白川静といえば、古代漢字の学者で、「孔子伝」の作家という印象しかなく、「道」の字の起源の話は知っていたのですが、この平凡社編(2010)『白川静読本』平凡社を読んで、知の巨人だったとの印象を深くしました。
内田樹は、「世界と人間の成り立ちについて本質的なことをいくつか教えていただいた」という。梅原猛をして、「強靭な思弁によって独創的な新しい学問を打ち立てた」と言わしめる。吉本隆明が「この大碩学について言うべき言葉を持たない」と評する。そして、保坂和志は「白川静もハイデガーも(中略)人間は自然やほかの動物を征圧することで人間となったということを言っている」から「感動した」のである。これだけのことを言葉は違えど、47名が思い思いに伝えようとしていることが白川静のすごさを物語っているのだと思う。
いままで、経営学を勉強するに当たり、ソクラテス・プラトン、アリストテレスに始まり、ウェーバーやマートン、そしてソシュールやレヴィストロース、フーコーまで、「考え方」といえば、西洋哲学であった(この辺りについては、野中郁次郎(2003)『知識創造の方法論:ナレッジワーカーの作法』東洋経済新報社に詳しい)。神戸大の学力総合試験や博士後期入学試験の経営管理や定性的方法論についても、ほとんどがそうである。しかし一方で、東洋には漢字文化の膨大な蓄積がある。そこに改めて目を向けさせてくれそうなのが白川静であろう。
マイブームになりそうな気がしてちょっと怖い。
平凡社編(2010)『白川静読本』平凡社
目次
巻頭対談 呪能と歌の心―白川静の魅力
第1章 白川静という人
第2章 白川学の広がり
第3章 著作をどう読むか
主要著作一覧
白川静略年譜
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