2010年9月2日木曜日

旅行で読んだ本 『戦略的思考とは何か』(ディキシット&ネイルバフ)

1か月ほど前に加護野忠男(1988)『組織認識論:企業における創造と革新の研究』千倉書房を読む決心をしたのですが、読み始めるとあまり面白くないのでいつも読むのをやめてしまう。久々に難渋する本です。

たとえば、組織認識論の前に読んでいたKuhn, T., S.(1962) The Structure of Scientific Revolutions. Chicago: The University of Chicago Press. 邦訳 トーマス・クーン(1971)『科学革命の構造』中山茂 訳、みすず書房なんか面白く読めたのに、どうしても組織認識論が読みすすめていけない。もっと難解な本でもそれほど苦労をせずに読めているのになぜ読めないのだろうか。

旅行に持っていけば読めるかと思い、重たい本を持っていったが、結局読む気が起きない。そんなに難解な文章とも思わないのだが、ダメです。もう少し落ち着いて読むことにします。


8月25日から29日まで北海道に家族旅行に行っていました。飛行機で旭川まで飛んで、旭山動物園、そして札幌、小樽、定山渓を回って、トワイライトエクスプレスに乗って大阪まで帰ってくるという旅行です。相当散在しましたが、子どもや嫁はんが楽しんでいる姿を見るとホッとします。結局、組織行動論を読まずに読み返していた本が Dixit, A. K. and Nalebuff, B. J. (1991) Thinking Strategically: the Competitive Edge in Business, Politics and Everyday Life. New York: W. W. Norton & Co. 邦訳 アビナッシュ・ディキシット、バリー・ネイルバフ(1991)『戦略的思考とは何か:エール大学式「ゲーム理論」の発想法』菅野隆、島津祐一 訳、TBSブリタニカ です。一晩で330ページを一気に読んでしまいました。この本も原書が半額以下なので、原書がお勧めですが、日本語でも十分に楽しめます。神戸MBAのビジネスエコノミクス応用研究の副読本でしたが、ゲーム理論の書籍の中では最も分かりやすい1冊と思います。数式がほとんど使われておらず、ビジネスマンでも一気に読みこなせます。囚人のジレンマやミックス理論などのゲーム理論の基本から、ケースを使った発展的内容までほぼ網羅されています。アメリカの教科書なのでケースがアメリカ人なら分かりやすいケースですが、日本人でも十分読みこなせます。1991年の本とは思えないぐらいに新鮮でビビッドです。ぜひお勧めします。ただ、分かりやすいので、一読して「分かった気になる」可能性はありますので、しっかりと読んでほしいと思います。

目次
著者まえがき
日本版への序
第1部 ゲーム理論の基本コンセプト
第1章 戦略ショートショート
第2章 交互行動ゲーム
第3章 同時進行ゲーム
第2部 基本コンセプトの発展
第4章 囚人のジレンマ
第5章 戦略活用行動
第6章 実行の確約
第7章 予測不能性
第3部 ゲーム理論の戦略的状況への活用
第8章 瀬戸際戦略
第9章 協力と協調
第10章 投票
第11書 交渉
第12章 誘因(インセンティブ)
第13章 ケーススタディ
訳者あとがき

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