経営学でも哲学の知識の上に成り立っていることを示していて、まさに「巨人の肩に乗って」研究する必要性をいつも呼び起されます。結局仕事でも一緒で、先人の蓄積の上に成り立っていて、いいところも多いが、時代に合わないものも多い。だから創造的破壊が求められているのだが・・・・・。

そういう知見を得たい。

2010年6月25日金曜日

知識創造の方法論(野中・紺野) 読了しました

野中郁次郎、紺野登(2003)『知識創 造の方法論:ナレッジワーカーの作法』東洋経済新報社を久々に読みました。この本は、通読すると非常に勉強になる。

第一部の「知の方法論の原点」では、プラトンに始まる哲学、つまり著者のいう「知の型」=枠組みや方法論としてとらえるための哲学について概論していく。プラトン、デカルト、デューイ、ロック、カント、西田、といった知の巨人たちの理論が解かれていく。もう少し高いレベルで概観したければ、やはりRussel, B., (1946) History of Western Philosophy, London: Routridge.(市井三郎訳『西洋哲学史:古代より現代にいたる政治的・社会的諸条件との関連における哲学史(3冊組)』みすず書房)がやはり金字塔と思えます。ちなみに、1950年ノーベル文学賞受賞作!なんでやねん、って思いますが、もし余裕があれば、西洋哲学史も買って、野中先生が引いている哲学者のところをじっくり読むと、本当によくわかると思います。 経営学をやるにしても、物事の考え方を学ばないとなかなか入ってこないことが修論やっているころに分かりました。

第二部「社会科学にみる知識創造の知」では、いわゆる社会学の命題、「行為」か「構造」か、を見ていきます。構造の代表はデュルケーム。行為の代表はヴェーバー(ウェーバーと野中先生は書いておられるが、雰囲気があるのはこちらか?)。そして出てくるのは当然「プロ倫」。そして「意味」。レヴィ・ストロース代表のフィールドワークと構造主義。そして出てくるのが有名なホワイトのストリートコーナーソサエティ。そして現象学のフッサールに至る。最後にはやはり、データによる実証主義の限界と個別事例によるメカニズム解明にいたる沼上幹(2000)『行為の経営学:経営学における意図せざる結果の探究』白桃書房への言及がある。推論の方法について、社会学的な見地から推し進めている。論文を書くときに必要な作法がしっかりと書かれていることもプラスポイント。こんなもんいるんかいな、って思いますが、読んで咀嚼して損はない。

ここまでは、いわゆる修論の組立て構造についてと考えればよいが、実務家にはいささか退屈と思う。しかし、第三部「コンセプトの方法論」からは理論嫌いな実務家でも十二分に楽しめると思います。コンセプト、つまり概念の問題で、現場をよく観察し、その意味を見出して概念化し、モデル(理論)化するというプロセスについて解かれている。そして、それらがビジネスのケースとしてどのようにApplyされているかを提示している。

第一部と第二部はMBA学生必読。社会人のダルな頭に喝を入れる。といっても、野中郁次郎、竹内弘高(1996)『知的創造企業』(梅本勝博訳)東洋経済新報社をしっかりと読めばこの本までいるか、とも思えます。まず、知的創造企業を熟読して、物足りなければこれをよむスタンス。全然物足りなければ西洋哲学史に行けばどうでしょうか。いい本です。

野中郁次郎、紺野登(2003)『知識創 造の方法論:ナレッジワーカーの作法』東洋経済新報社
目次
まえがき
序 知の方法を身にまとう
1 新たな経営の知
2 ナレッジワーカーの時代

第1部 知の方法論の原点
1 哲学に見る知識創造の知
2 知識創造理論で見た哲学の知の壁
3 知識創造プロセスと弁証法のダイナミズム

第2部 社会科学に見る知識創造の知
1 科学の知の方法論の意味合いとその変遷
2 社会学の知のアプローチ―構造・行為・意味・統合
3 潜在的メカニズムの発見へ
4 新たな経営の知に向けて―綜合の知

第3部 「コンセプト」の方法論
1 コンセプトとは何か
2 「観察」の方法論―アイデアの源泉としての経験
3 「概念化」の方法論―意味の発見と形成
4 「モデル化(理論化)」の方法論
5 「実践化」の方法論
6 日常的行為へ

第4部 経営と知の方法
1 企業の知の型(組織的知識創造)
2 ナレッジ・リーダーシップ


参考文献
索引

2010年6月20日日曜日

文献の探し方


もともと前のエントリーに同じにしていたのを分けます。

吉原英樹(1988)『「ばかな」と「なるほど」:経営成功 のキメ手!』同文舘出版と、吉原英樹、安室憲一、金井一頼(1987)『「非」常識の経営』東 洋経済新報社の2冊を読もうと、アマゾンやブックオフなどで古本を探しましたが、全く見つかりませんでした。こういう場合に検索サイトを活用します。

和書であれば、大阪府WEB-OPAC を調べます。大阪府下の公共図書館と日本全国の大学図書館の検索サイトNACSIS WEBCATから検索してくれます。単行本でこの探し方でヒットしなかった文献はありません。学生のころは神戸大学附属図書館のOPACで調べるとほとんどは神戸大学 に所蔵されていましたが、中之島図書館が勤務先から近いので、その利用のために大阪府のOPACもよく使っていました。大阪府中央図書館からも配本可能で すので、使いやすいです。マイナーな業界紙とか雑誌は普通では探せませんから、そういうときにおせわになりっぱなしだったのが、国会図書館OPACでした。修士論文を書いているころに、国会図書館にしか所蔵が ない業界紙をコピーによく行きました。行かなくてもコピーサービスもあるので、利用するのも手です。
洋書は、神戸大学附属図書館のOPACで調べることが多いです。NACSIS WEBCATでも調べることができます。修士論文の準備で英語の参考文献を相当読んでいたので、その頃はよくお世話になりました。ちなみに、神戸大学になかった必要文献は、WEBCATで調べれば、どの大学にあるかが分かります。

結局上記2冊は、この近辺だと神戸大学社会科学系図書館(神戸の先生の著書ですから当然ですよね)と大阪市立中央図書館にありました。久しぶりに西長堀の中央図書館で借りてきました。この図書館は、雑誌が充実していて、神戸大学にない文献をここが収集していたので、たまに行っていました。大阪府立中央図書館大阪府立中之島図書館に比べて書庫からの出庫が遅いのが難 点ですが、15分ぐらいのことです。

こういう資料の探し方もMBAに行って徹底してうまくなりました。自分の家や会 社からこうやって日本中の蔵書情報が手に入る。すごい時代であることを改めて感じます。

2010年6月19日土曜日

まだまだ続くMBA

私は2009年9月に修了しましたが、まだまだゼミが続いています。

9月に修了できたのが14名中10名、2名は翌年3月に修了したのですが、後2名が仕事の関係などで休学していたので、この8月に修論を出す予定になっています。ですから、修了してからも月に1回のペースでゼミが開かれています。このゼミが非常にいい刺激になっています。MBAのころ、特にプロジェクトやゼミでは脳みそに汗をかきまくっていましたが、修了するとそういう機会が少なくなりますし、会社の付き合いが中心になる中で、全く会社と関係ない仲間とともに考える時間が取れることは素晴らしいことと思います。

それと神戸のいいところは、ゼミだけでなく、ほかのつながりも持続できるところだと思います。先週は、本来はゼミが予定されていましたが、小川先生のゼミに一橋の楠木先生が登場するというので、小川先生にお願いして参加させてもらいました。こういう機会はなかなか普通では形成できませんね。

そして、楠木先生が火付け役で、小川先生がお勧め、そして金井先生もその輪に入ってきている本が、吉原英樹(1988)『「ばかな」と「なるほど」:経営成功のキメ手!』同文舘出版、いわゆる「ばかなる」(楠木先生命名)、それと、吉原英樹、安室憲一、金井一頼(1987)『「非」常識の経営』東洋経済新報社の2冊です。 1980年代後半、つまりプラザ合意の円高不況からバブルへの道、その時代にサラリーマン生活をはじめた私としては、この本に掲載されている事例の香りがいかにも香ばしくって、そっちのほうに気を取られてしまいます。これから読み進めていきたいと思います。こういう本は、我々では気づきません。先生たちに感謝!

2010年6月18日金曜日

知識創造の方法論(野中・紺野)

この前読了した野中郁次郎、竹内弘高(1996)『知的創造企業』(梅本勝博訳)東洋経済新報社の第2章に特化したような本が野中郁次郎、紺野登(2003)『知識創造の方法論:ナレッジワーカーの作法』東洋経済新報社です。 これも久々に読んでみることとします。

なお、今回から、リンクはブクログの該当ページへのリンクに改めます。アマゾンのリンクでもよいのですが、ブクログのほうが、関連商品やレビューも出ていて、アマゾンへのリンクも提供されているので、こちらのほうが有益な情報が多いと思います。

2010年6月17日木曜日

知的創造企業(野中・竹内) 読了しました

久々に、野中郁次郎、竹内弘高(1996)『知的創造企業』(梅本勝博訳)東洋経済新報社を読みました。事例が古いのは否めませんが、ぜひ読んでみてほしい。西洋哲学における知とは、形式的でかつ体系的。我々がいままで学んできた知は、この系統に属するだろう。一方で、日本的な知の系譜も存在するという。「人間と自然を一体化」する基本的志向は、西洋的な知とは対極であろう。たとえば、習慣に基づく「勘」、体で覚えこんだ技術、頭の中にだけあるノウハウなど、形式知になっていない暗黙知に注目されておらず、暗黙知から形式知を作り出すということまでに及んでいないと説く。

そして、知識創造のプロセスは、有名なSECIモデルにより、スパイラルアップして進行していく
共同化(Socialization) 暗黙知から暗黙知へ  各人の経験の共有化
形式化(Externalization) 暗黙知から形式知へ 共有した暗黙知を言語で表現する
連結化(Combination) 形式知から形式知へ  各人の形式知をマニュアルなどで一緒にする
内面化(Internalization)形式知から暗黙知へ 形式知を各人の内面で暗黙知化する

といった感じで、ホンダシティ、松下のホームベーカリー、キャノンのミニコピア、シャープの緊プロなどの事例を通じてそれを示していく。

この本のいいところは、単なる成功事例の羅列ではなく、序文にあるように組織的知識創造の一般理論を構築しようとする試みであること。理論志向の強さは、第2章の知識と経営で展開される西洋哲学の地に関する系譜、そして日本文化への言及で表されている。RBVの基本テキストであるだけに、内部資源にほぼ限定された議論であるが外部環境の影響の議論を排していることから、より理解しやすく仕上がっている。

筆者は、第4章から読めばよいというが、私としては、すべてのビジネスパーソンは、第2章と第3章を熟読してほしいと思う。

Nonaka, I. & Takeuchi, H. (1995) The Knowledge-Creating Company: How Japanese Companies Create the Dynamics of Innovation. Oxford, UK: Oxford University Press. 邦訳 野中郁次郎、竹内弘高(1996)『知的創造企業』梅本勝博訳、東洋経済新報社
目次
序文
謝辞
第1章 組織における知識―序論
第2章 知識と経営
第3章 組織的知識創造の理論
第4章 知識創造の実例
第5章 知識創造のためのマネジメント・プロセス
第6章 新しい組織構造
第7章 グローバルな組織的知識創造
第8章 実践的提言と理論的発見
日本語版へのあとがき
参考文献
索引

2010年6月15日火曜日

Book Offの105円均一本

今日は、東京出張から大阪に戻った。

先週から、息子の電動鉛筆削りに短い鉛筆が入り込み、抜けなくなってしまっていた。出張前に相当時間をかけてピンセットや錐を使って穴から抜き出そうとしたが抜けず、分解しようとして、問題が発生した。

手動の鉛筆削りのようにようにユニットが分解できればすぐに修理できる。これはガキのころから経験済み。だから、電動でも分解できれば問題なく修理できる。しかし、問題はねじ山の形状。普通はプラス、マイナス、六角、星などの形で、こういうのは家にドライバーがある。しかし、最近の子供用の玩具や教材などには「△」のねじ山が使われていて、これは家にない。

そのドライバーを探して、会社の近所の「荒物屋」に聞いたがなく、東急ハンズ心斎橋店に会社帰りに、家とは逆方向であったが行って探したところ、一つだけ置いてあった。SunFlag 三角ねじ用特殊ドライバーです。これさえあれば分解可能です。マクドのおもちゃやプラレールなどにも使えるらしく、一家に一本でしょうか?これのおかげで鉛筆削りを分解して、無事短い鉛筆を除去し、快調に動くようになりました。

さて、ドライバーを購入した帰り、心斎橋に出てくればやはりBookOff 大阪心斎橋店です。地下1階から3階まである大型店で、3階にビジネス書・経営書があり、品ぞろえはなかなか充実しています。BookOffでは、基本的には105円を中心に見ます。 凝った店だと絶版書を高くしていたり、工夫されていますが、BookOffでは掘り出し物が出てくることがあります。今日は105円から4冊。

まず、KT法の生みの親ぐらいのことは知っていたが読んだことがなかったケプナー, C. H., トリゴー, B. B.(1985)『新・管理者の判断力:ラショナルマネジャー』(上野一郎監訳)産能大学出版部。105円なら損はないでしょう?。
次に、半額の棚にもあったが105円にもあった伊藤邦雄(2000)『コーポレートブランド経営:個が生み出す競争優位』日本経済新聞社。ぱらぱらっとみると105円の価値はありそう。
その次に、グロービス・マネジメント・インスティテュート(2001)『MBAクリティカル・シンキング』ダイヤモンド社。すでに新版が出て久しい。このシリーズは、経営戦略応用研究、通称「コジケン」の課題図書だったグロービス・マネジメント・インスティテュート(1999)『MBA経営戦略』ダイヤモンド社しか読んだことありません。ほかにもいろいろ出ていますね。旧版でも105円の価値はあるでしょう。
最後に、これは105円なら十二分に価値があると思われる伊丹敬之、加護野忠男、伊藤元重(1993)『日本の企業システム:第1巻企業とは何か』有斐閣

こうやって、105円の棚にいろんな本が入っている。ある程度は分けてあるが、とんでもないところに良い本が入っていたりするので、くまなく探す必要はあります。420円で4冊。とりあえず今読まなくても積んでおきます。

2010年6月14日月曜日

楠木先生とお会いしました!

小川先生のゼミに押しかけ聴講をお願いして、一橋ICSの楠木建先生のお話しをお伺いしました。このブログでも紹介した楠木建(2010)『ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』東洋経済新報社の著書です。

面白かった話として、象が入るぐらいの冷蔵庫に象を入れるとき、「ドアを開ける」⇒「入れる」⇒「締める」の3段階だが、かばを入れるときには4段階になる。どうなるか、というなぞかけに、みんなが答えるが的外れでした。結局「象を外に出す」というのが落ちでしたが、戦略の2つの本質として、「違いを作って」「つなげる」という話。またフレームワーカーやテンプレーターという戦略本にある考え方にフィットさせてしまっているだけ、つまり「戦略作りの下ごしらえ」だけではだめで、手に取るようにストーリーが出てくるよう、「静止画」ではなく「動画」としてのストーリーで語れるようにというお話でした。あと、「コギャル」の話、つまり真似しようとすること自体が違いを増幅する、という話は、本にも紹介されているのですが、具体的にお話いただくとまたこれがよかったです。ちなみに、本のコギャルの話は仙台の話だそうです。そのほかにも魅力的なお話でした。小川先生とCDで聞く小林秀雄という話で盛り上がっていたのですが、楠木先生の本を読んで講義を聴くと、その効用が非常に理解できます。

やはり、小川ゼミに押しかけた身分としては、お話しようと思っても少し遠慮してしまいました。どこかでまたお話したいと思いました。小川ゼミ3回生やMBAの方々にも親切にしていただいて感謝しています。重ねて御礼申し上げます。神戸MBAで得ることができた一つの財産が、こういうつながりです。 小川先生には授業で教わっただけですが、こうやってお願いすると教えを請うことができる。またこうやって親しくお話くださる。そしてまた人と出会うことができる。知的好奇心も満たされ、すばらしい学びがあると思います。昨日、金井先生と高橋先生で「リーダーシップ祭」も神戸大学で開催されていたので、それも行きたかったのですが、仕事でいけず(小川ゼミも遅刻)、残念でした。こういうつながりでも、神戸MBAの一員でよかったと感じます。

なお、楠木先生のツイッターでも紹介されていて、小生も紹介している勢古浩爾(2010)『ビジネス書大バカ辞典』三五館、 お薦めです。表現方法は違いますが、フレームワーカー・テンプレーター的な思考とは何か、その思考の鋳型にはめ込もうとする著者、またそういう思考を無批判に受け入れる読者がいる。あほな書きぶりですが、かなり本質を突いていると思います。ぜひご一読を。

2010年6月10日木曜日

知的創造企業(野中・竹内)

やっぱり日本発でロバストな経営理論といえば、野中郁次郎、竹内弘高(1996)『知的創造企業』(梅本勝博訳)東洋経済新報社に尽きるかもしれない。何度も読みました。安い本なんで、経営学をやる人は絶対に押さえておくべき名著です。閉塞感漂う現代にこそ、この本をしっかり読む意義があると思う。来週の出張に持っていきます。

古本屋再び

一昨日に「天牛堺書店 大江橋店」で古本を見ていた。1,400円均一の台で、見つけたのが白川静(2002-2005)『文字講話(1~4)』平凡社、白川静(2007)『続文字講話』平凡社の5冊組。7,000円で売られていたのですが、その時に持ち合わせがなく、仕方なく今日再び訪れたら、総入れ替えで800円均一に変わっていました。古本屋の鉄則:「見かけたらとりあえず買え」、を忘れていました。

しかし、今日の収穫は、マートン, R. K. (1961)『社会理論と社会構造』(森東吾ほか訳)みすず書房が、なんと800円で売られていました。速攻でお買い上げ。ほとんど書き込みのない本ですが、ケースが汚れていて、年数を感じさせる。アマゾンでは最低でも14,600円と高値で販売されているので、得をした気分です。

これだから古本屋めぐりはやめられない!

2010年6月9日水曜日

白川静読本(平凡社編) 読了しました。

白川静といえば、古代漢字の学者で、「孔子伝」の作家という印象しかなく、「道」の字の起源の話は知っていたのですが、この平凡社編(2010)『白川静読本』平凡社を読んで、知の巨人だったとの印象を深くしました。

内田樹は、「世界と人間の成り立ちについて本質的なことをいくつか教えていただいた」という。梅原猛をして、「強靭な思弁によって独創的な新しい学問を打ち立てた」と言わしめる。吉本隆明が「この大碩学について言うべき言葉を持たない」と評する。そして、保坂和志は「白川静もハイデガーも(中略)人間は自然やほかの動物を征圧することで人間となったということを言っている」から「感動した」のである。これだけのことを言葉は違えど、47名が思い思いに伝えようとしていることが白川静のすごさを物語っているのだと思う。

いままで、経営学を勉強するに当たり、ソクラテス・プラトン、アリストテレスに始まり、ウェーバーやマートン、そしてソシュールやレヴィストロース、フーコーまで、「考え方」といえば、西洋哲学であった(この辺りについては、野中郁次郎(2003)『知識創造の方法論:ナレッジワーカーの作法』東洋経済新報社に詳しい)。神戸大の学力総合試験や博士後期入学試験の経営管理や定性的方法論についても、ほとんどがそうである。しかし一方で、東洋には漢字文化の膨大な蓄積がある。そこに改めて目を向けさせてくれそうなのが白川静であろう。

マイブームになりそうな気がしてちょっと怖い。

平凡社編(2010)『白川静読本』平凡社
目次
巻頭対談 呪能と歌の心―白川静の魅力
第1章 白川静という人
第2章 白川学の広がり
第3章 著作をどう読むか
主要著作一覧
白川静略年譜

2010年6月6日日曜日

久々に古本屋へ!

週末、久々に古本屋に行きました。嫁はんとけんかしたので、ちょっと頭冷やしです。

この前、神保町ですこし悔しい思いをしたので、古本屋に行くことにしました。
北大阪在住ですので、まずは、石橋の太田書店。ここは理数系の本が多く、経営系はあまりありません。まあ、ちらっとのぞいたようなものです。ここでは何も買わず。

次に梅田のかっぱ横丁にある阪急古書の街。ここには京都の梁山泊や心斎橋の中尾書店の出店があり、平日夜8時までやっているのでちょくちょく見に来ます。石橋の太田書店の出店もあります。中を見て結局買わずに、阪神百貨店地下の対面まで歩いて萬字屋書店へ。ここにはハイエク『自由の条件(ハイエク全集)』春秋社があったので買おうかと思いましたがちょっと高かったのでやめ。

これから、大江橋か船場センタービルの天牛堺書店まで足を伸ばすか、どうしようか考えていましたが、ふと、関大前に行ってみることにしました。

関大前で降りると、まず、駅前のBOOK OFF 関大前へ。大学の近所ということで、品ぞろえはなかなか。ここでは2冊買いました。占部都美(1997)『経営学入門 改訂増補版』中央経済社金井壽宏(1993)『ニューウェーブマネジメント:思索する経営』創元社。ニューウェーブは初版帯つき程度まあまあで105円でした。経営学入門は、美本でしたから1,600円しましたが、よさそうでしたから買いました。
次に、関大前通りにある「若草」で食事をしようとしたらシャッターが下りている。通りがかりの学生らしき若者に聞くと、つぶれたらしい。1年ほど前に修論の資料が関大にしかなく、その資料をコピーに来たときに「サービス」の「一口かつ」を食べたのが最後になりました。残念でなりません!
そしてその若草から30メートルぐらい行ったところに小さい古本屋が。ここには教科書のオンパレード。マンキューの経済学が山のように置いてあります。
ここでもあまり食指が動かず、文砦へ。ちょっと分かりにくい場所にあります。ここは法律書が豊富で、社会科学もそれなりにおいてあります。労働法関係を少し見ましたが、法律関係は新しくないとあまり意味がないと思いなおして、なにも買わず。 遅い昼飯を松屋の牛飯250円味噌汁つきで取ったのち、さて、ここからどこに行くか。

最近健康のために歩いていますから、関大前から緑地公園まで歩いて、天牛書店 に行くことにしました。千里山の住宅街を1時間強歩きます。天牛といえば、私が学生のころは、御堂筋から周防町を西に入って、少し行ったところの左側にありました。アメリカ村のど真ん中にあったのですが、江坂(というか千里山というか、緑地公園というか)に移ってすでに相当の日々が経っています。しかし、おそらく大阪近辺では一番大型古書店ではないでしょうか。十数年ぶりにやってきました。
購入したのは4冊。Singh, S. (1997) Fermat's Last Theorem: New York, Fourth Estate. (青木薫訳『フェルマーの最終定理:ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで』新潮社石井淳蔵(1993)『マーケティングの神話』日本経済新聞社新田次郎(1974)『アラスカ物語』新潮社の初版帯つき、新田次郎(1977)『剱岳・点の記』文藝春秋の単行本初版 の4冊です。新田次郎の初版本は両方とも100円。状態はそれ相応なので100円なのですが、それでも安いので買ってしまいました。マーケティングの神話は、院生時代に図書館で借りて読んだのですが、マーケティングをやっていたわけではないので買っていませんでしたが、安く古本が出ていたので買ってしまいました。

そしてなぜフェルマーを買ったかというと、最終面接したある理系の学生が、最近読んだ本にこれを出してきたからです。「おぉぉぉ、久々に骨のある奴が!」と思って、「フェルマーの最終定理ってなに?」とお尋ねしました(私は知っている)。「ちょっと数式が難しいので・・・・」というので、「それならピタゴラスの定理は説明できますか?」といったら「ん、ピタゴラスですか・・・.。それも難しい数式ですけど・・・・・」という具合でピンとこない。5秒沈黙ののち、「ピタゴラス数は中学3年レベルやで。X^2 + Y^2 = Z^2 になる自然数のことで、たとえば、X=3, Y=4, Z=5というように、無限数ある。これは中学校の数学問題や。証明方法も何通りか教わる。しかし、自然数nが3以上 のとき、X^n + Y^n = Z^n を満たす自然数X, Y, Zの組み合わせが存在しないことがフェルマーの最終定理や」と言ってみたが・・・・。おそらく、国立大学理学部でもピタゴラスの定理を忘れているのでしょう。バリバリ文系の私でも覚えているのに・・・・・。中学校の先生が「ピタゴラスの定理はだれでもできる。しかし2乗を3乗にするだけでそんな組み合わせがないことがいまでも証明できない。これをフェルマーの最終定理と言います」と教えてくださったので、今でも覚えています。偶然にも天牛で見かけたので、衝動買いしてしまいました(笑)。

2010年6月5日土曜日

白川静読本(平凡社編)

次は、平凡社編(2010)『白川静読本』平凡社を読みます。漢字学の大家にして生涯現役。これも買って積んであった本です。伊丹先生の本を読んだので、次は野中先生かな、なんて思っていましたが、積んである本をみると「読むで~」という感じになってきました。

経営戦略の論理(伊丹) 読み終わりました

いろんな本が途中に入ってきて一時停滞しておりましたが伊丹敬之(2003)『経営戦略の論理 第3版』日本経済新聞社、読了いたしました。

この本を評して「後付け」「後講釈」という人もいるのですが、そういう批判を超えて生き残っていくよさがある本です。個人的には、序章、第7章~第9章、終章の中でも、とくに序章が重要なパートと感じます。戦略とは何か、なぜ論理が重要か、そして適合とは何か。普段簡単に話されている言葉をしっかりととらえることから始まっている。その後は、いろいろなケースが出てくる。第7章まででは、松下とアイワの比較が今の世の中を表しているように思う。半値にして機能も充実させる松下。機能を削って価格勝負に出たアイワ。いまの世の中、アイワ的な価格競争が繰り広げられているからうまくいかないのではないか。

ポジショニングスクールの議論にも言及しつつ、伊丹先生の本領であるリソース・ベースト・ビュー もしっかりと論じられている。「見えざる資産」、つまり情報。これの流れのフレームワークをしっかりと理解させてくれる良書です。様々なケースを比較して使って分かりやすくしているところを、後講釈というのでしょうが、一般的な読者には理解できない一般化・抽象化された理論を、数多くのケースを通じて分かりやすく説明しているととらえたほうがよいと思う。だから、終章で、現実から戦略の発想を出発させない、とはっきりとおっしゃっているのである。

これを読んで、営業のマネジャーとして悪戦苦闘していたころを思い出してしまいました。 その話は、また別の機会に。

伊丹敬之(2003)『経営戦略の論理 第3版』日本経済新聞社
目次
序章 経営戦略とはなにか
1 戦略の市場適合
第1章 顧客のニーズをとらえる―戦略の顧客適合(1)
第2章 ニーズの多様性と相互作用を利用する―戦略の顧客適合(2)
第3章 競争優位を作る―戦略の競争適合(1)
第4章 反撃を見越す、敵にしない―戦略の競争適合(2)

2 戦略のインターフェース適合
第5章 ビジネスシステムで差別化する―戦略のビジネスシステム適合
第6章 技術を活かし、技術が動かす―戦略の技術適合

3 戦略の内部適合
第7章 見えざる資産―情報の流れのフレームワーク
第8章 資産を蓄積し、利用する―戦略の資源適合
第9章 組織を動かし、刺激する―戦略の組織適合

終章 戦略の論理と発想

参考文献

2010年6月4日金曜日

これからの経営学(日本経済新聞社編)

出る出ると神戸大学の小川先生からは予告されていましたが、満を持して登場です。

日本経済新聞社編(2010)『これからの経営学』日本経済新聞出版社

2008年9月から約半年間連載された「経営学のフロンティア」をベースに編まれた本です。
まず、日本を代表する経営学者17名!これだけの豪華執筆陣をよく集めたものです。いま、一番力があって素晴らしい研究成果を出されていて、国際的にも認知度の高い先生方が執筆されています。
次に、中身の濃さ!戦略論、人的資源管理、組織行動、ものづくり、マーケティング、ビジネスシステム、グローバル経営、ファイナンス、成長戦略と盛りだくさんの内容。しかも、最先端の研究成果が惜しみなくつぎ込まれています。
そして、分かりやすさ!これが本当に分かりやすくておもしろい。平易な言葉で実例を交えて書かれているので、あまりこういう本を読まないビジネスマンでもすぐに読めてしまうと思います。

新聞連載でしたから、一般の読者を想定して文体は分かりやすく、また限られた連載スペースの中に先生方のご研究を濃縮したエッセンスをそこに展開されたわけで、勢古浩爾(2010)『ビジネス書大バカ辞典』三五館に掲載されているビジネス書とは対極をなす良書です。ぜひ手にとって「現代日本の経営学のフロンティア」を体感してもらいたいと思います。

研修とかやると、「そんな学者の言うようなことは、実際には役に立たない」とか、「机上の空論ばっかり話すな」とか、はたまた「学校で勉強してるんとちゃうぞ」、挙句の果てには「そんなん本に書いたぁることゆうてるだけやん」(なんで関西弁やねん!)とか、要するに理論なんか意味がないという話が出ます。私も、かつてそう思っていた一人でした。

しかし、一流を自任される実務家の方なら、この本を読めば、一流の学者の説明能力の高さに驚くと思います。私は、神戸MBAで執筆陣の4名の先生から直接教えを受ける僥倖に浴しました。先生方の研究の深さ、それを実務といかにつなぎながら説明をされていく能力の高さ。そして一幕の劇にも似た面白さ。この本を読むと、多くの方々がその経験を共有できるのではないかと思います。

ただ、読みやすいがゆえに、内容をきちんと把握せずに「分かった気になる」本かもしれません。ですから、何度も読み返すのもいいと思います。

これだけの内容で749円は安すぎます。

日本経済新聞社編(2010)『これからの経営学』日本経済新聞出版社
目次
まえがき
第1日目テーマ 「組織と戦略をとらえなおす」
第2日目テーマ 「変革型人材育成」
第3日目テーマ 「ものづくりと経営」
第4日目テーマ 「経営戦略を具体化する」
第5日目テーマ 「外部連携の戦略」
第6日目テーマ 「未来への成長戦略」

各講師のおすすめ図書ガイド

2010年6月1日火曜日

東京に来て思うこと

大阪で生まれて大阪で育った身としては、東京で住むことはないと思っていますが、東京でうらやましいのは本屋の充実度。特に古本屋の充実度です。新刊の本屋では、オアゾの丸善、八重洲ブックセンターでもよいのですが、私は神保町の三省堂が好きです。品揃えはぴか一ですね。それよりも、古本屋の多さが断然違う。

今日、仕事が速く終わったので神保町に行きましたが、6時半過ぎになってしまって、結局数軒しか回れず。その後、三省堂で新刊を見て回って、キッチン南海で夕ご飯にしようと思ったが、売り切れで終わり。ショックでした。

ビジネス書大バカ辞典(勢古)

昨日、大阪空港で時間つぶしに立ち読みしていて見つけたのが、勢古浩爾(2010)『ビジネス書大バカ辞典』三五館です。自分自身はハウツービジネス書を全く読みません。その人が成功した環境、能力また経路も違うのに、「これをやれば成功する」なんて、信じて読むほうがおかしいわけですが、そんな本があふれています。そういう本を痛快にメッタ斬りする本です。言葉遣いが下品ですが、そういう本を書く自称コンサル君の思考の浅さ。この本の中に登場する数名を崇拝して読んでいる部下がいます。「こんなの知ってましたぁ」なんていわれても「知らん」としかいえないわけで、「そんなんより新書でも読んだほうがええんちゃう?」といつも言っています。

今日、監査役に「seataku、なんか最近読んだ本あるか?」と言われたので、お渡ししました。この監査役は博学で、ウェーバーの「プロ倫」の話やフッサールで大盛り上がりしました。ですからこんなしょうもない本を渡してもいいかな、って思いましたが、「こんな本(ハウツービジネス書のこと)読む人もいるよね。意味ないのに。これ借りておきますね」とのことでした。こちらからは、あとメールで、数冊ご紹介しました。楠木建(2010)『ストーリーとしての競争戦略―優れた戦略の条件』東洋経済新報社と、Sandel, M (2009) Justice: What's the Right Thing to Do? Farrar, Strause & Giroux. 邦訳 マイケル・サンデル(2010)『これからの正義の話をしよう:今を生き延びるための哲学』鬼澤忍訳、早川書房は当然ご紹介です。

勢古浩爾(2010)『ビジネス書大バカ辞典』三五館
目次
第1章 なんでビジネス書を読むの?
第2章 恐るべき三人のつわもの
第3章 三冊の元祖本と成功法則
第4章 本を読んで金が儲かるってホント?
第5章 不当表示?誇大広告?めくるめく書籍タイトルの世界
第6章 胡散くさい二人の導師
第7章 その場しのぎの一姫二太郎
第8章 「成功」することと人生
第9章 読むなら、経営者の自伝
第10章 仕事とは全人的作業である
付録 あのベストセラービジネス書を採点する

2010年5月30日日曜日

ペンクリニックとぶたまん

昨日MBAの同期の結婚披露2次会に行ったことを報告しました。

神戸は六甲から西はトンとご無沙汰で、数年ぶりに昨日行った次第です。
せっかくなので、ちょっと早く出て三宮から高速神戸までぶらぶら歩いていこうと思って、久々に立ち寄ったのが、三宮の「ナガサワ文具センター」。文房具の品ぞろえがいいので、 昔はよく通っていたお店です。すると偶然、長原幸夫さんのペンクリニックをやっていました。次の日(要するに今日30日です)もやっているということで、昔から気になっていた万年筆を持ち込むことにしました。

そして、本日11時ごろに再度ナガサワ文具センターに行くと、「1時半までお待ちいただけますか」とのこと。もちろんここまできて引っ込むわけにはいきませんから、「お待ちします」と申し上げて、食事に出ました。何を食べるか迷いましたが、いつも店の前までは行くのですが行列に恐れをなしてもう20年は食べていない「老祥記」のぶたまんを食べようと思い立ち、南京町まで行くと、行列が! それでも思ったほど待たずに「6こください」。要するに昔風に言うと2皿ですな。540円なんで高いのか安いのかよくわかりません。昔は15こぐらい食べていましたが、さすがにダイエット中の中年おやぢが15こも注文できません。

そして着席して待つこと3分、20年ぶりのご対面、感動でした!やっぱりここのぶたまんには「ソースと辛子」です。ここのぶたまんは味が濃いので、つけなくてもうまいのですが、昔からの長年の深層心理への刷り込みとは恐ろしいもので、おもむろに辛子を小皿にとり、ソースを入れ始めたところで、前の小学生が「おとうさん、肉まんにソースだって、おかしくない?」って関東弁で話すのを聞いて、周りを見ると、圧倒的多数が酢醤油で召し上がっていました。「酢醤油はシュウマイか餃子ちゃうんか!肉まんちゃう、ぶたまんや!ぶたまんはソースやろ!」と叫びたくなりましたが、そんなことを言っても仕方がないので、黙って賞味してきました。ここのぶたまんのうまいのは、なんといっても皮です。いつもこの皮を食べると、神戸はパンがうまいんやもんなぁ~、って全く意味のないことを考えています。

そして、三宮と元町をぶらぶらして、1時半にナガサワに戻ると、順番になっていました。
私が中学生のころに遠い親せきが亡くなった時の形見分けでもらった「白い山」の一番太いやつです。ですから、40~50年は経過しているペンです。書くと引っかかりがきつくてほとんど使わずに置いてありましたが、一度見てもらえばまた使うかもしれないという思いで持ち込みました。「よろしくお願いします」で開口一番、「おぉ、きたね」とおっしゃって、「これはきわものだね」とのこと。「もうだめですか?」と伺ったところ、「いえいえ、こういうペン先の白い山は珍しいから。これは調整しますけど、書き味が今のような書き味にして使えるようにしますから」とのことでした。なにやら、ペン先が刀のようになっていて、ミュージックペン(音符を書くペン)のようになっているそうです。そして、横のペンマニアの方に「これは珍しいでしょ?」といって見せておられました。その方も「こんなペン先ははじめてみました」とのことで、長原さんのお話では前の持ち主が削ったのではないか、もしかしたら音楽関係の方で音符を書かれる人か、などと尋ねられましたので、「いえ、違います」とお答えした次第です。
ぐいぐいペン先を開いて、そして小型グラインダーのようなもので削って、15分ほどで完成しました。「いいですか、こうやってペンをちょっと立てて書くと、横線が太く、縦線が細くなるでしょ?払いや止めがよくわかりませんか?そしてちょっと寝かせると、横線も縦線も細くなるでしょ?こういう書き味です。どうですか」とのことでした。

書いてみて、たった15分のことで感動の書き心地に変身していました。引っかかりが全く消えていて、そして、あまりなれない書き心地ですが、確かにおっしゃるように線の太さが自由自在に変わる不思議なペンです。「もし気に入らなくて中字にしたければいつでもできますから持ってきてください。しかし、これを最初にお持ちだった方を偲ぶのにはこの方がいいと思います。普段使いには別の万年筆で、これは手紙とか特別な用途にお使いになればどうですか?」とのことで、非常にありがたく承りました。

最後に「いやぁ、いいものを拝見しました。楽しかったです」と言っていただけた時は、本当に「こちらこそ本当にありがとうございました」と深々と頭を下げた次第です。長原さんのお人柄がいっぺんにすきになる1日でした。次はペンクリニックの時にセーラーをナガサワで買って、調整に出そうかな、なんて思えます。

いま、改めて試し書きしてみましたが、ぬらぬら~っと書ける書き心地、最高です。こんなに変わるものとは思いもしませんでした。改めて感動!

戦略暴走(三品)について

三品和広(2010)『戦略暴走:ケース179編から学ぶ経営戦略の落とし穴』東洋経済新報社が5月28日に出版され、さっそく購入しました(また小遣いが・・・・)。

短いケースが179も収められています。三品先生もおっしゃっていますが、社内研修の材料として格好であると思います。以前、若手の研修(というか勉強会)にオブザーバーとして参加してくれという依頼があり、日本語のケースを使った研修をやったことがあります。

伊丹先生の『経営戦略の論理』 にも『ケースブック:経営戦略の論理』という副読本があって、16本のケースが紹介されています。そのときには、ここからとったのではありませんが、ケーススタディで深く考えさせるためには、この程度の分量は最低必要と思っていました。そうなると、ケース自体が一般的なサラリーマン受講者にとっては長く、読みこんでくる余裕がないといった不満がありました。

三品先生の本をざっと眺めたところ、ケース一つ一 つは短いので、3本ぐらい一気に取り組ませることができると感じました。しっかりと取り組ませたうえで、どんどん長いケースにも取り組ませることで、ケーススタディからの学びが深くなると感じます。

これも後ほど精読することにします。

MBAの仲間たち

今日は、MBAの同期生の結婚披露2次会があった。同期は約70名ですが、20数名が参加。東京などに散っている仲間を考えれば、半分ぐらい来た勘定になると思う。素晴らしい2次会でした。

今日言いたいことは、MBAで学ぶと、仲間のコムラード意識とでもいうか、戦友とでもいうか、そういう連帯感が強い集団になるということです。神戸の場合、全員が社会人で毎日の仕事に加えて膨大な課題と格闘しています。M1のころは、プロジェクト、授業でのグループ、そしてゼミと、いろいろなグループが形成されている中で協働していく中で、仲間意識が強まります。M2は学位論文に向けて孤独な登攀が続きますが、その中でもゼミの仲間に助けられて山頂を目指します。それぞれの仲間のアプローチは違うかもしれませんが、「場」を共有して同じ目標に向かって走っていくことで、より強い連帯感が生まれるのだと思います。

いつでも年齢や地位を問わず話ができる友人が得られたことは、この年を考えると貴重です。こういう飲み会はいつあっても楽しく、今日は久しぶりにお目にかかる方とも会えて、アンワインドできた1日でした。

2010年5月29日土曜日

「ハーバード白熱教室」(Justice with Michael Sandel)がおもろい!

私は、テレビはNHKを愛用していまして、受信料のもとをとるためにも、民放をみることはあまりありません。というより、NHKの番組の品質が高いので、満足度が高いからです。

周りが、『ハーバード白熱教室』が面白い、と言っていたのですが、日曜日の18:00~19:00ということもあって、いつ見逃していました。先週日曜日みて、衝撃を受けました。おもろい!そこで、オリジナル英語版の『Justice with Michael Sandel』を会社の昼休みなどに毎日のようにみています。

ハーバードで行われている授業のテレビ版なのですが、1000人以上の大教室でインタラクティブな授業を行い、しかも分かりやすい。実は学部が法学部だったので、功利主義や社会契約論のようなことは法哲学でやったのですが実に教え方がうまい。引き込まれていきます。会社でお勧めして、みた人が「何がおもろいねん」というと、ちょっと悲しくなりますが、本当にお勧めです。

またこれも本が出てしまいました。Sandel, M (2009) Justice: What's the Right Thing to Do?, Farrar, Strause & Giroux (鬼澤忍訳『これからの正義の話をしよう:今を生き延びるための哲学』早川書房 
さっそく購入して待機しております!映像見てから読むつもりです。

経営戦略の論理(伊丹)

どんどん時代が古くなっていきますが、次はこれまた日本の経営戦略に関する本の金字塔の1冊、伊丹敬之(2003)『経営戦略の論理 第3版』日本経済新聞社です。

なぜ、こんな本を最近多読しているかというと、経営幹部に対する研修を企画せよ、と経営企画室から難題を持ちかけられたからです。いい機会なので日本の経営学者による日本の経営理論を見つめなおす意味でも、ちょっとしっかりと読んでいます。

といっても、ほかの本を読んでいないわけではありません。もともと何冊か並行して読めるタイプなので、そういう読み方もしています。

戦略不全の論理(三品) 読み終わりました

この本、2年ぶりぐらいに読みましたが、やはり現代日本の経営戦略に関する書籍の代表作の一つとの意を強くしました。

最初、第一部では、とっつきやすいところから始め、売上高と営業利益率、次にコマツとキャタピラーの比較ケーススタディの定性的なアプローチを通じて戦略不全について考えさせる。
第二部では、そしてミクロ経済学の競争モデルをどのように応用するのか、という風に難度が少しずつ上がっていく。そして、売上高と営業利益率にもう一度立ち返って、ケーススタディと言えば定性的になりがちなところをあえて定量的に押さえ、戦略について考えさせる。
そして白眉の第三部。経営戦略がなぜ不全に陥るかの一つの解として、経営者を取り上げる。経営者の任期が戦略に、そして最終的に収益にどのように影響するかについて、三品先生のお考えが定量的な分析を通じて提示されていく。

この本のよさは、最初はとっつきやすく、少しずつ難度が上がっていくところです。ミクロ経済学(ビジネスエコノミクス)や統計学の基礎的な知識があるとさらに読みやすいのですが、そうでなくても読めるようには工夫してあるので、一般的ビジネスマンでも読みこなせます。

この本を読んで感じるのは、 右肩上がりの高度経済成長時代に入社し、キャリア形成期からマネジャー経験を重ねるころまでは、何もしないでも業績が伸びた時代の人物が、この不透明で混沌とした経済状況の中で会社のかじ取りをしていることに対する不安である。第二次世界大戦後、日本の第二の創業期とも言える時代に経営のかじ取りをしていた世代はすでになく、その次の次の世代ぐらいになっており、操業の苦しみは知らず、先人の遺産と環境でマネジャーをつつがなく過ごした経験しかない経営者に何が分かるのだろうか。こういう経営者ほど勉強していないし、MBA教育を否定する。かといって、「持論」をTheory in Practiceともいえるまでの説明力をつけていない。

経営の実際にあたって、基礎的な学問の素養と継続的なブラッシュアップは絶対に必要であると感じる。MBAをそのブラッシュアップのための機会ととらえると、私の場合は本当によかったと思う。

こういう「学び」を否定する人々がかわいそうです・・・。

三品和広(2004)『戦略不全の論理―慢性的な低収益の病からどう抜け出すか』東洋経済新報社
目次
はしがき
第1部 戦略不全の実態
第1章 日本企業の戦略不全症
第2章 データに見る戦略不全
第3章 ケースに見る戦略不全

第2部 戦略とは何か
第4章 演繹的マクロ戦略論
第5章 昨日的ミクロ戦略論
第6章 大局的判断の戦略論

第3部 戦略不全の背景と処方箋
第7章 経営戦略の3要件
第8章 日本企業の経営者
第9章 戦略不全の処方箋

参考文献
索引

2010年5月16日日曜日

戦略不全の論理(三品)

次は、少し前に出た本ですが、三品和広(2004)『戦略不全の論理:慢性的な低収益の病からどう抜け出すか』東洋経済新報社を再読します。実はこの本、2004年に出版されたころに買ったのを覚えています(初版でした)。MBA時代にも何度も読んだのですが、最近楠木先生や沼上先生の本を立て続けに読んで、三品先生のお考えをもう一度確認する意味で再読します。 

2010年5月15日土曜日

経営戦略の思考法(沼上)読み終わりました

一気に読みました。再読と言うのもありますが、この本が経営戦略を非常にうまく表現している書だからと思います。

第1部は、ちょっとミンツバーグの戦略サファリに近いところがありますが、非常によくまとまっていて、かつコンパクト。戦略計画、創発理論、ポジショニング、経営資源、ゲーム理論というように、戦略論を5つに大別して説明している。これだけでおそらく元が取れる。
第2部は、私にとっては第8章が素晴らしい。あるものをカテゴリーに分類することで説明しようとするカテゴリー適用法、1つのカテゴリーだけでなく複数の要因で説明しようとする要因列挙法、要因列挙法から因果関係を考察し、行為主体の意図・行為・相互作用結びつけることで解明するメカニズム解明法の思考法について説明されている。この辺は、『行為の経営学』の前半をもっとコンパクトにした感じで、しかも読みやすく仕上がっていると思う。
第3部で、メカニズム解明法に基づいて分析する手法を使って、顧客、競争の活用、シナジー、選択と集中、組織の暴走とを戦略と組織の相互作用としてとらえている。シナジーを正しく理解させ、深い部分で考えさせようとしている姿勢に感銘を受けた。当社においても、シナジーの理解がないままシナジー効果について語られているところに問題があると感じる。

先日『ストーリーとしての競争連略』を読み、改めて本書を読むと、本書はある程度の予備知識がある読者に適当で、ストーリーとしての競争戦略はもっと噛み砕いていることから、より広いオーディエンスを対象とできる。どちらの書も良書と思います。

沼上幹(2009)『経営戦略の思考法―時間展開・相互作用・ダイナミクス』日本経済新聞出版社。
目次
第1部 戦略思考の変遷―経営戦略論の知層形成
第1章 経営戦略に関する5つの考え方
第2章 戦略計画学派
第3章 創発戦略学派
第4章 ポジショニング・ビュー
第5章 リソース・ベースト・ビュー
第6章 ゲーム論的アプローチ
第7章 5つの戦略観がもたらす反省

第2部 戦略思考の解剖―メカニズムの解明
第8章 3つの思考法
第9章 戦略的思考法の具体例―思考法を身につけるための見本例の紹介

第3部 戦略思考の実践
第10章 顧客ダイナミクス
第11章 顧客の声に耳を傾けてはいけないとき
第12章 差別化競争の組織的基礎
第13章 競争を活用する戦略
第14章 先手の連鎖シナリオ
第15章 シナジーの崩壊メカニズム
第16章 選択と集中―創発的多角化戦略の問題点
第17章 組織暴走の理論
エピローグ 経験知と反省的学習
参考文献
人名索引
事項索引