2010年5月9日日曜日

内田百閒 東海道刈谷驛

今日は、久々に百鬼園先生を読みました。

内田百閒は、私が大学に入ったころに叔父から勧められて読み始めました。漱石最後の弟子ということでも有名です。代表作は「冥途」「阿房列車」や「百鬼園随筆」などですね。イギリスとアメリカの転勤に耐えてうちに残っているのは3冊。全部旺文社文庫の旧かな遣いです。なくなった本を誰に貸したかも覚えていますし、どこかに置いてきたのもほぼ覚えていますが、もう取り返すことはできません。

今日読んだのは、内田百閒(1983)『東海道刈谷驛』旺文社。このなかに「けらまなこ」という話があります。四国に出張に行く阿麻君と二人でお酒を飲んでいる対話風の随筆ですが、これが秀逸です。最初は酔っ払っていないのに、飲むにつれて微妙に酔いが回りだす感じがよく出ている。また、すき焼きの作り方も素敵です。百閒先生の随筆で随所に登場する食べ物とお酒も素敵です。別の本に「おからとシヤムパン」という短編がありますが、シャンパンを飲みだしたのも百閒先生の影響でした。煙草も長らくショートピースを半分でやめるという贅沢な飲み方をしていたのですが、これも百閒先生の影響でした。東海道刈谷駅にも「我が酒歴」というお酒飲み天国のような話もあります。こういう随筆でもタッチが絶妙です。

なお、我が家では、百閒先生の作り方をアレンジしてすき焼きを作っています。調味料は砂糖、醤油、酒だけです。関西式で肉を先に焼いて砂糖と醤油で味付けして、野菜を投入して酒をふんだんにつぎ込む。その後豆腐と糸こんをいれて醤油をかけまわします。酒は料理酒ではだめで、毎日飲む口を用意する。これで作ると本当にうまい。とにかく酒が決め手です。

おためしあれ。

0 件のコメント: