この本、様々なところで大反響です。1988年の本なのですが、今読み返しても示唆に富んでいます。
私が最初にこの本を知ったのは、神戸大学の小川先生のTweetです。誰もが「バカな」と思うことに実は合理性があって、後で成功したときにそのストーリーを聞くと「なるほど」と言える合理性があるという話です。次にこの本について言及されているのが一橋大学の楠木先生。楠木先生の本自体がこの本を底本にしたのではないかと思えるぐらいです。その次は神戸大学の金井先生。そして同じく神戸の三品先生。そして極めつけは、神戸の加護野先生がこの本について述べられたことで、この本のすごさが分かってもらえると思う。
この本にも紹介されているのが山代温泉のホテル百万石。田んぼのど真ん中に1200坪の土地を買い、600畳の大広間がある旅館を建設するという、当時としては考えられないだれもが「バカな」というやり方。しかし、客が続々と入りだしてなぜそういうことをしたかを聞くと、バスや自家用車の時代であることやコンベンション需要の高まりなど、みんなが「なるほど」といえる戦略が素晴らしい戦略であるということ。これが吉原先生では「バカなとなるほど」ですし、楠木先生だと「キラーパス」なのですね。
久々に読みなおすと、薄い本ですが非常に分かりやすい。ケースが古いのが難点だが、イビデン、ホテル百万石、ホソカワミクロンなどの話は今でも新しく読めます。
非常に残念なのですが、この本、アマゾンで古本を買うのは不可能です。古本屋で見かけたら即お買い上げしてください。図書館で調べてあれば読んでください。少なくとも神戸大学、大阪市中央図書館にはあります(大阪府立には残念ながらありません)。丹念に探さないとない本です(私もコピーがあるだけです)。ぜひご一読ください。ネタの料理の仕方が上手ですね。
吉原英樹(1988)『「バカな」と「なるほど」:経営成功の決め手!』同文舘
目次
はしがき
第一部 常識破りの発想
1 バカなとなるほど 成功する戦略の二大条件
2 答えを見ながら答案を書く 創造的戦略の発想法
3 べき論より予測論を 経営者の先見力強化法
4 ダブダブの洋服の戦略メッセージ 戦略を効果的に伝える方法
5 マイナス情報に情けをかけよう
6 組織慣性との戦い 企業変身の最強の敵
7 人事スペシャリスト不要論 野村証券の「非」常識な人事部
8 から元気のリーダーシップ
9 社内事情より社外事情を優先 野村證券のキープヤングの人事
10 女が分からないで経営ができるか
11 人づくりは人選びから
12 計画のグレシャムの法則
第二部 常識破りの戦略
1 多角化を成功させるキーファクター
2 非常識な戦略で活路を開く
3 中堅企業海外進出の成功の条件
4 夢と技術力と余裕 海外進出成功のキーファクター
5 安全運転は新事業の敵
初出一覧
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