出る出ると神戸大学の小川先生からは予告されていましたが、満を持して登場です。
日本経済新聞社編(2010)『これからの経営学』日本経済新聞出版社
2008年9月から約半年間連載された「経営学のフロンティア」をベースに編まれた本です。
まず、日本を代表する経営学者17名!これだけの豪華執筆陣をよく集めたものです。いま、一番力があって素晴らしい研究成果を出されていて、国際的にも認知度の高い先生方が執筆されています。
次に、中身の濃さ!戦略論、人的資源管理、組織行動、ものづくり、マーケティング、ビジネスシステム、グローバル経営、ファイナンス、成長戦略と盛りだくさんの内容。しかも、最先端の研究成果が惜しみなくつぎ込まれています。
そして、分かりやすさ!これが本当に分かりやすくておもしろい。平易な言葉で実例を交えて書かれているので、あまりこういう本を読まないビジネスマンでもすぐに読めてしまうと思います。
新聞連載でしたから、一般の読者を想定して文体は分かりやすく、また限られた連載スペースの中に先生方のご研究を濃縮したエッセンスをそこに展開されたわけで、勢古浩爾(2010)『ビジネス書大バカ辞典』三五館に掲載されているビジネス書とは対極をなす良書です。ぜひ手にとって「現代日本の経営学のフロンティア」を体感してもらいたいと思います。
研修とかやると、「そんな学者の言うようなことは、実際には役に立たない」とか、「机上の空論ばっかり話すな」とか、はたまた「学校で勉強してるんとちゃうぞ」、挙句の果てには「そんなん本に書いたぁることゆうてるだけやん」(なんで関西弁やねん!)とか、要するに理論なんか意味がないという話が出ます。私も、かつてそう思っていた一人でした。
しかし、一流を自任される実務家の方なら、この本を読めば、一流の学者の説明能力の高さに驚くと思います。私は、神戸MBAで執筆陣の4名の先生から直接教えを受ける僥倖に浴しました。先生方の研究の深さ、それを実務といかにつなぎながら説明をされていく能力の高さ。そして一幕の劇にも似た面白さ。この本を読むと、多くの方々がその経験を共有できるのではないかと思います。
ただ、読みやすいがゆえに、内容をきちんと把握せずに「分かった気になる」本かもしれません。ですから、何度も読み返すのもいいと思います。
これだけの内容で749円は安すぎます。
日本経済新聞社編(2010)『これからの経営学』日本経済新聞出版社
目次
まえがき
第1日目テーマ 「組織と戦略をとらえなおす」
第2日目テーマ 「変革型人材育成」
第3日目テーマ 「ものづくりと経営」
第4日目テーマ 「経営戦略を具体化する」
第5日目テーマ 「外部連携の戦略」
第6日目テーマ 「未来への成長戦略」
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