いろんな本が途中に入ってきて一時停滞しておりましたが伊丹敬之(2003)『経営戦略の論理 第3版』日本経済新聞社、読了いたしました。
この本を評して「後付け」「後講釈」という人もいるのですが、そういう批判を超えて生き残っていくよさがある本です。個人的には、序章、第7章~第9章、終章の中でも、とくに序章が重要なパートと感じます。戦略とは何か、なぜ論理が重要か、そして適合とは何か。普段簡単に話されている言葉をしっかりととらえることから始まっている。その後は、いろいろなケースが出てくる。第7章まででは、松下とアイワの比較が今の世の中を表しているように思う。半値にして機能も充実させる松下。機能を削って価格勝負に出たアイワ。いまの世の中、アイワ的な価格競争が繰り広げられているからうまくいかないのではないか。
ポジショニングスクールの議論にも言及しつつ、伊丹先生の本領であるリソース・ベースト・ビュー もしっかりと論じられている。「見えざる資産」、つまり情報。これの流れのフレームワークをしっかりと理解させてくれる良書です。様々なケースを比較して使って分かりやすくしているところを、後講釈というのでしょうが、一般的な読者には理解できない一般化・抽象化された理論を、数多くのケースを通じて分かりやすく説明しているととらえたほうがよいと思う。だから、終章で、現実から戦略の発想を出発させない、とはっきりとおっしゃっているのである。
これを読んで、営業のマネジャーとして悪戦苦闘していたころを思い出してしまいました。 その話は、また別の機会に。
伊丹敬之(2003)『経営戦略の論理 第3版』日本経済新聞社
目次
序章 経営戦略とはなにか
1 戦略の市場適合
第1章 顧客のニーズをとらえる―戦略の顧客適合(1)
第2章 ニーズの多様性と相互作用を利用する―戦略の顧客適合(2)
第3章 競争優位を作る―戦略の競争適合(1)
第4章 反撃を見越す、敵にしない―戦略の競争適合(2)
2 戦略のインターフェース適合
第5章 ビジネスシステムで差別化する―戦略のビジネスシステム適合
第6章 技術を活かし、技術が動かす―戦略の技術適合
3 戦略の内部適合
第7章 見えざる資産―情報の流れのフレームワーク
第8章 資産を蓄積し、利用する―戦略の資源適合
第9章 組織を動かし、刺激する―戦略の組織適合
終章 戦略の論理と発想
参考文献
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